アジャイル開発とは?
アジャイル開発は、「小さく作って試す→学び→直す」を短いサイクルで繰り返し、途中の変更も前提にしながら成果を積み上げる開発の進め方です。代表例として「スクラム」があり、短い期間(スプリント)ごとに動くものを見せて合意し、優先順位を入れ替えながら前に進みます。
アジャイル開発の特徴は、固定仕様を前提とせず、発注側による素早い意思決定を行う体制が重要となります。このため、発注側で「プロダクトオーナー(PO)」を置き、機能の優先順位づけや受入れ判断を行う必要があります。
アジャイル開発で進める場合、発注側は、受託側に任せておけばシステム開発は進む(完成する)という意識を捨てる必要があります。そして、法的には、従来型のシステム開発(請負)と比較して、発注側はより厳格な協力義務が課されると考えられます。
アジャイル開発で押さえておきたい法律のポイント
上記1.で解説した通り、アジャイル開発は固定仕様がありません。
このため、アジャイル開発に関する法律問題を検討する場合、従来型のシステム開発(請負)とは異なる視点を持つ必要があります。
(1)契約の考え方
アジャイル開発は変更が前提です。このため、最初に仕様をすべて固めて「完成したらまとめて検収」という従来型のシステム開発(請負)の考え方とは相容れません。この前提を発注側が十分理解していない場合、思わぬトラブルに発展することもあり得ます。
したがって、アジャイル開発の契約では、
①スプリントごとの受け入れ(短い期間ごとに「何を出すか」「受入れ条件」を明確にし、出したものを確認して合意を重ねる契約形態とすること)
②時間ベース(作業時間に応じた報酬体系を念頭に準委任の契約形態とすること)
③バックログ管理(タスク一覧を作り、優先順位や変更の履歴を合意して残す運用モデルを前提にした契約形態とすること)
がポイントとなります。
(2)検収と報酬算定方法
上記(1)でも触れましたが、アジャイル開発の場合、原則的には「時間単価×作業時間」で報酬を算定することになります。もっとも、青天井になるリスクがありますので、予め上限額を定めておくことでリスク分担をする場合もあります。
なお、報酬を算定するにあたり、一部成果ベースを混ぜる場合、その範囲、受入れ条件(簡単な動作確認など)などを具体的に定めることが求められます。
また、バックログの並び替えや入替えの基準(いつ・誰が・どう決めるか)と連動して、費用や納期に影響が生じることを見込んだ取り決めを行うことが重要となります。
(3)権利帰属
これについては、基本的には従来型のシステム開発と考え方は同じです。すなわち…
・成果物の権利の帰属(どちらに帰属させるか、再利用は可能か、第三者へライセンス提供できるのか等を明確にすること)
・オープンソース等の第三者サービスの処理(発注側が想定する利用目的に適うライセンスが発行されていることの保証、ソースコードの開示など利用するライセンスの義務に従うこと等を明確にすること)
がポイントとなります。
なお、アジャイル開発の場合、複数の試作品が生まれては消えることになることが多いところ、この試作品に対する権利は誰に帰属するのかを規定しておくことも検討に値します。
(4)業務体制とコミュニケーション
発注側が受託側に属する個々のエンジニアに対して、日常的に直接業務指示や勤怠管理を行うと、違法な労働者派遣とみなされるおそれがあります(偽装請負)。アジャイル開発は、発注側と受託側が、いわば一つのチームになって緊密な関係を構築することが想定されているため、知らない間に偽装請負状態となっていた…ということが頻繁に起こり得ますので注意が必要です。
なお、システム開発の現場は、多重下請構造になっている場合が多いという実情があります。このため、発注側が直接の受託側を飛び越えて、再委託先に属するエンジニアに直接指示を出していた…といった言い逃れしようがない偽装請負事例も存在しますので、業務体制には注意を払いたいところです。
(5)下請法(中小受託取引適正化法)への対応
従来型のシステム開発かアジャイル開発かを問わず、情報成果物の制作委託は、下請法(2026年より中小受託取引適正化法)の対象取引となります。
発注側は法令に従った書面の発行義務があること、一方的な減額や買いたたきはNGであること等を押さえておく必要があります。
