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【講演録H23.8.30】

 平成23年8月30日に商い繁盛館で行われた、「ネットショップに必要な法律知識」に関する講演録です。

 以下のような構成になっていますので、適宜ご参照下さい。

 

第1 ビジネスモデル立案の場面

第2 販促(広告宣伝)の場面

第3 契約交渉の場面

第4 契約締結の場面

第5 決済方法の場面

第6 トラブル事例への対応場面

第7 まとめ

 

 


 

第1章 ビジネスモデル立案の場面 

1.許認可との関係


■許認可が必要な業種か確認を行ったか。

(例)・中古品の販売(古物営業法)
   ・運送又は宿泊サービスの手配(旅行業法)
   ・不動産の売買、賃借の仲介(宅建業法)
   ・医薬品の販売(薬事法)
   ・酒類の販売(酒税法)
   ・人材紹介(職業安定法)

 

 日本は規制国家と言われるくらい、許認可が必要となる事業が数多くあります。

 レジュメに記載したのは代表例ですが、まだまだ細かい許認可は色々とあります。
 自分である程度調査するに際して役立つものとして、例えば、「電子政府の窓口 イーガブ」で検索をかけることが考えられます。また、大阪であれば、例えば、堺筋本町にある「あきないえーど」で相談に乗ってもらうのも一案ではないかと思います。



2.ドメイン名紛争

 

■ドメイン名は早い者勝ちとはいえ、有名企業・商品・サービスと類似するドメイン名を使用していないか。

 

 

 レジュメに記載した通り、ドメイン名の取得自体は早い者勝ちです。

 ただ、悪質なサイバースクワットの存在、その他ドメイン名紛争が多発したことから、不正競争防止法が改正され、一定の法規制が及ぶようになりました。

 具体的には、不正競争防止法第2条第1項第12号において、①不正の利益を得る目的(図利目的)又は他人に損害を加える目的(加害目的)で、②他人の特定商品等表示と同一又は類似の、③ドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し又はそのドメイン名を使用する行為を「不正競争」としています。

 要は、有名企業やブランドを真似たドメインを取得して、ネット上で商売を始めるのはリスクが高すぎるので、避けた方が良いというのが結論になります。

 


3.WEB制作



■何を何処まで制作してもらえるのか確認したか(ページ数等の上限・仕様、更新の可否・追加費用、著作権、ドメイン管理、サーバー管理など)。

■ホームページ制作とは別費用となっているサービスは何か(サーバー代、SEO対策、更新費用、ヤフーカテゴリ登録代行、スポンサードサーチ(旧オーバーチュア)・アドワーズ等への広告代行など)

 

 WEB制作(ホームページの制作)については、全ては契約内容によって決まってしまいます。

 が、注文者と制作者側の認識が一致せずトラブルが生じやすいのが実情です。
 従って、ネット通販用のホームページを制作してもらうのであれば、何を何処までやってもらうのか、またアフターフォローは何処まで付いているのか、個別に確認するしかないと思います。当職の経験上、特に確認した方が良いのではと思う事項は、1つ目のチェックボックスにある(  )に記載した通りです。


 「ページ数等の上限」については、多くの業者では1頁当たり幾らという単価計算をすることが多いこと、あるいはサーバーの容量との関係で作れない場合があるので、事前に詰めておきたいところとなります。なお、よくあるのが、5頁分は基本料金の範囲内、以後追加毎に5万円等となっていた場合、業者がはっきり言わず、あれもこれもホームページに掲載したがために、後で予想しないような請求が来てビックリするというパターンが多いようです。


 「ページの仕様」については、例えば、フラッシュや動画を掲載する場合には別料金になるとか、SSL機能を用いる場合には別料金となることが多いので、要注意かと思います。


 「更新の可否」については、小売等であれば、出店商品の入れ替えが発生するところ、入れ替えの度に業者に依頼しなければならないとなると更新料がいちいち発生するため、機動的な商品掲載ができないという場合がある。最近では、自分で更新できるタイプ(ムーバルタイプなど)が多いので、そちらで制作してもらった方が安全のように思います。ちなみに、業者としては初期の作成費用を低額に抑え、その後の更新作業で利益を取っていくビジネスモデルを想定している場合もありうるので、その辺は要相談になるかと思います。


 「著作権」については、ホームページを構成するプログラムソースや画面上の映像・画像等について業者側に著作権がある場合、内容の変更もできないし、簡単には業者の乗り換えができませんので、注意が必要です。


 「ドメイン管理」、「サーバー管理」についても、ドメインの取得者が業者である場合、簡単に業者の変更ができませんので、要注意です。

 

 

 次に、2つ目のチェックボックスの方ですが、先ほど申し上げました、コンテンツの更新に際して費用が発生するのかという以外にも、括弧内で記載したような費用はどうなるのか、よく確認する必要があります。

 なお、少しそれますが、特に最近多いなぁ…と感じる相談は、ホームページの製作に際してリース契約を締結したという事例です。

 ご承知の通り、リース契約は途中で解約できませんし、解約しようものなら、残額を一括で支払うよう言われてしまいますので、不要となったときのトラブルリスクが極めて高い形式となります。そして、ホームページ・ネット通販が未だ「売上アップが実現する魔法の道具」のようなイメージがあるため、月々の維持費用の安さだけで、ホームページリースを組んでしまう方が後を絶たないようです。
 別に、ホームページリース業者全てが悪とは言いませんが、制作業者は先にリース会社を通じて全額支払いを受けているため、後は知らないという態度を取ることが多いこと、そして、総額的には高い金額を支払わされていること、アフターフォローやメンテナンス維持管理が不十分であること、コンテンツの更新もままならないことから、どうしてもトラブルになりやすい土壌があります。
 従って、ホームページをリースで組むのであれば、一呼吸おいて、契約の必要性を判断してもらえればと思います。

 

 

 

第2章 販促(広告促進)の場面

1.電子メール広告規制


■迷惑メール防止の観点から「特定商取引法」と「特定電子メール送信適正化法」に基づく電子メール広告の制限があることを認識しているか。

■今は「オプトイン」規制であることを理解しているか。

 

 まず、迷惑メール広告規制については、特定商取引法と特定電子メール法の2つがあり、内容的には大きな相違はありません。あえて違いを言えば、特定商取引法は経済産業省が所管、特定電子メール法は総務省が所管というお役所の縦割りになっていることに由来する違いがあります。

