利用規約の作成方法とは?法的観点から正しい作成方法と注意するポイントを弁護士が解説!

【ご相談内容】

当社WEB上で新たなサービスを展開することになったため、利用規約の作成準備を進めています。作成に当たり、どのような点に注意すればよいでしょうか。

 

【回答】

利用規約とは、事業者がユーザに対してサービスを提供するに当たり、ユーザが当該サービスを利用するに際して遵守しなければならない事項を、事前に事業者が定めたルールのことをいいます。

法的な保護が及ぶルールになるという点では、契約書と同じ目的を持つものとなります。もっとも、利用規約の場合、定型性が高く当事者間の交渉による修正が予定されていないこと、利用規約に定められた内容に対して同意を得る方法が複数存在すること(契約書であれば署名押印に限定されていること)という点で、異なるところがあります。

ただ、上記のような相違点があるとはいえ、当事者間で遵守しなければならないルールを定めたものが利用規約である以上、契約書を作成する際の知識・ノウハウをそのまま導入すれば足ります。

本記事では、WEB上のサービスに対する利用規約を念頭に置き、サービスの種別を問わず共通して定められることが多い条項を最初に取り上げ、その後、「物販型」「役務提供型」「仲介型プラットフォーム」「閲覧者参加型プラットフォーム」「フリーミアム型」に分けて、各類型で特有となる条項のポイント解説を行います。

 

【解説】

1.サービスの種別を問わない共通条項

サービスの種別ごとで定めるべき利用規約の内容は異なってくるのですが、ルールである以上、共通して定められる事項があります。

代表的なものとしては次の5つがあります。

 

(1)登録審査

事業者がWEB上でサービス展開を行うに当たり、ユーザより、ユーザの氏名・住所・連絡先等を提供してもらうことで、過去に事業者とトラブルを起こしたことがある人物か、事業者とは直接的なトラブルはないものの同業他社との間でトラブルを起こしたことがある人物か、反社会的勢力に該当する人物であるか等の審査を行うことが多くなっています。

そして審査を通過した場合のみ、ユーザアカウントの開設を許諾し、IDとパスワードを発行することが通常です。

要は、事業者として、特定のユーザを排除したいと考えるのであれば、

・登録審査を行うこと

・登録審査の結果いかんによってはサービス利用が認められないこと

・登録審査の判断理由について説明する義務を負わないこと

等の規定を利用規約に設ける必要があります。

なお、登録審査を設けない場合であっても、サイトポリシーを公表するなどして一定の注意喚起を図りつつ、ユーザの利用状況によってはアクセス拒否等の事後措置を講じるという方法も考えられます。

 

(2)利用規約の変更

一度定めた利用規約は未来永劫に有効である、という訳ではありません。法律の改正があった場合はもちろんのこと、社会経済情勢の変動等によっては、サービス提供を維持するために利用規約の内容を変更する必要があります。

ただ、利用規約上、単に「いつでも変更できる」と定めているだけでは十分とは言えません。特に、2020年4月1日施行の改正民法では「定型約款」という概念が導入されたところ、利用規約はこの定型約款に該当する場合が多いと考えられます。そうすると、利用規約の変更については一定の法規制があることから、その規制内容に即した条項を定める必要があります。

なお、民法改正に伴う対応については、次の記事をご参照ください。

民法改正に伴う約款(利用規約、会員規則など)の見直しポイントについて、弁護士が解説!

 

(3)ユーザに対する利用停止処分

ユーザが事業活動を妨害したり、他のユーザに迷惑行為を働くなどした場合、事業者は何らかの対抗措置を講じることで、提供サービスの健全化を図ることになります。そこで、利用規約においては、

・利用停止措置を講じる事由を具体的に列挙すること

・該当した場合は利用停止処分等の制裁措置を講じること

を明記する必要があります。

さて、ユーザへの事前予告と抑制効果を狙うのであれば、具体的に個別列挙することが有用ですが、全ての迷惑行為を補足しきれず、利用規約上に抜け漏れが生じることもあり得ます。この場合に備えて包括条項・バスケット条項、要は「その他当社が不適当と認めた場合」といった抽象条項を設けておくことがポイントです。個別列挙した事由に該当しないがユーザ停止措置を講じる必要性がある場合、この包括条項・バスケット条項を用いて対処することになるからです。

