目次
SES事業者において偽装請負の疑いが生じる場面
SES事業者における偽装請負の問題は、行政機関からの指摘だけでなく、日常の業務を通じて判明することがあります。例えば、常駐エンジニアから、顧客担当者に日々の作業内容や優先順位を直接指示されている、休暇や残業について顧客の承認を求められているなどの申告があった場合です。
(1) エンジニアからの申告
調査の契機となり得る申告としては、次のようなものがあります。
・顧客から作業内容や作業方法を直接指示されている
・顧客が休暇、残業、勤務時間を事実上決定している
・顧客から業務評価や改善指導を直接受けている
・自社の管理責任者が実際には関与していない
(2) 社内担当者による把握
営業担当者や管理責任者が現場を確認した結果、契約書上の体制と実際の運用が異なることが判明する場合もあります。顧客が個々のエンジニアに直接タスクを割り当てている場合や、要員の交代を事実上決定している場合には、運用実態を確認する必要があります。
(3) 外部からの指摘
このほか、顧客の法務・監査部門、従業員、退職者、労働局等からの照会や指摘を契機として問題が判明することもあります。
もっとも、申告や指摘があっただけで、直ちに偽装請負に該当するとは限りません。顧客との直接の連絡であっても、仕様や成果に関する情報共有にとどまる場合があります。そのため、指摘を調査の端緒として、誰が業務内容、作業方法、勤怠及び人員配置を実質的に決定していたかを確認することが重要です。
なお、偽装請負の基本的な意味、該当した場合の法的リスク及び一般的な判断基準については、次の記事をご参照ください。
偽装請負に該当するとどうなる? 契約形態・運用・制裁・是正策を弁護士が徹底解説
社内調査を開始する前に決めておく事項
偽装請負の疑いを把握した場合、直ちにヒアリングを始めるのではなく、まず調査の目的、担当者、対象範囲及び情報管理の方法を定める必要があります。
(1) 調査目的の明確化
調査目的としては、主に次のものが考えられます。
・特定案件における偽装請負の可能性の確認
・顧客や行政機関への説明に備えた事実整理
・現場運用の是正要否の判断
・類似案件への調査拡大の要否の確認
目的が曖昧なままでは、必要な資料や質問事項を適切に定めることができません。
(2) 調査担当者の選定
調査は、法務、コンプライアンス、人事、内部監査、担当役員など、対象案件から一定の距離がある者を中心に行うことが望ましいです。営業担当者や管理責任者が問題となる運用に関与している場合、これらの者だけで調査を完結させることは避けるべきです。
(3) 調査対象の設定
次の事項をあらかじめ整理します。
・対象顧客及び案件
・対象契約及び調査期間
・対象となるエンジニア、管理責任者及び営業担当者
・元請、再委託先又は類似案件を含めるか
当初は対象案件に絞り、調査結果に応じて範囲を広げる方法が実務的です。
(4) 調査情報の管理
申告者の氏名や申告内容、ヒアリング結果の共有範囲は必要最小限に限定します。また、関係者による資料削除や口裏合わせを防止し、申告や調査協力を理由とする不利益な取扱いを行わないよう注意が必要です。
調査開始後、最初に保全・収集すべき資料
偽装請負の疑いについて社内調査を開始した場合、関係者へのヒアリングに先立ち、又はこれと並行して、関係資料を速やかに保全する必要があります。契約書だけでなく、実際の指示、勤怠管理、人員配置等が分かる資料を収集することが重要です。
(1) 契約関係資料の収集
まず、次の資料を確保します。
・基本契約書、個別契約書
・注文書、注文請書
・業務仕様書、見積書
・体制図、業務分担表
・再委託契約書
・スキルシート、要員提案書
契約名称だけでなく、業務内容、責任者、連絡経路、作業場所、作業時間、人員交代等の定めを確認します。
(2) 業務指示に関する資料の収集
現場の指示系統を確認するため、次の資料を収集します。
・メール、チャット履歴
・Jira、Backlog等のチケット履歴
・タスク一覧、日報、週報
・会議議事録
・作業手順書
・障害対応時の連絡記録
これらの資料から、誰が担当業務、優先順位、期限及び作業方法を決めていたかを確認します。
(3) 勤怠・人員管理に関する資料の収集
勤怠や人員配置の実態を確認するため、次の資料も必要です。
・勤怠記録、入退館記録
・休暇、遅刻、残業等の申請・承認記録
・シフト表、出社予定表
・顧客への勤怠報告
・要員交代、増減員、評価に関する連絡
