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データ漏えい等の事故が起こったら~中小ベンダのための「初動・証拠・説明」実務チェック

データ漏えい、不正アクセス、誤送信、データ消失などのトラブルが発生したとき、早期に「誰に責任があるか」を確定しようとすると、かえって状況を悪化させることがあります。

初動対応で重要なのは、原因や過失の断定ではなく、被害拡大の防止、事実関係の整理、そして証拠の保全です。例えば、ログの上書きや関係者の発言の不統一は、後日の説明や交渉を困難にし、行政対応や取引先対応でも不利に働きます。適切な初動は、被害の範囲を正確に把握し、社外への説明を整合的に行い、損害賠償や契約上の責任が問題となる局面で判断材料を確保するための前提になります。

本記事では、トラブル発生後の初動で実施すべき事項と避けるべき対応を、実務の観点から整理します。

なお、データに対する法律上の取扱いや、損害賠償責任については次の記事をご参照ください。

 

法律上取扱い方法が決められている「情報」について、弁護士が解説!

受託者がデータを消失等させた場合の損害賠償問題について、弁護士が解説!

 

目次

まず確認するべきこと

データ取扱いに関するトラブルでは、原因や責任の検討に先立ち、まず「何が起きたのか」「どこまで影響が及ぶのか」を短時間で整理する必要があります。

事故類型ごとに確認すべき事項を押さえることで、被害拡大の防止、適切な社外説明、後日の交渉に必要な材料の確保につながります。

初動でのチェック項目は次の通りです。

【共通して最初に確認する事項】

・発生、検知の日時(いつから、いつ気付いたか)

・事故の種類(漏えい、消失、不正アクセス、誤送信、内部不正など)

・影響範囲(対象データ、件数、対象システム、対象顧客)

・進行中か否か(現在も漏えい又は侵害が継続している可能性)

・証拠の所在(ログ、アクセス記録、チケット、作業履歴の有無)

【漏えい(外部に閲覧・取得される可能性)】

・第三者が閲覧可能だった状態の有無(公開設定、誤送信、共有リンク等)

・外部アクセスの痕跡(アクセスログ、ダウンロード履歴)

・漏えい対象の特定(個人データ、機密情報、認証情報等)

【滅失・毀損(消失・破損・上書き)】

・バックアップの有無、復旧可否、復旧見込み

・消失範囲(データ単位/テーブル単位/環境全体)

・復旧作業が証拠を上書きしないか(作業前の保存措置)

【不正アクセス/ランサムウェア】

・権限の不正利用の有無(アカウント乗っ取り、権限昇格)

・暗号化のみか、窃取(持ち出し)の兆候があるか

・侵入経路の仮説(脆弱性、認証情報漏えい、設定不備等)

【誤送信・誤公開】

・送信先/公開先、公開期間、閲覧者の特定可能性

・回収措置の実施状況(削除依頼、リンク無効化等)

・二次拡散の可能性(転送、キャッシュ、インデックス化等)

【内部不正(従業員・委託先要員)】

・対象者の権限やアクセス範囲、持ち出し手段(端末、外部媒体等)

・退職や異動等の事情、権限回収の状況

・ヒアリングや調査の手順(記録化、ログ保全、関係者の範囲)

 

上記は責任を「断定」するためではなく、初動の事実整理のための確認項目です。

確定していない事項は「調査中」として扱い、証拠保全と並行して影響範囲の特定を進めることが重要です。

現場がやりがちな「NG対応」と代替策

データ漏えい、不正アクセス、誤送信、データ消失などのトラブルでは、発生直後の素早い対応が、その後の説明や交渉の難易度を大きく左右します。もっとも、中小企業では専任担当や外部ベンダの確保が難しく、すぐすぐの対応ができないのが実情です。

