弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(10)【継続的取引③】

 

1.はじめに

7号課税文書のうち、一番利用頻度の高い「売買、売買の委託、売買に関する業務」に関する継続的取引の基本となる契約書について解説を行います。

 

 

2.売買に関する継続的取引の基本となる契約書

例えば、特定の事業者から材料や商品等を継続的に仕入れる場合、売買取引基本契約書という表題のついた契約書を締結することが多いかと思います。この表題のついた契約書はまさしく7号課税文書にいう売買に関する継続的取引の基本となる契約書の典型例となります。一般的な売買取引基本契約書には、7号課税文書の対象となる、「目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、又は再販売価格に関する取り決め」が定められていますので、これを機会に意識的に約定内容を見るとイメージしやすいかもしれません。

 

 

3.売買の委託、売買に関する業務に関する継続的取引の基本となる契約書

(1)「売買の委託」の典型的なものですが、例えば、大型家電量販店において、販売員として製造メーカーの担当者が配置されていることを見かけないでしょうか。この際、あくまでも家電商品の売主は大型家電量販店名義となっていますが、実際の販売業務を行っているのは、大型家電量販店の担当者ではなく製造メーカーから派遣されている担当者です。つまり、大型家電量販店が製造メーカー側に対し、大型家電量販店が取扱う家電商品の売買業務の委託を行っているところ、これが「売買の委託」の一例となります。
ちなみに、勘違いしやすいのですが、上記大型家電量販店において、一部のスペースを借りて製造メーカーが自らの名義で商品販売を行う場合、大型家電量販店は製造メーカーに対して売買の委託を行っていません。単純に販売場所を提供=賃貸借となりますので、このような取引形態に関する契約書は7号課税文書に該当しないと考えられます。

 

(2)「売買に関する業務」ですが、イメージしやすいのはいわゆる販売代理店契約があげられます。代理店が売主に代わって顧客(買主候補者)を探索・発掘し、当該顧客(買主候補者)を売主に紹介する、という取引形態が典型的ですが、このような代理店契約は7号課税文書の対象となりえます。
また、特約店契約と呼ばれたりしますが、特約店が売主より商品を購入し、顧客に再販売する取引形態についても、同様に7号課税文書の対象となりえます。

 

(3)ちなみに、上記の代理店契約や特約店契約以外にも、売買に関する業務としては販売促進に関する業務も対象となりえます。
例えば、最近では売主が運営しているWEBショップについて、ネット通販に明るい第三者に運営代行委託する取引形態を見かけますが、こういった取引形態に関する契約書についても、一定の約定内容(目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、又は再販売価格に関する取り決め)が定められている場合は7号課税文書の対象となりえますので要注意です。
また、販売促進の方法として用いられるリベートに関する取引についても、やはり約定内容(目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、又は再販売価格に関する取り決め)が定められている場合は7号課税文書の対象となりえます。

 

(4)なお、通達上、瑕疵担保責任に関する事項のみ定めた文書(品質保証書など)について、「債務不履行の場合の損害賠償の方法」に該当しないとされているため、7号課税文書に該当しません。もっとも、2020年に予定されている民法改正により、瑕疵担保責任について大幅な法改正が行われることになっていますので、それに連動して印紙税の通達にも変更が生じないか注意する必要があります。

(平成30年7月12日更新)

 

 

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。