なお、アジャイル開発の場合、短いサイクルに区切って開発を進めていくため、遅延状態といえるのか判別がつきにくい場合があります。現場運用として、スプリント単位の合意と記録を残しておくことをお勧めします。
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偽装請負とは何か
(1)偽装請負の意義
契約書上は「請負(または業務委託、準委任)」と定めているものの、実際には発注側(ユーザ)が受託側(ベンダ)の人員に対して、直接、日々の仕事の指示(指揮命令)を出して動かしている状態を指します。
そもそも、直接、日々の仕事の指示(指揮命令)を出せるのは、労働者と労働契約を締結した雇用主だけというのが法律上の大原則です。そして、唯一例外として認められているのが派遣事業です(雇用主ではない派遣先が派遣労働者に対して指揮命令を行うことができます)。ただ、派遣事業は許可制であり、派遣元が適切な許可を取得していることを前提に、派遣元と派遣先は労働者派遣法に基づく厳格な規制を遵守する必要があります。
ところが、システム開発の現場では、派遣元となりうる受託側が派遣業の許可を取得していません。また、派遣元となる受託側と派遣先となる発注側は、それぞれ労働者派遣法に基づく厳格な規制を遵守できていません。
この結果、発注側(ユーザ)が受託側(ベンダ)の人員に対して、直接、日々の仕事の指示(指揮命令)を出すことは労働者派遣法違反となります。この違法状態のことを偽装請負と呼んでいます。
(2)偽装請負となった場合のペナルティ
上記(1)で解説した通り、偽装請負は労働者派遣法違反となりますので、刑事罰を受ける可能性が生じます。
また、労働者派遣法には「労働契約申込みみなし制度」と呼ばれる制度が設けられています。これは、違法な派遣(偽装請負を含む派遣の実態があるケース)を受け入れた時点で、受入先(ユーザ)がその人(ベンダ側の人員)に対して労働契約を申し込んだとみなされる制度です。この制度が適用される場合、受託側は貴重な人員を手放さざるを得なくなりますし、一方発注側は過剰な人員を抱え込むことになり、双方ダメージを受けることになります。
さらに、監督官庁が、労働者派遣法に違反した事業者であるとして、事業者名を公表する場合があります。公表された場合、レピュテーションの毀損は避けて通れなくなります。
(3)偽装請負か否かの基準
偽装請負を回避する最も効果的な対策は、発注側(ユーザ)は受託側(ベンダ)の人員に対して何も指図しないことになります。
ただ、これでは、発注側は希望を伝えることができませんし、受託側も何を制作すればよいのか分からず、システム制作業務を履行することが困難となります。
結局のところは、「仕事の指示・指図」は程度問題であり、一定のラインを超える仕事の指示・指図は違法ということになるのですが、現場実務で悩ましいのは、このライン設定を一義的に確定できないという点です。
この点、厚生労働省は
・労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準
・「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37 号告示)に関する疑義応答集
・「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37 号告示)に関する疑義応答集(第2集)
・「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37 号告示)に関する疑義応答集(第3集)
という4つの資料を公表し、ライン(基準)の明確化を図ろうとしています。
(参考)
厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」
実際のところ、上記資料を熟読しても判然としないところが複数出てくるのですが、分かりやすさ重視で整理すると、次のようなライン(基準)が浮かび上がってきます。
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①指示の出し方 発注側が、受託先の個々のメンバーに対して、仕事内容や進め方、優先順位、やり直しの指示を直接出しているか。出していれば「偽装請負」と見られやすい。