重要なのは何時間以内に何をするといった区切りではなく、早期に優先順位を付け、できる範囲から順に実施することです。

以下では、現場で起こりやすい対応上の問題(NG対応)と、その代替策を整理します。

(1) 現場がやりがちなNG対応

・ログや設定の変更を先に行う(再起動、権限変更、ログ削除等)…原因特定や説明に必要な証拠が失われ、後日の立証が困難になります。

・原因や責任を断定して社外に説明する…後で事実が覆ると、信用失墜や追加の紛争要因になります。

・補償や過失の認定を先にしてしまう(全面的な謝罪、全額負担の約束等)…交渉の余地が狭まり、損害範囲が確定していない段階で負担が固定化します。

・社内や顧客対応の窓口が分散する(担当者ごとに説明が異なる)…説明の不一致が二次的なトラブルを招きます。

・影響範囲が不明なまま一斉通知を行う…不要な混乱や過大な不安を生じさせ、問い合わせ対応も逼迫します。

(2) 中小企業が講じたい代替策

一般的にWEB等で公開されている情報は、人的にも金銭的にも余裕のある大企業を念頭に置いたものが多く、中小企業が全てに対処することは困難と言わざるを得ません。

そこで、ここではあくまでも「最低限」という制約がつきますが、とりあえずやっておきたい初動内容につき解説します。

①体制と窓口の確立

・社内の責任者、連絡先を決め、対外窓口を一本化する(法務・情シス・営業が分かれて返答しない)

・外部の相談先(保守ベンダ、クラウド事業者、弁護士、フォレンジック等)への連絡ルートを確認する

②被害拡大の防止(封じ込め)

・侵害が継続している可能性があれば、アクセス遮断、アカウント停止、公開停止等を検討する

・なお、作業に入る前に、可能な範囲でログ等を保存し、作業記録を残すこと

③証拠保全と事実整理

・資料を保存する(アクセスログ、監査ログ、チケット、作業履歴、関係メール・チャット等)

・「いつ・誰が・何を見つけ・何をしたか」を時系列でメモ化する(確定事項と推測を分ける)

④社外説明は「確定事項+調査中」で統一する

・初期段階では断定を避け、「調査中」「確認できた範囲」を明確にする

・次回連絡の予定(例:×日中に続報)を示し、情報更新の設計を行う

個人データに関する事故が発生した場合の留意点 

個人データに関する事故(漏えい、不正アクセス、誤送信、滅失等)が起きた場合、初動では「責任の有無」よりも先に、個人情報保護委員会(PPC)への報告と本人への通知が必要となる事態かを見極める必要があります。

そこで、次のようなフローにて、現場運用することをお勧めします。

「個人データ」該当性を確認する

・対象が、個人情報(氏名、メール、会員ID等)に該当するか

・その個人情報のうち「個人データ」(個人情報データベース等を構成するもの)に該当するか

ここが不明確でも、次の以降は並行して確認します。)

「漏えい等(又はおそれ)」に当たるかを確認する

次に該当する場合は「漏えい等」に該当します。

・外部への流出だけでなく、第三者が閲覧可能な状態(設定ミスによる公開、共有リンク誤設定等)

・誤送信(添付ミス、宛先ミス)

・不正アクセス(アカウント乗っ取り、権限不正利用)

・滅失・毀損(復旧不能・改ざん等)

「確定」していなくても「おそれ」があれば対象になり得る点に注意します)

「本人の権利利益を害するおそれが大きい」類型に該当するか

個人情報保護委員会が例示する類型は次の通りです。

・要配慮個人情報が含まれる漏えい等

・財産的被害(不正利用等)が生じるおそれがある漏えい等

・不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等

1,000人を超える漏えい等(又はそのおそれ)

報告・通知の実行設計(「確定事項」と「調査中」を分ける)

・事故直後段階では事実関係が曖昧なので、社外説明を行う際は、(a)確定した事実(例:発覚日時、対象システム、暫定の影響範囲)、(b)調査中の事項(例:原因、件数の確定、外部流出の有無)を分けて整理する

