<会社への予防注射~Vol.1> 組織体制の見直し(その1~定款)

<会社への予防注射~Vol.1> 組織体制の見直し(その1~定款)


 


 会社の組織体制を法的に見直すに際し、どこにポイントを置いていけばよいのでしょうか?
 (定款編)


 

 
 

ポイント

 会社の組織体制となると、定款、社内規程(就業規則)、現況と登記簿との乖離の有無、議事録、株主名簿など様々ですが、今回は「定款見直しのポイント」に絞って解説し、その他の事項は次回に解説したいと思います。


 

解説

社長(以下「社」):最近、内部告発やら、元従業員からの未払い残業代請求やら、前からではなく後ろ(会社内部)からの攻撃が多くなってきているように思うんだ。そこで、会社の問題点を洗い出していきたいんだが、何から手を付ければいいのか、分からないんだよね。。。

弁護士(以下「弁」):色々とポイントがありますが、今回は「会社組織」という観点から、ご留意頂きたい事項をあげていきたいと思います。

社:よろしく頼むよ。

弁:まずは「定款」を検討しましょうか。おそらく何かの書式を丸写ししたり、税理士等に作成してもらった定款について内容を良く検討しないまま、今日に至っているのではないでしょうか?

社:(ドキッ…)いきなり痛いところ突くなぁ。

弁:やはり…でも、仕方ないですよ。

それはさておき、特に中小企業(株式譲渡制限会社)で見るべき主なポイントは、

  ① 株券発行の有無

  ② 相続の場合の買取請求

  ③ 取締役会・監査役会の設置or廃止

  ④ 取締役の任期

  ⑤ 取締役の資格制限

かと思います。

社:解説してよ。

弁:まず、①についてですが、(a)平成18年5月1日以降に設立された会社であれば、株券を発行する旨の規定がある場合、(b)同日より前に設立された会社であれば、定款に株券を発行しない旨明記されていなかった場合には、株式譲渡を行うに際しては株券が必要となります。

社:つまり、事業承継や会社を売却したくても株券がないことには対処できなくなる訳か。株券作成代も悩み所だけど、株券を紛失しないようにするための維持管理コストがバカにならないかもなぁ。

弁:そうですね。平成18年5月1日施行の会社法では「株券不発行」が原則化されましたので(昔は発行が原則)、コストカットの視点及びいざという時に備えて定款変更した方が良いと思います。

社:②については?

弁:これも事業承継に関係してきますが、相続が発生すると後継ぎ以外の相続人に株式が渡ってしまい、会社経営に支障を来す一因となっていました。

今般の会社法改正で、相続が生じた場合、定款に定めることで、会社が当該相続人より株式を買い取れるようになりましたので、この点も要チェックかと思います。

社:なるほどねぇ。③つ目は?

弁:会社法改正前は取締役3名以上及び監査役1名以上を選任すること、取締役会を構成することが必須でした。しかし、改正により取締役は1名以上でOK、取締役会及び監査役は必須の機関とする必要なしとなりました。

社:役員報酬のコストカットや、面倒な議事録等の作成手間が省けるわけか。④については?

弁:会社法改正ネタばかりになってしまうのですが、改正により最長10年の任期を定款で定めることができるようになりました。これで役員登記に要する費用はうきますね。

社:⑤についてはどういうことなの?

弁:改正前の株式会社では「取締役を株主から選任する」という制限を置けなかったのですが、改正により、定款に定めることができるようになりました。

社:つまり訳の分からない奴が会社経営に介入してくることを防止できるわけだな。

 


 

 ※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

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