 

 ただ、通販事業者の場合、どちらの法律でも規制されますので、どちらも押させておく必要があります。
 結局のポイントは広告メールを送信するのであれば事前承諾が必要という点です。
 平成20年11月30日まではオプトアウト制度、つまり承諾無くても送信はOK、但し受信者より「送らないでくれ!」と言ってきた場合には送信してはダメという規制になっていました。しかし、平成20年12月1日以降は、オプトイン制度すなわち事前に承諾を得ないことには送信自体ダメと言うことに改正されているので、要注意です。少し古い書籍を読むと未だこの点の改正に対応していないので、間違えないようにしてください。


 あと、オプトインの例外について若干誤解があるように感じていますので、その点、少し開設をしておきます。

 

 まず、特定電子メール法における例外として、①電子メールアドレスを通知した者、②(継続的な)取引関係にある者、③自己の電子メールアドレスを公表している団体・営業を営む個人、とされています。そうすると、潜在的な取引先候補者である事業者に対しては、WEBページ上にあるアドレスを用いて広告宣伝メールを送信しても問題ないという結論となります。

 一方、特定商取引法における例外としては、(1)契約内容または 契約の履行に関する重要な事項を通知するメール、(2)相手方の請求又は承諾を得て送信される電子メール、(3)フリーメールなど広告が行われることを条件として提供される電子メール、とされています。つまり、特定電子メール法における③の例外規定がないことが違いとなります。

 この結果、特定商取引法の規制がかかるネット通販業者は、結論として、WEBページのアドレスを用いて広告宣伝メールを送信してはいけないこととなります。
 この点は、要注意です。

 

 なお、オプトイン、つまり電子メール広告送信の承諾のための画面構成例については、『電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン』をご参照下さい。



2.広告内容に関する規制

 

■景品表示法に基づく規制を理解しているか(優良誤認、有利誤認、おとり広告、比較広告など)。
 (1)優良誤認
 (2)有利誤認

 商品・サービスの内容又は取引条件に係る表示について(優良誤認・有利誤認と重複)
 表示方法について
 
■ガイドライン『消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項』をチェックしたか。
 商品・サービスの内容又は取引条件に係る表示について(優良誤認・有利誤認と重複あり)

 

 

 まず、「優良誤認について解説します。

 景品表示法4条1項1号にある定義規定では、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」とされています。
 端的に言えば、品質(内容)面を強調しすぎた不当表示のことを優良誤認表示と考えればイメージしやすいと思います。具体的には次のようなものがあります(匿名にしますが、いずれも消費者庁のWEBでは実名公表されている事例です)。


<事例1>
 X株式会社は、自社及び自社のフランチャイズチェーンに加盟する事業者が運営する「●●」と称する飲食チェーン店を通じて、「霜降サーロインステーキ」と称する料理及び「霜降サーロインステーキ」と称する料理を用いる料理(以下「霜降ステーキ料理」という。)並びに「健康ステーキ」と称する料理及び「健康ステーキ」と称する料理を用いる料理(以下「健康ステーキ料理」といい、霜降ステーキ料理と併せて「本件料理」という。)を提供するに当たり、一般消費者に提示したメニュー、自社ウェブサイトのメニュー及び●●各店舗の周辺に所在する新聞販売店を通じて一般日刊紙に折り込んで配布したチラシにおいて、

① 霜降ステーキ料理について、例えば、店内メニューにあっては、その写真を掲載するとともに、「霜降サーロインステーキ」等と記載し、当該料理に用いている牛肉は、霜降りといわれる一定の飼育方法により脂肪が細かく交雑した状態になった牛肉であると認識される表示

② 健康ステーキ料理について、例えば、店内メニューにあっては、その写真を掲載するとともに、「健康ステーキ」等と記載し、当該料理に用いている牛肉は、牛の生肉の切り身であると認識される表示をしているが、実際には、霜降ステーキ料理に用いた牛肉は、牛脂を注入する加工を行ったものであり、また、健康ステーキ料理に用いた牛肉は、牛の横隔膜の部分の肉を食用のりで貼り合わせる加工を行ったものであった。

◆コメント◆
 食品の安全性という点では問題ないと思われますが、霜降り牛であるかの如く加工した料理を霜降り牛である等と表示したことが、優良誤認に当たるとされました。


 
<事例2>
 「●●」と称するクーポン共同購入ウェブサイトに掲載された「Y謹製おせち」と称する加工食品に係るウェブページにおいて、「50%OFF【10,500円】2011年迎春、横浜の人気レストラン厳選食材を使ったお節33品・3段・7寸(4人分)配送料込、12月31日着」と題し、「メニュー内容」と記載の上、33品のメニューを表示し、上記表示に接した者は、上記おせちには、「メニュー内容」として記載された33品のメニューが入っているものと認識するところ、実際には、そのうちの8品中7品については記載された食材とは異なる食材が用いられたもの又は記載されたメニューとは異なるものが入れられたものであり、残る1品については入れられていないものであった。

◆コメント◆
 平成22年末から平成23年年明け早々に大きな問題となった、共同クーポンサイトによりおせち料理事件です。広告表示された食品と実際に提供された食品に相違があったため、優良誤認に当たるとされました。




<事例3>
 X旅行会社とYホテルが共同で企画し、X旅行会社がダイレクトメールによるチラシ送付のほか、自社ウェブサイト上で広告を掲載し、販売した「●●ロイヤルホテルで食す熊野牛と北海道礼文産うにうまいもんづくし3日間」と称する旅行商品で、Yホテルが経営する●●ホテルにおいて実際に利用者に提供されたのは「北海道礼文産うに」ではなく、「カナダ産又はアメリカ産のうに」であった。

◆コメント◆
 おそらく背景事情としては、X旅行会社は、Yホテルより、上記のような食材を使用する旨の説明を受け、パック旅行の販売を行った実情があったのではないかと思われます。X旅行会社からすれば、Yホテルが勝手にしたことであって、「そんなこと言われても…」という本音があるかと思いますが、広告表示主体がXである以上、景品表示法違反として処断されることになります。結局のところ、広告表示主体となる以上、原材料メーカその他取引先をしっかり監督する必要があるという事例になります。つまり、商品を販売するに際して、製造メーカの説明を鵜呑みにして販売したという抗弁は通用しないということになります。