・本人通知は「本人の権利利益を保護するために必要な範囲」で行う

 

上記フローに沿って、対象(個人データ)、事象(漏えい等/おそれ)、類型(おそれが大きいか)を仮判断しつつ、調査の進展に合わせて更新していくことが、過不足のない報告・通知と、後日の説明整合性の確保につながります。

営業秘密・機密情報の漏えい事故が発生した場合の留意点 

営業秘密や機密情報の漏えいが疑われる場合、対応の中心は「再拡散の防止」と「後日の紛争を見据えた立証準備」です(後の①~⑤を参照)。取引先との信頼関係、損害賠償、差止め等の局面で、事実関係と証拠の整備が不十分だと不利になりやすい点に注意が必要です。

なお、個人データ事故と異なり、行政機関に対する報告・通知義務は通常問題となりません。

①再拡散防止

漏えいの確度が高い場合は、原因究明と並行して、被害が広がる経路を早期に遮断します。

・アクセス遮断、権限回収(アカウント停止、共有フォルダ権限の見直し、退職者・委託先要員の権限停止)

・公開停止、共有リンク無効化(外部公開設定の解除、共有URLの再発行・失効)

・持ち出し経路の遮断(外部ストレージ、私物端末利用、メール転送設定等の確認と停止)

・関係者への周知(社内・委託先に対し、情報の再共有・再送付を禁じる指示を文書で残す)

②立証準備

営業秘密や機密情報の漏えいでは、後日「何が、誰に、どの程度漏れたのか」「管理が適切だったのか」が争点になりがちです。初動から証拠化を意識して整理します。

・ログ、証跡の保全(アクセスログ、ダウンロード履歴、権限変更履歴、操作履歴)

・対象情報の特定(ファイル名、格納場所、最終更新者、閲覧可能だった範囲)

・持ち出しの態様の確認(メール送信、USB等外部媒体、クラウド同期、スクリーンショット等)

・タイムライン作成(検知日時、実施した遮断措置、関係者の行動を時系列で記録)

・「事実/評価/推測」を分ける(断定が難しい事項は「調査中」として扱い、根拠を明確化)

③営業秘密該当性を見据えた整理

不正競争防止法上の「営業秘密」を主張する場合、平時の管理状況が問われます。事故後に慌てて整備しても意味がありません。

・秘密管理の実態(アクセス制限、権限付与の基準、ラベル表示、持ち出し禁止ルール)

・契約上の位置付け(NDA、委託契約の秘密保持条項、再委託条項、返還・削除条項)

・管理責任を負う主体(自社・委託先・再委託先の役割分担、監督義務の範囲)

④対外対応(取引先・委託先)で押さえるべき点

初動段階での対外説明は、責任よりも「事実・再発防止・協力範囲」を明確にすることが優先されます。

・窓口の一本化(法務・情シス・営業で説明が割れない体制)

・一次報は最小限かつ整合的に(確定事項と調査中を分ける)

・調査協力の確保(再委託先からログ・端末情報を取得できるよう、契約と実務を整合させる)

・再発防止策の提示(短期に実施できる措置と、中長期の改善計画を区分)

⑤法的手段の検討は「証拠」と「実効性」を基準に行う

差止め、返還・削除請求、警察相談等の選択肢はありますが、実務では証拠の有無と実効性が分岐点になります。

・持ち出し者、流通経路が特定できるか

・利用、開示の危険が継続しているか

・交渉(誓約書、返還・削除、監査受入れ)で止められるか

 

営業秘密・機密情報の漏えい対応では、再拡散防止と立証準備を同時に進め、後日の交渉・紛争対応に耐える「記録」を残すことが最重要です。これを前提に、関係者への説明と再発防止策を組み立てることで、損害と信用毀損の拡大を抑えやすくなります。

