平成22年6月30日施行の改正育児介護休業法に対して、中小企業はどの様に対応するべきか?

平成22年6月30日施行の改正育児介護休業法に対して、中小企業はどの様に対応するべきか?

質問

 平成22年6月30日より、 改正育児介護休業法が施行されるとのことですが、中小企業は適用猶予があると聞いています。
 中小企業は、改正育児介護休業法に対して、どの様に対処していけばよいのでしょうか?
 
 

回答

 たしかに、一部制度については適用猶予とされています。
 しかし、平成24年6月30日より全面施行されることから、あまりのんびりする訳にはいかないようです。
 
 また、会社の大小を問わず、平成22年6月30により適用される制度も存在します。
 今回は、適用される制度について解説を行いたいと思います。

1.何が変わったのか?
 改正育児介護休業法は平成22年6月30日から施行されます。改正のポイントとしては4つあり、

 ① 子育て期間中の働き方の見直し
  (1日6時間の短期間勤務制度の導入義務、所定時間外労働の免除義務、子供の看護休暇制度の拡充)
 
 ② 父親も子育てができる働き方の実現
  (パパママ育休プラス、再度の育児休業取得、専業主婦(夫)の育児休業取得)
 
 ③ 仕事と介護の両立支援
  (介護のための短期休暇制度の創設)
 
 ④ 実効性の確保
 
とされています。
 
 ただ、企業(使用者)にとっては負担・コスト増に繋がる制度であり、この不景気の中、中小企業にとってはかなり厳しい改正内容と言わざるを得ません。
 
 このため、一定の範囲に属する中小企業は適用が平成24年6月30日より適用されるとされています。
 
 
2.適用猶予される中小企業とは?
 改正労働基準法の場合は、資本・出資金の要件と従業員の要件の2つを見る必要がありましたが、改正育児介護休業法については、資本・出資の要件がありません。
 
 要件は
  「常時100人以下の労働者を雇用する事業主」
の該当性であり、業種、資本金等を問わず適用が猶予されることとなります。
 
 
3.適用猶予となっても留意すべき事項は?
 適用猶予となる制度は、次の取消線で示された制度です(なお、④は国の紛争解決機関を設ける等の施策の話ですので割愛します)。
 
 ① 子育て期間中の働き方の見直し
  (1日6時間の短期間勤務制度の導入義務、所定時間外労働の免除義務、子供の看護休暇制度の拡充)
 
 ② 父親も子育てができる働き方の実現
  (パパママ育休プラス、再度の育児休業取得、専業主婦(夫)の育児休業取得)
 
 ③ 仕事と介護の両立支援
  (介護のための短期休暇制度の創設)
 
 結局、取消線以外の制度については平成22年6月30日より適用となります。
 以下、簡単な制度のポイントです。
 
(1)子供の看護休暇制度の拡充
 休暇の取得可能日数が、小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日になります【従来は子供人数に関係なく年5日】。
 
 従って、会社・事業主としては、子供の人数に応じて日数に変更が生じることを認識し、社内規程の整備を図る必要があります。


(2)パパママ育休プラス
 母(父)だけでなく父(母)も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2か月に達するまで(2か月分は父(母)のプラス分)に延長されます。
 
 但し、父の場合の育児休業期間の上限は1年間。母の場合は、産後休業期間と育児休業期間を合わせて1年間です【従来は1歳に達するまでの1年間】。
 
 従って、会社・事業主としては、期間延長があることを認識し社内規程の整備はもちろん、この間の人員配置を検討する必要が出てきます。

 
(3)再度の育児休業取得
 配偶者の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度の取得が可能となります【従来は取得不可】。
 
 従って、会社・事業主としては、再取得申請の可能性があることを認識し社内規程の整備はもちろん、この間の人員配置を検討する必要が出てきます。

 
(4)専業主婦(夫)の育児休業取得
 これは少し説明が必要になりますが、従来制度では、労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者からの育児休業申出を拒否できるという定め方になっていました。
 
 しかし、平成22年改正でこの制度を廃止し、専業主婦(夫)家庭の夫(妻)を含め、すべての労働者が育児休業を取得できるようになります。

 

 従って、従来の制度を運用していた会社・事業主は、労使協定の修正が必須となります。

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

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