カルテルについて①

質問

 同業他社が、当社と競合する商品の価格を引き上げました。当社もこれに乗じて商品価格を引き上げようと考えていますが、何か問題になるでしょうか。

 

回答

 対外的には同じような時期に競業商品の価格引き上げが行われたと見えてしまうことから、カルテルの疑念が生じてしまいます。カルテルではないと説明できるような根拠づくりが必要です。

 

解説

 たまたま他社の動向を踏まえて商品価格を改定(値上げ)したからといって、必ずカルテルに該当するわけではありません。

 それでは、そもそもカルテルとはどういった定義なのでしょうか。独占禁止法2条6項では次のように定められています。
◆この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
 ポイントは、①他の事業者と共同して対価を決定する等の行為を行うこと、②一定の取引分野における競争を実質的に制限すること、です。
 まず、①についてですが、ここでいう「共同して」というのは、事業者間相互において「意思の連絡」があったと認められることと解釈されています。典型的には、事業者間で商品の一斉値上げを行う旨の取り決めを行うことですが、明示的に合意したという場合だけではなく、事業者間で情報交換を行ううちに暗黙の了解で商品価格の一斉値上げを行ったという場合も含まれるとされています。
 したがって、同業種間での会合・勉強会等を通じて、業界内における商品価格の維持・増額に関する話を聞いてしまった場合、「意思の連絡」があったと言われかねないリスクがありますので要注意です。
 なお、商品価格の値上げ等について事業者間で合意したものの、商品価格の値上げ等について業者ごとで時期をずらした場合、一見するとカルテルに該当しないように思われるかもしれません。しかしながら、カルテルの違法性の判断時期は、意思の連絡が行われたときとされています。したがって、時期をずらしたから問題ないと考えるわけには行かないことにも注意が必要です。
 次に、②についてですが、いくら事業者間でタッグを組んだところで市場に影響力が無い、つまり、タッグを組まなかった事業者に顧客が流れるだけに過ぎないというのであれば、「競争を実質的に制限」したことにはなりません。しかしながら、タッグを組んだ事業者が商品価格を値上げすることで、タッグを組まなかった事業者も同調して値上げするという場面も十分想定されます。こういった場合、果たして市場に影響力が無いと言い切れるのか、微妙な判断が伴います。したがって、例えば市場でのシェアが低いので市場への影響力が無いと判断するのは早計となります。
<現場担当者が知っておきたいポイント>
◆商品を供給する側
⇒同業他社との間で競合商品の価格改定に関する協議を行わないことはもちろん、会合等でそういった話題が出た場合は、その場から退避する等の対応をとるようにしましょう。◆商品を仕入れる側
⇒取引先及び取引先との競業他社が似通った時期に値上げ等を行った場合、カルテルを疑いつつ、場合によっては公正取引委員会に申告する等して、商品の不当な値上げに対策を打つようにしましょう。

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

「企業間取引と独占禁止法」で取り上げた相談内容の目次です。

■再販売価格維持

■販売地域の制限

■販売方法の制限(インターネット)

■販売方法の制限(ライバル商品取扱いの禁止)

■リベートを取引先ごとに変更してよいか

■同業他社への取引妨害

■下請代金の減額禁止

■下請法の適用範囲(資本金)

■下請法の適用範囲(製造委託・修理委託)

■下請法の適用範囲(情報成果物作成委託・役務提供委託)

■下請法の効果(親事業への義務①)

■下請法の効果(親事業者への義務②)

■不当廉売

■カルテルについて①

■カルテルについて②

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