②人・時間の管理 出退勤や休暇、残業の可否などを発注側が直接管理していないか。こうした管理を発注側が行うと、「偽装請負」と見られやすい。
③責任の持ち方 請負は「仕事の完成」に対する責任(成果に対する責任)を受託側が負う。反対に、発注側の細かい指示どおりに受託側が労務の提供を行っているに留まり、受託側に成果に対する責任を負わせないのであれば「偽装請負」と見られやすい。
④さらに別会社へ振る「二重派遣」の有無 受入れた人材を別会社に回して指揮を受けさせるのは二重派遣で法律違反となり、偽装請負に該当する。 |
なお、厚生労働省が公表している資料のうち、『「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37 号告示)に関する疑義応答集(第3集)』は、実はアジャイル開発を念頭に置いた疑義応答集となります。
ただ、この疑義応答集に記載されているアジャイル開発は、現場実務でアジャイル開発と呼んでいるものよりも、かなり狭い範囲のものを指すようです(詳しくは後述4.(3)参照)。
したがって、疑義応答集がある以上、アジャイル開発であれば偽装請負に該当しないと勘違いしてはいけません。
また、疑義応答集を踏まえても、例えば
・発注側のプロダクトオーナーやマネージャーが、受託先メンバー個々人に毎朝の会議でタスクを割り振り、細かく指示・指導する。
・発注側が受託先メンバーの勤怠(出退勤・残業)を直接管理する。
・作業の手順、道具、レビュー方法を発注側が日常的に細かく指定し、受託側の責任者を通さず直接やり取りする。
といった現場運用は、偽装請負と判断されますので注意を要します。
(4)偽装請負と指摘されないための回避策
一番確実なのは、受託側が労働者派遣法に基づく許可を取得し、受託側人員を派遣労働者として発注側に派遣することになります。
ただ、近年、監督官庁の方針もあり、派遣業の許可を取ることが相当困難となっていることから、現実的な回避策として機能しないというのが実情です。
派遣業の許可を取ることなく、受託側と発注側との間で請負又は準委任契約で進める場合、
・指示は受託側の責任者に一本化する(個々のエンジニアに直接あれこれ言わない)。
・成果物、役割分担を仕様や受け入れ条件で明確化し、進め方の最終判断は受託側が行う。
・作業場所、時間、手順、ツールなどの日々の決めごとは原則、受託側が決める。
といった現場運用を徹底することが重要となります。
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アジャイル開発は偽装請負に該当する可能性が高い?
(1)なぜアジャイル開発は疑われやすいのか
アジャイル開発は、受託側に属するエンジニアと発注側の担当者との関係がどうしても緊密化します。特に、次のような業務体制の特性から、偽装請負のグレーゾーン問題を避けて通ることができません。
①会議・チャットが多く、つい「直接指示」になりやすい
デイリーやレビューで、発注側が個々の担当者へ「今日やること」「やり直し」を直接言ってしまうことがあります。
ただ、これは発注側が受託側の人員に業務の進め方や労働時間を直接指示していると評価される可能性が高くなります。
②バックログ更新=日々の細かな段取りの話になりやすい
バックログの優先順位を詰めるうちに、順番・緩急・手順まで発注側が日常的に細かく指定してしまうことがあります。
この場合、「どのような手順で制作するのか」を発注側が決めていると評価される可能性が高くなります。
③仕様が変わりやすく、受け入れ基準が曖昧になりがち
変更が前提なので、「何をもって良しとするか(受入れ基準)」を十分に詰めていないと、成果責任で業務の完了を判断できなくなることがあります
この結果、単なる労務の提供ではないかと判断される可能性が高くなります。
④同じ場所・同じツールで働き、勤怠まで口を出しやすい
発注側の端末やVPN、チャットに常駐した場合、出退勤や残業の可否まで発注側が直接管理しがちになります。
こうなると、実質的な雇用管理は発注側が行っていると評価される可能性が高くなります。
(2)アジャイル開発で偽装請負と言われないための対策
上記(1)で記載した現象を回避するよう努めることはもちろんですが、積極的に次の事項を意識することが重要です。
