弁護士と税理士の間隙!? 印紙税のはなし(11)【債務保証、債権譲渡その他】

 

1.はじめに

今回は8号課税文書から20号課税文書まで一気に解説を行います。ただし、具体的な解説を行うのは13号課税文書(債務の保証に関する契約書)、15号課税文書(債権譲渡又は債務引受けに関する契約書)の2種類であり、その他については通常は問題とならないことから省略します。

 

 

2.13号課税文書(債務の保証に関する契約書)

これはタイトル通りであり、一般的な保証は連帯保証などの契約書をイメージすれば問題ありません。
ところで、保証契約については現行法上書面による契約を締結する必要があります。したがって、印紙税を回避する形で保証契約を締結することは不可能であることには注意が必要です。
一方、「保証」という単語を捉えると、例えば就職する際に提出を求められることがある身元保証書については、「保証」という文字は使用されているので、13号課税文書に該当するのではと考えられるかもしれません。たしかに、13号課税文書に該当するのですが、これについては非課税という取扱いになっています。
また、製品の品質保証書についてはどうなのかという疑問を持たれるかもしれません。これについては、そもそも「主たる債務」に対する保証ではありませんので13号課税文書には該当しないとされています。

 

 

3.15号課税文書(債権譲渡又は債務引受けに関する契約書)

これについてもタイトル通りとなります。

ただ、勘違いしやすいのですが、債権を譲渡する側(譲渡人)が債務者に対して発する債権譲渡通知書(配達証明付き内容証明郵便などで行うことが多い)は、そもそも15号課税文書に該当しません。これは、債権譲渡を行うという意思の通知であって、契約書ではないからです(少なくとも契約というからには両当事者の合意が必要となりますが、債権譲渡通知は一方的な意思の通知にすぎません)。同様に債権譲渡の承諾書についても、15号課税文書に該当しないとされています。

 

ところで、債権譲渡というと、売掛金や請負代金、業務委託報酬といった現金支払いを求める権利を「債権」としてイメージされる方も多いかと思います。しかし、債権とは現金支払いを求める権利だけを意味しません。例えば、不動産物件の賃借権を譲渡する契約書を締結した場合、賃借権も債権ですので15号課税文書に該当するものとして処理する必要があります。

 

次に、債務引受けについてですが、これについては聞き慣れない方もおられるかと思います。細かいことを言い出すときりがないのですが、端的に申し上げれば、他人の債務を移転させることで、自らの債務として負担するということです。例えば、Xが100万円の借受債務を負担している場合、その100万円の返済義務をYに移転させることで、Y自らの債務として100万円の返済義務を負うというというイメージとなります。このような説明を行うと、必ず「保証と何が異なるのか?」という質問が飛んでくるのですが、保証はあくまでも保証債務という独自の債務となります。一方、債務引受けは、元々の債務を移転させるだけにすぎませんので、独自の債務が発生しているわけではありません。理屈っぽい話ですが、債務引受けは保証と類似する機能を持っています。この債務引受けに関する文書については15号課税文書として処理することになります(なお、1万円未満の場合債務引き受けであれば印紙額ゼロですが、それ以外は13号と15号は同じです)。ちなみに、債務引受けを利用する場面として、いわゆる三角相殺に関する合意書がありますが、この合意書は15号課税文書として処理することになります。

(平成30年8月9日更新)

 

 

 

※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

 

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