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クラウド/SaaSを使う企業のためのソフトウェアライセンス契約ガイド~ライセンシーが押さえたい10のチェックポイント

クラウド型ソフトウェアサービス(いわゆるSaaS)を導入する場面では、「機能」と「料金」ばかりに目が行きがちです。ところが、申込ボタンを押す前にきちんと契約内容を確認しなかったために、「想定していない条項に縛られていた」「データを簡単には持ち出せなかった」「解約したいのに思うようにやめられなかった」といった相談が後を絶ちません。

クラウド型ソフトウェアサービスの契約は、1通の契約書だけで完結するものではなく、オンラインの利用規約、SLA(サービスレベル合意)、プライバシーポリシー、マニュアルや仕様書など、複数の文書が組み合わさって「契約の中身」を形づくっています。そのため、「どの文書が契約として効力を有するのか」「どこまでが自社の責任で、どこからが提供事業者の責任なのか」が分かりにくくなりがちです。

本記事では、クラウド型ソフトウェアサービスを利用する企業側(ライセンシー)の視点から、契約の文書構成、利用範囲、サービスレベル、データやセキュリティの扱い、料金・仕様変更・ベンダーロックイン、知的財産権、障害発生時の責任、契約終了時の出口戦略まで、実務で押さえておきたいポイントを整理します。自社でクラウドサービスを導入・見直しする際のチェックリストとしてご活用ください。

目次

文書群の整理 

クラウド型ソフトウェアサービスを導入する場合、紙の契約書に署名する場面よりも、「Web上の同意ボタンをクリックして申し込む」という形が多くなっています。

このとき、利用規約だけを「契約書」と考えてしまうと、重要な条項を見落とすおそれがあります。

(1) 利用規約だけが契約内容ではない

現場実務では、複数の文書がまとまって契約内容を構成していることが一般的です。

典型的には、次のような文書が関係します。

・利用規約(オンライン規約、約款)

・申込書、注文書、個別契約書

・サービスレベル合意(SLA

・プライバシーポリシーやデータ処理契約

・マニュアル、仕様書、サービス説明資料

クラウド型ソフトウェアサービスを導入する場合、関連する文書を一覧化し、契約内容として組み込まれる文書はどれなのかを把握しておくことが重要です。

(2)複数の文書の優劣を見極める

複数の文書がある場合、「どの文書が優先されるか」を確認する必要があります。

多くの契約では、例えば、次のような優先順位条項が置かれています。

・個別契約書が最も優先する

・利用規約よりSLAが優先する

・マニュアルが利用規約に優先する

仮に申込書の料金と、Web上の料金表が異なる場合、上記のような優先順位条項に従って解釈されることになります。

以上の通り、文書同士が矛盾する可能性があることを踏まえて、優先順位を把握することが重要です。

(3)契約内容が変更されうることに注意

クラウド型ソフトウェアライセンスの場合、オンラインの利用規約やSLAが更新され、その内容が自動的に契約に取り込まれる仕組みが採用されることがあります。

この場合、ライセンシーは、「いつ時点のどの文書が契約内容なのか」を意識しておくことが求められます。

ライセンス(利用許諾)の内容・範囲 

ソフトウェアライセンス契約では、「ここまでは使ってよい」という利用の範囲を契約で決めます。この範囲を超えて利用すると、契約違反となるだけでなく、場合によっては著作権侵害と評価されるおそれがあります。

ライセンシーとしては、少なくとも「誰が」「どこで」「どの程度」使えるのかを整理して確認することが重要です。

(1)人的範囲

多くの契約では、「利用者」「ユーザー」といった用語を用いて、利用できる人の範囲を定めています。

正社員だけなのか、契約社員や派遣社員も含むのか、業務委託先のメンバーも利用できるのか、親会社や子会社などグループ会社も対象に含めるのかは、サービスによって扱いが異なります。

なお、クラウド型ソフトウェアライセンスではID単位で課金されることが多いため、「IDの共有が禁止されているか」、「外部の委託先にIDを発行してよいか」といった点も確認する必要があります。