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①指示の窓口を一元化 発注側はPOの意思決定(何を優先するか・受け入れ可否)に専念する。 具体的な割付や進め方は受託側の責任者(スクラムマスター等)に任せ、個々人とは直接会話しない。
②イベントの進め方を“枠”で決める デイリーやレビューでは、成果の確認・優先順位の判断にとどめる。細かな作業指示・勤怠管理はしない。 進め方の詳細は、スクラムチームの合意で更新する。
③バックログで“何をやるか”を合意・記録 優先順位の変更や受入れ条件はバックログで合意・記録する。 作業のやり方(どう作るか)は受託側に委ねる。
④勤怠や評価は受託側で管理 出退勤、残業の可否、評価は受託側の責任で行う。 発注側は成果確認に注力する。
⑤“派遣でやるべき場面”は正しく派遣で対応 日常的な個別指示が不可避なら、最初から派遣で整える。 |
(3) 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37 号告示)に関する疑義応答集(第3集)との関係
疑義応答集(第3集)は、アジャイル開発に特化して偽装請負の該否を検討した資料となります。そして、これを読むと、アジャイル開発の場合、偽装請負の基準が緩くなるのではと思われる方がいるかもしれません。
しかし、そこには大きな落とし穴があると言わざるを得ません。
注意点を整理します。
①疑義応答集における「アジャイル開発」が特殊であること
疑義応答集(第3集)では、アジャイル開発について次のように説明がされています。
・要件を最初から固定せず、途中の追加・変更を可能にする。短い期間でリリースを重ねる。
・発注側の開発責任者(プロダクトオーナー等)と、発注側・受託側の開発担当者が対等に協働。情報共有・助言・提案を行いながら、各担当者が自律的に判断して開発を進める姿を中核とする。
注意したいのは、「反復・短サイクル」という技術運営の特徴よりも、対等な関係と自律的判断という働き方の実態を強調している点です。
多くの現場では、働き方の実態を意識することなくアジャイル開発と呼んでいるため、最初から齟齬が生じていることになります。
②判断基準自体は同じであること
疑義応答集(第3集)でも、他の厚生労働省が公表している資料と同じく、
・契約名(請負・準委任など)ではなく実態で判断すること。
・発注側が受託側の労働者へ直接、業務の進め方や労働時間などを指示すれば、派遣の実態と評価され、偽装請負(労働者派遣法違反)となること
が明言されています。
そして、偽装請負の具体例として
・発注側の開発責任者や担当者が、受託側の開発担当者へ直接、業務の遂行方法や労働時間等に関する指示を行っている。
・説明や情報提供が、実態として指示・命令になっている。
・会議、連絡、業務ツール上で、発注側が受託側担当者に直接、業務の遂行方法や労働時間等を指示している。
といったものが挙げられています。
③疑義応答集(第3集)を踏まえて意識すること
ここでは6点挙げておきます。
■役割・権限・進め方を事前に明確化し合意する
発注側と受託側のそれぞれの役割や権限、チーム内の業務の進め方をあらかじめ明確化し、合意しておく。
■自律運営が前提になるよう、事前研修や認識合わせを行う
アジャイルの特徴(対等な協働、自律的な判断)を、発注側の開発責任者や双方の開発担当者に事前研修などで共有する。
■受託側が“指示と管理”を担う体制を整える
業務の割り付け・順序・緩急の調整や、必要に応じて業務の遂行方法や労働時間等に関する指示は、受託側の管理責任者が行う。発注側が直接行うと偽装請負と判断されうる。
■情報提供はOK、ただし“指示化”させない
発注側の開発責任者が、受託側担当者にバックログの詳細説明や要件の明確化などの情報提供を行っても、それ自体で直ちに偽装請負にはならない。ただし、実態として遂行方法や労働時間の指示に当たるなら偽装請負になる。
■会議やツールは“共有の場”として使う
会議・打合せ、メール・チャット、プロジェクト管理ツールに双方の関係者が参加しても、対等な関係での共有・助言に留まる限りは問題がない。指示・命令になれば偽装請負となる。
■スキル確認の依頼は原則OK(ただし線引きあり)
受託側が自らの労働者に対する業務の遂行に関する指示その他の管理を行う体制であることが前提となる。個人特定や受託側人員の配置決定への関与に踏み込まなければ、スキルシートの提出を求めても直ちに偽装請負とはならない。