形式上は自社が管理していても、実際には顧客の承認が必要であった可能性があるため、申請経路と実態を照合します。
(4) 電子データの保全
メールやチャットは、自動削除やアカウント削除により失われる可能性があります。そのため、保存設定を確認し、対象期間のデータを早期に確保します。
保全に当たっては、次の点に注意します。
・元データと更新履歴を残す
・取得日、取得者、取得元を記録する
・資料を上書き又は改変しない
・調査と無関係な個人情報まで収集しない
一つの資料だけで判断せず、契約書、チャット、勤怠記録、ヒアリング結果等を相互に照合することが重要です。
関係者に対するヒアリングの進め方
資料の保全・収集後は、関係者へのヒアリングを実施します。ヒアリングでは、偽装請負に該当するかという評価を回答者に求めるのではなく、誰が、いつ、どのような行為をしたかという具体的な事実関係を確認することが重要です。
(1) ヒアリングの実施順序
一般的には、次の順序で実施することが考えられます。
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①申告者又は問題の発見者 ②対象案件に従事するエンジニア ③自社の管理責任者 ④営業担当者 ⑤事業部門の責任者 ⑥必要に応じて顧客担当者 |
最初から顧客へ照会すると、自社内の事実関係が整理されていない状態で説明することになりかねません。まず社内資料と関係者の説明を確認し、不明点や説明が一致しない事項を整理した上で、必要な範囲に限って顧客へ確認することが適切です。
(2) 個別ヒアリングの実施
複数の関係者を同席させると、他の出席者に配慮して発言を控えたり、説明内容を相互に合わせたりする可能性があります。そのため、原則として個別にヒアリングを実施します。
ヒアリング対象者には、調査の目的、確認する事項、回答内容の取扱いを説明します。ただし、他の関係者の供述内容を必要以上に開示することは避けるべきです。
(3) 具体的な事実の確認
「顧客から指示を受けていましたか」といった抽象的な質問だけでは、回答者によって「指示」の意味が異なる可能性があります。次のような事情を具体的に確認します。
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・誰から連絡を受けたか ・いつ、どのような場面で連絡を受けたか ・メール、チャット、口頭等のいずれの方法であったか ・どの程度の頻度で行われていたか ・依頼を断り、変更し、又は自社へ確認することができたか ・例外的な対応か、日常的な運用であったか |
詳細については、後記「5.社内調査で確認すべき主要な事実」を参照してください。
(4) 資料を用いた確認
記憶だけに基づく説明には、時間の経過による曖昧さが生じることがあります。必要に応じて、メール、チャット、チケット、勤怠記録等を示し、具体的なやり取りや当時の認識を確認します。
もっとも、最初から資料の内容に沿った回答を誘導するのではなく、まず本人の記憶に基づく説明を求め、その後に資料との整合性を確認する方法が考えられます。
(5) 顧客への確認方法
顧客への確認が必要な場合には、責任追及を先行させず、実際の業務運用を確認するための質問として整理します。また、顧客へ連絡する前に、次の事項を社内で統一します。
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・確認する事実 ・顧客側の連絡窓口 ・自社側の説明担当者 ・事実確認中の事項と確認済みの事項 ・暫定的な運用変更を求めるか |
顧客への照会内容や回答も、後の事実認定に用いる可能性があるため、記録に残すことが重要です。
(6) ヒアリング記録の作成
ヒアリング記録には、少なくとも次の事項を記載します。
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・実施日時及び場所 ・出席者 ・質問事項及び回答内容 ・回答者が直接経験した事実か、他者から聞いた内容か ・関係資料との一致又は相違 ・追加確認が必要な事項 |
資料と供述が一致しない場合には、直ちに一方を虚偽と判断してはなりません。対象時期や場面の違い、記憶違い、認識の相違等を追加確認し、確認できた事実と確認できなかった事実を区別して整理します。
社内調査で確認すべき主要な事実
資料の収集及びヒアリングでは、契約書上の定めだけでなく、顧客、自社の管理責任者及びエンジニアが、現場で実際にどのような役割を果たしていたかを確認します。主な確認事項は、次のとおりです。