以上の通り、「ユーザー」「利用者」の定義に、自社の利用者像が含まれているかを確認することが重要です。

(2)地理的範囲

クラウド型ソフトウェアサービスはインターネットに接続できればどこからでも利用できますが、契約上は国や地域に関する制限が置かれている場合があります。

海外子会社やオフショア拠点で利用したい場合には、その利用が契約で認められているかを事前に確認する必要があります。

また、在宅勤務やサテライトオフィスからの利用について、社外からのアクセス方法や制限を別途定めているサービスもあります。

以上の通り、海外拠点や委託先での利用を予定している場合、その利用が許されているかを確認することが重要です。

(3)量的範囲

クラウド型ソフトウェアサービスでは、ユーザー数、同時接続数、保存容量、処理件数などに上限が設けられていることが通常です。そして、上限を超えた場合に自動的に追加料金が発生するのか、契約違反と扱われるのかは、契約や料金表の定めによって異なります。

以上の通り、申込書、利用規約、管理画面上のプラン説明などを合わせて確認し、どこまでが契約に基づく利用範囲なのかを明確にしておくことが必要です。

サービスレベルの合意(SLA 

クラウド型ソフトウェアサービスでは、「どの程度安定して使えるか」、「障害が起きたときどう対応してもらえるか」を、サービスレベル合意(SLA)として定めるのが通常です。なお、サービスレベル合意(SLA)とは、機能説明とは別に、運用上の約束事を整理したものとイメージしてください。

SLAでは、たとえば次のような点が定められます。

・稼働率(例:月間99.9%など)の目標値

・計画停止の時間帯と通知方法

・サポート窓口、受付時間、問い合わせ手段

・障害発生時の初動対応時間、復旧目標時間

・目標を下回った場合の対応(サービスクレジットなど)

 (1)稼働率とサポート時間

ライセンシーとしては、自社の業務への重要度と照らして、稼働率やサポート時間が十分かどうかを検討することが必要です。

なお、計画メンテナンスの頻度や時間帯が自社のピーク時間と重ならないか、夜間・休日の障害対応がどこまでカバーされているかも実務上大きなポイントになります。

(2)サービスクレジットと責任制限

SLA違反時に提供されるサービスクレジット(将来料金の割引)が「唯一の救済」とされていないか、損害賠償条項との関係をあわせて確認することが重要です。

データの帰属・利活用 

クラウド型ソフトウェアサービスでは、ソフトウェアそのものよりも、そこに蓄積される顧客情報や取引情報などの「データ」が大きな価値を持つ場合があります。

しかし、そのデータは提供事業者のサーバ上に保存されるため、「誰のものか」、「誰がどう使ってよいか」が曖昧になりがちです。

このため、ライセンシーとしては、契約書や利用規約でこの点を明確にしておくことが重要です。

(1)データの帰属

クラウド型ソフトウェアサービスでは、利用企業が登録したデータ、利用状況を示すログデータ、複数の利用者の情報をまとめた統計データなどが存在します。

そして、多くの契約では、利用企業が登録したデータは利用企業に帰属すると定められていますが、ログや統計データについては、提供事業者が自由に利用できるとされていることもよく見かけるところです。

以上の通り、どの種類のデータが誰に帰属し、提供事業者がどの範囲まで利用できるかを確認することが重要です。

(2)提供事業者によるデータの利活用

多くのクラウド型ソフトウェアサービスでは、「サービス改善のためにデータを分析する」といった条項が置かれています。また、機械学習などへの利用を認める規定が含まれている場合もあります。

ライセンシーとしては、個別の利用企業を特定できない形に加工するとされているか、第三者への提供を含むのか、利用目的がどこまで広く書かれているかを確認することが重要です。

(3)データの持ち出しの可否

ライセンシーは情報の漏洩防止の観点から、提供事業者がバックアップを含めてデータをどの程度の期間保存するのか、削除依頼に応じるのか、応じてもらえるとしてどのタイミング・範囲で可能なのか等は、確認する必要があります。

一方、ライセンシーは契約終了時に、データをダウンロードできるか、どの形式で出力されるか(CSVなど他システムで利用しやすい形か)、エクスポートに費用がかかるか、終了後どのくらいの期間利用できるか等も確認することが重要です。この点が曖昧な場合、実務上はデータを取り戻しにくくなり、結果としてベンダーロックインが生じることとなります。

セキュリティ・個人情報保護・再委託

クラウドサービスを利用すると、業務データや個人情報が提供事業者やその委託先のサーバに保存されます。

そのため、ソフトウェア自体の機能だけにとどまらず、データが「どのような体制で守られているか」、「誰までが取り扱うのか」を契約で確認しておくことが重要です。

(1)セキュリティ

多くの契約では「適切な安全管理措置をとる」といった抽象的な書き方にとどまっています。しかし、可能であれば、アクセス権限の管理、通信や保存時の暗号化、ログの保存期間、データセンターの入退室管理など、具体的な項目がどこまで約束されているかを確認したいところです。