加えて、有料サービスの場合、ユーザ利用停止措置に伴う費用の清算方法をどのようにルールづけるのかについても留意し、利用規約に定めておく必要があります。

 

(4)サービス提供の変更・停止・終了

事業者が展開するサービスには流行り廃りがあることはもちろん、法改正や社会経済情勢の変動等によって、サービス内容の大幅な変更や停止、場合によっては終了を余儀なくされることがあります。

サービスの変更・停止・終了に対して異議を唱えるユーザはあまりいないのですが、中には食って掛かるユーザも一部存在します。ユーザに予告し認識させるという観点から、

・事業者の裁量判断によりサービス提供の変更・停止・終了する場合があること

を利用規約上に定めておく必要があります。

なお、サービス内容の変更等の場合、利用規約の変更とは異なるため、上記(2)で記載した改正民法の適用外となることが通常です(但し、サービス内容を具体的に利用規約上定めていた場合、サービス内容の変更=利用規約の変更となる場合も想定されます)。したがって、サービス内容の変更については厳密なルールを定めないことが多いのですが、ユーザ満足の観点及び世間一般からの非難回避の観点からすると、一定の予告期間を置く緩和措置を講じる退会を希望する場合は清算措置を講じる等の運用面が重要なポイントとなります。

 

(5)準拠法・裁判管轄

WEB上でサービスを展開する場合、事業の意図を問わず、日本国内のみならず世界各国でサービスを提供することとなります。

世界各国にはそれぞれの法律が制定されているところ、日本法の考え方とは異なる内容も多く存在します。したがって、本来であれば、事業者としても世界各国の法律に精通しておくべきなのですが、実際のところそこまで対応することは不可能です。そこで、

・どの国の法律が適用されるのか明らかにするために準拠法に関する規定

を利用規約に設ける必要があります。

なお、準拠法に関する条項を定めても、一部の国ではそのような条項自体が無効となることもあるようです。しかし、定めておくに越したことはありません。

次に、何らかの紛争が生じ、協議による解決ができない場合、訴訟手続きによる解決を志向することになります。

この訴訟手続きを行う場合、全国各地にある裁判所の内、どの裁判所を利用するのかを決めておくのが裁判管轄の問題です。事業者としては遠方の裁判所で訴訟手続きが進行することは色々と具合が悪いので、

・事業者の最寄りの裁判所(具体的な裁判所名を記載)を唯一利用可能な裁判所

と定めておく必要があります。

なお、この裁判管轄についても、特にユーザが消費者の場合、日本の裁判所は制限解釈を行うことで、他の裁判所での訴訟手続きを有効とする事例も少なからず存在するのですが、やはり定めた置いたほうが無難です。

 

2.物販型で特に注意したい利用規約の内容

物販型とは、例えば、インターネット通販、情報商材のダウンロード販売などが典型例です。基本的には1回で取引が完了するものが多いのですが、最近では定期販売などいわゆるサブスクリプションを採用する継続的な取引も増加傾向となっています。

 

(1)商品の内容

物販型のWEBサービスの場合、事業者は商品を売りたい、ユーザは商品を買いたいという点で、両当事者とも「商品」が最大の関心事で一致しています。したがって、事業者は、

・商品の特徴・形態・寸法・品質・仕様・動作環境などの商品詳細情報

について、できる限り詳しく利用規約に定めておきたいところです。

もっとも、WEBサービス上で取り扱う商品が唯一無二のもの(例えば有名画家が描いた絵画など)であればともかく、複数の種類の商品を取扱い、日々取扱商品に変更が生じているといった場合、利用規約に商品詳細情報を記載することは現実的ではありません。この場合、利用規約では、「商品の特徴・形態・品質・仕様・動作環境などの商品詳細情報については商品紹介ページを参照」とだけ記載しておくだけでよいと考えられます。

一方、インターネットを介した販売であるが故に、どうしても伝えきれない商品情報があります。例えば商品の色彩について、ユーザが用いるモニターに依存するため、正確な色彩情報が伝えにくいのが実情です。このようなインターネットを通じた視覚情報だけでは風雨分となる事項については、注意喚起を図る意味でも利用規約に定めておくことが有用と考えられます。