(1) 業務内容及び担当者の決定主体
まず、個々のエンジニアが担当する業務を誰が決定していたかを確認します。
・顧客がエンジニアに直接タスクを割り当てていたか
・自社の管理責任者が業務内容を整理して割り当てていたか
・顧客が作業の追加、変更又は中止を直接求めていたか
・自社側に顧客からの依頼を断り、又は変更する裁量があったか
顧客が委託業務に関する要望を伝えることと、個々のエンジニアに日常の作業を直接割り当てることとは、区別して確認する必要があります。
(2) 業務遂行方法に対する関与
次に、作業方法や作業順序を誰が決定していたかを確認します。
・顧客が具体的な作業手順を指定していたか
・顧客が日々の作業順序や優先順位を決めていたか
・作業方法を変更する際に顧客の承認が必要であったか
・自社の管理責任者が技術的判断や進行管理を行っていたか
仕様、成果、納期等に関する情報提供と、業務遂行方法に対する具体的な指示は、その名称ではなく、実際の内容に基づいて区別します。
(3) 勤怠管理の主体
エンジニアの勤務時間、休暇等を実質的に管理していた者を確認します。
・始業・終業時刻を誰が決めていたか
・休暇、遅刻及び早退を誰に申請していたか
・残業や休日出勤の要否を誰が判断していたか
・勤務場所や出社日を誰が決定していたか
・顧客への勤怠報告が情報共有にとどまっていたか
自社の勤怠システムを利用していても、実際には顧客の承認がなければ休暇や残業ができない運用であった場合には、形式上の申請経路だけでなく、実質的な決定主体を確認する必要があります。
(4) 人員配置及び評価の決定主体
エンジニアの選定、配置、交代及び評価についても確認します。
・顧客が特定のエンジニアを選定していたか
・担当業務の変更を誰が決定していたか
・顧客からの要請だけで要員交代が決まっていたか
・顧客がエンジニアを直接評価又は指導していたか
・最終的な配置や交代を自社が判断していたか
顧客から要望や苦情が寄せられること自体ではなく、その要望を受けて誰が人員配置や指導方法を決定したかが重要です。
(5) 管理責任者の実質的な機能
契約書や体制図に管理責任者が記載されていても、実際に管理業務を行っていなければ、契約上の体制と現場運用との間に乖離が生じます。
管理責任者については、次の役割を実際に果たしていたかを確認します。
・顧客からの業務依頼の受領
・エンジニアへの業務の割当て
・作業状況及び進捗の把握
・勤怠及び休暇の管理
・顧客との業務上の調整
・エンジニアからの相談への対応
管理責任者の関与の頻度や方法も確認し、名目上の設置にとどまっていなかったかを検討します。
(6) 契約内容と現場運用の一致
最後に、基本契約書、個別契約書、業務仕様書及び体制図に記載された内容と、実際の運用を照合します。
特に、次の点に相違がないかを確認します。
・契約上の業務範囲と実際の担当業務
・契約上の連絡経路と実際の指示経路
・契約上の管理責任者と実際の管理者
・契約上の勤怠管理方法と現場での取扱い
・契約上の人員配置権限と実際の決定方法
契約書に顧客が指揮命令を行わない旨が定められていても、実際の運用が異なれば、その条項だけで偽装請負のリスクを否定することはできません。個々の事情を切り離して判断せず、業務指示、勤怠管理、人員配置、評価及び管理責任者の関与を総合的に確認することが重要です。
IT業界において、どのような業務指示や現場運用が偽装請負の問題となり得るかについては、次の記事もご参照ください。
調査中に講じるべき暫定措置
偽装請負の疑いが生じた場合、調査結果が出るまで従前の運用をそのまま継続することは適切ではありません。問題となる可能性がある指示や管理を一時的に見直し、リスクの拡大を防ぐ必要があります。
ただし、暫定措置の段階で偽装請負に該当すると断定したり、関係者の責任を確定したりすることは避けるべきです。業務への影響を考慮しながら、必要な範囲で措置を講じます。
(1) 指示経路の一時的な見直し
顧客から個々のエンジニアへ直接指示が行われている場合には、業務依頼を自社の管理責任者へ集約します。
具体的には、次のような対応が考えられます。
・顧客からの依頼を自社の管理責任者が受領
・管理責任者による業務内容と優先順位の整理
・管理責任者からエンジニアへの業務割当て
・顧客とエンジニアの直接連絡を情報共有に限定
緊急障害への対応など、迅速な連絡が必要な場合には、例外となる場面や事後報告の方法をあらかじめ定めます。
