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第3 情報の収集&創作【情報の取得】
1 特別なプロテクトが無い限り、情報収集それ自体では法律上問題とならない。 cf 個人情報保護法
2 刑事上の犯罪(信書開封罪など)、不正アクセス禁止法など
3 営業秘密 (1)営業秘密と機密情報・企業秘密は異なる概念 「秘密管理性」、「有用性」、「非公知性」 (2)営業秘密と情報収集〜不正競争防止法 (3)コンタミネーション
4 情報の創作 ・著作権法上の複製、翻案、公衆送信など
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1 特別なプロテクトが無い限り、情報収集それ自体では法律上問題とならない。
cf 個人情報保護法
いきなり何の話かと思われるかもしれません。
例えば、本屋に行って立ち読みしたり、インターネットを使ってWEBを閲覧したりする等して無料で情報を収集することができます。この意味で、情報は巷に溢れています。
この巷に溢れている情報を入手すること自体は、原則違法行為とはなりません。情報を収集する過程で、今まで警察にお世話になった方はいないでしょうし、裁判沙汰になったという人もおそらくはいないかと思います。従って、改めて説明するまでもない事かもしれません。
しかしながら、プロテクト、つまり情報に対する何らかの保護手段が取られている場合には、様相が違ってきます。その具体例が、2以下に記載したものとなります。
なお、注意として個人情報保護法と記載しましたが、個人情報を入手する際は、プロテクトの有無を問わず、不正な手段で取得することが明文上禁止されています。例えば、よく言われるのが、どこから入手したのか分からない名簿屋から、個人情報を取得する場合などが考えられます。従って、個人情報は別物と考えて下さい。
あと、個人情報に若干関連するかもしれませんが、情報収集という視点からすれば、電子掲示板上の書込者を特定するためのプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求も情報収集手段のための法律と位置付けられます。ただ、プロテクトとして、個人情報やプライバシーはもちろん、通信の秘密という憲法上の要請があることから、当然に認められる訳ではなく、実務上も厄介な問題があるため、なかなか行使しづらいということだけ触れておきたいと思います。
2 刑事上の犯罪(信書開封罪など)、不正アクセス禁止法など
最も典型的なのは、封がされた郵便物、つまり中身が分からない様にプロテクトされた郵便物を勝手に開けてしまった場合です。これは信書開封罪という刑法上犯罪に該当し処罰されることとなります。
あるいは、ヤマトなどのメール便を勝手に持ち出して中身を見てしまった場合は、窃盗罪や横領罪で処罰されることとなります。
以上のような事例は、情報が紙という有体物に化体されている状況を前提にしています。
それでは、情報それ自体を盗み出した場合には処罰されないのか疑問が生じます。
これは後で話す不正競争防止法上の営業秘密などの例外がありますが、原則、刑法上の犯罪には該当しないと考えられています。なぜなら、情報という無体物を保護対象としていないからです。
とはいっても、情報それ自体が独自の価値を持つ以上、そのまま野放しという訳にはいきません。
そこで、ネット通信という非常に限られた場面でしか適用されませんが、このレジュメに書いた不正アクセス禁止法という「情報入手手段」それ自体を規制する法律と、後述する営業秘密という「価値ある情報内容」を盗むことを禁止する不正競争防止法という法律が登場するわけです。
ご参考までに、レジュメでは不正アクセス禁止法について、警察庁のWEBを掲載していますので、イメージをつかんで頂ければと思います。
◆不正アクセス行為の禁止等に関する法律
3 営業秘密
マル秘情報、秘密情報、企業秘密等々の言葉は聞いたことがあるかと思いますが、いずれも法令用語ではありません。
法令用語として存在するのは、不正競争防止法で定められている「営業秘密」という用語となります。
ところで、この営業秘密と秘密情報とは、どの様な関係に立つかというと、一般的には秘密情報の一部として営業秘密が包含される関係になることが多いと思われます。
というのも、営業秘密については、不正競争防止法2条6項で、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義されており、秘密管理性、有用性、非公知性の3要件を充足した情報しか該当しないとされているからです。
例えば、脱税のためとか社会保険料を免れるためとかの「マル秘情報」というのが世の中には実在するかと思うのですが、これは日常用語としての「秘密情報」に該当するかと思います。しかしながら、脱税等は違法行為ですので、先ほどの要件でいえば「有用」な情報には該当しません。したがって、秘密情報に該当しても営業秘密に該当しないという場合はあり得ることとなります。
さて、不正競争防止法上の営業秘密に該当した場合、どの様な法律上の特典があるかといいますと、刑事上の制裁として、営業秘密を不正に取得した者に対して刑事罰を科されます。また、民事上の効果として、営業秘密の保有者は、取得者に対し、たとえ秘密保持契約等の契約書が存在しなくても、損害賠償請求はもちろん営業秘密の破棄や返還などを請求することができます。
