サイバーモール運営者(電子商店街)が、顧客に責任を負う場合とは?

サイバーモール運営者(電子商店街)が、顧客に責任を負う場合とは?

質問

 サイバーモール(電子商店街)に出店していたショップで商品を購入し、代金も支払いましたが、商品が届きません。そこで、サイバーモール運営者に問い合わせたところ、既にショップは閉鎖されており、所在不明とのことでした。この様な場合、サイバーモール運営者に対して責任追及することはできないのでしょうか。

回答

 商品を引き渡すか否かはショップと顧客の問題であり、サイバーモール運営者の関知するところではありません。従って、法律的な責任を追及することは原則不可能と考えて下さい。

ただ、例外的な考え方になりますが、
 ① ショップの経営者とサイバーモール運営者とが同一であるかの如く状況が存在すること(外観の存在)
 ② この状況下の作出にサイバーモール運営者に落ち度があること(有責性)
 ③ 買い主(顧客)が「ショップ経営者=サイバーモール運営者」と誤解したことにつきやむを得ない事情があること(悪意・重過失がない場合)
サイバーモール運営者に損害賠償責任を追及できる余地があります。

以下、解説します。
 
 まず、商品に関する売買契約は、ショップと顧客との間で成立しています。この契約関係から形式的に導き出される結論は、商品の引き渡し義務を負っているのはショップであって、サイバーモール運営者ではないということになります。
 従って、債務不履行に陥っているのはショップであり、サイバーモール運営者ではない以上、サイバーモール運営者が契約責任を負ういわれはないというのが大原則です。

そうすると、契約責任が追及できないので、サイバーモール運営者に対して不法行為責任を追及できないかと検討することになりますが、サイバーモール運営者の故意・過失を立証することは相当困難と言わざるを得ません。
(サイバーモール運営者が、ショップ側において詐欺まがいの行為を行うことを知っていたというのであれば検討の余地がありそうですが、一般的にその様なことを認識しているとは思えませんし、また、その様なことを予見することも難しいと思います。)
 
 以上の原則論からすると、サイバーモール運営者に対して責任追及することは相当困難というのが結論です。
 もっとも、過去の裁判例を紐解くと、サイバーモールの事例ではありませんが、次のような事例があります。

すなわち、スーパーマーケットの一区画にテナントとして出店しているペットショップ(=スーパーマーケットの運営者とテナント経営者とは全く別人です)から、顧客がペット(=商品)を購入したところ、当該ペットが病気に罹患しており、その病気が元で顧客の家族が死亡したという事案で、遺族側は、テナントは勿論のことスーパーマーケットに対しても損害賠償責任を追及しました。
 この事案において裁判所は、商法14条(裁判係属中の商法でいえば23条)の類推適用を指摘し、具体的には、①名板貸人(=スーパーマーケット)が営業主(=ペットショップ)であるという外観の存在、②①の外観作出につきスーパーマーケットの責任があり、③顧客が①の外観を重大な過失無く信頼した場合には、損害賠償責任を負うと判示しました。


講学上の「表見責任」といわれるものですが、この判決の趣旨からすると、サイバーモール運営者も損害賠償責任を負う余地があるといえると思います。

ただ、例えば、「ショップの運営は、各出店者の責任において行われており、当社が管理又は運営しているものではありません。従って、各ショップからの購入は、お客様によるご判断でお願い致します。」等の文言がWeb上の目立つところに記載してあった場合、おそらく顧客の悪意・重過失を立証する上で有力な証拠になると思われます。そして、実際のサイバーモールではこの様な表記がなされていることが多いと思われますので、サイバーモール運営者に対して責任追及するできるのは、かなり限定的になる
と考えられます。

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

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