なお、商品使用上の注意事項のうち、特に生命・身体に危険を及ぼすようなものについては利用規約ではなく、商品紹介ページに分かりやすく記載するべきです(利用規約に記載しただけでは分かりやすい表示とは言えず、製造物責任法の指示警告上の欠陥を指摘されるリスクがあるため)。また、いわゆる炎上対策の観点からは、だまし討ちにならないよう使用不適切な事例を商品紹介ページに記載しておくことも有用と考えられます。

 

(2)通常の商取引を想定して定めておくべき事項

ユーザからの発注の連絡を受けて事業者が受注の返信を行い、ユーザ宛に商品を発送し、ユーザより代金を支払ってもらう、というのが滞りなく取引が進む場合だと思われます。

ただ、当たり前のような取引の流れですが、法的に考えた場合、

・売買契約が成立したのはいつの時点とするのか

・商品引渡し時期はいつになるのか

・支払うべき金額はいくらか(商品代金以外に別途費用の負担はないか)

・代金等の支払い時期はいつか、決済方法に制限はあるのか

等々を検討しておく必要があります。

したがって、利用規約では例えば

・事業者が商品を発注した旨メールを送信した時点で契約成立とする

・商品は発注後1週間以内に配送する

・ユーザが代引きを選択した場合、商品代金以外に代引き手数料をユーザが負担する

・クレジットカード決済の場合はクレジットカード会社との契約による、代引きの場合は商品配送時に支払う

といった事項を定めておく必要があります。

なお、これらの事項は特定商取引法に基づく表示事項と重複する内容となります。時々、特定商取引法に基づく表示の内容と利用規約の内容に矛盾・齟齬がある事例を見かけますので、事業者においては注意したいところです。

 

(3)トラブル対応を想定して定めておくべき事項

色々と考えられるところですが、最低限定めておきたいと考えられる事項は次の4点となります。

・商品未着時の対応

・ユーザ都合によるキャンセルの可否(返品特約)

・契約不適合責任への対応

・ユーザからの損害賠償請求

なお、商品未着時の対応については、最近多くなりつつある“置き配”を巡ってトラブルになりがちですが、例えば、配送業者が配送済み扱いとしている以上、商品未着ではないことを明記するといった対応が必要です。また、ユーザ都合によるキャンセルについては認めたくないのであれば認めない旨定める必要があります(明記しない場合、役務提供契約の場合を除き、特定商取引法に基づく8日間の無条件返品が認められることになります)。さらに、契約不適合責任につき修補請求のみに留めたい(解約による返金対応は行わない)というのであれば、その旨明記する必要があります。最後にユーザからの損害賠償請求については、消費者契約法を意識しながら、不当な制限とならないよう定める必要があります(例えば、全部免責はNG、極端に低い損害賠償上限額を設定することもNGです)。

 

(4)定期購入・サブスクの留意点

上記2.の頭書にも記載した通り、最近では継続的な売買取引が多くなりつつありますが、トラブルも増加し、これを踏まえて2022年6月1日より改正特定商取引法が施行されたところです。

改正特定商取引法への対応については、次の別記事をご参照いただきたいのですが、利用規約という観点からは、

・ユーザからの中途解約に応じる場合のルール整備

が重要となります。一定期間は中途解約不可とするのか、中途解約には事前予告期間が必要なのか、違約金その他清算ルールはどのようにするのか等、最近の行政の取締状況や利用者動向を考慮しながら設定する必要があります。

2022年の特定商取引法(特商法)の改正点とは?

ネット通販における最終確認画面の重要性について、弁護士が解説!