そして確認した内容につき、パンフレットやホワイトペーパーだけでなく、契約書や付属文書にどこまで落とし込むことができるかが重要となります。

(2)個人情報の取扱い

クラウド上に顧客情報や従業員情報を保存する場合、提供事業者は法律上「委託先」にあたることが多いと考えられます。

そのため、ライセンシーは、個人情報保護法上求められる安全管理措置の確保、委託先の監督、第三者提供の制限などが契約でどのように整理されているかを確認する必要があります。また、提供事業者が自社の判断でデータを第三者に提供できるような条項がないか、国外のサーバで処理する場合に追加の条件や説明が求められるかなども検討が必要です。

(3)再委託

クラウド型ソフトウェアサービスでは、提供事業者がさらに別の事業者に処理を委託することが一般的です。

このとき、次のような点を契約で確認することが望ましいです。

・再委託先を自由に増やせるのか、事前承諾や通知が必要か

・再委託先の一覧や所在地(国・地域)が開示されるか

・再委託先に対して、提供事業者と同程度の義務を課しているか

・再委託先で事故が起きた場合どこまで責任を負うのか

また、インシデントが発生した場合の報告義務も重要です。

不正アクセスや情報漏洩が発生したときに、いつまでに、どのような内容を通知してもらえるか、調査や原因究明への協力をどこまで求められるかを整理しておくことが重要です。

料金・課金体系、自動更新、料金改定

クラウド型ソフトウェアサービスの契約では、機能だけでなく「いくらかかるのか」、「いつ・どう増えるのか」が大きな論点になります。特に、買い切りのパッケージと違い、継続課金が前提なので、導入時だけでなく数年利用した場合の総額まで意識する必要性が高いと考えられます。

(1)料金・課金体系

多くのサービスでは、基本料金に加え、ユーザー数や保存容量、処理件数などに応じて追加料金が発生します。

この内容が申込書、料金表、利用規約、管理画面の説明に分散していることが多いため、どの文書が契約上の根拠かを把握することが重要です。

特に、上限超過時に自動でプランが変更されるのか、追加料金で対応するのかは事前に把握しておく必要があります。

(2)自動更新

多くのクラウド契約は、期間満了時に何もしなければ自動で更新される仕組みになっています。更新を止めるには「満了日の日前までに解約を申し入れること」といった条件が置かれていることが多く、これを失念すると意図せずもう1期間継続することになります。

無料期間終了後に自動的に有償プランへ切り替わるケースもあるため、社内で満了日と解約期限を管理しておくことが重要です。

(3)料金改定

提供事業者が料金表を変更したときに、そのまま既存利用者にも適用できるか、更新時にのみ適用されるのか、契約期間中は据え置きかで実務上の影響が大きく変わります。

少なくとも、事前通知の有無と期間、値上げを受け入れない場合に解約やプラン変更で回避できるかどうかを確認しておく必要があります。

仕様変更・バージョンアップとベンダーロックイン

クラウドサービスでは、提供事業者側の判断で機能追加や仕様変更、バージョンアップが行われることが前提になっていることが通常です。その結果として、ライセンシーの業務フローや他システムとの連携に影響が出ることがあります。

また、そのサービスに依存する度合いが高くなるほど、他社サービスへの乗り換えが難しくなり、いわゆるベンダーロックインの状態になりやすくなります。

(1)仕様変更・バージョンアップ

多くの利用規約では、「提供事業者はいつでも本サービスの内容を変更できる」といった定めが置かれています。ここで確認したいのは、次のような点です。

・仕様変更、機能削除について、事前通知を行うかどうか

・重大な影響がある変更について、どの程度前に通知するか

・旧バージョンの併用期間や移行期間を設けるのか

通知もなく重要な機能が廃止されると、業務に大きな支障が生じるおそれがあります。特に、社内の基幹業務や他システムとの連携に深く組み込まれている場合には、変更内容を把握し、テストするための時間が必要になります。

