破産手続きを利用しながらの事業再生
相談企業の業種・規模
■業種:小売業
■規模:5名以下
相談経緯・依頼前の状況
先代より事業を引継ぎ、これまで営業を続けてきたが、様々な要因が重なりキャッシュフローが回らない状況である。このため、倒産するしかないと考えてはいるものの、一部事業については確実に黒字を出せるため、できれば倒産後も引き続き営業を継続したい。
このようなことを実現することは可能か。
解決までの流れ
一部事業を残したいというご意向であったことから、第1回目の法律相談では、任意整理又は民事再生ができないかを中心に、聞き取りを行いました。その結果、一部債権者の動向が予測しづらく、任意整理や民事再生を実施することは難しいという結論に至りました。そこで、破産手続きを行いつつ、その破産手続き内で一部事業を買い戻すという手法が考えられること、ただ一般的に行われるような手法ではなく、弁護士自身も経験したことがないので紆余曲折が予想されることをご説明した上で、一度持ち帰って検討してもらうことにし、第1回目の法律相談を終えました。
その後、ご相談者様より連絡があり、ご提案した方法で進めてみたいとのご意向が示されましたので受任しました。
スポンサーを含む協力者との打合せ、事業を継続する上で必須となる取引先との水面下交渉、代替取引先の確保などを先行させつつ、一方で修正P/L及びキャッシュフロー計算書等の作成準備を進め、ある程度準備が整ったところで破産申立てを行いました。また同時に、スポンサー資金による事業買戻しの意向がある旨裁判所に申告しました。
当初、破産管財人は訝しがる反応を示していましたが、弁護士において算定した事業価値と資金確保状況を丁寧に説明したところ、協議が進んでいき、最終的には破産管財人より一部事業の譲受けに成功しました。また、破産手続きも滞りなく進み、免責決定も得られたことで、一部事業を引き続き継続できる環境が整ったことから、作業完了となりました。
解決のポイント
ご相談者様の誠実な態度と協力姿勢があったことが重要であったことは間違いありませんが、何より、非常に特殊な手続きの組み合わせであったとしても、「適正な対価である限り、文句を言われる筋合いはない」という信念を貫き通せたことが最大のポイントであったと考えられます。
解決までに要した時間
■約1年(第1回目法律相談から、免責決定まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所の代表弁護士は、簿記やファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、事業活動に関係する“数字”を一定程度理解することができます。
事業再生を実現するためには、様々な事業活動に関係する“数字”の意味を理解し、使いこなす必要があるところ、上記ご相談事例などを通じて対応能力があると自負しています。