 

3.役務提供型で特に注意したい利用規約の内容

役務提供型とは、例えば、オンラインゲーム、クラウド・SaaSサービスなどが代表例です。サービス提供期間中は利用可能という点で、ある程度の一定期間の継続的な取引を前提にしていることが多いと思われます。

 

(1)サービスの内容

役務提供型の場合、

・具体的にどのようなサービスが提供されるのか

・そのサービスによって実行・実現できることは何か

・そのサービスを利用するための条件は何か

・利用に際しての注意点は何か

・利用不可となる場面は何か(例えば、商用利用不可、ユーザによる転用不可、改造・改変等不可など)

につき、比較的詳細に利用規約に定めておくことが無難です。なぜなら、役務提供型の場合、あくまでも事業者が設定した条件下でしか利用することができず、ユーザによる自由使用が必然的に制限される点で、双方の認識齟齬・誤解が生まれやすいからです。

ちなみに、物販型でも記載した通り、複数の役務を取扱っている場合、利用規約にサービス内容を記載することは現実的ではありません。したがって、利用規約では、「役務(サービス)の詳細については役務(サービス)紹介ページを参照」とだけ記載しておくだけでよいと考えられます。

 

(2) 通常の商取引を想定して定めておくべき事項

これについては物販型とパラレルに検討すればよいと考えられます。具体的には、

・サービス提供(ライセンス)契約が成立したのはいつの時点とするのか

・サービス利用開始時期はいつになるのか

・支払うべき金額はいくらか(サービス利用料(ライセンス料)以外に別途費用の負担はないか)

・サービス利用料(ライセンス料)等の支払い時期はいつか

・決済方法に制限はあるのか

等につき、利用規約に定めておく必要があります。

 

(3) トラブル対応を想定して定めておくべき事項

これについても物販型とある程度パラレルに検討することができます。具体的には、

・サービスが利用できない(一時的にサービス提供が中断した場合を含む)場合の対応

・サービス提供開始前でのユーザ都合によるキャンセルの可否

・サービス対象となるコンテンツの不具合に起因する契約不適合責任への対応

・ユーザからの損害賠償対応

につき、利用規約に定めておく必要があります。

ところで、役務提供型の場合、さらに「将来的にサービス内容の変更があり得ること」について明確に定める必要があります。上記1.(4)でも触れましたが、役務提供型の場合、一定の利用期間を想定してサービス提供が行われるところ、法改正や社会経済情勢の変動に応じたサービス内容の変更・廃止等は十分に想定されるからです。したがって、

・サービス内容の変更・廃止等につき、事業者の自由裁量により行うことが可能であること

を定めておく必要があります。

さらに付加して、役務提供型の場合、採算に合わない場合は早急に事業を中止すること、すなわちサービス終了という経営判断を行わなければならない場面が出てきます。この観点からすると、

・未来永劫サービスが提供されることへの非保証

・事業者の裁量によるサービス終了が可能であること

・サービス終了の場合の清算ルール

・サービス終了による損害賠償責任の否定

などを明確に利用規約に定めておくことが必須となります。

 

(4)中途解約ルールの整備

役務提供型の場合、一定のサービス提供期間を前提にした取引となることが通常です。

もっとも、一定期間を定めたとしても、サービス提供開始後にユーザの都合による中途解約の申し出は必ず生じる現象となります。この場合

・契約期間を定めて中途解約不可とするのか

・一定の予告期間を設定することで中途解約可能とするのか

・何らかの条件(例えば違約金など)を付加して中途解約可能とするのか

など様々な方法が考えられるところ、事業者として都合の良い方法を選択の上、利用規約に定める必要があります。

なお、特定商取引法に定める特定継続的役務提供に該当する場合(例えば、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなど)、中途解約について法律上の規制が及ぶことになります。この場合、特定商取引法に則った中途解約ルールを利用規約に定める必要があること、注意が必要です。

4.仲介型プラットフォームで特に注意したい利用規約の内容

仲介型プラットフォームとは、モール、クラウドソーシング、スキルシェア等のマッチングサービスが代表的なものとなります。

プラットフォーマーはあくまでもマッチング機会の場を提供するにすぎず、ユーザ間のトラブルに干渉しない建付けがあるためか、事業者が負担する責任の度合いは低いと思われている節があります。そのため、近時参入する事業者が増加しているようです。