当事者の整理

データ漏えい等のトラブルでは、当事者が複数にまたがることが多く、「誰が誰に説明するか」と「誰に対して原因調査や責任確認を求めるか」を整理しないまま対応すると、説明の不一致や交渉の混乱を招きます。

典型的には、上流(顧客側)と下流(外部委託・クラウド側)が連なる構造になります。

(1) 関係者の整理

主な関係者は次の通りです。

・自社(提供者/受託者):サービス提供、開発・運用を担う主体

・委託元(自社の顧客):自社に委託し、対外的な説明責任を負うことが多い主体

・委託元の顧客(エンドユーザー等):委託元が説明・補償を求められ得る相手

・サブベンダ(再委託先):自社が一部業務を委託している開発・運用等の協力先

・クラウド等の基盤事業者:インフラ、配信、決済等を提供する外部サービス

(2) 関係者に合わせた説明ルール

・上流方向(委託元との関係)との関係では、損害、再発防止、説明責任の観点で追及を受けることを踏まえ、まずは原因調査の進捗、影響範囲、再発防止策の提示が重要となる

・下流方向(サブベンダ/クラウドとの関係)との関係では、原因が外部にある可能性を考慮しつつ、ログ提供、調査協力、契約上の責任範囲の確認を求めると共に、事実関係の確定に必要な情報(ログ、障害報告、設定履歴等)を早期に確保するよう要請する

 

このように、事故対応は「上流には説明を整える」「下流には調査協力と責任確認を行う」という二本立てで進めることが、社外説明の整合性と紛争化の抑制に直結します。

現場が混乱しないためのテンプレート 

いざデータ事故が発生した場合、現場は大混乱の中で対応を迫られることとなります。

上記までの解説を踏まえたテンプレートを用意しました。

(1) 初動時用の整理メモ

整理メモを作成しておくことで、社内の発言・文書・対外説明の一貫性が保たれ、相手方の要求に対しても、根拠と手順に基づく回答が可能になります。結果として、不要な認否や過大な約束を避けつつ、合理的な落としどころを形成しやすくなります。

①事案の概要(確定事項/調査中を分ける)

・発生/検知日時、対象システム、事故類型(漏えい・誤送信・滅失等)

・現時点の影響範囲(対象データ、件数、期間、対象顧客)

・進行中か否か、封じ込め措置の実施状況

②事実関係の根拠(証拠の所在)

・保存済みログ、アクセス記録、チケット、作業履歴、連絡記録

・外部ベンダ、クラウドから取得済み/未取得の情報

・タイムライン(誰が、いつ、何をしたか)の最新版

③相手方の主張・要求の棚卸し

・請求項目(事故対応費、逸失利益、第三者対応、返金・減額等)

・要求内容(謝罪、再発防止策の提示、監査報告、説明資料の提供等)

・期限、稟議事情(相手方が早期回答を求める背景)

④争点整理(不用意な認否を避けるための視点)

・因果関係(事故と損害がどこまで結び付くか)

・損害の範囲(直接損害か、間接損害・拡大損害か)

・相手方の損害軽減の状況(対応の相当性)

・契約条項(責任制限、免責、通知・協力条項)の適用関係

⑤交渉方針

・直ちに認める事項/保留する事項(調査完了後に判断する事項)

・金銭対応以外の提案余地(無償延長、追加対策、報告書提供等)

・合意条件(清算条項、秘密保持・非公表、再燃防止の取り決め)

(2) 証拠化するための整理メモ

データ漏えい等のトラブルでは、遅かれ早かれ、原因や過失の有無に関する議論がクローズアップされます。その際、当時の記録が不十分な場合、説明の整合性を失い、不利な推認を招きやすくなります。

初動から「証拠化」と「ドキュメント運用」を意識し、後日の交渉や裁判でも通用する形で記録を残すことが重要です。 

①残すべき記録

a)技術系の証拠

・アクセスログ、監査ログ、アラート履歴、認証ログ(IDIP・時刻)

