弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(4)【消費貸借・運送契約と印紙税】

 

1.はじめに

前回は第1号の2課税文書である「地上権又は土地の賃貸借の設定又は譲渡に関する契約書」をふれました。今回は第1号の3課税文書である「消費貸借契約書」と、第1号の4「運送に関する契約書」について解説を行い、第1号課税文書に関する解説を今回で終了させます。

 

 

2.消費貸借に関する文書について(第1号の3)

そもそも論として、「消費貸借」という言葉自体があまり聞きなれない言葉かもしれませんが、とりあえずは「お金の貸し借り」と考えておけば、ほとんどの場面で通用します。
そして、お金の貸し借りに関する文書が、印紙税の対象となる課税文書になるということですので、金銭消費貸借契約書はもちろん、借用書(借用証書、領収書)、債務承認書などが典型的なものとなります。
(1)返済条件等の変更契約書の取扱は?
いったん締結した金銭消費貸借契約書について、事後的に返済条件などの変更を行った場合に取り交わす文書(変更合意書)については、どのように取り扱われるのでしょうか。
結論から申し上げると、第1号の3課税文書には該当しますが、「記載金額のない」ものとして取り扱われます(結果的には印紙税額は200円)。従前の契約書において債務額を記載している以上、事後的な返済条件等の変更契約書に記載する残元金は従前の契約書の金額を確認したものにすぎず、新たな債務ではないという取り扱いになるからです。
(2)準消費貸借契約書の切り替えた場合は?
商品売買の買掛債務や請負の報酬債務など、元々お金の貸し借りではない金銭負担について、お金の貸し借りという形態に巻き直す(切り替える)契約書の締結(準消費貸借契約)については、どのように取り扱われるのでしょうか。
これは新たに消費貸借契約を締結したことにほかなりませんので第1号の3課税文書に該当し、かつ契約書に記載した金額に応じて印紙税を納付する必要があります。
なお、準消費貸借契約に切り替えるメリットは消滅時効期間が延びることとされていましたが、近々予定されている民法改正によりこのメリットはなくなるものと予想されます。したがって、あえて準消費貸借契約に切り替えるという必要性は薄れていくかもしれません。

 

 

3.運送に関する文書(第1号の4)

大手であればともかく、中小の運送業を営む事業者の場合、そもそも荷主との間で契約書を締結していないという話もあるかもしれません。
こういった場合、運送業者は荷主に対し貨物引受書(荷物受取書、運送状など名称は色々あります)を発行したりすることが多いようなのですが、これらの書類について第1号の4課税文書になるか、実は検討する必要があります。
発行する書類の記載内容を見ないことには正確な判断ができないのですが、大まかに言えば、第1号の4課税文書に該当することを前提に、運賃について具体的金額の記載があれば当該運賃額に応じた印紙税の納付が必要となります。一方、運賃について記載がない場合は、記載金額がないものとして印紙税額は200円になると考えておけば、ある程度は通用するのではないかと思われます。
なお、よく勘違いされやすいのですが、非課税文書とされている「運送状」とは、運送業者が発行したものではなく、荷受人(発送人)が荷受人に対した発行するものを指します。この点は注意が必要です。

 

(平成30年1月16日更新)

 

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。