<事例4>
 X株式会社、ダイエット食品など24商品について、自社及び傘下のドロップシッパーのインターネット通販サイトにおいて、「レースクイーンが15キログラムもDOWN!?専門家配合サプリ」、等と記載することにより、あたかも、品質や性能が著しく優良であるかのように表示していたが、実際には、これらの表示は事実に反するものであった。

◆コメント◆
 健康食品でありがちな、著しく強調された効能効果を用いた表現です。身体に作用するものである以上、各個人によって効果に差異が生じることから100%の効能効果を記載することはできません。仮に記載したとしても実証することが不可能と言わざるを得ませんので、確実に優良誤認として景品表示法違反の対象となります。




<事例5>
 X株式会社は、水産物加工品について、容器・包装の商品名に「いきいき うにくらげ」等と記載し、「うに」を最も大きな文字で記載することにより、あたかも、原材料として相当量の「うに」が使用されているかのように表示していたが、実際には、原材料に占める「塩うに」の比率は、極めて少量であった。

◆コメント◆
 「うに」が含まれているのは事実ですが、表記方法(本件では拡大表示による強調)に問題がある場合には、優良誤認に当たるとされます。

 

 

 なお、事例4でも少し触れましたが、広告表示に記載された効能効果や性能・品質等について、仮に真実であれば、優良誤認として処断されることはありません(但し、事例4のような健康食品の場合は薬事法、健康増進法違反の問題が生じ得ます。ここでいう、真実であれば問題ないというのは景品表示法に限ります)。

 ところで、真実であることの証明は、広告表示を行っている事業者自らが行う必要があります。その際、証明するための合理的資料を消費者庁に提出することになりますが、その場合、次の要件を満たす資料の提出が必要となります。

 ① 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
 ② 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

 なお、詳細については、平成15年10月28日公表された「不当景品類及び不当表示防止法第4条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」に記載されています。

 


 次に、「有利誤認」について解説を行います。

 景品表示法4条1項2号では、「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」と定義されています。
 この定義規定を読むと、優良誤認と何が違うのか分からなくなってしまう場合もあるのですが、優良誤認が品質面を強調しすぎた不当表示をいうのに対し、有利誤認は、価格面を強調しすぎた不当表示とイメージすれば区別しやすいと思います。

 具体例としては次のようなものがあります。

<事例1>
 X株式会社、ダイエット食品など24商品について、自社及び傘下のドロップシッパーのインターネット通販サイトにおいて、「特価1,980円(2070円[税込み])希望小売価格9,334円」等と記載することにより、通常よりも特別に安価で購入できるかのように表示していたが、実際には、これらの表示は事実に反するものであった。

◆コメント◆
 この件は元々「希望小売価格」というものが実在せず、架空の値段設定をつけることで安くなっていると消費者にイメージ付けようとしたことが有利誤認であるとされたものです。実際の値段設定が架空である以上、ある意味当然の処分ではあると思います。


<事例2>
 X株式会社は、平成22年11月25日及び同月26日に「A」と称するクーポン共同購入ウェブサイトに掲載された「○○」と称する加工食品(おせち料理)に係るウェブページにおいて、「50%OFF【10,500円】・・・・・」、「10,500円 通常価格(税込) 21,000円 割引率 50%OFF 割引額 10,500円」と広告表示していた。しかしながら、販売価格に併せて「通常価格」と称する21,000円という価格は架空のものであった。

◆コメント◆
 これは、平成23年年明け早々に大きな話題となった事例です。事例1と同じく、通常価格というものが元々存在しないのに比較対象するためだけに適当な数字をつけ、安くなっていると消費者にイメージ付けようとしたことが有利誤認であるとされた事例です。


事例3>

 平成22年9月27日配布の新聞折り込みチラシに、化粧水(本体)については「当店通常価格2,380円(税込)の品 税込1,980円」と、表示していた。

 しかしながら、実際には、化粧水(本体)については、最近時の販売価格(8週間)のうち、短期間(22日間)において販売されていた価格2,380円を「当店通常価格」と表示していた。

◆コメント◆
 事例1及び事例2と異なり、実際に販売していた価格が存在した事例です。ただ、本件の事例では、過去に販売していた価格を恣意的に取り上げ、当該価格を比較対象とした点で有利誤認であるとされています。なお、「8週間」という基準については、平成18年に公正取引委員会が公表した「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」というガイドラインに記載のある数字です(このガイドラインでは、8週間の過半数に当たる期間で販売されていた価格を、比較対象の価格とすることを原則的な判断材料とする等々の考慮要素が明記されています)。



<事例4>
 X株式会社は、中古自動車を供給するに当たり、テレビコマーシャル、ラジオコマーシャル、駅貼りポスター及び自社ウェブサイトにおいて、「月々1,900円からクルマが買える」との音声及び「月々¥1,900~」との映像を放送し、供給する全ての中古自動車について、広告宣伝されているプランを利用すれば、月々1,900円の支払いのみで当該中古自動車が購入できる旨表示していた。
 しかしながら、実際には、当該プランにおいて月々の支払額を1,900円に設定した場合、別途、頭金及び年2回のボーナス時に月々の支払額に加算される金額を支払う必要があり、また、X株式会社が供給する全ての中古自動車について、当該プランを利用できるものではなかった。

◆コメント◆
 実際の事例はもっと色々な事情が記載されているのですが、分かりやすくするため半分以上を省略しています。
 これは、今までの単なる値段設定の問題に止まらず、「取引条件」本件では支払方法についても、消費者に誤解を与えるものとして処分されています。すなわち、プラン対象外の条件があるのであれば、きちんと分かりやすく明記すること(本件で言えば全ての中古自動車が対象となっていないこと)、支払方法についてボーナス払い等の変動があるのであれば、その点も明確にすること(本件では、頭金とボーナス払いがあるため、常に月1900円の支払いで済むわけではないこと)がポイントであり、その点について十分な説明・表示を行っていないことが消費者に誤解を与えるものとして処分されています。

 

 有利誤認については、上記の事例からも分かる通り、基本的には価格・値段の問題が大半を占めます。ちなみに、上記事例には取り上げていませんが、消費者庁のレポートには、ペニーオークションの事例なども掲載されていますので、興味のある方は検討してみて下さい(ポイントは市場価格より遙かに安く手に入れられると宣伝していても、結局は入札額と手数料等を合算すれば必ずしも安価とは言えないので、その点を十分に説明していない以上、問題があるとされた事例)。