(2) 勤怠管理の明確化
休暇、遅刻、早退、残業及び休日出勤については、自社が判断・管理することを改めて確認します。
・休暇等の申請先を自社に統一
・残業や休日出勤の必要性を自社が判断
・顧客への勤怠連絡を情報共有に限定
・顧客による勤務時間の直接変更を停止
顧客の業務予定を考慮することはあり得ますが、顧客の承認がなければ休暇等を取得できない運用は見直す必要があります。
(3) チャット・チケット運用の整理
Slack、Teams、Jira等についても、調査中の暫定ルールを設定します。
・顧客による担当者の直接指定を停止
・業務依頼用と情報共有用の経路を区別
・管理責任者を連絡先として明示
・依頼内容と対応経緯を記録
もっとも、既存の履歴を削除・修正してはなりません。従前の記録を保全した上で、変更時点以降の運用を改めます。
(4) 申告者及び関係者への配慮
申告や調査協力を理由として、配置、評価、契約更新等で不利益に取り扱うことは避ける必要があります。また、調査が未了の段階で、特定のエンジニア、管理責任者又は営業担当者を一方的に責任者と決めつけることも適切ではありません。
必要に応じて、一時的な担当変更、現場からの離脱又は顧客窓口の変更を検討しますが、その目的と期間を明確にします。
(5) 顧客への説明方針
顧客への説明が必要な場合には、事実確認中であることを前提に、暫定的な運用変更への協力を求めます。責任追及や法的評価を先行させず、誰が、どの内容を、どの窓口から説明するかを社内で統一することが重要です。
調査結果の整理と偽装請負リスクの評価
資料収集とヒアリングが終了した後は、確認できた事実を整理し、偽装請負に該当するリスクを評価します。評価に当たっては、契約書の名称や一部のやり取りだけで判断せず、業務指示、勤怠管理、人員配置等の実態を総合的に検討する必要があります。
(1) 事実・供述・法的評価の区別
調査結果は、次の3つに分けて整理します。
・メール、チャット、勤怠記録等から確認できる客観的事実
・エンジニア、管理責任者、営業担当者等の供述
・客観的事実と供述を前提とした法的評価
例えば、「顧客が毎朝エンジニアへ作業を割り当てていた」という事実と、「その運用が偽装請負に該当する可能性が高い」という評価は、区別して記載します。この区別が曖昧になると、調査担当者の推測が認定事実として扱われるおそれがあります。
(2) 説明が一致しない場合の検討
関係者の説明が一致しない場合には、一方の説明だけを採用せず、次の事情を確認します。
・供述が具体的かつ一貫しているか
・メールやチャット等の資料と整合するか
・対象となる時期や場面に違いがないか
・供述者に利害関係があるか
・他の関係者の説明によって裏付けられるか
説明の不一致が解消できない場合には、無理に事実を確定せず、認定できなかった事項として残すことも必要です。
(3) リスクの段階的評価
調査結果は、例えば次のように段階的に整理します。
①リスクが低い場合
顧客の関与が仕様、成果、納期等の確認にとどまり、自社が業務の割当て、勤怠管理及び人員配置を行っている場合
②一部に問題がある場合
一部の直接指示や顧客による勤怠への関与が認められるものの、自社の管理責任者が一定の管理を行っている場合
③リスクが高い場合
顧客が日常的に業務内容、作業方法、勤務時間、人員配置及び評価を決定し、自社の管理責任者が実質的に機能していない場合
もっとも、これらの区分は社内対応を検討するための整理であり、行政機関や裁判所の判断を確定するものではありません。評価に不確実性がある場合には、その理由と追加確認の必要性も併せて記録することが重要です。
社内調査報告書の作成と調査後の対応
社内調査の結果は、口頭報告だけで終わらせず、調査報告書として記録することが重要です。調査の経過、認定した事実、法的評価及び対応方針を文書化することで、経営判断の根拠を明確にし、顧客や行政機関から説明を求められた場合にも対応しやすくなります。
(1) 調査報告書の記載事項
調査報告書には、主に次の事項を記載します。
・調査の目的及び経緯
・調査担当者
・対象となる案件、契約及び期間
・確認した資料
・ヒアリングの対象者及び実施日
・認定した事実
・関係者の説明が一致しない事項
・認定できなかった事項
・偽装請負に関する法的評価
・調査中に講じた暫定措置
・是正措置及び再発防止策
・類似案件を追加調査する必要性