・構成情報(環境、権限設定、ネットワーク設定、公開設定)

・変更履歴(デプロイ、設定変更、権限変更、パッチ適用)

・バックアップ状況と復旧手順(取得時刻、保管場所、復旧実施の記録)

b)運用・連絡系の証拠

・障害チケット、対応記録、作業メモ(担当者、時刻、実施内容)

・関係者の連絡記録(メール、チャット、会議議事録)

・対外説明資料(一次報、確報、Q&A、問い合わせ対応ログ)

②証拠を毀損しない運用上の注意

・ログ消去、再起動、設定変更など、証拠を上書きし得る作業は慎重に行う

・やむを得ず作業する場合は、作業前の保存(スナップショット等)と作業記録の作成をセットにする

・「誰が、いつ、何を、なぜしたか」を残し、後日追跡できる状態にする

③調査報告書・社内資料の作り方(後日の争点を見据える)

・事実/評価/推測を分けて記載する(断定できない事項は「調査中」と明示)

・根拠の所在を明記する(ログID、スクリーンショット、添付資料、参照先)

・更新履歴を残す(暫定版確報版で、どこが変わったかを追えるようにする)

④体制面(窓口と文書管理の一本化)

・取引先、当局、顧客への回答窓口を一本化し、説明の不一致を防ぐ

・証拠、資料は保存場所とアクセス権限を定め、改変、散逸を防止する

・外部ベンダから受領した資料(ログ、障害報告)は受領日時と受領経路も記録する

再発を防止するための契約書のポイント 

データ漏えい等のトラブルは、技術的な原因だけでなく、契約上の手当て不足により、被害が拡大したり、事故後の説明・交渉が困難になったりすることがあります。再発防止を実効性あるものにするためには、事故対応で得た教訓を、個別担当者の注意喚起に留めず、契約条項に落とし込むことが重要です。

(1) 委託元(自社の顧客)との契約に入れたい事項

事故時に「誰が何をするか」「どこまで協力するか」「いつ何を報告するか」を明記することで、説明の混乱と紛争化を防ぐことがポイントとなります。

①インシデント通知条項(一次報/確報の設計)

事故の発生や疑いがある場合に、委託元が早期に状況を把握し、社内対応や対外説明の準備を進められるようにすることを目的とした条項です。重要なのは、情報共有する姿勢を示すことで委託元の不安を解消すると共に、受託者にとって契約上やるべきラインを示して事故処理につき契約違反を問われないようにすることです。

(条項例)

1. 受託者は、受託者の管理するシステム又は取扱う情報に関し、漏えい等(漏えい、滅失、毀損を含む。以下同じ。)、不正アクセス、誤送信その他これらに類する事故又はそのおそれ(以下「インシデント」という。)を検知し、又は合理的に認識可能となった場合、委託元に対し速やかに通知する。

2. 前項の通知(一次報)には、可能な範囲で、検知日時、事象の概要、暫定の影響範囲、当面の封じ込め等の措置、次回の情報更新予定を含める。

3. 委託元への通知窓口は別紙又は本契約に定めるとおりとし、緊急時には当該窓口への電話その他合理的な方法により連絡する。

②調査協力・情報提供条項

委託元が懸念する「調査に必要な情報が出ない」「ログが消えている」「誰が何をしたか追えない」ことを解消することを目的とした条項です。重要なのは、受託者がなすべき内容を契約書に定めることで、委託元からの無理難題から逃れられるようにするという点です。

(条項例)

1. 受託者は、インシデントに関し、委託元から合理的に必要な範囲で要請があった場合、原因究明および影響範囲の特定のため、合理的な範囲で調査に協力し、アクセスログ、監査ログ、設定履歴、障害報告、作業記録その他受託者が保有する資料の提供に努める。