 なお、取引条件に関するガイドラインとしては、「不当な割賦販売価格等の表示に関する不当景品類及び不当表示防止法第4条第2号の運用基準」というものも存在しますので、割賦販売を行う場合には、あわせて検討してみて下さい。


 

 優良誤認、有利誤認だけで「お腹いっぱい」かもしれませんが、まだまだ重要な概念が残っています。2つだけ取り上げようと思います。

 

 まず、1つ目は「比較広告」です。
 比較広告の定義については、消費者庁ができる前の所管であった公正取引委員会が、「自己の供給する商品又は役務(以下「商品等」という。)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品等として示し(暗示的に示す場合を含む。)、商品等の内容又は取引条件に関して、客観的に測定又は評価することによって比較する広告」と定義しています。

 まず、間違ってはいけないのが、比較広告が当然に禁止されているわけではありません。むしろ、一般消費者にとって同種の商品・サービスの品質や取引条件を適切に比較して判断するために有用なものといえます。
 しかしながら、虚偽比較はもちろんダメですし、恣意的な比較を行って他社商品が見劣りするように印象づけるなどすることは、一般消費者の誤認を招くものとなります。

 従って、比較広告を行うこと自体は禁止されませんが、一定の限界ラインを越えれば不当表示であるとして景品表示法違反の問題が発生すると理解すれば良いと思います。なお、この一定の限界ラインについては、「比較広告に関する景品表示法の考え方」というガイドラインを見て欲しいのですが、ポイントは次の3つの要件充足を図ることになります

 ① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
 ② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
 ③ 比較の方法が公正であること

 

 

 2つ目として、「おとり広告」を取り上げようと思います。
 おとり広告については、何となくイメージができるかと思いますが、ガイドラインである『「おとり広告に関する表示」等の運用基準』によれば、「広告、ビラ等における取引の申出に係る商品又は役務が実際には申出どおり購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認するおそれがある表示」と定義されています。

 正確には、前述の内閣総理大臣指定の「告示」では、次のような4類型が規定されています。

① 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示

② 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示

③ 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示

④ 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務についての表示

 リアル店舗にせよネット通販にせよ、集客しないことにはモノ・サービスを売ることはできません。このため、目玉商品を掲載した顧客誘引広告は古今東西行われており、この広告手法自体は全面的に禁止されていません。あくまでも商品・サービスを売る気が無いにもかかわらず、これを利用して他の商品を売りつけるやり方が禁止されているに過ぎません。
 要は、消費者にとって「だまし討ち」とならない広告手法を心がければ問題は生じないと思われます。

 

 

 最後に、「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」についてですが、これについては、先ほど解説した景品表示法上の「優良誤認」、「有利誤認」の問題と重複する部分があります。
 むしろ、ネット通販特有の問題として、ハイパーリンクの設定の仕方、情報の更新日に関する注意点が記載されていますので、その点を意識して読めば理解できるかと思います。

 一応ご参考までに、まとめた表を掲載しておきましたので、お目通し下さい。
 

ハイパーリンクを用いる場合

 

■リンク先に、商品・サービスの内容又は取引条件についての重要な情報を表示する場合、ハイパーリンクの文字列については、消費者がクリックする必要性を認識できるようにするため、「追加情報」などの抽象的な表現ではなく、リンク先に何が表示されているのかが明確に分かる「返品条件」などの具体的な表現を用いる必要がある。

■リンク先に、商品・サービスの内容又は取引条件についての重要な情報を表示する場合、ハイパーリンクの文字列については、消費者が見落とさないようにするため、文字の大きさ、配色などに配慮し、明瞭に表示する必要がある。

■リンク先に、商品・サービスの内容又は取引条件についての重要な情報を表示する場合、ハイパーリンクの文字列については、消費者が見落とさないようにするため、関連情報の近くに配置する必要がある。

 

 

■「気に入らなければ返品できます。」と強調表示した上で、「商品の到着日を含めて5日以内でなければ返品することができない。」という返品条件をリンク先に表示する場合、例えば、ハイパーリンクの文字列を、抽象的な「追加情報」という表現にすれば、消費者は、特段当該ハイパーリンクの文字列をクリックする必要があるとは思わずに、当該ハイパーリンクの文字列をクリックせず、当該リンク先に移動して当該返品条件についての情報を得ることができず、その結果、あたかも、返品条件がなく、いつでも返品することができるかのように誤認されること。

■「送料無料」と強調表示した上で、「送料が無料になる配送地域は東京都内だけ」という配送条件をリンク先に表示する場合、例えば、ハイパーリンクの文字列を小さい文字で表示すれば、消費者は、当該ハイパーリンクの文字列を見落として、当該ハイパーリンクの文字列をクリックせず、当該リンク先に移動して当該配送条件についての情報を得ることができず、その結果、あたかも、配送条件がなく、どこでも送料無料で配送されるかのように誤認されること。

■「1日3粒のダイエットサプリメント 1か月で10kg 減」と強調表示した上で、「痩せるためには一定の運動療法と食事制限が必要」という痩せるための条件をリンク先に表示する場合、例えば、ハイパーリンクの文字列を別のウェブページに配置すれば、消費者は、当該ハイパーリンクの文字列を見落として、当該ハイパーリンクの文字列をクリックせず、当該リンク先に移動して痩せるための条件についての情報を得ることができず、その結果、あたかも、何ら条件がなく、飲むだけで痩せるかのように誤認されること。

 

情報の更新日

 

■情報の更新日については、表示内容を変更した都度、最新の更新時点及び変更箇所を正確かつ明瞭に表示する必要がある。

■既に「新製品」でない商品等、表示内容が過去のものであって現在の事実と異なっているものについては、直ちにウェブページの内容を修正する必要がある。

 

■情報の更新日を表示せずに、例えば「新製品」や「最上位機種」などと商品の新しさを強調表示している場合、既に「新製品」や「最上位機種」でなくなったものであっても、いまだ新しい商品であるかのように誤認されること。

■情報の更新日を表示せずに、例えば「今日から1週間 大安売り」などと表示している場合、当該期間が経過し安売りが終了していたとしても、いまだ安売りが継続しているかのように誤認されること。

 

 

3.誇大広告禁止

 
■景品表示法以外に特定商取引法でも広告規制があることを理解しているか。

 

 特定商取引法上の広告規制の内容としては、次のようなものがあります。 

 

