弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(2)【不動産、営業の譲渡と印紙税】

 

 

1.はじめに

今回から具体的な印紙税の対象となる文書(課税文書)に関する解説に入ります。課税文書には第1号から第20号までありますが、今回は第1号文書の1「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」の中でも、今回は実務上よく取り扱う、不動産と営業についてポイント解説を行います(その他は次回に回します)。

 

 

2.不動産の譲渡に関する文書について

実務上で取扱う事例では不動産売買契約書と考えてまず間違いありません。通常の不動産売買であれば売買価額に応じて印紙税が決まります。

 

(1)老朽化した建物を解体撤去する前提の場合は?
さて、最近では老朽化した建物を解体撤去することを前提に不動産売買契約が締結されることがあります。いくら老朽化した建物といえども意外と高額な固定資産評価額がついていたりする場合もあり、解体するのに建物評価額分まで印紙税を徴収されるのはバカバカしいなぁ…と思われるかもしれません。
ただこの問題については通達があり、「建物を解体したことによって生じる素材価額≧売買価額」という値段設定をしている契約の場合は、第1号の1課税文書として取り扱わないとされています。
なお、解体撤去する予定の建物と同時に土地の売買契約を締結することが通常と思われところ、土地売買に関しては印紙税の課税対象となりますので注意が必要です。

 

(2)遺産分割に伴い不動産を譲渡する場合は?
意外と質問が多いので触れておきますが、遺産分割に伴い不動産の帰属を決めることは「不動産の譲渡」ではないと通達で明記されています。
したがって、第1号の1課税文書として取り扱われることはありません(印紙税はともかく、相続税の問題の方が悩ましいことになるかと思いますが…)

 

(3)担保目的の譲渡の場合は?
例えば、不動産に対して譲渡担保権を設定することで譲渡した場合ですが、通常は担保目的であるため売買金額を書くことはありません。この場合、金額の記載がないものとして取り扱われるため印紙代は200円となります。
次にちょっとややこしいのですが、不動産を提供しつつも、後日再売買することで取り戻す(再売買予約)の方式を取った場合、最初の売買金額と再売買するための予約金額の合計額を基準として印紙税を支払う必要があります。一方、民法上の買戻し特約に基づく売買契約解除という形で不動産を取り戻す場合は、最初の売買金額を基準にすれば足ります。印紙税の負担軽減という観点からすると、買戻し特約を用いたほうがメリットが大きいということになりますが、いろいろな観点からの検討が必要となりますので、何でもかんでも買戻し特約がベターであると判断するのは検討を要します。

 

 

3.営業譲渡に関する文書について

会社法が制定されたことで「事業譲渡」という言葉も用いられるようになりましが、事業譲渡契約書も印紙税法上の営業譲渡契約書に含まれます。

ところで、営業(事業)譲渡はいわゆるM&Aの一手法として用いられるのですが、他の手法として株式譲渡を行うという場合があります。この株式譲渡については第1号の1課税文書に該当するのか、というお問い合わせをよく受けます。
結論からいうと、第1号の1課税文書に該当しません。これは、株式が、第1号の1課税文書の対象となっている「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業」のいずれにも該当しないからです。

 

 

(平成30年1月16日更新)

 

 

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。