【民法改正】第12回 債権者代位権、詐害行為取消権

【民法改正】第12回 債権者代位権、詐害行為取消権

 

社長:なんか、タイトルからして漢字が多いし、いかにも難しそうだなぁ…。
弁護士:たしかに、この制度については金融機関の方ならともかく、日常取引で使うことはまずないので馴染みは無いかもしれませんね。
社長:でも、今回の改正の目玉の1つなんだよね。早速解説してよ。
弁護士:現行民法と改正法との対比をしても、ますます混乱させるだけかと思いますので改正民法による結論部分を中心に解説していきますね。
社長:あと、どういった場面で利用可能か、ポイントも教えてほしいな。
弁護士:了解しました。
まず、債権者代位権ですが、例えば社長がAさんにお金を貸しているとします。Aさんは持ち合わせのお金が無いのですが、Bさんに履行した業務に対する報酬債権を持っているのですが、グズグズして取り立てを行なおうとしません。そこで、社長がAさんに代わって取り立てを行うというのが、債権者代位権のイメージ例となります。
社長:ちょっと待てよ。それじゃ差押えと同じじゃないの?
弁護士:そうなんです。実は差押えと債権者代印権の機能は結構被るところがあるんです。
社長:じゃあ、何のために…。
弁護士:理屈だけで申し上げますと、差押えは判決書等の債務名義に基づく強制執行手続きですので、それなりの手間暇がかかります。一方、債権者代位権は訴訟外で行使可能となっています。
社長:ちょっと待って!それじゃ、債権者代位権を行使した方が圧倒的にお得では。
弁護士:理屈上はそうなんですが、厄介なのが、差押えの場合、先の事例でいえばBさんはAさんに支払ってはいけないという効果が生じるのですが、債権者代印権の場合、そのような法的効果が無いんです。つまり、BさんがAさんに支払ってしまったら、それまでなんです。
社長:何だか中途半端な制度だなぁ。なんで債権者代位権なんて存在するんだろう。
弁護士:色々あるんですが、一番の典型例は、Aさんがグズグズしているうちに消滅時効にかかりそうなので、債権者代位権を行使するというのが1つ考えられるかと思います(差押えまではどうしても一定の時間を要しますので)。
とはいえ、債権者代位権を行使するのであれば、AさんのBさんに対する報酬債権を仮差押えし、その上でという活用方法になってしまうかと思います。
社長:たしかに、消滅時効の問題で素早く対処したいというときは活用できそうだね。
弁護士:あと、債権者代位権の特徴として、訴訟上で手続きを行使し判決等の強制力を得た場合、Bさんに対して、Aさんをすっ飛ばして直接社長に支払うよう強制することが可能となります。ただ、この訴訟手続きでは、必ずAさんを巻き込んで争うことになるので(訴訟告知が必要)、社長、Aさん、Bさんという三面訴訟になってはしまいますが…。
社長:なるほど、よく分かったよ。では次に、詐害行為取消権について解説してよ。
弁護士:詐害行為取消権については、例えば、Aさんが唯一の財産であるBさんへの報酬債権を放棄or支払い免除してしまった場合、そのような放棄or支払い免除は債権者であるAさんを害する行為なので取り消すことを代わりに主張できる制度となります。
社長:ほぉ、随分とAさんに対して介入ができる制度なんだなぁ。
弁護士:そうですね。ただ、これだけの過度な効果が認められる以上、成立要件のハードルは高く、今回の民法改正では、この成立要件が整理・見直されました。
社長:ふ~ん。
弁護士:まぁ、大雑把に申し上げれば、Aさんにおいて、社長を含めた債権者にとって不利な行動であること(害があること)を認識していたこと、及びBさんにおいても債権者におって不利な行動であることをに指揮していたことという、各当事者の主観的な認識が必要とされています。
 債権者代位権は、このような主観的認識を要件としていませんので、この点が大きな相違事項といえるかもしれません。
社長:劇薬だからこそ、成立要件が厳しいということか。
弁護士:その通りです。その上で、相当対価を得ている財産処分行為の場合、債務免除や特定の債権者に対する担保の供与等の偏頗行為の場合、過大な代物弁済の場合といった債務者であるAさんが行った取引類型ごとに、やや異なった要件が課せられているので、その都度、どういった要件になっているのかチェックが必要になるかと思います。
社長:ちなみに、詐害行為取消権が認められたとして、債権者代位権のように直接「俺のところに支払えとか引き渡せ」なんて言えるの。
弁護士:はい、それは可能です。ただし、詐害行為取消権は債権者代位権と異なり、訴訟提起することが絶対要件です。そして、訴訟手続きにおいて、債務者であるAさんを巻き込むこと(訴訟告知を行なうこと)も絶対要件となります。したがって、手続きの煩雑さがあることは事実です。
社長:そっか、なかなか厄介だな。
弁護士:あと、先ほどの例を少し変えて、Aさんが唯一の財産である不動産をBさんに売却し、BさんがさらにCさんに売却したとします。このようなCさんのことを転得者と呼ぶのですが、色々要件はあるものの、詐害行為取消権が認められた場合、実はCさんから直接不動産を引き渡してもらうということが実は可能となります。
 その意味では、厄介ではあるものの、ターゲットである財産が特定できる場合は追っかけることが可能という便利な特性もあります。
社長:ややこんがらかってきたけど、使う場面が発生したら、ちゃんとアドバイスしてね。

(平成28年7月5日更新)

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

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