・当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容

・当該商品の引渡し又は当該権利の移転後におけるその引取り又はその返還についての特約

・商品の種類、性能、品質若しくは効能、役務の種類、内容若しくは効果又は権利の種類、内容若しくはその権利に係る役務の種類、効果

・商品、権利若しくは役務、販売業者若しくは役務提供事業者又は販売業者若しくは役務提供事業者の営む事業についての国、地方公共団体、・通信販売協会その他著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与

・商品の原産地若しくは製造地、商標又は製造者名

・法第11条第1項各号に掲げる事項(後述の販売条件の表示内容)
 

『著しく事実に相違する表示』

        又は

『実際のものよりも著しく優良、若しくは有利であると人を誤認させるような表示』 

 

 特定商取引法による誇大広告規制についても、景品表示法における優良誤認、有利誤認の問題と基本的には重複します。

 ただ、運用方法には決定的な違いがあるとされています。
 すなわち、景品表示法違反の場合は、違反事例として公表されるのが原則です(要は見せしめです)。一方、特定商取引法の場合、場合によっては業務停止命令という行政処分まで出ます(営業活動それ自体ができなくなります)。

 

 したがって、ネット通販事業者の場合、営業優先で広告を行ってしまうと業務停止命令まで受けてしまい、下手をすれば廃業さえ余儀なくされますので、十分な注意が必要です。 


 

4 アドワーズ・スポンサーチ(旧オーバーチュア)広告とキーワード選定

 
■他者の著名な単語(ブランド名やショップ名など)をキーワード広告として取り扱うことの是非。

  ・商標権侵害

  ・不正競争防止法


 ネット通販を行っても、インターネットという大海原の中で、自身が運営しているネットショップを顧客に見つけてもらわないことには、そもそも売ることができません。
 そこで、キーワード検索に関するSEO対策が必要となってくるわけですが、立ち上げ当初のWEB(ホームページ)は検索エンジンからの評価が低く、なかなか検索結果の上位に表示されないのが実情です。このため、手っ取り早く上位に表示させる方法の1つとして、アドワーズ(グーグルの場合)やスポンサードサーチ(ヤフーの場合)と呼ばれる検索連動型広告を用いることが多くなります。


 ところで、検索連動型広告を行うに際し、検索対象となる「キーワード」を選定し登録する必要があるのですが、商品やサービス名をキーワードと選定するのではなく、競業他社の名称や商品名などをわざとキーワードに選定し、競業他社の顧客の誘導を図ろうとする作戦が採られる場合があります(適切な表現ではないかもしれませんが、小判鮫商法と言っても良いかもしれません)


 例えば、私のような弁護士業界の場合、テレビ広告などを行って認知度が高い法律事務所としてITJ法律事務所というところがあるんですね。実際に「itj」と入力してヤフーで検索しますと…、スポンサードサーチ欄にはITJ法律事務所以外の弁護士事務所・司法書士事務所だらけです。

 

 ところで、当職が調査した限り、ITJ法律事務所は、「itj」で商標登録しています。また、全国的な知名度もあると思います。

 そうすると、スポンサードサーチに掲載している法律事務所等は、「ITJ」という名前を勝手にまたは乗っかって商売していますので、商標権侵害あるいは不正競争防止法違反の問題が出てくる可能性が実はあり得ます。

 ただ、これについてはあまり議論もされていないようで、調べた限りでは日本の裁判例も無いようです(ただ、当職が上手く発見できていないだけかもしれませんが…)。


 したがって、明確な結論を申し上げにくいのですが、リスクヘッジの観点からは、少なくとも、検索結果の画面上に「ITJ」という単語を表示させないように工夫した方がベターではないかという気がしています。

 

 今後、検索連動型広告を検討されている方は、この様な問題もあり得るかもしれないと頭の片隅にでも置いて頂ければと思います。




第3章 契約交渉の場面

1.特定商取引法と販売条件等の表示義務




 

 

■「特定商取引法に基づく表示」について、記載項目を理解しているか。

 

 

契約交渉の場面に位置付けるべきか、異論があるかもしれません。

 が、ネット通販のような顔の見えない販売形態の場合、まずは「自らの名前や属性」を名乗らないことには、なかなか購入者の信頼を得ることができませんし、法律も、購入前に販売業者の詳細情報を開示するよう求めています。


 そこで、この「契約交渉の場面」で、特定商取引法時に基づく表示を解説したいと思います。

 

 さて、特定商取引法が求めている開示事項は次の13項目となります

  


表示事項

記載例

① 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号

 

××株式会社(個人事業主であれば氏名)

大阪市××区△△1-1-1

06-6○○○-○○○○

 

 

② 販売業者又は役務提供事業者が法人であって、電子情報処理組織(販売業者又は役務提供事業者の使用に係る電子計算機と顧客の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名

 

ネット通販担当 ○○××(担当者名を記入)

①&②については、画面上に広告の冒頭部分を表示したときに認識できるよう記載するべき(通達)

③ 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)

 

商品代金は当サイトで表示された価格です。

送料は一律300円です。

送料について

①最高送料と最低送料

②平均送料

③送料の数例

H17.10.18付け通達に記載

 

④「③」に定める金銭以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額

 

組立て工事費として別途1000円発生します。

 

工事費、組立費、設置費、梱包料、代金引換手数料など

 

⑤ 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法

 

クレジットカード払いとなります。

商品発送段階で課金されます。

 

⑥ 申込みの有効期限があるときは、その期限

 

当サイト掲載日から1年以内とします。

 

⑦ 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

 

注文後7日以内に引き渡します。

 

「在庫あれば即日発送」「入金確認後発送」ではダメ!

