「X-Tech」ビジネスを始める前の法務戦略(第20回 不動産Tech)

1.はじめに

今回は不動産Techについて考察します。不動産Techは文字どおり、不動産事業とテクノロジーを融合させたものなのですが、不動産業界にて従事されている方であれば、IT重説(=対面ではなくインターネットを利用して、賃貸借契約時における借主への重要事項説明を行うこと)などをイメージされるかもしれません。
たしかに、これも一種の不動産Techと呼べるものですが、今回は不動産のマッチングサービスを中心に検討を行います。

2.宅地建物取引業とは

不動産のマッチングサービスを検討する上で必ず検討しなければならないのが、「宅地建物取引業」該当の有無です。宅地建物取引業の該否については宅建業法第2条第2号に定めがあるのですが、分かりやすく分解すると…
①宅地または建物の売買
②宅地または建物の交換
③宅地または建物の売買、交換または賃借の代理
④宅地または建物の売買、交換または賃借の媒介
のいずれかを業として行うと宅地建物取引業に該当することになります(念のため触れておきますが、自ら貸主となって宅地または建物を賃貸することは宅地建物取引業に該当しません)。
マッチングサービスで問題となるのは、マッチングサービス事業者(プラットフォーム運営者)が上記④にある「媒介」を行っているのか、という点になります。
「媒介」の定義については、他人間の法律行為の成立に尽力する行為と一般的には言われています。この定義に従えば、売買物件や賃貸物件をインターネット上で公開するだけの情報提供サービスを運営する事業者は媒介を行っているわけではない以上、宅地建物取引業には該当しないと考えてよいこととなります。
また、従来からある「タネ屋(=物件情報を宅建業者に提供し、謝礼等を受領する者)」の議論を踏まえると、物件オーナー(物件を売ったり賃貸したりすることを希望する者)と宅建業者をマッチングするサイトを運営することも原則宅建業法違反にはならないものと考えられます。

3.その他不動産にまつわるサービス

不動産マッチングサービスについては上記の通り、「媒介」に該当するか否かがポイントとなってきます。それでは、で競売物件情報をサイト運営者が取得した上で(競売手続きの主催者は裁判所であるためサイト運営者に対して競売物件情報を自ら提供することはないことが前提)、買受希望者にアドバイス等を含むマッチング(競売手続き傘下による買受)サービスを実施することは違法となるのでしょうか。たしかに、媒介しているようなところもあるのですが、競売手続きの特殊性を考慮すると基本的には宅建業法違反にはならないと考えてよいかと思われます(参考裁判例として岡山地裁昭和54年9月27日)。
次に、ときどき勘違いされる方がいるので、あえてここで触れておきますが、いわいる民泊施設とその利用者をマッチングするサイト運営を行うことを検討する場合に意識するべき法律は旅行業法と住宅宿泊事業法となります。特に旅行業の登録を行っていない場合、住宅宿泊事業法上の住宅宿泊仲介業者として観光庁長官の登録が必要となります。なお、いわゆる民泊については比較的最近になって法整備が進められてきており、動きが激しい分野となりますので、今後も動向に注意をする必要があります。

(2020年4月7日更新)

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。