報告書では、客観的資料から確認できた事実、関係者の供述及び法的評価を区別して記載します。また、確認できなかった事項を推測によって補わず、調査上の限界として明示することも必要です
(2) リスクが低い場合の対応
偽装請負に該当するリスクが低いと評価した場合でも、その判断根拠を記録します。顧客からの連絡が指揮命令と誤解されやすい場合には、連絡方法や使用する表現を見直すことが考えられます。
主な対応としては、次のものがあります。
・指示及び連絡経路の再確認
・体制図や業務フローの更新
・現場関係者への注意喚起
・定期的な運用確認
(3) 一部に問題がある場合の対応
直接指示や勤怠管理への関与など、一部の運用に問題が認められた場合には、問題箇所を具体的に特定して是正します。
・顧客からの依頼を管理責任者へ集約
・勤怠及び休暇管理を自社に統一
・管理責任者の変更又は増員
・契約書、個別契約書及び体制図の修正
・顧客との運用ルールの文書化
・営業担当者及びエンジニアへの研修
契約書だけを修正しても、現場運用が変わらなければ問題は解消しません。是正後の運用が定着しているかを継続的に確認する必要があります。
(4) リスクが高い場合の対応
顧客が日常的に業務指示、勤怠管理、人員配置等を行っている場合には、問題となる運用の停止又は変更を速やかに検討します。
業務委託として適切な体制へ再構築できない場合には、適法な労働者派遣への切替えや、対象業務の終了も選択肢となります。また、同じ顧客の他案件や、同様の運用を行っている他の案件について、追加調査を行う必要があります。
調査後の対応は、特定の担当者の責任追及だけで終わらせず、契約、営業、現場管理及び社内教育を含めた仕組みの見直しにつなげることが重要です。
外部弁護士への相談を検討すべき場面
社内調査は自社のみで実施できる場合もありますが、問題の重大性や関係者の利害関係によっては、外部弁護士への相談を検討すべきです。
(1) 客観性の確保が必要な場合
次のような場合には、社内担当者だけで調査を進めると、調査の公正性や説明力に疑義が生じることがあります。
・経営陣や事業責任者が問題となる運用に関与
・営業部門と申告者との間に対立
・複数部門にまたがる責任関係
・社内担当者による事実認定が困難
(2) 法的リスクが高い場合
特に、次の事情がある場合には、早期の相談が望ましいです。
・顧客による直接指示が長期間又は複数案件で継続
・労働局等から照会や調査
・従業員又は退職者から具体的な申告
・顧客から契約解除や責任追及の可能性
・労働者派遣への切替えを含む取引見直しの必要性
外部弁護士には、調査計画の策定、ヒアリング事項の整理、法的評価、調査報告書の確認、顧客・行政機関への対応などを依頼できます。問題が表面化した後だけでなく、調査の初期段階から関与を求めることで、調査手続と対応方針の一貫性を確保しやすくなります。
リーガルブレスD法律事務所のサポート内容
偽装請負の疑いが生じた場合、契約書の記載だけで結論を出すことはできません。現場における業務指示、勤怠管理、人員配置、管理責任者の関与などを確認し、具体的な運用実態に基づいて評価する必要があります。
また、事実確認が不十分な段階で法令違反を認めたり、顧客や行政機関に対して断定的な回答をしたりすることは避けるべきです。他方で、資料の保全、問題となる運用の一時的な見直し、関係者へのヒアリングなどは、速やかに進める必要があります。
リーガルブレスD法律事務所では、SES事業者、システム開発事業者その他のIT事業者を対象に、偽装請負に関する法務支援を行っています。
主な対応内容は、次のとおりです。
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・社内調査の対象範囲、進行方法及び確認事項の整理 ・契約書、チャット、勤怠記録等を踏まえた法的評価 ・ヒアリング事項及び社内調査報告書の作成・確認 ・顧客、従業員、行政機関への説明・対応方針の検討 ・指示命令系統、勤怠管理、管理責任者等の運用改善 ・類似案件の確認及び再発防止体制の整備 |
常駐エンジニアから、顧客の直接指示を受けているとの申告があった場合、顧客や行政機関から問題を指摘された場合、又は現在のSES運用に問題がないか確認したい場合は、リーガルブレスD法律事務所までご相談ください。
ご相談内容やご希望に応じて、「法律相談サービス」「スポットサービス」「法律顧問サービス」をご利用いただけます。
(1) 法律相談サービス