 

⑧ 商品の引渡し又は権利の移転後におけるその引取り又は返還についての特約に関する事項(その特約がない場合には、その旨)

 

商品に欠陥(瑕疵)がない場合には返品に応じることはできません。

 

クーリングオフは通信販売では法定されていない。 「返品不可」であれば、その旨明示すること!! 返品の場合の送料負担についても記入すること(通達)

 

⑨ 商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容

 

商品に欠陥(瑕疵)がある場合には、欠陥(瑕疵)のない商品とお取り替え致します。

 

⑧とは異なり、業者側の債務不履行等がある場合を想定。

なお、一切免除とすると、消費者契約法により無効。

⑧と⑨については、差異が明確になるように記載すること!(例:「商品に欠陥がある場合を除き、返品に応じない」)

 

 

⑩ 磁気的方法又は光学的方法によりプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)を記録した物を販売する場合、又は電子計算機を使用する方法により映画、演劇、音楽、スポーツ、写真若しくは絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、若しくは観覧させる役務を提供する場合、若しくはプログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、若しくは記録させる役務を提供する場合には、当該商品又は役務を利用するために必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件

 

対応OS

必要メモリ:

ハードディスク容量:

ディスプレイ:

対応ブラウザ:

 

ソフトウエアの動作環境(例:OSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量)

⑪ 「④⑨⑩」のほか商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容

 

商品によっては、当サイトの商品表示欄に記載された条件がありますので、ご確認ください。

なお、利用規約についてはここをクリックして下さい。

(支払い条件はクレジット決済のみです)

 

送付する際の保冷剤・冷凍パック等の有無についても記載した方がトラブルを避けやすいかも・・・

 

 

⑫ 広告の表示事項の一部を表示しない場合であって、法第11条第1項ただし書の書面を請求した者に当該書面に係る金銭を負担させるときは、その額

 

 

 

⑬ 電磁的方法(法第11条第2項の電磁的方法をいう。第16条を除き、以下同じ。)により広告をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス

 

 

 

 この13項目のうち、一番注意したいのは、「⑧」です。
 いわゆる返品特約と呼ばれるものに関する記載ですが、販売事業者に責任がない場合、一切返品を受け付けたくないというのであれば、ここに明確に記載する必要があります。
 なお、返品特約については、この特定商取引法上の表示事項に記載する必要があることはもちろんですが、通達等を参照する限り、最低でも、「商品を選択する際の画面」、「商品購入時の最終確認画面」にも記載が必要になります。したがって、特定商取引法上の表示に記載しただけでは十分ではありませんので、この点にも注意が必要です。

 あと、よくトラブルになるのは「お金」の問題です。
 ここでは「③」と「④」になりますが、とにかくどの様な費用負担が発生するのか洗い出した上で、費用負担について争いにならないよう明確化するのが重要です。


 

 

2.利用規約・約款作成に際して特に留意しなければならない条項

 

■何でも了解(同意)さえ得れば「有効」となるわけではないことを理解しているか。

 

 ネット通販における画面遷移を見た場合、一般的には、そのネットショップ運営者が定める利用規約/約款に同意(クリック方式やチェックボックス方式などが考えられます)してもらった上で、利用可能な形式にしていることが多いかと思います。

 そうすると、「同意・了解してもらっているのに何故無効と言われなければならないのか?」という疑問が、ネットショップ運営者側から出てくるかもしれません。

 

 この疑問はごもっともなのですが、消費者契約法という法律が、「同意・了解を得ようが得まいが関係ない。法律の言う通りにしろ!」と定めていますので、如何ともしがたいのが実情です。

 消費者契約法を意識しながら、利用規約/約款を作成する必要があります。なお、ポイントをまとめると次のように整理できるかと思います。 

 


留意すべき条項

具体例

消費者契約法による修正

事業者の損害賠償の責任を免除する条項

① 事業者の債務不履行責任・不法行為責任を全部又は一部免除する条項(法8条1項1号~4号)

 

② 事業者の瑕疵担保責任を全部免除する条項(法8条1項5号)

 

① 無効(但し、軽過失一部免責の場合は有効)

ノークレーム・ノーリターンについては無効。

 

② 無効(但し、損害賠償責任は負担しないが、瑕疵のない物に代える・修補を行うと規定するのであれば有効。法8条2項)

 

消費者が支払う損害賠償の額を予定する規定(法9条)

 

①損害賠償額の予定・違約金が、解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合

②遅延利息につき年14.6%を越える場合

 

① 超える部分につき無効

 

② 超える部分につき無効

消費者の利益を一方的に害する規定

 

『民法、商法等の法律中の任意規定(公の秩序に関しない規定)の適用による場合に比べて、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する条項』

  +

『信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』

 

無効(法10条)

 

利用規約、約款等の一方的な変更についても予め了解する旨うたっている条項など

 


 

第4章 契約締結の場面

誤解を招かない注文画面・画面遷移   


■ガイドライン「顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の制限」を意識した画面表示にしているか。

① 販売業者又は役務提供事業者が、電子契約の申込みを受ける場合において、電子契約に係る電子計算機の操作(当該電子契約の申込みとなるものに限る。次号において同じ。)が当該電子契約の申込みとなることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこと。

② 販売業者又は役務提供事業者が、電子契約の申込みを受ける場合において、申込みの内容を、顧客が電子契約に係る電子計算機の操作を行う際に容易に確認し及び訂正できるようにしていないこと。


端的に申し上げると、「注文画面」と「最終確認画面」は別々に設けること、最終確認画面において訂正機の機会を与えること、この2点がポイントとなります。




2.操作ミスに対応できる画面設定 


■民法上の錯誤と電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法)を意識した画面構成にしているか。

  消費者のクリックミスであっても、消費者は注文の無効を主張できる。

      ↓

次のような対応策を講じていれば無効主張できない。

  1. 事業者(その委託を受けた者を合む)が、消費者からの申込みまたは承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込みもしくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置(確認措置)を講じた場合
  2. 消費者から事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合

 

■(最終)確認画面の重要性を意識して画面構成しているか。

  ・電子メール広告
  ・返品特約
  ・顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の制限
  ・電子契約法

 

 まず、1つ目のチェック事項ですが、要は、顧客より「クリックミスして注文してしまったので、発注取り消してください」と言われてしまうと、原則応じなければならないというのが、法律上の規定事項になっているという点を意識して欲しいということです。

 ただ、ネット通販事業者からすれば、「顧客が勝手にクリックミスしたのに、いちいち返品に応じていたらやってられない!!」と言いたくもなります。

 そこで、法律では、原則は上記の通りだとしても、救済策として、注文画面とは別に「最終確認画面」を設けていれば、顧客からの一方的な発注取消は認めなくて良いですよと例外規定を設けることにしました。

 ところで、この「最終確認画面」ですが、ネット通販を利用された方なら分かると思うのですが、商品を注文し、送付先や決済方法を選択した後に、「この内容で注文しますがよろしいですか」という問いかけ画面のことをイメージしてください。
 通販業者が親切でやっているのではなく、実は法律またはガイドラインでこの様な確認画面を用いるよう指定されているから、どの通販業者も注文後に確認画面を挿入し、キャンセルの機会を与えるシステムを構築しているのです。