2. 受託者は、インシデントを検知し又は合理的に認識可能となった場合、可能な範囲で、ログその他の関連資料の保全(改変・消失の防止を含む。)を行い、対応に関する作業記録(日時、担当者、実施内容)を作成・保存する。

3. 受託者は、前項の目的のため、アクセスログ等を×月間保存する。ただし、保存が困難な場合は、委託元と協議のうえ代替措置を講じる。

(2) サブベンダ/基盤事業者との契約に入れたい事項

受託者の関心事は、サブベンダ及び基盤事業者より迅速かつ正確な情報を提供してもらえるかという点です。

したがって、上記(1)の委託元が受託者に求める内容と方向性は同じとなります。

なお、特に基盤事業者との関係では、契約内容の修正が難しい場合が想定されます。この場合、適したサポートプランを予め選定しておくなど現場運用で対処することになります。

①インシデントの通知に関する条項

1.乙(サブベンダ/基盤事業者)は、乙の提供する役務又は乙の管理する環境に関し、漏えい等(漏えい、滅失、毀損を含む。)、不正アクセス、マルウェア感染、誤設定による外部閲覧可能状態その他これらに類する事故又はそのおそれ(以下「インシデント」という。)を検知し、又は合理的に認識可能となった場合、甲(受託者)に対し速やかに通知する。

2. 前項の通知には、可能な範囲で、検知日時、事象概要、影響が疑われる範囲、当面措置、次回更新予定を含める。

3.通知窓口は別紙の連絡先とし、緊急時は電話その他合理的な手段で連絡する。

 

②調査協力・情報提供に関する条項

1.乙は、インシデントに関し甲から要請があった場合、原因究明及び影響範囲の特定のため、合理的な範囲で調査に協力し、乙が保有するアクセスログ、監査ログ、認証ログ、設定変更履歴、障害報告、作業記録その他関連資料を提供する。

2. 乙は、可能な範囲で、原因分析又はこれに準ずる報告(再発防止策を含む。)を甲に提供する。

3. 前各項の提供にあたり、乙の機密情報又は第三者情報が含まれる場合、乙は当該部分を秘匿又は要約するなどの代替措置を講じることができる。

 

③ログ保存・証拠保全に関する条項

1.乙は、前条の目的のため、アクセスログ等の関連ログを×か月間保存する。

2.乙は、インシデントを検知し又は合理的に認識可能となった場合、可能な範囲で、関連ログ及び資料の保全(改変・消失の防止を含む。)を行う。

3.乙は、保全・調査の過程で実施した作業について、日時、担当者、実施内容を記録し、合理的な範囲で甲に共有する。

 

④再委託先に関する条項

1.乙が本業務を再委託する場合、乙は事前に甲に通知し、再委託先に対し、本契約と同等のインシデント通知、調査協力、ログ保存及び秘密保持の義務を課す。

2.再委託先の行為は乙の行為とみなし、乙は本契約上の義務を負う。

弁護士によるデータ漏えい等のトラブル対応サポートサービス 

(1) データ漏えい等のトラブルを弁護士に相談・依頼するメリット

データ漏えい、不正アクセス、誤送信、データ消失などのトラブルでは、技術対応と並行して、取引先への説明、本人通知・当局対応の要否判断、損害賠償交渉などが短期間に集中します。この局面で、原因や責任を断定したり、根拠のない補償約束をしたりすると、後日の紛争化や損害拡大につながりかねません。

