弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(5)【請負契約と印紙税】

 

1.はじめに

前回を含め4回にかけて第1号課税文書に関する解説を行いました。今回からは次の号となる第2号課税文書である「請負契約書」について解説を行います。

 

 

2.「請負」と「委任」との違いは?

いきなりのタイトルでびっくりされるかもしれませんが、実務をやっていると請負契約なのか、委任契約なのかによって印紙税の取扱が全く変わってしまいますので、最初に取り上げておきます。

 

さて、まず印紙税の取扱いについて確認しますが、次の通りです。

・請負契約…2号課税文書に該当するので、契約金額に応じた印紙負担
・委任契約…非課税文書(なお、継続的契約の場合は7号文書に該当するので要注意)

 

上記からも明らかな通り、委任契約に該当する場合は印紙税の負担が不要となります。このため、実務では“委任契約書”とか“業務委託契約書”といった契約書のタイトルが好んで用いられたりするのですが、残念ながら請負契約か委任契約かは契約書のタイトルを見て判断されるわけではありません。では、どうやって判断するのか?
教科書的には、契約の中身を検討し、請負=仕事の完成を目的とする契約であれば請負契約と判断、委任=業務の遂行(完成までは求めない)を目的する契約であれば委任契約と判断する、というのが一応の回答となります。
ただ、非常に微妙な判断が伴うのも事実です。私個人としては、成果物の完成が条件となっているものは請負契約と判断、成果物は無くても業務遂行による結果が条件となっているものは請負契約、これらに該当しない場合は委任契約、という一応の判断基準を持ちながら検証するようにしています。抽象論では分かりづらいかと思いますので、具体例を次からあげていきます。

 

 

3.建設・建築工事に関する契約書

建物を建設するという契約は、建物という成果物の完成を目的とする契約ですので請負契約に該当します。ちなみに、大きな物件であるほど後で金額の増減調整を行うことがあるかと思うのですが、金額の増減調整に関する変更契約書を締結する場合、注意が必要です。すなわち、当初の報酬額より増額する旨を明記した書面を締結場合、2号課税文書として増額差額分に相当する印紙の負担が必要となります。

一方、当初より報酬額を減額する旨明記した書面を締結する場合、2号風英文所に該当するものの記載金額なしとして200円の印紙負担が必要となります。増減した場合にまで印紙の負担があるとは…と思われるかもしれませんが、意外と失念しやすいものであり、税務調査後に印紙過怠で3倍負担というペナルティになりやすい例ですので、十分に注意していただければと思います。

 

ところで、建物建築の場合は分かりやすいのですが、建設・建築業界では、他にも例えば工務店が行う塗装や太陽光設備の設置といった比較的小規模な工事に関する契約、設計や監督、工事対象建物の周辺警備といった建設工事に付属する各種契約書が締結されます。
なかなかイメージが付きづらいかもしれませんが、
・塗装工事=塗装を行うという結果が求められているので請負契約
・太陽光設備の設置=設備の設置という結果が求められているので請負契約
・設計=設計図書の作成という結果が求められているので請負契約
・監督=現場監督を行う問い業務遂行が求められているのみで、何らかの結果が観念できるわけではないので委任契約
・警備=火災、盗難、不良講師の予防と安全確保という結果が求められているので請負契約
正直なところ、「監督」が委任というのであれば、「警備」も委任ではないのかという気がしないでもないのですが、税務署の見解は上記の通りですので、注意してください。

(平成30年2月15日更新)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。