(4)まとめ
疑義応答集(第3集)は、アジャイルを「対等な関係」×「自律的判断」を前提とする開発としています(この点で現場実務の認識とズレがあることに注意)。その上で、この前提が崩れて「発注側から受託側人員への直接指示・勤怠等の管理」に及ぶと偽装請負になると明確に示しています。
したがって、役割・権限・進め方の事前合意、受託側による指示と管理の一元化、発注側は情報提供と優先順位決定に注力、会議・ツールは共有と合意形成の場に徹する、という運用で線引きを守ることが肝要です。
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アジャイル開発と偽装請負問題について弁護士に依頼するメリット
そもそもアジャイル開発それ自体は違法ではありません。
しかし、発注側が、受託側に属する個々のエンジニアに対し今日やることを直接頼んでいる、出退勤や残業を直接コントロールしている、ツールでやり方・手順を日常的に細かく指定している…といった事情が1つでもある場合、いつ制裁を受けてもおかしくありません。
まさに弁護士に依頼するタイミングです。
偽装請負と指摘されたときは、時既に遅しです。早めの準備と備えが肝要です。
弁護士に依頼することで具体的に得られるものは次の通りです。
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① 現場の“線引き”を、迷わない形に変える ・言ってよい/ダメの境目を、会議・チャット・チケット運用に落とし込むことができます(例:POは「何を優先するか」「受け入れ可否」まで、日々の割付・進め方は受託側責任者が担うなど)。 ・具体例ベースの運用ルールをつくり、チーム全員で共有できるようになります。
②契約と運用を“ジャストフィット”に調整 ・役割分担、決定権、受入れ条件を、アジャイルの流れに合う形で文書化します。また、指示の窓口は受託側担当者に一本化する体制構築を作ります。 ・時間ベース(準委任)×成果ベース(請負)の組み合わせも、想定トラブルと根拠を踏まえながら設計します。
③支払い・検収の“事故”を防ぐ ・スプリント単位の合意と記録、受け入れ基準の明確化、期日の明記で、後日の「検収待ち」「支払い遅れ」を予防します。
④ 監査、問い合わせへの“備え” ・労働局や公取委への説明が必要になっても、根拠がそろった記録を提示できるよう準備します。 |
「今のやり方で大丈夫か」を短時間で点検するだけでも、トラブルの芽をつぶせます。また、
書きぶりや日々の言い回しを少し直すだけで、偽装請負リスクは大きく下げられます。
まずは状況を教えてください。
初回は現状ヒアリングと“ここから直す”の要点整理からご案内します。
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リーガルブレスD法律事務所によるサポート内容
(1)リーガルブレスD法律事務所の特徴
当事務所は、アジャイル、受託開発、SaaS、アプリ運営、データ取扱いなどIT企業からの相談を中心に取り扱っています。
したがって、開発の流れ(要件→設計→実装→テスト→運用)に関する現場実情を把握した上で、必要な対策をご提案することが可能です。例えば、
契約条項を作るだけでなく、会議の進め方・指示の出し方・記録の残し方まで落とし込むことまで対応しています。
(2)法律相談サービス
リーガルブレスD法律事務所では、これまでにお取引のないIT事業者様からのご相談を積極的に受け入れています。
契約内容と現場実務のズレによる偽装請負の不安…「うちのやり方は大丈夫か?」につき、短時間で見える化します。
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主なご利用者 |
・受託開発会社(Web/アプリ/業務システムの開発、テスト、保守を請ける会社) ・SaaS/自社プロダクト企業(外部ベンダへ一部開発を委託している企業) ・スタートアップ(アジャイルでスピード優先だが、契約や指示の線引きに不安があるチーム) ・SIer/SES事業者(準委任・請負・派遣の切り分け、体制の整え方を確認したい事業者) ・発注側企業(情報システム部・事業部)(外部委託で“偽装請負”にならない運用を作りたい部門) |