(1)サービス内容と法規制

仲介型プラットフォームの場合、

・ユーザが有するどのようなニーズを実現することが可能なのか

・誰と誰とのマッチング成立に尽力するのか

などの具体的なサービス内容を利用規約に明記することが必須となります。

ただ、このサービス内容を定める際、法律違反を問われる可能性がないか注意を要します。

例えば、不動産売買の仲介を行うであれば宅建業法に基づく許認可を、人材紹介(労働契約の仲介)であれば職業安定法に基づく許認可を、プラットフォーマーは取得す必要があります。また、法務・税務等の専門家と相談者を結びつけるのであれば、その専門家が弁護士・税理士等の必要な資格を有しているのかプラットフォーマーは確認する必要があり、この確認を怠ると弁護士法等違反として制裁を受けることがあります。さらに、アフィリエイト広告の仲介であれば、広告内容が薬機法などに違反する場合、広告主はもちろんのことプラットフォーマーも巻き添え的に法律違反を問われるリスクが生じます。

利用規約へのサービス内容の記載の仕方如何で、法律違反を問われかねないことから慎重に検証し、表現方法に細心の注意を払う必要があります。

 

(2)事業者の立ち位置の明確化

頭書でも記載した通り、仲介型プラットフォームサービスは、ユーザに対してマッチングの機会を提供するにすぎず、ユーザ間の取引には干渉しない、すなわち、

・マッチング後のユーザ間のトラブルに対して責任を負わないこと

が大前提になっています。

この点については、ユーザの認識不足や誤解もまだまだ多いことから、明確に利用規約に明記することが必要です。

もっとも、建前論を強調し、一切プラットフォーマーが責任を負わないとする点については批判が根強く、法解釈論としてもプラットフォーマーが責任を負う場面はあり得ると考えられているところです。特に、プラットフォーマーが特定ユーザにおける問題行動を認識していたにもかかわらず、何らの対策を講じなかった場合は責任を負う可能性が高いと考えられます。この点を考慮して、上記1.(3)でも解説しましたが、

・当該特定ユーザによるプラットフォームサービスの利用停止措置が可能であること

・利用停止による損害賠償責任は原則負担しないこと

・当該特定ユーザからの異議申立てに対する対応方針

などの対処法につき利用規約に定めておくといったことも検討に値します。

 

(3)お金に関する事項の整備

仲介型プラットフォームの利用規約を作成するに当たり、①事業者がユーザより利用料等をどのようにして徴収するのか、②ユーザ間のお金のやり取りにつき、事業者がどこまで関与するのか、の2つの視点を持てば分かりやすいかもしれません。

まず①ですが、多くの場合、ユーザ同士がマッチングした場合において、報酬を支払ってもらうユーザより、何らかの成果報酬を事業者は徴収するという形式をとることが多いようです。その場合、

・どのような条件を充足(成就)した場合に、どのタイミングで、いくら支払うのか

等を利用規約に定める必要があります。

次に②ですが、貴会の場を提供するだけ…を徹底するのであれば、ユーザ間の金銭支払いについて事業者は関知するべきではありません。したがって、利用規約上も、

・ユーザ間の支払いはユーザが責任をもって行うこと

・事業者はユーザ間の支払いにつき何らの保証及び補償を行わないこと

を定めておけば足ります。

しかし、近時はユーザ間での取引安全性を高めるべく、事業者がエスクロー決済を採用するなどして関与することが多くなってきているようです。この場合、資金決済法違反とならないよう注意しつつ、例えば、対価を徴収する側のユーザからは代理受領権限を事業者に付与してもらう対価を支払う側のユーザからは事業者指定口座に入金しないことにはサービスを受けることができない、といった事項を利用規約に定めておく必要があります。

 

(4)飛ばし行為への対応

仲介型プラットフォームを運営する上で、事業者にとって一番悩ましいのが“飛ばし”による報酬のとりっぱぐれです。要は、仲介事業者を通さずかつ仲介業者に知られることなくユーザが直接契約をしてしまうということです。

仲介成立をもって成果報酬を得ている事業者にとっては、報酬逃れであると同時に事業に対する妨害行為というべき事象であり、このような“飛ばし”については厳然と対処したいところです。そこで、例えば、“飛ばし”行為が発覚した場合、

・ユーザに対しるサービス停止(退会)処分

・みなし報酬及び違約金の支払い義務を課す

といった制裁措置を利用規約に定めて対処する必要があります。

 

