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平成22年7月22日に開催された、「お店作りの法律(物販・ネット編)」の講演内容

 基本的には起業予定の方、または起業して間もない方を対象としていますので、その点、予めご留意の上、お読み頂けましたらと存じます。
 なお、以下のリンク先の記事につきましては、できる限り内容は正確になるよう努めましたが、当職の勉強不足により誤っている部分があるかもしれません。従いまして、個別の事案の解決に際しては、必ず当該記事のみから判断せず、専門家にご相談の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。 

 
・第1章 いざ独立へ! でもその前に(勤務先との関係)
・第2章-1 自分のお店を持つ!(リアル店舗編)
・第2章-2 自分のお店を持つ!(ネットショップ編)
・第3章 認知度とイメージアップを図る! 広告・宣伝の法律
・第4章-1 商品を仕入れて、売る!(仕入れ編)
・第4章-2 商品を仕入れて、売る!(販売編)
・第5章 トラブル発生!
 
 
 
 
 
 

第1章 いざ独立へ! でもその前に(勤務先との関係)

<次のような内容が記載された書面にサインした覚えはありませんか?> 

・顧客名簿等の秘密情報を自己又は第三者のために開示し使用しません。
・退職後は貴社と競業する会社に転職しません。また、自ら貴社と競業する事業を行いません。

 

 
 上記内容は、いわゆる秘密保持(NDA)に関する誓約、競業避止・禁止に関する誓約の問題と呼ばれるものです。
 これが厄介なのは、この様な合意も一応有効と取り扱われるにも関わらず(※もちろん職業選択の自由との関係がありますが、ここでは省略します)、この様な書面にサインした時点では、どの様な影響が出るのか全く気にしていないため、存在自体を忘れており、後で言われて大変なトラブルとなってしまうということになってしまいます。
 商売を始めるに当たって、昔は作法として「のれん分け」あるいは社長の了解を得てということが行われていましたが、最近ではその様なことも聞きませんし、むしろ社長には黙ってやっている人が多いかと思います。
 いずれにせよ、まず商売を始めるのであれば、最低限、次に記載したようなポイントを確認することをお奨めします。

 
【Point①】会社に在籍しながら副業するのであれば、副業が禁止されていないか就業規則・社内規程を要確認(労働契約上の労働者としての義務違反の問題)。
 就業規則や社内規程が存在する会社であれば、一般的には副業禁止とされています。これには色々な理由があるのですが、ともかく、形式的には会社に黙って副業するのは社内規程違反になる以上、懲戒処分の対象となってしまいます。また、社内で情報漏洩等の不詳が発生した場合、真っ先に疑われてしまい、自分がやっていないにもかかわらず嫌疑をかけられてしまうのは、あまり気分の良いものではありません。
 ちなみに、黙ってやっていても、副業で一定額の収入を得た場合、税務上(特に住民税の課税)の手続きや社会保険の手続等で会社にばれてしまう可能性がありますので、あまりお奨めはしません。

 
【Point②】退職してから始めるのであれば、入社時or退社時に誓約書を書いていないか要確認(不正競争防止法、秘密保持・競業禁止に関する誓約書違反の問題)
 ここで「不正競争防止法」という法律名が出てきましたが、詳細は避けますが、端的に申し上げますと、「他者のブランドに乗っかって商売してはダメですよ」とか「産業スパイを禁止する」法律だと思って下さい。
 ここで問題となるのは「産業スパイ禁止」の方、具体的には営業秘密の保護と呼ばれるものです。この営業秘密ですが、別に革新的な技術などに限ったことではなく、顧客名簿なんかも含まれる場合があります。例えば、実際にあった事例ですが、かつらメーカーの顧客リストを持ち出して、競業会社を立ち上げ、その顧客に対して営業を行った人については、営業の差し止めと損害賠償が認められています。
 また、不正競争防止法という法律を補完する意味で、入社時や退職時に枠囲みで書いたような秘密保持義務や競業禁止義務を負う旨サインしている場合もあります。この場合も、競業会社を作ったものなら、合意違反として大きなトラブル、場合によっては裁判沙汰になることもあり得ますし、反撃として、競合する取引先に対して悪評を流されたりする等の妨害行為を受けて、たちまち商売が成り立たなくなるということさえあります。
 従って、何らかの事情で勤務先に対して、予め説明ができない場合であっても、上記ポイント記載事項を参考に、何か問題にならないか気を付けるようにして下さい。

