うつ病と休職

相談企業の業種・規模

◆業種:製造業

◆規模:従業員数50名以下

 

相談経緯・依頼前の状況

営業職の従業員が突然無断欠勤を行ったため、連絡を試みていたところ、数日経過して心療内科の診断書(うつ病)を提出してきた。

当該従業員に対して、今後どのように対応すればよいのか分からない。

 

解決までの流れ

当事務所へのお問い合わせを頂いた際に日時調整を行うと共に、事前に対象従業員の就労状況(タイムカードなど)、同僚・上司からの聞き取り(仕事上の悩みを言っていなかったか、プライベートで悩んでいる様子はなかったか、人間関係に問題はなかったか等)、ストレスチェックの実施状況等の情報整理と労働契約書・就業規則を準備するようお願いし、準備が整ってから、第1回目の法律相談を実施しました。

相談実施時点では労災申請が行われていないことから、就業規則に定める休職制度を適用の上でしばらく様子を見ること、何ら動きが無くても休職期間満了の2ヶ月前になったら再度相談を申し込んでほしいことを伝え、第1回目の法律相談を終了させました。

その後、休職期間満了2ヶ月前になったことから、第2回目の法律相談を実施しました。その際、対象従業員の現状確認を兼ねた休職期間満了日が近づいてきていることを知らせる通知書を送付すること、反応があった場合の対処法、産業医など会社側で依頼できる医師の確保などをアドバイスしました。

休職期間満了直前になって医師からの診断書が提出されたことを受け、第3回目の法律相談を実施し、内容からして職場復帰は難しいこと、いわゆるリハビリ出勤は認めないこと、対象従業員と面談し説明を尽くすこと、対象従業員が納得しない場合は休職期間満了による自然退職扱いとする方針を組み立てました。

会社担当者が面談した結果、対象従業員と合意退職に至ったとの報告を受けたため、作業完了となりました。

 

解決のポイント

就業規則に休職制度が設けられているのであれば、制度を適用し、いったんは静観するほかありません。ただ、単に静観しているだけでは対応として不十分であり、この期間中、定期的に対象従業員の様子を確認してもらうと共に、過重労働やパワハラ、いじめなど業務遂行中において、対象従業員に心理負荷がかかっていなかったか徹底的に調査してもらいました。

調査の結果、会社側の責任によってうつ病が発症したとは考えにくいこと、したがって私傷病で対応する方針を貫けたのが、重要なポイントとなりました。

 

解決までに要した時間

◆約6ヶ月(第1回相談から会社より合意退職した旨の報告を受けたまで)

 

当事務所ならではのサービス

精神疾患による休職問題は近時激増しており、業種を問わずすべての会社において、いつ発生してもおかしくない状況です。一方で、裁判例なども蓄積もあり、就業規則に書いてある通りの形式的対応を行うだけでは、後日紛争になった場合に耐え切れないという問題が生じます。

当事務所では、在職させる・退職させる事例のどちらのパターンも複数取扱い実績がありますので、ご相談者様の実情に応じた解決策をご提案することが可能です。