以上の通り、ライセンシーは、契約上、一定期間前の通知や重大な変更についての協議の枠組みがあるかを確認しておくことが重要です。

(2)ベンダーロックイン

クラウドサービスを使い続けるうちに、データ形式やワークフローがそのサービス仕様に合わせて最適化されていくことがあります。

その結果、次のような要素が、他社サービスへの乗り換えを難しくします。

・独自形式のデータや設定情報

・他システムとの個別連携(API連携など)

・利用者の操作習熟や社内マニュアル

これ自体は違法なものではありませんが、契約内容次第では、仕様変更や値上げがあっても、実務上簡単には離れられない状態になりやすいです。

以上の通り、ライセンシーは、導入段階から「出口」の視点を持ち、データのエクスポート方法や他社サービスへの移行のしやすさを確認しておくことが重要です。

知的財産権・第三者権利侵害時の対応 

ソフトウェアライセンス契約では、「このソフトウェアの権利は誰にあるのか」と「第三者から権利侵害を主張されたときどう対応するのか」が重要な論点になります。

(1)知的財産権の帰属

多くの契約では、「本サービスおよびこれに関する知的財産権は提供事業者に帰属する」と定められています。したがって、利用企業は、権利そのものを取得するのではなく、「契約で定められた範囲で使う権利」を与えられるにとどまります。

なお、カスタマイズや個別開発を行った場合、その成果物の権利をどちらに帰属させるかについて、別途定めが置かれていることもあります。

上記の通り、ライセンシーは、自社独自の機能として利用したい場合、その可否や権利帰属について事前に確認しておくことが重要です。

(2)第三者権利侵害

たとえば、「そのソフトウェアは他人の著作権や特許権を侵害している」と第三者から主張された場合、提供事業者と利用企業のどちらがどこまで責任を負うのかを決める条項が「第三者権利侵害時の対応」条項です。

典型的には、提供事業者は次のような対応を取ると定められています。

・利用を継続できるようにソフトウェアを修正すること

・代替のサービスや機能を提供すること

・利用を中止し、未利用期間分の料金を返金すること

同時に、第三者からの請求に対する「補償(賠償)」をどこまで行うかも定められます。

この補償の範囲は、契約違反に関する損害賠償条項と同様、上限額の定めや、対象とする損害の範囲によって制限されていることが一般的です。

もっとも、注意が必要なのは、補償の対象外とされるケースです。多くの契約では、たとえば次のような場合を除外しています。

・利用企業が契約に反して改変、連携した結果として侵害が生じた場合

・提供事業者が想定していない利用方法や用途で使った結果として侵害が生じた場合

・提供事業者の指示にもかかわらず、旧バージョンを使い続けたことに起因する場合

また、補償を受けるための条件として、

・利用企業は、第三者からの請求を速やかに提供事業者へ通知すること

・提供事業者に防御や和解交渉の主導権を与えること

などが定められていることも多くあります。

上記の通り、ライセンシーが補償を受けられる条件は何かを確認しておくことが重要です。

(3)オープンソースソフトウェア(OSS)の取扱い

クラウドサービスやパッケージの内部でOSSが利用されている場合、ライセンス条件により、提供事業者の補償義務が限定されていることがあります。

契約書で「OSS部分については一切の責任を負わない」といった規定がないかどうかも確認しておくべきポイントです。

障害・損害賠償・責任制限 

クラウドサービスでは、どれだけ対策をしていても障害が起こる可能性があります。そのため、契約書や利用規約には、障害が発生したときに「提供事業者がどこまで責任を負うか」を定める条項が必ず定められています。

これが、損害賠償条項と責任制限条項です。

トラブルが生じた場面で効果を発揮するのがこの部分ですので、ライセンシーとして丁寧に確認する必要があります。

(1)損害賠償責任の上限額設定

多くの契約では、「提供事業者の責任は、直近●か月分の利用料金を上限とする」といった書き方がされています。この場合、大きな損害が発生しても、契約上請求できる金額はその範囲に限られるのが原則です。

ライセンシーは、基幹システムや顧客向けサービスに直結するクラウドを利用する場合、想定される損害の大きさと上限額のバランスを検討することが重要です。

(2)損害の対象範囲

典型的には、「間接損害」「特別損害」「逸失利益」などを賠償の対象外とする規定が置かれています。つまり、売上の減少や信用失墜などは、原則として請求できないという意味です。