 
 

第2章-1 自分のお店を持つ!(リアル店舗編)

 さて、勤務先との関係で問題はなさそうだと判断できた場合、いよいよ自分のお店作りに入っていくわけですが、一昔前であれば、店舗を借りて、内外装工事をして、広告宣伝を行って、いざ開店…という流れだったのですが、ネット通販というジャンルができてから、必ずしも先ほど述べたような流れで店舗を開店させるという訳ではないようです。
 そこで、ネット通販の対義語として、お店を構えて店舗を持つという方法を「リアル店舗」と名付けで、以下、分けてポイントを述べたいと思います。

 

1.店舗の賃貸借契約

<賃貸借契約書の中に次のような文言はなかったですか?>
 
・契約期間は2年間とし、更新はありません。また期間満了まで解約はできません。
・契約終了の際、敷金(保証金)より3割を差し引いた残額を返金します。
・賃料は1年ごとに5%増額するものとします。
・水道光熱費、共益費等については別途賃借人が負担するものとします。

 

 店舗を借りる場合、立地の問題と賃料の問題に目が行きがちです。これはこれで当然意識してもらいたい問題なのですが、今後の商売のことを念頭に置いた場合、ここに書いたようなことにも意識を向けて欲しいなぁ、意識することで、今後の展開がしやすいor傷口を広げずに済むのではないかと思います。

 
【Point①】契約期間と更新の有無(自動更新、定期借家など)、更新料の要否
 まず一番気を付けたいのですが、この物件をいつまで使用することができるのかということです。ここでは「更新がありません」、法律的には「定期借家契約」と呼ばれる例をあげました。
 この定期借家と呼ばれる制度ですが、昔はこの様な制度はありませんでした。ですので、少し古い本を読むと、更新しない旨の特約を設けても無効と書いてありますので、それをそのまま真に受けてしまうことがあるのですが、今は違うということを強く意識して欲しいと思います。
 で、この定期借家と呼ばれる制度ですが、この文言の通り、端的に「2年経ったら出て行け!」と言われてしまう契約関係です。従って、もう少し延長して欲しい!と言ったところで通用しません。また、世間で言う立ち退き料なんて言うのも発生しません。
 つまり、2年頑張ってお店をやって、ようやく固定客も付いてきて安定してきたというときに出て行けと言われてしまうため、特に一般消費者向けサービスの場合には非常に厳しい制度です。従って、まずは契約期間の延長ができるのか、この点は十分にご注意頂きたいと思います。
 
 次に、仮に更新が可能であるとしても、更新に際して何か条件が付いていないかも確認事項となります。例えば、ここには書いてませんが自動更新条項と呼ばれるもの、典型的には「期間満了の1ヶ月前に双方が異議を述べなければ自動的に同一条件で延長しますよ」となっているのであれば、いきなり追い出されることはありませんので、とりあえずは一安心でしょう。もっとも、更新に際しては「更新料」が必要となっている場合もあります。私が知っている限りでは、首都圏と京都で多く見受けられるのですが、資金繰り等の関係も出ますので、意識的に見て欲しいと思います。ちなみに、最近報道などで、更新料特約無効と報じられていますが、あれはBtoC取引、つまり借り主が消費者の場合ですので、事業物件つまり事業主が借りる場合には、当然に無効とはなりませんので、注意が必要です。
 