SES事業者のエンジニアが顧客担当者と直接やり取りしている場合でも、その事実だけで直ちに偽装請負に該当するわけではありません。顧客から伝えられている内容、業務の割当て、作業方法の決定、勤怠管理、人員配置、自社の管理責任者の関与などを確認する必要があります。
また、従業員、顧客又は行政機関から偽装請負の可能性を指摘された場合、事実関係と法的評価が確定していない段階で、法令違反の有無について断定的な回答をせず、関係資料の保全、問題となる運用の一時的な見直し、関係者への確認など、必要な初動対応を進めることが重要です。
現在のSES運用に問題がないか確認したい場合や、偽装請負の疑いが生じた後の対応方針を整理したい場合には、法律相談サービスをご利用いただけます。
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ご相談内容例 |
・顧客担当者がエンジニアへ直接タスクを割り当てたり、作業の優先順位や方法を伝えたりしている運用について、偽装請負に該当する可能性を確認したい ・従業員又は退職者から、顧客による直接指示、残業・休暇の承認、業務評価等について申告を受けたことを踏まえ、社内調査の進め方を整理したい ・顧客又は労働局等からSES案件の運用について照会を受けたため、契約書、チャット、勤怠記録等をどのように確認し、回答すべきか相談したい |
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サポート内容例 |
・基本契約書、個別契約書、業務仕様書、体制図、実際の連絡方法等を確認し、顧客による業務依頼が必要な情報共有にとどまるのか、指揮命令と評価される可能性があるのかを整理します ・申告内容に応じて、保全すべき資料、ヒアリング対象者、質問事項、調査担当者、調査中に講じる暫定措置及び調査報告書の作成方針を整理します ・照会の対象となる案件、期間及び確認事項を整理し、契約書、チャット、勤怠記録等の確認範囲、回答前に確認すべき事実、顧客又は行政機関への回答方針を助言します |
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相談者が得られるメリット |
・現在のSES運用について、顧客との連絡が必要な情報共有にとどまるのか、指揮命令と評価される可能性があるのかを整理しやすくなる ・偽装請負の疑いを指摘された場合に、必要な初動対応と確認事項を検討しやすくなる ・契約書、チャット、チケット、勤怠記録、体制図等のうち、優先して保存・確認すべき資料を把握しやすくなる ・顧客、従業員又は行政機関に対する説明内容と、回答前に確認すべき事項を整理しやすくなる ・今後の案件運用に向けて、管理責任者、指示経路、勤怠管理、要員配置等の改善点を把握しやすくなる |
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弁護士費用 |
1回90分以内で15,000円(税別) |
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実施方法 |
①ご予約(お問い合わせフォーム又はお電話にて日程調整) ②事前準備(関係資料を共有いただきます) ③相談実施(オンライン又は対面) ④対応方針の提示(リスク診断、交渉方針などを具体的にご提示) ⑤アフターフォロー(ご希望内容に応じて別途契約の上、交渉代理や訴訟対応、継続支援へ移行) |
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(2) スポットサービス(法律相談以外のサービス)
偽装請負の疑いが生じた個別案件について、契約書、チャット、勤怠記録、ヒアリング結果等を確認し、具体的な法的評価、社内調査の実施支援又は書面作成まで依頼したい場合には、スポットサービスをご利用いただけます。
法律相談サービスが、相談時間内で問題点や対応の方向性を整理するものであるのに対し、スポットサービスでは、個別資料を精査した上で、社内調査報告書、顧客への回答書、運用改善に必要な文書等の作成・レビューまで対応します。
例えば、スポットサービスとして、次のようなご依頼に対応しています。