ライセンシーは、どの種類の損害が切り捨てられているのかを把握し、自社として特に問題となる損害が完全に除外されていないかを確認することが大切です。

(3)SLAとの関係

SLAには、稼働率を下回った場合に「サービスクレジット(将来料金の割引)」を付与するという定めが置かれていることがあります。そして、契約によっては、「サービスクレジットが利用者の唯一の救済である」とされている場合があり、その場合は実質的に金銭賠償を求めることが難しくなります。

ライセンシーは、損害賠償条項とSLA条項をあわせて読み、サービスクレジットと損害賠償の関係を確認することが必要です。

(4)責任制限の例外の有無

提供事業者の故意や重過失による損害、重大な個人情報漏洩などについては、上限額の制限を外したり、別枠で対応する規定が置かれている場合もありますが、多くの場合では、このような規定は置かれていません。

ライセンシーは、一定の事象の場合は損害賠償責任の制限が除外されるよう交渉し、契約書に明記することが重要です。

契約終了・解約・サービス終了時 

クラウドサービスの契約では、「導入するとき」だけでなく「やめるとき」を最初から意識しておくことが重要です。

想定と違うサービスだった場合や別のサービスに乗り換えたい場合、あるいは提供事業者がサービスを終了する場合など、出口条件しだいで業務への影響とコストが大きく変わるからです。

(1)契約の終了方法

典型的には、契約期間満了で更新しない場合、利用者からの途中解約、提供事業者からの解約・利用停止、サービスそのものの終了というものがあり得ます。

ライセンシーは、契約書や利用規約ではこれらが別々の条文になっていることが多いことを意識し、それぞれどの条件で発生するかを確認することが重要です。

(2)中途解約

そもそも中途解約が認められているのか、認められているとして解約の申入れ期限がいつか、違約金や残期間分の料金支払義務があるかどうかを確認する必要があります。

なお、年間契約や複数年契約では、途中解約が実質的に認められていない条項も見られるため、自社の見直しサイクルと合うかどうかを検討する必要があります。

(3)提供事業者からの解約・サービス停止

料金の支払遅延や契約違反があった場合に、直ちに停止できるのか、是正の機会を与えたうえで停止するのかで、業務への影響が大きく変わります。

特に基幹系で使うサービスでは、軽微な行き違いで即時停止されるような内容になっていないかを慎重に見ておくことが重要です。

(4)サービス終了

事前に何か月前までに通知するとされているか、未利用期間分の料金を返金するか、データ移行の支援をどこまで行うかなどを確認することがポイントです。

通知期間が短いと、代替サービスの選定やデータ移行が間に合わないおそれがあることに注意を要します。

なお、契約終了後に残る義務、例えば、秘密保持義務やデータの削除義務、未払い料金の支払義務などは、契約終了後も一定期間続くことが通常です。一方で、提供事業者側は取得したデータをどのように取り扱うのか、ライセンシーからの削除要請に応じるのか等を確認することが重要です。

ソフトウェアライセンス契約に関する課題を弁護士に相談・依頼するメリット 

ここまで見てきたとおり、クラウド型ソフトウェアライセンス契約は、複数の文書が組み合わさり、専門的な用語も多く、ライセンシー側だけで全体像を把握することは容易ではありません。特に実務では、次のようなお悩みがよく見られます。

・ベンダーから提示された契約書・利用規約のどこに注意すべきか分からない

・リスクは感じるものの、どこまで修正を求めてよいのか判断できない

・営業部門や情報システム部門から「急いで契約したい」と言われ、十分に検討できない

・トラブルになったときに、どこまで請求できるのか不安がある

このような場面で、ソフトウェア・IT分野に明るい弁護士に相談・依頼することには、次のようなメリットがあります。

 

①リスクの整理と「優先順位付け」ができること

契約書、利用規約、SLAなどをまとめて確認し、どの条項にどのようなリスクがあるかを整理します。そのうえで、「必ず修正したい点」「状況によっては受け入れ可能な点」などを区別し、限られた時間でも検討すべきポイントを明確にします。

②現実的な修正案・落としどころの提示を受けられること

ベンダー側の事情や業界の慣行を踏まえて、受け入れられやすい修正案や代替案を提案します。一方的に不利な条件を受け入れるのではなく、交渉が破綻しない範囲でリスクを減らす方法を検討することができます。

③自社の「標準スタンス」や社内ルールを整備できること

個別案件の検討を通じて、自社としての最低限譲れないラインやチェック項目を整理することができます。これをベースに、営業部門・情報システム部門など社内共通のルールや説明資料を作り、今後の契約実務を効率化することができます。

