「X-Tech」ビジネスを始める前の法務戦略(第22回 Frontier Tech)

1.はじめに

Frontier Techとは直訳すれば未開拓分野の技術となりますが、狭義では宇宙ビジネス(衛星打上げ、宇宙旅行、リモートセンシングビジネスなど)を指しますが、広義ではドローンや深海ビジネスも含まれるようです。今回は、ドローンに関連する法規制を検討します。

2.航空法について

一時期ドローンの墜落事故が度々生じたことから、これを受けてドローン法が作られたという言説があったりしますが、ドローン法という名称の法律は存在しません。ドローンについては航空法に定められている「無人航空機」として規制されることになります。
航空法によれば、(1)空港等の周辺上空の空域、(2)150m以上の高さの空域、(3)人口集中地区の上空、以外であればドローンを飛ばしてもよいとされています(なお、(1)~(3)については許可を受ければドローンを飛ばすことが可能。航空法132条)。ただ、後述しますが、航空法で禁止されていないのであれば、ドローンを飛ばしてもよいということにはなりません。実は他の法規制が存在することに注意が必要です。
また、ドローンを飛ばすに際しては、①アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと、②飛行前確認を行うこと、③航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること、④他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと、⑤日中(日出から日没まで)に飛行させること、⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること、⑦人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること、⑧祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと、⑨爆発物など危険物を輸送しないこと、⑩無人航空機から物を投下しないこと、という10のルールを順守する必要があります(航空法132条の2)。

3.小型無人機等飛行禁止法について

国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空での飛行については、この法律により禁止されています。なお、航空法は国土交通省が所管する法律であるのに対し、小型無人機等飛行禁止法については警察庁が所管する法律となります。

4.地方公共団体による条例規制について

寺院等の文化財、都市公園、港湾施設等については、地方公共団体が条例でドローンの非行を制限している場合があります。

5.電波法について

上記2.~4.はドローンを飛ばすことができる地理的範囲についての検討でしたが、電波法は地理的範囲の問題ではありません。他の機器との混線を防止するという目的で、国内でドローンを飛行させるに際しては特定無線設備の技術基準適合証明が義務付けられています。時々、海外でドローンを購入し、そのままお土産品として持ち帰って国内で飛行させたところ、実は電波法違反だった…という事例があったりしますので、要注意です。

6.その他

私有地内にドローンを飛行させた場合、土地の所有権侵害となります(所有権は地上のみならず空中にも及びます)。また、ドローンを用いて航空写真撮影を行った場合、そこに写った人の肖像権やプライバシー権を侵害する可能性も生じます。なお、総務省が「ドローンによる撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドラン」を公表していますので、こちらを参照するのが適切と考えられます。

(2020年6月9日更新)

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。