 

 

 ここからは、ご参考までという言い方になってしまいますが、一口に確認画面と言っても、ネット通販の場合、この確認画面には色々な要素が含まれています。
 ちょっとまとめてみますと、次のような4つを意識する必要があるかと思います。

  

 

① 1つ目は、電子メール広告への対応です。やはり特定商取引法との関係しますし、他の法律の規制もありますので、総称で迷惑メール広告規制と呼ばれたりするのですが、広告メールを送信するのであれば、事前承諾が必要となっています。
ただネット通販業者としては、顧客が繰り返し注文を行ってもらった方が商売をしやすいので、過去に注文した顧客に対して、例えば新商品の案内等の広告メールを送信したいところです。そこで、注文時の確認画面に、今後、広告メールを送信することに関して承諾を得る形式にしておくことで、迷惑メール広告規制へ対応するという意味合いを持ちます。
 
② 2つ目は、平成20年12月の改正法により対応が必要となっている「返品特約」に関する対応です。この返品特約ですが、通販業者側には全く非が無い場合には、返品に応じませんと明記しておけば、返品に応じる必要は無いと特定商取引法が認めたものです。ただ、逆に明記してないor不十分な場合には、送料は顧客負担となりますが、8日間の間は無条件返品に応じなければなりません。
この様な返品特約への対応として、返品を受け入れたくない、又は返品に際しては条件を課したいというのであれば、確認画面上に明記するよう経産省は要請しています。確認画面は、この要請に合致させる意味合いを持つことになります。なお、返品特約の明記については、確認画面だけではなく、発注の際の画面にも記載する必要がありますので、確認画面だけでは不十分であることはご注意ください。
 
③ 3つ目は経産省が「顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の制限」と題するガイドラインを出しているのですが、そのガイドラインへの遵守を意味すること。難しい名称のガイドラインですが、要は注文内容を再確認させることで、注文者の勘違いをなくすように業者注意しろ!ということです。
 
④ 4つ目は電子契約法上のメリットを享受するため。正式な名称は「電子消費者契約及び電子承諾通に関する民法の特例に関する法律」といいますが、略して電子契約法とここでは言います。さて、この法律では、いわゆるクリックミスでの発注の場合には、原則として発注を無かったことにすると規定されています。要は消費者保護を図るという趣旨です。しかし、何でもかんでもクリックミスだと言われてしまうと、通販業者としてはたまったものではありません。そこで、電子契約法では、例外として、注文内容を確認する画面上の措置を講じた場合には、注文無効の主張を許さないと規定しています。そこで、通販業者は、無効主張を許さないようにするため、確認画面を設けるようにしています。 


 以上の通り、確認画面には、法規制との関係上、色々な意味合いを持つことになりますので、確認画面のコンテンツについては、制作業者とこの4つの意味合いをクリアーするような画面構成となるよう、十分に協議しながら制作する必要があります。



 

第5章 決済方法の場面

1.代金前払式通信販売と通知義務

 

■代金前払式通信販売とは何か理解しているか。
 当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供に先立って、当該商品もしくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領することとする通信販売
 
■一定事項を通知義務と免除の関係を理解できているか。
 当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付し、若しくは当該権利を移転し、又は当該役務を提供したときは、通知義務は免除される



 この辺りは、実務上は問題になることが少ないかもしれません。

 というのも、代金前払いでネット通販事業をを行うにしても、通達上、代金を受領してから1週間程度で商品等を引き渡せば、通知義務は免除されるからです。

 なお、法律論ではありませんが、ネット通販という特性上、あまり代金前払式は流行らないと言われていますので(顧客が発注を躊躇する傾向が強い)、決済方法については、カードや代引きを利用するなどして確実な決済を目指す方が無難なように思います。
 ちなみに、代金前払式とするばあい、前述の特定商取引法上の表示(前述の「第3 契約交渉の場面」に記載した表で言えば⑤及び⑦)についても反映させる必要がありますので、注意してください。



2.割賦販売法

 

■法改正により適用対象に変更があったことを意識しているか。

 ・2ヶ月以上の1回払い及び2回払いも適用対象(マンスリークリアーは対象外)
 ・指定商品・指定役務制度の廃止
   →割賦販売法の適用がある場合には一定事項の通知・開示義務


■ネット通販業者はクレジットカード番号等保有事業者として安全管理義務が課せられていることを意識しているか。

 


 ネット通販において、ネット通販事業者自らが分割払いによる決済方法を選択することは少ないかと思います。その点で、あまり実務上は問題となっていないようです。

 ただ、いわゆるカード決済を利用できるようにするために、カード会社と加盟店契約を締結する場合、注意が必要となります。

 

 すなわち、この場合、ネット通販事業者は、割賦販売法上の「包括信用購入あっせん」の加盟店として取り扱われることとなります。そして、ネット通販事業者は、販売データと売掛データとして、カード番号と有効期限が販売店は保有することとなりますので、クレジットカード番号等保有事業者となります。この結果、個人情報保護法とは別に、割賦販売法上の情報保護義務が課せられることとなります。

 この点は、一応意識した方がよいと思います。


 

 

第6章 トラブル事例への対応場面

1.価格誤表示のトラブル
 

 

■契約は成立したといえるか?(自動返信メールとの関係)

■利用約款上の対策を行っているか。

 ・「発送をもって契約成立」と規定?


■契約の成立は到達主義であることを意識しているか。

 

 先ほど述べた最終確認画面を経て、顧客が注文する旨のクリックを押した場合、最近ではシステム上、自動オート返信メール機能を用いて、顧客に注文したことが分かるようにプログラムされていることが多いと思います。

 このサービス自体は何ら問題がないのですが、このサービスの故に、変なトラブルに巻き込まれる場合があります。

 例えば、ネット通販を行った際、価格の誤表記、具体的には桁を1個少なくして表記してしまったようです。当然、激安商品ですので注文が殺到するわけですが、通販業者としては、幾らミスとはいえ、売れば売るほど赤字が拡大するような商売を行う訳にはいきません。そこで、法律上、そもそも価格の誤表記だから注文は成立していないのではと法律上言えないか問題となる訳です。
 若干理屈っぽい話となって恐縮ですが、売買契約というものは、買いたいという意思表示と売りたいという意思表示が合致して成立します。これをネット通販に当てはめた場合、一般的には、顧客が買いたいという意思表示を行い、この意思表示を受けて売り主である業者が売りますという返答をして売買契約が成立となります。この返答の一手段として電子メールが使われるのですが、電子メールで返信すれば常に売買成立となるかというとそういうわけではありません。たとえば数量限定の場合であれば、注文しただけで成立したとは言えないのはおわかり頂けるかと思います。

