「X-Tech」ビジネスを始める前の法務戦略(第21回 Auto Tech)

1.はじめに

Auto Techとは、Automotive(車)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。「Car Tech」と呼ばれることもあります。このAuto Techについては、自動運転技術やコネクティドカーなど自動車に関するものや、Uber等に代表されるシェアリングサービス(シェアリングエコノミー)が有名です。
ただ、このAuto Techについては完全に法制度が追いついておらず、今後の法改正が待たれるところです。そこで、今回はAuto Techを進めるうえで、現行法上の壁を指摘する形式で解説を行います。

2.自動運転技術について

法律が追い付いていないと上記で記載しましたが、実は国内法に関して言えば、着々と法改正が進んでいます。ただ、国内法の改正だけではどうしようもないという問題があります。なぜならば、国内法より優先する条約、具体的には「道路交通に関するジュネーブ条約」では、運転者による運転が行われることを前提にした規定となっているためです。
したがって、日本のみならず世界でもこの条約があるがために自動運転車両を公道で実現することが現状ではできないということになります。もっとも裏を返せば、条約が改正された暁には、全世界で一斉に自動運転技術を搭載した車両が世の中に出回ることになります。既にスタートラインについて、条約改正という号砲を待つ世界中の事業者と競争を行うことが予想されます。

3.カーシェアリングについて

カーシェアリングとは自動車の共同利用のことです。例えば、駐車場の運営サービスを行っているタイムズのカーシャアなどは街中で見かけたことがあるかと思います。
このカーシャアリングで検討しなければならないのが道路運送法です。実は有償で車両を貸し出す場合は国の許可が必要とされています(同法80条)。この許可制があるがために、たとえばプラットフォーム上で非事業者(消費者)が第三者に車両を貸し出すという事業(CtoC型のカーシャアリング)を行う場合、プラットフォーマーはともかく車両を貸し出す非事業者(消費者)は許可が必要という結論になります。非事業者(消費者)が気軽に許可を取ることはできませんので、この時点でCtoC型のカーシャアリングを国内で導入することは難しいとされています。
ちなみに、現在国内で展開されているCtoC型のカーシャアリングサービスの一部では、車両の貸出に対する対価を支払っているのではなく、別の名目で金銭を支払うという論法で許可をとらずに事業展開を行っているところもあるようです。ただ、グレーな内容と言わざるを得ないというのが正直なところです(なお、国土交通省が公表している「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」という資料を見れば、有償貸出とはどういったものを想定しているのかイメージできるかと思います)。

4.ライドシェアリングについて

Uber等に代表される相乗りサービス、すなわち運転者が運転する車両内に第三者を同乗させ、目的地までその同乗者を移動させ、その対価を得るサービスのことです。端的に言えばタクシーとやっていることは同じです。この点、道路運送法では旅客自動車運送事業につき国の許可が必要と定めています。この結果、プラットフォーム上で相乗りサービスを実施しようとした場合、運転者である非事業者(消費者)は国の許可を取得する必要があります。この点がネックとなるため、現在国内ではUber等のライドシャア事業者が事業展開できない状態となっています。このサービスが国内で実現されるためには法改正を待つしかないようです。

(2020年5月11日更新)

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。