④トラブル時の見通しと初動対応を準備できること

障害、データ漏洩、サービス終了などが起きた場合、どの条項を根拠にどのような主張ができるかを事前に把握できます。あらかじめ想定しておくことで、実際にトラブルが起きたときも、社内外への説明や交渉方針をスムーズに決めやすくなります。

⑤経営判断や社内説明の「裏付け」を得られること

契約条件のリスクや妥当性について、第三者である弁護士の見解を得ることで、経営層や関係部門への説明がしやすくなります。「なぜこの条件で契約するのか」、「どこまでが許容範囲なのか」を客観的な根拠とともに示すことができるため、社内の合意形成や稟議をスムーズに進めやすくなります。

リーガルブレスD法律事務所によるサポート内容 

リーガルブレスD法律事務所は、システム・アプリ開発、クラウドサービス、プラットフォーム、SESSIer など、ITビジネスに注力している法律事務所です。

年間100本以上のIT契約書の作成・審査、通算200社以上の顧問契約実績があり、ソフトウェアライセンス契約や利用規約、システム開発契約など、IT企業が日常的に直面する契約実務に深く関わってきました。そして、単に条文の形式だけを見るのではなく、「実際のビジネスの動き」と「業界の取引慣行」を踏まえて、ライセンシー側のリスクとメリットのバランスをとることを重視しています。

なお、代表弁護士は情報処理技術者の資格を保有し、AI・クラウド・個人情報管理などIT法務に関する書籍・論文の執筆実績があり、法改正や実務動向を踏まえたうえで、クラウドライセンス、サブスクリプション、データ利活用といったテーマにも対応しています。

(1)法律相談サービス

リーガルブレスD法律事務所では、これまでにお取引のない事業者様からのご相談を積極的に受け入れています。

早めのご相談であればあるほど、ダメージの少ない解決策をご提案することが可能です。

 

ご相談内容例

・契約書や利用規約の「どこを」「どの程度」修正、交渉すべきか教えてほしい

・料金、自動更新、値上げ条項、解約/終了条項が妥当か確認してほしい

・データの帰属、利活用、持ち出し(エクスポート条件)に関する疑問点に答えてほしい

・障害発生時の責任、損害賠償、責任制限条項のリスク評価を行ってほしい

・既にトラブルが発生しており、契約に基づきどこまで請求及び交渉できるかの見通しを教えてほしい

サポート内容例

・修正、交渉の優先順位付け(必ず修正したい点/交渉余地があれば修正したい点/受け入れてよい点の整理)のご提案

・料金、自動更新、値上げ条項や解約条項についての、具体的な見直し案のご提示

・データの帰属、利活用、エクスポート条件を踏まえた、ベンダーロックイン回避のための条項案の検討

・障害発生時の責任、損害賠償、責任制限条項についてのリスク評価のご説明

・既存トラブル案件における、証拠整理、主張立て、交渉方針の検討及び助言

相談者が得られるメリット

・契約書、利用規約、SLAなど、ばらばらの文書に散らばったリスクを「一覧」として把握できます

・「どの条項をどこまで交渉すべきか」が明確になり、限られた時間でもメリハリを付けた対応が可能となります

・ベンダー側の事情や業界慣行を踏まえた、現実的な落としどころを知ることができます

・経営層や関係部門に対し、「この条件で締結する理由」「リスクと対応策」を説明しやすくなります

・将来のサービス変更、値上げ、サービス終了などに備えた「出口戦略」を持てるようになります。

・トラブルが起きた場合でも、「どこまで回復可能か」「どこから先は割り切るべきか」の見通しを早い段階で持てるようになります

弁護士費用

190分以内で15,000円(税別)

実施方法

①ご予約(お問い合わせフォーム又はお電話にて日程調整)

②事前準備(関係資料を共有いただきます)

③相談実施(オンライン又は対面)

④解決策提示(リスク診断、交渉方針などを具体的にご提示)

⑤アフターフォロー(別途契約の上、交渉代理や訴訟対応、継続支援へ移行)

 

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(2)その他サービス(法律相談以外のサービス)