 
【Point②】中途解約の可否
 傷口を広げないという意味で、中途解約が可能かも要チェックです。
 囲いこみの事例のように「途中で解約できません」となっていると、文字通り、賃貸期間までは賃料支払義務を負うこととなります。商売を始めたけれども、何らかの事情でこの物件から撤退したいという場合には、物件を使用しないのに賃料だけ支払わなければならないという最悪の事態も想定されますので、注意したいところです。
 
 
【Point③】敷金・保証金と敷引き
 契約当初の初期経費として敷金・保証金が必要となることは「当たり前」の世界になっていますので、最初に幾ら支払う必要があるのかは意識されていることが多いと思います。しかし、幾ら返ってくるのかはあまり意識されていないと思います。
 最近、良心的なところであれば、きちんと全額返金するところもありますが、多くは2割・3割の差し引き当たり前、下手すれば半分以上持っていくと言うところもありますので、物件から撤退した場合の資金繰りの観点から、また法律論とは離れますが、家主が良心的なところかを見極める意味でも、この点を意識してもらえればと思います。
 なお、これについても敷引き特約は無効であると報じられたりしていますが、やはり借り主が消費者の場合の事例ですので、事業主の場合には当然に無効となるわけではないことをご注意ください。
 
 
【Point④】賃料(家賃)の自動増額条項
 最近はあまり流行らないのですが、ちょっと一昔(典型的にはバブル期)の契約書なんかにはよく記載されていました。合理的な理由もなく、賃料が年々上がっていくのは、この不動産市況の中で不合理ですので、最終的には裁判まですれば無効とされる事例も結構ありますが、やはり契約書に記載されてしまうと、一応有効なものとして扱われてしまいますので、この様な特約が無いか気を付けたいところです。
 なお、最近では、家主としてもテナントを埋めるために、最初の1年くらいは相場より賃料を低く抑え、2年目以降に増額させるという方法を採っています。先ほど、この様な自動増額条項は無効とされる事例をも結構あると申し上げましたが、今述べたような事例は、当初は相場より賃料を低く抑えて、後で相場に戻すというパターンですので、直ちに不合理とまでは言えません。従って、無効とはならないと考えられますので、この点は分けて考えてください。
 
 
【Point⑤】賃料(家賃)以外に発生する費用(共益費、管理費、水道光熱費など)
 この点は、借りる際のランニングコストになりますので、ある程度は意識されている方が多いと思うのですが、坪単価が安いと思っても、共益費等を別に徴収されることで、トータル的には高い…というパターンもあります。
 また、水道光熱費については実費負担となっているだけで、具体的な金額が契約書に反映されてないことが多いです。例えば、家主さんがメーターを計上してその分をテナント割りで負担するという所もまだまだあるのですが、思っていた以上に実費負担が重いという場合もありますので、過去実績等をきちんと聞いた方がトラブルが少ないと思われます。
 
 
【Point⑥】不動産登記簿から情報を掴む(後で使用できないと言われるリスク)
 これは枠囲みの事例ではないのですが、ある程度物件に目星を付けたのであれば、物件の不動産登記簿を閲覧することをお奨めします(管轄の法務局に行けば、おそらく1000円もあれば閲覧は可能です)。なお、仲介業者がいるのであれば仲介業者から、直接家主と交渉しているのであれば、家主に依頼して見せもらうのでもいいでしょう。
 で、ここで何を確認するのかという点ですが、不動産登記簿の最後の方に「乙区欄」と記載されたところがあります。そこに抵当権が設定されていないかを確認して欲しいのです。何故、確認して欲しいのかと言いますと、家主さんの何らかの事情で、テナントビルが競売となり、誰かが競り落とした場合、競り落とした人から「出て行け!」と言われてしまうからです。残念ながら、一定の猶予期間、6ヶ月ですが、これを経過してしまうと、物件を賃借することができません。従って、抵当が付いている場合には要注意ですし、変な話にはなりますが、抵当権が設定されているのであれば、家主さんの信用力を見極めなければならないことになります。
 なお、競り落とした側としても、収益物件を目論んで、テナント使用を認める場合がありますが、不利な賃借条件、例えば、再度敷金を入れ直すこと、家賃アップ等の条件提示があるようです。
 残念ではありますが、競り落とした側がイニシアチブを握っていますので、この様な条件提示は飲まざるを得ないのが実情です。ちなみに、旧家主に敷金を入れていたからそちらを流用したいと言ったところで、それは通用しません。競り落とした人が旧家主より敷金を引き継ぐ義務はありませんし、また回収する義務もないからです。
 
