【民法改正】第6回 請負

【民法改正】第6回 請負

 

社長:売買、賃貸借と、メジャーな契約について解説が続いたけど、他の契約形態についてはどうなっているんだい。
 
弁護士:割とメジャーな請負契約について、今回は解説を試みたいと思います。
 
社長:建築・建設や、一部のシステム開発などで使われる契約類型だね。まぁ、最近では偽装請負といった言葉の方が有名かもしれないけど。
 
弁護士:まぁ、そうですね…。請負契約の根本は、注文からの発注に基づき、請負人が仕事の完成を約束することです。したがって、仕事が完成しないことには報酬が発生しないというのが大原則となります。
 
社長:あ~それは聞いたことがあるね。だから、長期にわたる場合や金額が大きい場合は、着手金、中間金、完成後の報酬金…といった形で特約を付けないと、請負人は何も貰えないまま仕事をこなす必要があるというやつだね。
 
弁護士:その通りです。で、今回はこの点について見直しが入りました。といっても、従来より裁判所が判断していた判例法理を明文化しただけですが。
 
社長:現行法に書いていないけど、裁判実務上では当然のように取扱われていた内容を反映させたわけだ。
 
弁護士:そうです。具体的には、次の要件に充足する場合は、たとえ未完成であっても報酬請求可能となります。
    ①「注文者の責めに帰すことができない事由によって仕事を完成させることができなくなった」または「仕事の完成前に請負契約が解除されてた」場合において
    ②「すでにした仕事が可分」であり
    ③その可分の部分のみによって注文者が利益を受けていること
 
社長:つまり、全体の工程としては未完成であっても、一部工程が終了し成果物が生じていて、この成果物が注文者にとって価値のあるものといえるのであれば、その価値相当分に対して報酬が発生するというイメージで良いのかな。
 
弁護士:そのイメージで問題ありません。
 
社長:ちなみに、①の要件だけど、例えば請負人の業務遂行に問題がある、つまり請負人が原因で契約を解除した場合も含むという意味なのかな。
 
弁護士:そうです。契約を解除できるか(契約の拘束力から解放されるのか)という問題と、注文者が受け取った価値のある成果物の清算関係とは別問題ということになります。
 
社長:いくら請負人に問題があっても、ちゃんとその分の報酬は支払えよということだね。それにしても、これは請負人にとっては現場取引では使えそうな条項である反面、注文者にとっては揉める要素にもなりそうだな。
 
弁護士:上記でいう③の要件については、どうやって「利益を受けた」ことを客観的に判断するのか、難しい場面が出てきそうですね。
 さて、請負契約では、もう1つ大きな改正点があります。それは担保責任と呼ばれるものです。
 
社長:ちょうど2回目に「売買と瑕疵担保責任」という項目でやった担保責任のことかな。
 
弁護士:その通りです。といっても、すごく大雑把にいえば、請負契約に関する担保背金の条項がごそっと削除されてしまうというのがポイントにはなってくるのですが…。
 
社長:どういうこと!?
 
弁護士:現行法上、請負については、売買とは別に担保責任に関する条項が結構細かく定められています。
ただ、現実に即していないとか、売買と別類型にする必要性が無い、今回の改正でそもそも担保責任という特則自体をなくしてしまう(契約不履行の問題として統一的に取り扱う)ということで、大胆な削減となりました。
 
社長:ふ~ん、そうなんだ…。で、結局はどうなるの?
 
弁護士:まず、請負の担保責任の特徴として、土地工作物(典型例は建物)については契約解除ができないとか、権利行使の期間制限が別であるといった特則があったのですが、改正により削除されました。
 その上で、土地工作物か否かで分けるのではなく、
 
・瑕疵修補(目的物の修理など)請求ができること(なお、現行法にある瑕疵が重要ではなく修補に過分の費用が発生する場合は瑕疵修補不可という条項は削除)。
・報酬減額請求ができること。
・損害賠償請求ができること。
・解除請求ができること

という内容に統一されることになりました。
 
社長:内容的には単純化したという理解でいいのかな?
 
弁護士:まぁ、そういう言い方もできますね。
あと、担保責任の行使期間ですが、現行法は「引渡し」から1年とされていましたが、改正法では「契約内容と不適合であることを知ったとき」から1年に変更となります。これは注文者有利に作用する変更となります。
 
社長:なるほど。よく分かったよ。

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。