弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(9)【継続的取引②】

 

1.はじめに

前回に続き、7号課税文書である継続的取引の基本となる契約書について解説を行います。

 

2.「継続的取引の基本」とは

継続的取引という語感からすると、ある程度長期的な取引を行うことを前提に繰り返し個別取引が実行されるもの、というイメージされるかと思うのですが、7号課税文書については「3ヶ月以内かつ更新に関する規定がない」契約については除外されていること、前回解説した通りです。

では、ここでいう「基本」とは何を意味するのかという疑問が出てくるかと思うのですが、ここでは取引の基本条件と理解してください。そして、取引の基本条件の内容ですが、印紙税法上の取扱いとしては、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、又は再販売価格に関する取り決めのことを指すとされています。逆に言えば、上記のような基本条件が定められていないものは、7号課税文書に該当しないということになります。

 

3.請負と継続的取引

請負というと、建物建築等をイメージすることが多いため、継続的取引は実際にあまりないのではと思う方もいるようです。
ただ、公共工事や大手建築会社と契約を行う場合、よく「工事請負基本契約書」と書面の提示を受け、中身を見ると対価の支払方法や債務不履行の場合の損害賠償といった概括的な取引条件が定められている反面、図面・仕様や請負金額等の具体的な取引条件については個別契約で別途定める…といったことが記載されていることがあります。実は、この場合における「工事請負基本契約書」が7号課税文書に該当します。1回のスポット取引に用いる契約書だから継続的取引ではない、という判断を行う訳ではないこと注意が必要です。
上記のような建物建築以外にも、印紙税法上は「請負」として取り扱う必要がある契約類型があります。
特に気を付けなければならないのが2号課税文書の際にも解説したWEB制作やシステム開発に関する契約、及びこれらの(補修を含む)保守契約です。これらの契約は無体物とはいえ、概念的には「成果物」を納品するという形態である以上、請負契約として取り扱われます。そして、たとえ単発取引を想定していたとしても、上記建物建築の例でも記載した通り、基本契約書において対価の支払方法や債務不履行の場合の損害賠償の方法等が定められ、詳細については個別契約で別途定める…という形式をとる場合は、当該基本契約書が7号課税文書に該当するものとして処理することになります。

 

4.運送、運送取扱いと継続的取引

例えば通販事業者等であれば、商品配送のためヤマトや佐川等の運送事業者と契約を行っているかと思うのですが、運送事業者からはよく運送約款を含む基本契約書の提示を受けることがあります。この当該基本契約書が7号課税文書に該当すると考えておけばよいかと思います。
ちなみに、商品の取扱いに際して、倉庫を借りることもあるかと思うのですが、最近多い3PLの場合、荷役業務が含まれています。この荷役業務はまさしく運送に関する業務に該当しますので、倉庫業務に関する契約だから7号課税文書に該当しないと判断するのは早計であること、注意が必要です。

 

5.次回は残りの売買と継続的取引について解説を試みます。

(平成30年6月12日更新)

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。