リベートを取引先ごとに変更してよいか

質問

取引先に対して、リベートの額に差異を設けることは問題があるのでしょうか。

 

回答

リベート額を取引先により差異を設ける場合、独占禁止法上の差別対価(独占禁止法2条9項2号、一般指定3項)の該当性が問題となります。この差別対価に該当する場合には、独占禁止法違反となり違法となります。

 

解説

まず「差別対価」の定義についてですが、独占禁止法2条9項2号では次のように定められています。

 

 「不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」

 (※一般指定3項では、「継続して」等の要件が除外されています)

 

 さて、取引社会では、例えば、ボリュームディスカウントや、決済条件・配送条件の相違に応じて、あるいは地域による需給関係の相違に応じて、一定の取引価格の見直しが行われているのが実情です。こういった取引実情があることは公正取引委員会も承知しており、上記のような合理的な範囲で取引価格に差異を設けること自体は何ら違法ではないという見解を表明しています。

 

 したがって、リベートによる取引価格に差異を設けることが直ちに違法となるわけではありません。

 しかしながら、独占禁止法上の不当な目的を達成するために行われるリベート、例えば、メーカーの示した価格で販売しない場合にはリベートの削減等の経済上の不利益を課すという場合は、不当なものとして独占禁止法違反とされます。あるいは、競争事業者(ライバル)を排除するために、当該競争事業者と競合する販売地域又は顧客に限ってリベートの供与を行うことは、特に有力なメーカーが行うと違法と判断される可能性が高くなります。

 

 ちなみに、上記のような考え方を示したものとして、「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」というガイドラインが存在します。取引場面が限定されたガイドラインにはなりますが、この考え方は、ガイドラインが示した取引場面でも該当する考え方と思われますので、参考までに引用します。

「個々の行為がどのような場合に独占禁止法上の差別対価等に該当するかは,個別具体的な事案において,行為者の意図・目的,取引価格・取引条件の格差の程度,供給に要する費用と価格との関係,行為者及び競争者の市場における地位,取引の相手方の状況,取引形態等を総合的に勘案し,市場における競争秩序に与える影響を勘案した上で判断されるものである。」

 

<現場担当者が知っておきたいポイント>

◆メーカー側(リベート提供側)

⇒営業戦略としてリベートを提供すること自体は直ちに違法とはならないものの、自社の市場での地位(優位性)や、リベートをどういった場合に提供するのか基準を明確にした上で、競争事業者との関係で恣意的に運用しているという疑いがかからないように運用しましょう。

◆小売店側(リベート受領側)

⇒メーカー側よりリベートの提案を受けること自体は問題ないが、販売価格の維持やライバルメーカーとの取引禁止などの制限が無いか確認しましょう。なお、小売店側からリベートの提供を強要することは、力関係によっては優越的地位の濫用と言われかねませんので、注意しましょう。

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

 

「企業間取引と独占禁止法」で取り上げた相談内容の目次です。

■再販売価格維持

■販売地域の制限

■販売方法の制限(インターネット)

■販売方法の制限(ライバル商品取扱いの禁止)

■リベートを取引先ごとに変更してよいか

■同業他社への取引妨害

■下請代金の減額禁止

■下請法の適用範囲(資本金)

■下請法の適用範囲(製造委託・修理委託)

■下請法の適用範囲(情報成果物作成委託・役務提供委託)

■下請法の効果(親事業への義務①)

■下請法の効果(親事業者への義務②)

■不当廉売

■カルテルについて①

■カルテルについて②

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