 
 

2.内外装業者との請負契約

<請負業者との受発注内容は明確ですか?>


発注書or受注書にある「店舗請負工事一式」


 多くの受発注書に記載があるのですが、正直申し上げて、トラブルとなった場合には、この表記では確実な裏付けとならず、弁護士としても一番困ってしまうことが多いです。
 といいますのも、トラブルになるパターンは、①イメージしていた工事内容とは違うのでやり直して欲しい、②工事が不十分なのできちんと完成させて欲しい、③工事内容に不具合があるので修繕して欲しい等々なのですが、必ずといって良いほど請負業者側からは、①注文内容は此れ此れなので、希望するようなものであれば別途追加工事となります、②工事はこれで完成しており、不十分ではない、③工事に不具合はない、と反論されてしまい、話が進まなくなるからです。
 何故、この様な事になってしまうかというと、「店舗工事請負一式」では、結局どの様な工事をするのか全く分からないということに原因があります。

 
【Point①】何を何処まで工事してもらうのか明確になっているか
 結局のところ、完成という円を描いた場合、この円からはみ出る部分については、「別途工事=費用負担あり」、円の虫食いとなっている部分については、「不具合=補修対象」となるとイメージづけることができます。
 しかしながら、この円の外縁について統一的なものがなくなってしまうと、双方に認識のずれが生じてしまいます。
 従って、発注に際しては、できる限り設計図書と呼ばれる書類(典型的には設計図や仕様書)を発行してもらうようにするべきです。ただ、小さな店舗の場合、いちいち設計図書を作成しない場合もあり得ますので、その場合にはせめて完成イメージ図を作成してもらい、そこに要望事項(例えば材質とか色、機能など)を全て書き込み、お互いこれを前提にしていることが分かるようにするべきだと思います。
 また、この様なトラブルに付随するのが代金支払いについてです。注文者側としては、前払ではなく、代金支払いは工事の進捗状況に応じて出来高払いになるよう、交渉するべきかと思います。
 
 
 

第2章-2 自分のお店を持つ!(ネットショップ編)

<どの様なWEBページを制作してもらえるのか明確になっていますか? 何を表示し、どの様なシステムを構築するべきかイメージできますか?>
 
・契約書にある「ホームページ制作一式」という表記
・「特定商取引法に基づく表示」、「確認画面」というWEBページと内容
・注文完了後の「ご注文ありがとうございます。ご注文内容は以下の通りです…。」という自動返信メール

 
<参考>リアル店舗との比較・物件の賃借(サーバーのレンタル)
・物件の立地・住所(ドメイン、アドレス)
・内外装工事(ホームページの制作、特にコンテンツ)
・広告宣伝(SEO対策、検索連動型広告、メール広告など)
・開店(WEB上の買い物かごの機能←システムの構築)
 