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ご相談内容例 |
・偽装請負リスクの診断(デイリーやチャットでやり方を細かく指示していないか、勤怠を直接管理していないかなど) ・契約と現場のズレ調整(準委任×成果物(請負)のハイブリッド設計、受入れ条件、変更管理(バックログ)の合意方法など) ・検収、支払い関係の整備(スプリントごとの合意記録、検収基準、期日の明確化など) ・体制、再委託、情報管理(指示の窓口一本化、再委託の承諾手順、機密情報の取り扱いなど) |
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サポート内容例 |
・現状ヒアリングを行った上で、「問題なし/追って修正/今すぐ改善」を判断するとともに、会議・チャット等での表現例を提案 ・契約書の改定アドバイス ・記録の残し方(バックログ、受け入れ結果、変更履歴)の提案・ ・できる限り現場にストレスのかからない体制変更の提案 |
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相談者が得られるメリット |
・迷いが消える(POが何を決めるか、ベンダがどう進めるかの線引きが明確になる) ・トラブルの芽を先に摘む(直接指示、勤怠の直接管理など危険事例を回避できる) ・契約と現場の齟齬解消(条項と運用が同じ方向を向き、手戻り・誤解・遅延が減る) ・最小コストで改善(全面改修とならないよう、修正すべき点を絞ってコスト抑制効果) |
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弁護士費用 |
1回90分以内で15,000円(税別) |
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実施方法 |
①ご予約(お問い合わせフォーム又はお電話にて日程調整) ②事前準備(利用規約など関係資料を共有いただきます) ③相談実施(オンライン又は対面) ④解決策提示(リスク診断、交渉方針などを具体的にご提示) ⑤アフターフォロー(別途契約の上、交渉代理や訴訟対応、継続支援へ移行) |
お問い合わせフォームはこちらから>>>
(3)その他サービス(法律相談以外のサービス)
リーガルブレスD法律事務所では、法律相談サービス以外にも様々なサービスをご提供しています。
ここでは、監督官庁より偽装請負の疑いありとして指導を受けた場合の対応支援サービスをご案内します。
■偽装請負緊急是正サービス
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主なご利用者 |
・受託開発会社/SIer/SES事業者(委託で運用してきたが、実態が派遣に近いと指摘を受けた) ・SaaS/自社プロダクト企業(外部ベンダとのアジャイル運用で、発注側の直接指示が多い) ・発注側企業(情報システム部・事業部)(労働局からの確認・是正要請に対応する必要がある) |
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ご依頼内容例 |
・個別指示、勤怠の直接管理など、どこを直せばいいか具体的に示してほしい ・委託を継続できる是正案と、派遣へ切替える案の二本立てで早急に意思決定したい ・会議、チャット等の言い方をそのまま変えたい(台本・例文が欲しい) ・労働局への説明メモと改善計画を短期で整えたい |
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サポート内容例 |
例えば、次のような包括支援を行います。 ①現場調査 ・直近の議事録、チャット、体制図、契約の検証 ・危険シーンに絞った調査(直接指示/勤怠の直接管理/日々の細かな指示など) ・即時に是正すべき事項の抽出 ②委託運用の是正提案 ・指示の窓口一本化、POの役割分担、日々の業務割付は受託側責任者で行うことの徹底 ・会議、チャット等での言い換え提案 ・契約書の見直し ③派遣切替への対応 ・必要書面、組織体制、台帳整備など受入れ支援 ・社内外アナウンス文の作成 ④労働局等への説明 ・是正計画書の作成支援 ・指摘事項に対する是正内容対応表の作成支援 ・証拠の整理 ・想定Q&Aの準備 ⑤下請法(中小受託取引適正化法)などの法令対応 ・これを機会にほかの法令適合性のチェック |