リーガルブレスD法律事務所では、法律相談サービス以外にも様々なサービスをご提供しています。

ここでは、ソフトウェアライセンス契約の事前チェックサービスをご案内します。 

■ソフトウェアライセンス契約の事前チェックサービス

ご依頼内容例

・新しく導入を検討しているクラウドサービスについて、「この契約書・利用規約・SLAをどこまで読みこむべきか/どこを見るべきか」を知りたい

・ベンダーから提示された条件で、「特にライセンシー側に不利になりやすいポイントがないか」を確認したい

サポート内容例

・対象となるクラウドサービスの「契約書」「利用規約」「SLA」「プライバシーポリシー」など関連文書一式のレビュー

・ライセンシー側にとって特に重要な条項(利用範囲、料金・更新、データ取扱い、責任制限など)を中心に、リスクと注意点をコメント付きで整理した簡易レポートの作成

依頼者が得られるメリット

・契約書、利用規約、SLAなど、複数の文書に分かれた条件を、「自社にとってのリスク・注意点」という形で把握できます

・導入可否や、どの条件なら受け入れられるかについて、法的観点からの整理された判断材料を得られます

・限られた時間の中でも、「ここだけは事前に確認・交渉しておくべきポイント」が明確になります

・導入後に「そんな条項があるとは思わなかった」となるリスクを減らし、思わぬコスト増やベンダーロックインを回避しやすくなります

・経営陣や関係部門に対して、「この条件で導入する理由」と「残るリスク」を説明しやすくなり、社内の合意形成がスムーズになります

弁護士費用

20万円(税別)~

※緊急度、難易度、ボリュームなどを考慮して見積書をご提示します

実施方法

①オンラインヒアリング(30分程度)を実施し、課題の抽出とご要望事項を確認します

②実施計画案とお見積りを提示します

③ご依頼者様にて検証して頂き、ご要望を踏まえて実施計画を確定させます

④実施計画に沿って、順次作業を進めていきます

 

お問い合わせはこちら

(3)法律顧問プラン(顧問弁護士サービス)のご案内

リーガルブレスD法律事務所では、ソフトウェアライセンスを受けるユーザーを取り巻く様々なリスクを事前に防止し、リスクが発現した場合は素早く除去することを目的とした、継続的な伴走支援サービスをご提供しています。

 

ご依頼内容例

・新しいクラウドサービスやツールを導入するたびに生じる、契約条件や運用ルールにつき事前に相談したい

・各部署(情シス、営業、経営企画など)との役割分担や、契約審査フローの整理を行いたい

・年に数回発生するベンダーとの細かい条文交渉について、「このケースはどこまで譲るべきか」等の相談にのってほしい

・法改正や実務動向(個人情報保護法・電気通信事業法・中小受託取引適正化法など)を踏まえたライセンス契約見直しの相談をしたい

サポート内容例

・新規案件ごとに発生するソフトウェアライセンス契約、クラウド利用規約の簡易チェック(一定件数まで月額顧問料内で対応)

・法務部門がない、少人数である企業向けに、契約審査フローや問い合わせ窓口の設計、改善のアドバイス

・自社プロダクトの規約・ライセンス条件の改定案のドラフト支援と、その社内説明資料の作成支援

・定期ミーティング(オンライン可)による、進行中の契約・サービス変更・トラブルの状況共有と優先順位付け

・年次、半期ごとの「契約・規約まわりの棚卸し」と、見直しが必要なポイントの洗い出し

利用者が得られるメリット

・案件ごとに一から説明する負担が減り、自社の事業や契約方針を理解した弁護士から継続的な助言を受けられます

・日常的な「ちょっと聞きたい」「この表現で大丈夫か」を気軽に相談でき、現場での判断ストレスを減らすことができます

・法改正や実務動向へのキャッチアップを任せられるため、自社だけでは気づきにくいリスクや見直しポイントを早期に把握できるようになります

・ベンダーとの交渉において、「自社の基本スタンス」が明確になり、担当者が自信を持って交渉できるようになります

・トラブルが発生したときも、これまでの契約経緯や背景を把握している弁護士がいることで、初動対応をスムーズに進められるようになります

・経営層や現場からの「この条件は本当に大丈夫か」という問いに対し、顧問弁護士の見解を前提に意思決定ができるようになります

実施方法

①お問い合わせ、オンライン面談(ご要望事項、プランの説明)

②顧問契約の締結

③窓口の開設(専用メール、チャットの提供)

④日常的な対応(契約書レビュー、相談に即応(即日~数日以内対応可))

⑤ミーティング(必要に応じて経営課題、法務リスクを総点検)

⑥追加支援(必要に応じて交渉代理、訴訟対応、研修実施などを提供)

 

 

202511月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

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