5.ユーザ参加型プラットフォームで特に注意したい利用規約の内容

ユーザ参加型プラットフォームとは、掲示板、画像・動画投稿サイトなどが代表例ですが、ユーザによるコメント投稿機能が実装され、当該コメントが第三者に公開されるというものも包含してよいかもしれません。

ユーザ参加型プラットフォームの特徴は、不特定多数のユーザによる利用が想定されているため、事業者による監視の目が行き届きにくいところにあります。

 

(1)サービス内容とそれに対する利用ルールの整備

ユーザ参加型プラットフォームの場合、

・ユーザは何ができるのか(例:コメント投稿ができる)

・行ったことで何が生じるのか(例:投稿したコメントが公開される)

・これによりユーザは何か便益を受けるのか(例:サイト内ポイントを獲得し、一定ポイントをためることで景品と交換できる)

等の、サービス内容を利用規約に定めることが必要となります。

それにもまして、ユーザ参加型プラットフォームの場合重要となるのが、ユーザに対して利用ルールを開示すること、端的にはユーザに対して禁止事項を明記することが重要となります。なぜなら、頭書にも記載した通り、ユーザ参加型プラットフォームにおいては、どうしても事業者による監視・管理が不十分となりがちであり、ユーザによる無秩序な利用を放置してしまうと、たちまちプラットフォームが無法地帯化してしまうからです。

したがって、ユーザ参加型プラットフォームにおける利用規約では、

・ユーザに対して禁止する事項をなるべく具体的に列挙すること

・違反した場合に事業者が制裁措置を講じることができること

・制裁によりユーザに損害が発生しても原則事業者は免責されること

を定めることが必須となります。

 

(2)事業者の立ち位置

ユーザ参加型プラットフォームについても、仲介型プラットフォームと同じく、基本的にはユーザに機会の提供を行っているにすぎません。しかし、プラットフォーム上に蓄積されるコンテンツは事業者が制作するのではなく、ユーザが制作することになるため、事業者の監視の目が行き届きにくいという点で仲介型プラットフォームとは異なります。

したがって、ユーザによるプラットフォーム上での行動につき干渉しないことを原則としつつ、上記5.(1)でも記載した通り、例えば禁止事項に違反するユーザの行動に対しては処分を行う(投稿の削除・変更・修正やアカウント停止など)ことがあり得ることを利用規約に明記する必要があります。

一方で、事業者が24時間365日ユーザの行動を監視することなど不可能ですので、

・常時監視義務を負うわけではないこと

・禁止事項に違反するとしてユーザより申告・通報があったとしても一定の確認・検討期間を要すること

も利用規約に定めておきたいところです。

 

(3)ユーザの責務

ユーザに対し、プラットフォーム利用に際してのルールを制定し、禁止事項を定めて順守を促す利用規約を定めることは、典型的なユーザに対する責務を定めた条項となります。

これ以外にユーザの責務として

・事業運営に支障を来した場合、ユーザは事業者に対して損害賠償義務(又は違約金支払い義務)を負うこと

・プラットフォーム上でのユーザの行動により第三者の権利を侵害した場合、ユーザが直接第三者に損害賠償責任の履行を含む対応を行うこと(事業者が第三者より責任追及を受けないよう必要な処置を講じること)

・プラットフォーム上のコンテンツにつき、商用利用や転用を禁止すること

なども利用規約に定めておく必要があります。

なお、ユーザの責務に含めてよいか微妙なのですが、ユーザが制作に関与したプラットフォーム上のコンテンツにつき、事業者の都合で削除した場合やデータを消失させた場合に一切の異議を述べないこと、データのバックアップはユーザの責任と負担で行うことについても、利用規約で定めておくことが無難と考えられます。

 

(4)課金の仕方

ユーザ参加型プラットフォームの場合、原則無償で利用可能であることを前提に、一部サービスについては利用制限を設けるというのが通常です。その上で、より快適に、より便利にプラットフォームを利用したいと考えるユーザに対しては、有償プランを導入するよう促すといったビジネスモデルを構築しています。したがって、利用規約には

