ハラスメントの申し出があったときの対応

相談企業の業種・規模

◆業種:サービス業

◆規模:10名以下

相談経緯・依頼前の状況

当社で勤務するA部長とB社員はもともと折り合いが悪く、犬猿の仲である。仕事の進め方につき、A部長がB社員に対して注意したところ、B社員がパワーハラスメントであるとして社長に被害申告を行ってきた。社長はA部長に問い質したところ、発言内容そのものを否定すると共に、むしろB社員より嫌がらせを受けていると主張してきた。

このため、どちらの言い分が正しいのか判断ができない状況である。

解決までの流れ

ご相談者様としては、A部長とB社員の両名を当事務所に連れてくるので、その場で話を聞いて対応してほしいというご意向でしたが、「それはできない」旨回答し、まずは社長お一人で当事務所にお越し下さるようお願いしました。

1回目のご相談では、現状のA部長とB社員の関係性(顔を合わせないように業務上の配慮を行っているのかなど)、どこまで調査を進めているのか(ヒアリング調査の状況など)、B社員の意向(A部長のみを責任追及の対象としているのか、会社も含めて責任追及の対象としているのかなど)について、具体的なお話をお伺いしました。また、過去に発生したA部長とB社員のトラブルの有無・内容と、それに対する会社の対応についてもお話をお伺いしました。一通りの話を聞いた上で、社長のご意向を改めて尋ねたところ、何らかの先入観のある社長ではなく、第三者である弁護士が当事者よりヒアリングを行い、方向性を決めてほしいとのことでした。

そこで、社長と弁護士の役割分担として、社長は本件トラブルの目撃者探しと目撃者からのヒアリングを実施しその内容を弁護士に提供する、提供を受けた弁護士は先にB社員より話を聞き、最後にA部長の話を聞くことを確認し、相談を終えました。

後日、社長からヒアリング内容につき情報提供を受け、弁護士が当事者よりヒアリングを行い、調査結果を書面化し、双方当事者に開示の上、検討過程につき弁護士より直接説明しました。

双方当事者の態度からして100%納得したとは言い難いように感じましたが、弁護士の調査結果は尊重するとの回答を得ました。そこで、社長に対し、今後のトラブル防止の観点から、必要な人事処遇を行ったほうが良い旨アドバイスを行い、作業完了となりました。

解決のポイント

社長が時間・労力・金をかけて外部人材(弁護士)に調査を依頼したことで、双方当事者に対し、会社は真剣に受け止め解決を図ろうとしているという態度を示せたことが、納得感につながったものと思われます。

なお、好き嫌いや体面等を考慮して、最初から決め打ちで対処しようとすると、どちらか一方の不満を買ってしまい、かえって解決を遠のかせてしまうこともあります。

できる限り会社内のリソースのみで対応しようとする場合であっても、調査内容を弁護士に提供し、その弁護士の見解を踏まえて、会社担当者が双方当事者に結論を説明するという方法も考えてよいかもしれません(結果に対する検討プロセスに第三者が介在していることを示すことで、当事者の納得感が得やすくなることがあります)。

解決までに要した時間

◆約4週間

当事務所ならではのサービス

本件事例はたまたま大きな紛争にならずに済みましたが、場合によっては調査結果に納得ができないとして、当事者より更に様々な要求が出てきたり、外部関係者(労働組合、行政機関、労働者が依頼した弁護士など)が介入してくることもあります。

当事務所では、これまでにハラスメント申告段階でのご対応はもちろん、従業員が会社に対して責任追及を行うに至った場合まで、様々な事例の取扱実績があります。これらで得られたノウハウをもとに、最適な解決策をご提案できるよう尽力します。