弁護士が早期から関与することで、証拠化・説明文面・交渉方針を整え、過大請求や監査要求への対応も含めて、合理的に収束させるための筋道を作りやすくなります。

【弁護士に相談・依頼するメリット】

対外説明(一次報・確報)の整合性を確保し、炎上・信用毀損を抑える

断定を避けつつ必要情報を網羅した文面と更新手順を整え、説明のブレを防ぎます。

損害賠償・契約解除・監査要求への対応を契約と証拠に基づき整理できる

因果関係・損害範囲・責任制限条項等を踏まえ、過大請求に流されない交渉設計を行います。

当局対応・本人通知の要否判断を誤らず、過不足のない対応を組み立てられる

事案類型に応じた判断フローで報告・通知の要否を整理し、後日の不作為リスクを下げます。

(2) 法律相談サービス

リーガルブレスD法律事務所では、これまでにお取引のない事業者様からのご相談を積極的に受け入れています。

早めのご相談であればあるほど、ダメージの少ない解決策をご提案することが可能です。

 

ご相談内容例

・取引先への一次報、確報(報告書、Q&Aを含む)を、断定表現や不要な責任認定を避けた内容に整えて説明したい

・取引先から求められたログ提出、第三者調査、監査要求、補償対応について、契約と実務に照らして応じる範囲を整理したい

・個人データが関係する可能性があるため、当局報告や本人通知の要否を判断し、適切な通知文面と手順を整備したい

サポート内容例

・事実関係(確定事項/調査中)を整理した上で、一次報・確報の文面、Q&A、説明資料の整合性を確認し、対外説明のブレを防ぐためのアドバイスを行います

・契約条項(責任制限、通知条項、協力義務、監査条項等)と証拠(ログ、対応記録)を踏まえ、提出・調査・補償の「応諾範囲」と「保留事項」を整理し、交渉方針および合意条件(清算・秘密保持等)の設計を提案します

・事案類型に応じた判断フローに基づき、当局報告・本人通知の要否を検討し、通知の対象、時期、記載事項、問い合わせ対応まで含めた実施手順を整理します

相談者が得られるメリット

・事故対応の初期段階から、確定事項と調査中の事項を整理し、対外説明(一次報・確報)の整合性を確保できる

・不要な責任認定や過大な補償約束を避け、契約条項と証拠に基づく交渉方針を設計できる

・ログ、作業記録等の証拠化を適切に進め、後日の紛争や監査要求に耐える資料を確保できる

・取引先からのログ提出、第三者調査、監査要求等について、応じる範囲と保留事項を明確化できる

・当局報告、本人通知が論点となる場合でも、過不足のない判断と文面及び手順の整備により、後日の不作為リスクを低減できる

・収束条件(清算条項、秘密保持・非公表、再発防止の位置付け等)を整理し、紛争化の予防と早期収束を図れる

弁護士費用

190分以内で15,000円(税別)

実施方法

①ご予約(お問い合わせフォーム又はお電話にて日程調整)

②事前準備(関係資料を共有いただきます)

③相談実施(オンライン又は対面)

④解決策提示(リスク診断、交渉方針などを具体的にご提示)

⑤アフターフォロー(ご希望内容に応じて別途契約の上、交渉代理や訴訟対応、継続支援へ移行)

 

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(3) その他サービス(法律相談以外のサービス)

リーガルブレスD法律事務所では、法律相談サービス以外にも様々なサービスをご提供しています。

ここではご提供可能なサービスの一例として、データトラブル終息伴走パックサービスをご案内します。

【データトラブル終息伴走パックサービス】

ご依頼内容例

データ漏えい等のトラブルについて、社外説明・交渉・通知・再発防止・監査対応を含め、終息までの進め方と着地点を設計し、対応を一貫して進めたい

サポート内容例

・事実整理(確定事項/調査中)と証拠化(ログ・作業記録)の方針を整理し、一次報から確報までの更新設計と対外説明の統一を行えるよう支援します

・取引先の要求(ログ提出、第三者調査、監査、補償等)を棚卸しし、契約条項と証拠に基づく応諾範囲・保留事項・合意条件(清算、秘密保持・非公表等)を設計します

・当局報告、本人通知が論点となる場合に、要否判断、文面整理、実施手順の整備を行います

・監査、質問票対応について、提出資料の線引き、回答方針、是正計画のまとめ方を整理し、一区切りまでの収束プロセスを設計します

依頼者が得られるメリット

・初動以降も対外説明の整合性を維持し、説明のブレによる信用毀損や紛争化を抑制することができる

・取引先からの過大要求に対して、契約と証拠に基づく線引きと着地点を設定し、合理的に収束させることができる

・収束合意、通知完了、再発防止提示、監査対応の一区切りまでを見通した工程管理により、長期化・再燃を予防することができる

弁護士費用

7万円(税別)/月~

 