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相談者が得られるメリット |
・今やることが明確になる(現場でそのまま使える言換え集や台本整理で、直ちに現場言動を変更することができる) ・監督対応(是正計画/証拠整理/想定Q&Aまでセットすることで、スムーズな対応ができる) ・最小変更で最大効果(全面改修ではなく、危険事象の優先除去と記録運用の固定化で再発を防ぐ) |
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弁護士費用 |
50万円(税別)~ ※緊急度、難易度などを考慮して変動します。 |
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実施方法 |
①お問い合わせ後、簡単な聞き取りとお見積りの提示 ②正式なご依頼後、現場調査の上、今すぐ対応するべき課題の抽出 ③優先順位を決めた上で、是正事項の実施支援 ④監督官庁への説明準備と対応 ⑤是正事項の遵守状況の監視 |
お問い合わせフォームはこちらから>>>
(4)法律顧問プラン(顧問弁護士サービス)のご案内
リーガルブレスD法律事務所では、偽装請負問題以外にも、IT企業を取り巻く様々なリスクを事前に防止し、リスクが発現した場合は素早く除去することを目的とした、継続的な伴奏支援サービスをご提供しています。
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主なご利用者 |
・受託開発会社/SIer/SES事業者 ・SaaS/自社プロダクト企業 ・スタートアップ ・発注側企業(情報システム部・事業部) |
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ご依頼内容例 |
・偽装請負を含む日常的に発生する労務問題をその都度相談したい ・利用規約を整備した上で、運用面でのサポートをしてほしい ・未払い金の回収戦略について、断続的に相談に乗ってほしい ・情報の利活用について話を聞きたい |
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サポート内容例 |
・労務(偽装請負ふくむ)…会議やチャットでの言い方を即修正し、別表現を提案します。また、現在進行形で発生している労務問題につき、伴走しながらアドバイス等を行います。 ・利用規約の運用…規約の抜けや矛盾を修正します。また、UIの見直しや問合わせ返信の型と社内FAQを整えます。 ・未払い金の回収…必要な証拠収集を支援すると共に、負担の少ない回収方法を提案します。一方で、回収トラブルを踏まえて、今後の再発防止策を検討し提案します。 ・情報の利活用…データの種類ごとでの社内ルール作成、取得から削除までのフローを整備すると共に、現場においてやってよい/ダメの早見表と相談ルートを整えます。 |
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利用者が得られるメリット |
・判断が早くなる(迷いが減る)…その場の文面、言い方、運用のヒントを即時に入手でき、現場対応が早くなります。 ・同じ失敗を繰り返さない…社内での対応パターンが確立され、担当者が入れ替わっても運用を継続することが可能です。 ・コストが読みやすい…顧問料金内で日常相談と小修正を回し、スポット費用を抑制することが可能となります。 |
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実施方法 |
①お問い合わせ、オンライン面談(ご要望事項、プランの説明) ②顧問契約の締結 ③窓口の開設(専用メール、チャットの提供) ④日常的な対応(契約書レビュー、相談に即応(即日~数日以内対応可)) ⑤ミーティング(必要に応じて経営課題、法務リスクを総点検) ⑥追加支援(必要に応じて交渉代理、訴訟、研修実施などを提供) |
お問い合わせはこちら
<2025年10月執筆>
※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。