この様に不正競争防止法上の営業秘密に該当した場合、強力な法的保護を得られるのですが、一方で「営業秘密」に該当するためのハードルが非常に高いとされています。その要件がレジュメに記載した、秘密管理性、有用性、公知性の三要件となるわけです。
特に問題となるのが「秘密管理性」の要件となるわけですが、具体的には、@情報のアクセスできる者を制限すること、A情報にアクセスした者が秘密であることを認識できるようにすることが必要とされています。そして、多くの裁判事例では、この秘密管理性の該当性について争われるわけですが、傾向として、秘密管理性が認められる事例は決して多いとは言えない状況です。秘密管理性が認められるための管理方法については、後述の「第4」で解説していきますが、営業秘密として保護されない場合に備えて、代替手段としての秘密保持契約の締結の必要性が叫ばれるのはここにあると思われます。
さて、少し話がそれてしまいましたが、情報が「営業秘密」に該当する場合、これを入手することは法律上どの様な問題があるのでしょうか。
先ほど、刑事上の制裁と民事上の効果をご説明申し上げましたが、細かい話をすると民事と刑事とでは、営業秘密の入手行為が違法とされる要件について相違点があります。
レジュメに記載した通りですが、要注意な点としては、不正に入手した場合はもちろん、入手段階では知らなくても後で不正入手であることを知った場合にはアウト、正当に入手した者を介して取得したとしても、不正な目的であることを知りつつ入手または後で知ってしまった場合もやはりアウトということがこの図から読み取れるかと思います。
結論としては、営業秘密として管理されている情報を入手することは違法と言うことになります。
◆平成23年12月1日付営業秘密管理指針
<民事上の営業秘密侵害行為は19頁の図、刑事上の営業秘密侵害罪は22頁の図を参照)
次に、コンタミネーションという用語が出てきますが、ここでいうコンタミネーションとは「情報の混入」という意味です。
先ほど、営業秘密の入手に際し、後で知った場合もアウトと申し上げましたが、入手する側からすれば、「営業秘密か否かなんて分からない」という言い分が出てくるかと思います。実はこの様な問題が起こるのは、中途採用で従業員を採用した場合、特に同業他社より従業員を引き抜いた場合に起こりうる事例です。
情報の入手に際し、営業秘密の侵害だと言われないためにも、採用予定の転入者に対してインタビューなどをすることで、元の会社からどのような義務が課されているかの確認を行うことが絶対に必要ではないかと思います。その上で、転入者の退職時の契約書等があれば、その秘密保持義務や競業避止義務の内容について確認した方が無難かと思います。
なお、コンタミネーション(情報の混入)を回避すると共に、営業秘密侵害で訴えられたための対抗策としては、情報収集しないようにしてしまうこと、具体的には、@他社の営業秘密を、その承諾なしに自社内に開示あるいは使用させないこと、A他社において完成させた職務発明等の自社名義での出願をさせないこと、B自社で就業するに当たり、不都合が生じる競業避止義務がないこと、等が記載された入社誓約書を転入者から取得することが考えられます。
4 情報の創作
・著作権法上の複製、翻案、公衆送信など
情報の入手手段として、他者から情報を取得する他に、他者の情報を参照しつつ自分で情報を作り出す、あるいは全くゼロから自分で情報を作り出すということが考えられます。
全くゼロから自分で作り出したというのであれば心配はありませんが、第三者からの情報をそのまま用いることもあれば、第三者の影響を多少なりとも受けながら情報を作り出すことが、むしろ通常ではないかと思われます。
この場合に気を付けたいのが、第三者の著作物を拝借していないか、つまり著作権侵害となっていないかという点です。
よくあるのが、社内会議用として、WEB上にある複数の情報を収集し、一つの情報書類にまとめ上げたというパターンです。厳密には引用として認められるか検討する必要はありますが、単にWEB上の情報を貼り付けただけに過ぎないのであれば、著作権法上の複製権侵害が成立すると言わざるを得ないかと思います。
この様な事例のように、一定の目的での使用を念頭に情報収集する場合に、知らずに著作権を侵害しているという事例はおそらく相当多いのではないかと推測します。
実際に著作権者が文句を言ってくるか、もっと言えばバレない可能性さえあるのが実情かも知れませんが、できればこの点も意識した方が良いかと思います。
なお、翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつその表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作する行為、要は、第三者の著作物に感化影響されて、別の著作物を作ることです。公衆送信は、インターネット上に配信すること、閲覧可能にすることを意味します。
>>>次は、「第4 情報の保有&利用(情報の管理)」です。
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