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・基本契約書、個別契約書、業務仕様書、チャット、チケット、勤怠記録等を確認し、対象案件における偽装請負の可能性及び法的リスクを整理 ・エンジニア、管理責任者、営業担当者等に対するヒアリング事項の作成、ヒアリングへの同席、調査結果の整理及び社内調査報告書の作成・レビュー ・顧客、従業員、退職者又は行政機関から指摘や照会を受けた場合の対応方針の検討及び回答書・説明書面の作成 ・問題となる直接指示、勤怠管理、人員配置等について、暫定措置、是正措置及び再発防止策を整理した改善計画書の作成・レビュー ・基本契約書、個別契約書、体制図、指示命令系統、チャット・チケット運用ルール、社内チェックリスト等の個別見直し |
ご依頼内容を簡単にお伺いした上で、確認する資料、実施する調査、作成する書面、対応範囲、納期及び費用を整理し、お見積書をご提示します。
偽装請負への該当可能性について資料に基づく具体的な検討をご希望の場合、社内調査の実施や調査報告書の作成をご希望の場合、顧客・行政機関への回答書作成又はSES契約・現場運用ルールの個別レビューをご希望の場合は、お問い合わせください。
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(3) 法律顧問サービス(顧問弁護士サービス)のご案内
SES事業における偽装請負の問題を防ぐためには、従業員や顧客から指摘を受けた後に対応するだけでなく、案件開始時の契約内容、指示命令系統、管理責任者の役割、勤怠管理及び日常の連絡方法を継続的に確認することが重要です。
リーガルブレスD法律事務所では、SES事業者、システム開発事業者、IT人材事業者その他のIT事業者を対象に、偽装請負の防止、SES契約、現場運用、社内調査及び顧客対応に関する継続的な法務支援を行っています。新たなSES案件を開始する場合や、複数の案件について日常的に相談できる体制を整えたい場合にご利用いただけます。
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ご依頼内容例 |
・新規のSES案件を開始するに当たり、契約書、業務内容、管理責任者及び顧客との連絡方法を継続的に確認できる体制を整えたい ・複数のSES案件について、顧客による直接指示、勤怠管理、要員交代、チャット・チケットの利用等に問題がないか定期的に見直したい ・従業員からの申告や顧客からの指摘があった場合に、資料保全、社内調査、暫定措置及び顧客への説明について継続的に相談したい |
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サポート内容例 |
・基本契約書、個別契約書、業務仕様書及び体制図を確認し、業務の範囲、管理責任者、指示・連絡経路、勤怠管理等について、案件開始前に整備すべき事項を助言します ・顧客からの依頼方法、タスクの割当て、勤怠及び休暇の管理、人員配置、評価、チャット・チケットの運用等を確認し、契約内容と実際の運用を整合させるための改善を支援します ・申告又は指摘の内容に応じて、保存すべき資料、ヒアリング対象者、暫定措置、調査報告書、顧客・従業員・行政機関への対応及び再発防止策を継続的に助言します |
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依頼者が得られるメリット |
・新規案件の開始前に、契約内容と予定する現場運用を確認し、偽装請負のリスクを整理しやすくなる ・管理責任者、指示経路、勤怠管理、要員配置等について、日常の疑問を継続的に相談しやすくなる ・案件の長期化や担当者の交代による運用の変化を把握し、契約と実態の乖離を修正しやすくなる ・従業員や顧客から指摘を受けた場合に、資料保全、事実確認及び説明対応を速やかに進めやすくなる ・契約書、現場管理、社内教育及び問題発生時の対応を継続的に見直し、SES事業に関する法務管理体制を整えやすくなる |
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実施方法 |
①お問い合わせ後、オンライン面談(30分程度、無料)を実施し、ご要望事項の聞き取りやプランの説明を行います ②ご提案書(見積書)の提示 ③顧問契約の締結 ④窓口の開設(専用メール、チャットの提供) ⑤サービス開始 ・日常的な対応(契約書レビュー、相談に即応(即日~数日以内対応可)) ・ミーティング(必要に応じて経営課題、法務リスクを総点検) ・追加支援(必要に応じて交渉代理、訴訟対応、研修実施などを提供) |
お問い合わせ
<2026年7月執筆>
※本記事は、執筆時点における一般的な法的整理を示すものであり、個別案件への適用は具体的な事情により異なります。