・有償となるサービスを列挙すること

・ユーザがどのような行動をとれば有償サービスを申し込んだことになるのか定めること

・有償サービスの金額、支払方法について定めること

が必要となります。

なお、これらの内容は利用規約に定めただけでは不十分であり、特定商取引法に基づく表示はもちろんのこと、有償サービス申込時の最終確認画面上にも表示が義務付けられていることに注意が必要です。

 

(5)権利の帰属

ユーザ参加型プラットフォームの場合、プラットフォーム上のコンテンツをユーザが制作するという側面が強い、逆に言えば事業者がコンテンツ制作に直接関与しないという特徴があります。

このため、プラットフォーム上のコンテンツに係る権利をどのように処理するのか予め利用規約に定める必要があります。パターンとしては、

・ユーザが制作したコンテンツに関する著作権は事業者に譲渡される、ユーザは著作者人格権を行使しない旨誓約させる

・ユーザが制作したコンテンツに関する著作権はユーザに帰属させつつ、事業者にライセンス(許諾期間、許諾地域、許諾対象者、許諾料、改変・翻案の可否など)を付与する

の2種類が考えられますが、いずれのパターンを採用するにせよ、利用規約に明確に定めておく必要があります。

 

6.フリーミアム型で特に注意したい利用規約の内容

フリーミアム型とはユーザに対して課金を行わず、ユーザ以外の第三者から何らかのサイト運営費・サイト維持費等を徴収することで、サービス展開を行うものをイメージしていただければと思います。

なお、ユーザが特定のサービスを利用するためには課金しなければならないというタイプについては、上記5.(4)を参照していただき、ここではユーザに一切課金しないものを念頭に解説します。

 

(1)サービス内容とそれに対する利用ルールの整備

無料で利用可能となると、なぜか利用の仕方が荒くなるユーザが一定数存在します。

他のユーザへの迷惑行為を抑止するためにも、上記5.(1)と同様に

・ユーザに対して禁止する事項をなるべく具体的に列挙すること

・違反した場合に事業者が制裁措置を講じることができること

・制裁によりユーザに損害が発生しても原則事業者は免責されること

を定めることが必須となります。

 

(2)個人情報その他プライバシー情報(行動履歴など)の取得と利活用

フリーミアム型の場合、ユーザから運営費等を徴収しない代わりに、事業者はユーザ以外の第三者から運営費等相当額を徴収することになります。

この第三者から運営費等相当額を徴収する一例としてあげられるのが、サイトに広告掲載するための広告費を第三者より徴収するという方法です。

ただ、近時は単にサイトに広告を掲載するだけでは広告主の満足を得られないことから、ユーザの興味や関心等を分析しその属性に応じたターゲティング広告を行う、ユーザの連絡先(メールアドレス、LINEなど)に対して直接会ポイントすることが可能であることを謳う運営事業者も増加してきています。

この場合、事業者は、個人情報保護法に定める個人情報に該当するユーザ情報を取得することもあれば、厳密には個人情報に含まれないユーザ情報であってもユーザのプライバシーに属する情報を取得することになります。

したがって、利用規約(あるいはプライバシーポリシー)には、個人情報保護法に従い、

・利用目的を明示する

・広告主等の第三者への開示すること

等の明記は必須となります。

また、近年の権利意識の向上を踏まえると、個人情報保護法による規制外だからといって、プライバシー情報を取得することにつき利用規約(あるいはプライバシーポリシー)に一切記載しないというのは考え物です。例えば、

・プライバシー情報としてどのような情報を取得するのか(例えば閲覧履歴や行動履歴など)

・プライバシー情報から個人の特定・識別が可能なのか

・どのような目的で利用するのか

・想定される利用形態はどのようなものなのか

・プライバシー情報が転々流通する可能性があるのか

等につき、権利意識の高いユーザの疑問に答えるような内容を利用規約(あるいはプライバシーポリシー)に定めておく必要があります。

 

(3)広告配信等への承諾

上記(2)と一部重複するのですが、ユーザは無償で利用できる代わりに、事業者か広告配信を受入れるという形式になるのが通常です。

したがって、利用規約には、

・広告配信を異議なく受け入れること

を明記する必要があります。

 

<2022年7月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

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