【民法改正】第2回 売買と瑕疵担保責任

【民法改正】第2回 売買と瑕疵担保責任

 

社長:今回のテーマである「瑕疵担保責任」は売買契約書などでよく出てくる単語だと思うけど、何が変わるんだい?
 
弁護士:一言で申し上げると「隠れた」「瑕疵」という言葉が無くなります。その意味では瑕疵担保責任という用語自体が消滅することになります。
 
社長:!?…ちょっと意味分からないなぁ。
 
弁護士:ですよね…。まず、そもそも現行法でいう「瑕疵担保責任」ですが、売買契約に瑕疵があった場合、つまり売買の目的物に不具合があった場合には一定の責任を負いなさいと定めている規定です。
 この責任の内容ですが、民法上は契約を解除するか、損害賠償請求を行うしかの二者択一となっていました。
 
社長:う~ん、、、でも契約書には代金減額請求ができるとか、修理を請求できるとか、もっと色々なことが書いてあることがむしろ普通なのだと思うんだけど。
 
弁護士:そうなんです。契約書では、損害賠償と解除という二者択一で書いてあることはむしろ少ないです。契約書では、民法の定めだけでは買主保護として不十分だから色々と追加記載がしてあるんです。
 
社長:なんで現行民法は、そんな二者択一しか認めなかったんだろうか。
 
弁護士:非常に理屈っぽい話になるのですが、瑕疵担保責任の対象となる売買目的物は「特定物」、あえて誤解を恐れずにいうのであれば、例えば不動産や特注品といった代替性のない商品のみに適用されると考えられていました。
 そして、こういった商品に瑕疵=不具合があったとしても、代替性が無い以上、不具合のある商品を引き渡しさえすれば契約を履行したことになり法律上の問題にはならないのが原則論だと考えられていました。ただ、それでは買主があまりにも可哀想なので、特別に瑕疵担保責任というものを認めて、買主を救済できるようにした…というのが現行民法の解釈とされていました。
 
社長:分かるようで分からないところがあるけど、要は、「特定物」を取引対象部とした場合に、買主保護のために特別な責任を認めたのが瑕疵担保責任ということなんだな。
 
弁護士:その通りです。
 
社長:で、今回の改正ではどのようになるの?
 
弁護士:特定物だけ瑕疵担保責任を認めるといった特殊例外を認めるのではなく、そもそも発想を転換し、特定物・不特定物を問わず、「契約内容に適合しない」物を給付した場合は契約違反である以上、債務不履行責任を負いなさいという形に概念が統一化されました。
 
社長:う~ん、難しいなぁ。
 
弁護士:理屈の話を聞くと難しく感じられるかと思います。そこで、ポイントとして3点にまとめると、
 
①瑕疵担保責任という概念は無くなってしまうこと
②売買契約の合意事項から導かれる「あるべき目的物」(特定物か不特定物かを問わない)を引き渡さなかった場合、契約不適合=契約違反として債務不履行責任を負うこと
③債務不履行責任の効果として、解除と損害賠償以外に、追完請求(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)及び代金減額請求が認められること

になりました。
 
社長:話としては理解できたよ。ただ、これまで何度も契約書に目を通してきた自分の感覚としては、何も目新しさがないような気がするなぁ。
 
弁護士:実務的な感覚からすれば、そのように感じられるかもしれません。その意味では、これまで契約書には当たり前のように書いてあった追完請求と代金減額請求が法律上も当然に認められるようになったという意味で、法律が実務に追いついたと考えてもよいかもしれません。
 
社長:なるほどね。
 
弁護士:あと、上記責任追及する場合ですが、通常の消滅時効とは異なり、「契約内容不適合であることを知ったときから、1年以内に通知」する必要があると修正されることになりました。細かいですが、現行民法では「通知」ではなく「権利行使」とされており、この権利行使の解釈にはいろいろあったのですが、通知で足りるという事で解釈が明確になったことも実はポイントです。
 
社長:つまり、買主は売主に対して、通知=連絡さえすれば事項の問題はクリアーできるということだな。
 
弁護士:その通りです。
 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。