(※)一定期間の関与が必要と考えられることから、月次運用を前提にしたご提案となります

(※)事案の難易度、ボリューム、予想される工数等により変動します。事前にお見積りをご提示します

実施方法

①オンラインヒアリング(30分程度、無料)を実施し、課題の抽出とご要望事項を確認します

②実施計画案とお見積りを提示します

③ご依頼者様にて検証して頂き、ご要望を踏まえて実施計画を確定させます

④実施計画に沿って、順次作業を進めていきます

 

お問い合わせフォームはこちら

(4) 法律顧問プラン(顧問弁護士サービス)のご案内

データ漏えい、不正アクセス、誤送信、データ消失等のトラブルは、発生してから対応体制を整えると、初動の遅れや説明の不一致が生じやすく、取引先との信頼関係や損害交渉に悪影響を及ぼします。とりわけ中小企業では、担当者が限られる中で、技術対応と並行して、通知文面の作成、契約条項の適用関係の整理、監査要求への対応、再発防止策の提示まで求められ、意思決定が難航しがちです。

顧問弁護士を置くことで、平時から対応方針とテンプレートを整備し、いざというときは初動から一貫した法的整理のもとで終息まで進める体制を構築できます。

 

ご依頼内容例

・インシデント発生時に備え、一次報・確報、Q&A、社内エスカレーション手順などの基本テンプレートを平時に整備したい

・委託元、サブベンダ、基盤事業者との契約について、通知、調査協力、証拠保全を中心に、最低限の条項を整えてリスクを下げたい

・トラブル発生時に、取引先からの過大要求(ログ提出、第三者調査、監査、補償等)に対して、契約と証拠に基づき合理的に対応したい

サポート内容例

・事故類型ごとの初動チェックリスト、一次報・確報の文面、Q&A、社内連絡フローを整備し、運用可能な形に落とし込む支援をします

・取引形態(受託開発、運用保守、SaaS等)に合わせて、通知条項、調査協力条項、ログ保存/証拠保全条項のミニマムセットを提示し、契約書への反映方法を提案します

・事実整理(確定事項/調査中)と証拠化(ログ・作業記録)を前提に、提出、調査、補償の応諾範囲と保留事項を整理し、交渉方針と合意条件(清算・秘密保持等)を提案します

依頼者が得られるメリット

・平時にテンプレートと手順を整備でき、トラブル発生時の初動を迅速化しやすくなります

・対外説明の整合性が確保され、説明のブレによる信用毀損や紛争化を抑えやすくなります

・契約条項に基づき対応範囲を線引きでき、過大要求に流されにくくなります

・ログ、記録の証拠化が進み、原因究明と影響範囲特定、後日の交渉の土台を確保できるようになります

・収束条件(清算条項、秘密保持・非公表、再発防止の位置付け等)を整理でき、早期終息を図りやすくなります

実施方法

①お問い合わせ後、オンライン面談(30分程度、無料)を実施し、ご要望事項の聞き取りやプランの説明を行います

②ご提案書(見積書)の提示

③顧問契約の締結

④窓口の開設(専用メール、チャットの提供)

⑤サービス開始

・日常的な対応(契約書レビュー、相談に即応(即日~数日以内対応可))

・ミーティング(必要に応じて経営課題、法務リスクを総点検)

・追加支援(必要に応じて交渉代理、訴訟対応、研修実施などを提供)

お問い合わせ

20262月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

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