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【間違えやすい賃金実務⑨】賃金カット

 質問

 次のような場合、賃金カットを行うことは法律上問題が生じるのでしょうか。

______________________________________________

 

① 遅刻した場合において、30分単位で切り上げて行う賃金カット

   出勤停止の懲戒処分による無給扱い

   降格・降職・職務変更による賃金変動(カット)

   業績悪化に伴う賃金カット

 

__________________________________________________

 

 

回答

① 遅刻による不就労時間分について賃金カットすることは、ノーワークノーペイの原則により問題ありません。一方、就労しているにもかかわらず賃金カットすることは、減給の制裁に該当しますので、労働基準法91条の問題として処理されます。

 

② 懲戒処分としての出勤停止処分が有効である限り、法律上の問題は生じませんし、労働基準法91条が適用されることもありません。

 

③ 人事権行使or懲戒処分のどちらであっても、有効な降格・降職・職務変更に基づき、賃金に変動が生じることが予め賃金規程等に定められている限り、法律上は問題となりませんし、労働基準法91条が適用されることもありません。

 

④ 労働条件の不利益変更の問題として、労働協約を締結する、就業規則を変更する、個別の従業員からの同意を取り付ける等の対応を取らない限り、賃金カットを行うことは困難です。

 

 

解説

①遅刻した場合において、30分単位で切り上げて行う賃金カット

 例えば10分遅刻した場合に30分の賃金カットを行うことは適法かという問題を検討する場合、2つの問題を切り分けて検討する必要があります。

 まず、遅刻した10分は就労していません。従って、ノーワークノーペイの原則に則り、賃金を支給しなくても問題ありません。

 一方、切り上げられたことにより生じる20分相当の賃金分をカットすることについては、法的には減給の制裁という懲戒処分に該当します。

 従って、労働基準法91条に定める「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」という上限内に収まるか検討する必要があります。

 

 一賃金支払期(通常は1ヵ月)において、上記のような遅刻が1回行われただけであれば、通常は平均賃金の1日分の半額を超えることも無いでしょうし、一賃金支払期の賃金総額10分の1を越えることは無いと思われますが、あくまでも懲戒処分である以上、就業規則等に減給制裁に関する根拠が無いことには、この様な処分自体ができないことに留意する必要があります。

 

 

出勤停止の懲戒処分による無給扱い

 懲戒処分として出勤停止処分が有効に行われる限り、労働基準法91条の適用場面とはなりません。

 これは、減給の制裁は、労務を提供したにもかかわらず賃金を支払わないという処分ですので、一定の歯止めをかけるべく労働基準法91条が適用されるのに対し、出勤停止処分は将来の一定期間の就労を禁止する処分ですので、そもそも労務の提供がありません。

 この様な違いがあることから、出勤停止の懲戒処分については労働基準法91条の適用が無いことになります。

 

 

降格・降職・職務変更による賃金変動(カット)

 降格・降職・職務変更については、人事権行使として行われる場合と懲戒処分として行われる場合の2種類が考えられます。

 ただ、どちらの手段であっても、降格・降職・職務変更により賃金が変動する制度設計になっているのかが、ここではポイントとなります。例えば、賃金規程上、役位や役職が下がることにより賃金が減額することになっている、業務内容に応じて異なる賃金体系となっているというのであれば、労働基準法91条の問題では無いということになります。

 なお、当然のことながら、有効な人事権行使であること及び懲戒処分であることが大前提となります(労働契約上3条5項、15条を参照)。

 

 

業績悪化に伴う賃金カット

 これは減給の制裁(懲戒)処分ではありませんので、もともと労働基準法91条が適用される場面ではありません。

 いわゆる「労働条件の不利益変更」と呼ばれる問題となります。

 手段としては、

【1】 労働組合が存在するのであれば労働協約の締結を行う(なお、当該労働組合が4分の3以上の組織率を有する場合、労働組合法17条により、非組合員に対しても労働協約の効力を及ぼすことができる場合があります)

【2】 労働組合との交渉が不調あるいはそもそも労働組外が存在しない場合には、就業規則(賃金規程)の変更を行う

【3】 10人未満で就業規則が存在しない等の事情がある場合には、個別に従業員から同意を取り付ける

ということが考えられます。

 

 なお、就業規則の変更については、これまでにたくさんの裁判例が積み上げられてきており、当該裁判例の傾向を踏まえて労働契約法10条が設けられています。形式上は、就業規則を変更する場合は使用者(会社)側で一方的に変更することができますが、当該裁判例で指摘されている内容や労働契約法10条に定められた要件を充足しない限り、後で変更された就業規則は無効と言われてしまいますので、専門家を交えて十分な対策を協議することが必要かと思います。

 

 また、就業規則の有無にかかわらず、契約法の原則からすれば、個別に従業員から同意を取り付ければよいのではないかと思われるかもしれません。たしかに、賃金カットを行う場合は、できる限り個別従業員の同意を取り付けるようにするのですが、気を付けなければならないことがあります。それは、個別に同意を取り付けた労働条件が、就業規則で定められた労働条件よりも下回っている場合、労働契約法12条により、個別同意が無効とされてしまうことです。

 したがって、個別同意だけでは不十分(就業規則の変更が必須となる)ということもあり得ますので、この点は翌々注意する必要があります。

 

 

 

 
※上記記載事項は当職の個人的見解をまとめたものです。解釈の変更や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。

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