 さて、返信メールに「ご注文承りました」となっていた場合、この場合は売買契約が成立したと言えるでしょう。しかし、「注文内容は次の通りです。なお、ご注文の承諾の可否については、商品の発送に代えさせて頂きます」となっていた場合はどうでしょうか。理論上は、承諾したことになっていませんので、売買契約は成立していません。従って、この理論を用いれば、価格誤表示に基づいて発注があったとしても、売買契約は成立していない以上、その誤表示価格で売る必要は無いと言うことになります。

 

 つまり、何を言わんとしているのかと言いますと、ホームページ構築に際して、自動返信メール機能を付けると思うのですが、その返信内容について気を付けて欲しいと言うことです。ホームページ構築に際して、自動返信メール機能を付けると思うのですが、その返信内容について気を付けて欲しいと言うことです。

 


 

2.なりすましに関するトラブル

 

■本人確認をどの様に行うか。

 

 
 リアル店舗ではあまり問題とならず、ネット通販に特有の問題と言って良いかもしれません。

 確かに、本人が買いたいと言っていない以上、売買契約は無効となってしまうのが大原則なのですが、民法には表見代理という規定があり、要は、本人が買いたいと言ってきたと信じて疑わない事情があり、その様な事情の作出に本人に責任があるのであれば、例外的に無効とは言えないとされています。

 

 さて、ネット通販では、各利用者毎にIDとパスワードを発行し、これらの管理を本人に課していることが多いようです。これは、管理不十分でID・パスワードが漏洩し、IDとパスワードを第三者が用いて取引した場合には、無効と言われないようにするための一対応策ともいえます。

 この観点からすると、利用規約にはID・パスワードの管理や漏洩した場合の責任に関する規定は必須ではないかと思います。

 

 

3.未成年者と取消権

 

 ■年齢確認をどの様に行うか。
 

 

 これも民法の原則論からすれば、未成年者による取引については親権者が取り消すことが可能となっており、事業者にとっては非常に厳しいものとなっています(しかも商品の使用の有無を問わず、返金義務を負う)。

 ただ、一方で民法には例外規定として、未成年者が年齢を誤魔化して取引した場合には取消はできないと規定しています。従って、事業者としては、年齢確認を行ったにも関わらず、本人が嘘の情報を提示したという状況を作り出すことができれば、事業者にも救済の道が開かれることになります。

 なお、リアル店舗の場合であれば、ある程度外観等で分かるかもしれないが、ネット通販の場合、その様な確認はできませんので、年齢確認を行った方が無難という結論となります。しかし、現状のネット通販において、年齢確認を行うことがレアケースとなっており、なかなか導入がしづらいのが実情です。
 また、ネット通販の事例ではありませんが、過去の裁判例を紐解く限り、単に「20歳以上ですか」の二者択一型では不十分と言わざるを得ません。きっちり対策を行うのであれば、具体的な年齢を記載させる等の対策まで必要かもしれません。



 

4.返品に関するトラブル(不具合がない場合)

 

■クーリングオフの適用はないことを理解しているか。

■返品特約を設けないことには、商品受領後8日間の返品を受け付ける必要が有あることを理解しているか。

■「注文時の画面」と「最終確認画面」の両方で返品特約を明示することを意識した画面構成にしているか。

 ・経済産業省「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」を参照

 

 

 最近、消費者も色々な情報を持つようになり、クーリングオフを主張する人も多くなってきているようです。

 

 確かに、通信販売に関する規制を行っている特定商取引法にはクーリングオフに関する規定があります。しかしながら、通信販売に関しては適用除外となっています。

 従って、クーリングオフに関する規定は適用がありません。

 もっとも、クーリングオフに関する規定はないものの、特定商取引法では、①事業の責任ではない返品を受け付けたくないというのであれば、その旨明記しなければならない、②記載がないor不十分な場合は8日間の無条件返還を受け付けなければならない(たとえ事業者に責任がないとしても)とされています。


 このため先ほどからご説明申し上げている通り、きちんと明記した画面遷移を構築する必要があります。

 

 念のため、不具合のない返品と不具合がある返品との相違点について、まとめておきます。 

 


事業者に責任あり


事業者に責任無し


返品特約あり


○(=返品に応じる)


×


返品特約無し



△(8日間)

 

 

 

第7章 まとめ

ネットショップを行う際に気を付けたい法律と適用場面の関係 

 


業者


利用者(顧客)の行動


法律上の留意点

ビジネスモデル立案の場面

 

 

・許認可の関係【各種業法】

・ドメイン名紛争【不正競争防止法】

WEB制作契約【民法、商法など】

 

販促(広告宣伝)の場面

事業者が管理するWEB上で販売している商品・サービスに気が付く

 

・電子メール広告【特定商取引法、特定電子メール送信適正化法】

・広告内容に関する規制【景品表示法】

・誇大広告の禁止【特定商取引法】

 

契約交渉の場面

ネット通販にて購入する際の条件を検討する。

 

・通販業者が表示するべき事項【特定商取引法】

・利用約款の内容【消費者契約法、民法など】

 

契約締結の場面

ネット通販で商品・サービスを購入する意思決定を行う。

 

・誤解を招かない注文画面【特定商取引法】

・操作ミスに対抗できる注文画面【電子契約法】

決済方法の場面

購入した商品・サービスの支払を行う。


・誤解を招かない注文画面【特定商取引法】

・操作ミスに対抗できる注文画面【電子契約法】

・代金前払式通信販売と通知【特定商取引法】

・分割払い(※)【割賦販売法】

 

トラブル対応の場面

 

ネット通販による不満等についてクレームを申し立てる。

 

・解決基準【民法、商法、消費者契約法など】


賦販売法上の定義は、「2ヶ月以上の1回払い及び2回払い」と改正されていることに注意。


 

 

<ご注意>

この記事は平成23年8月30日に開催されたセミナーの講義録を元に作成したものです。できる限り内容は正確になるよう努めましたが、当職の勉強不足により誤っている部分があるかもしれません。従いまして、個別の事案の解決に際しては、必ず当該記事のみから判断せず、専門家にご相談の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。

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