 
【Point①】何を何処までWEBページを作ってもらえるのか(ページ数等の上限・仕様、更新の可否・追加費用、著作権、ドメイン管理、サーバー管理など)
 先ほど述べた通り、「○○一式」とされてしまうと、何が完成なのか不明確となるため、店舗の内外装工事と同じ問題が生じてしまいます。結局は注文者と制作会社との認識共有ができていないことが原因となっています。
 ところで、リアル店舗での内外装工事の場合、ある程度限定された空間の中でどの様に工事するのかという話なので、対象を絞って行きやすい側面もあります。しかし、ホームページ制作の場合、無限定な空間であるため、ますます外縁が不明確となり、あれもこれもとなってしまいやすい傾向が生じます。また、内外装工事と比較して、完成・イメージ図というのものが出しづらいのも実情となっているようです。
 従って、ネット通販用のホームページを制作してもらうのであれば、何を何処までやってもらうのか、またアフターフォローは何処まで付いているのか、個別に確認するしかないと思います。私個人として思いついた事項は(  )に書いた通りですので、1つ1つ確認してみたいと思います。
 
 「ページ数等の上限」については、多くの業者では1頁当たり幾らという単価計算をすることが多いようです。しかしながら、発注者自らがサーバーを準備した場合にあり得るのですが、サーバーの容量との関係でWEBページを制作しても、実際にはアップロードできない場合がある、でも制作費用は請求されてしまうというトラブルがあり得ます。従って、事前に詰めておきたいところとなります。なお、よくあるのが、5頁分は基本料金の範囲内、以後追加毎に○万円等となっていた場合、業者がはっきり言わず&あれもこれもホームページに掲載したが為に後で予想しないような請求が来るというパターンです。
 
 「ページの仕様」については、例えば、フラッシュや動画を掲載する場合には別料金になるとか、SSL機能を用いる場合には別料金となることが多いので、要注意です。
 
 「更新の可否」については、小売等であれば、出店商品の入れ替えが発生するところ、入れ替えの度に業者に依頼しなければならないとなると更新料がいちいち発生するため、機動的な商品掲載ができないという場合があります。もっとも、最近では、自分で更新できるタイプが多いので、そちらにしてもらった方が良いと思います。ちなみに、業者としては初期の作成費用を低額に抑え、その後の更新作業で利益を取っていくビジネスモデルを想定している場合もありうるので、その辺は要相談になると思います。
 
 「著作権」については、ホームページを構成するプログラムソースや画面上の映像・画像等について業者側に著作権がある場合、内容の変更を勝手にするわけにも行きませんし(形式的には著作権侵害です)、また、著作権を盾に簡単には業者の乗り換えができないという問題が生じることもあります。
 
 「ドメイン管理」「サーバー管理」については、ドメインやサーバーの契約名が業者である場合、業者が変更手続きを行ってくれないことには、簡単に業者の変更ができないという問題があります。
 
 
【Point②】ホームページ制作とは別費用となっているサービスは何か(サーバー代、SEO対策、更新費用、ヤフーカテゴリ登録代行、オーバーチュア・アドワーズ等への広告代行など)
 賃貸借なんかでは、ある程度どれくらいの費用が発生するのか「常識の線」というのがありますが、ホームページの制作については、まだ浸透し切れていないため、どの様な費用が発生するのかよく分からないというのが実情です。
 先ほど申し上げました、コンテンツの更新に際して費用が発生するのか、という点の他にも、括弧内で記載したような費用はどうなるのか、よく確認する必要があります。
 なお、特に最近多いなぁ…と感じる相談は、ホームページの製作に際してリース契約を締結したという事例です。ご承知の通り、リース契約は途中で解約できませんし、解約しようものなら、残額を一括で支払うよう言われてしまいますので、不要となったときのトラブルリスクが極めて高い形式となります。そして、ホームページ・ネット通販が未だ「売上アップが実現する魔法の道具」のようなイメージがあるため、月々の維持費用の安さだけで、ホームページリースを組んでしまう方が後を絶たないようです。
 別に、ホームページリース業者全てが悪とは言いませんが、制作業者は先にリース会社を通じて全額支払いを受けているため、後は知らないという態度を取ることが多いこと、そして、総額的には高い金額を支払わされていること、アフターフォローやメンテナンス維持管理が不十分であること、コンテンツの更新もままならないことから、どうしてもトラブルになりやすい土壌があります。
 従って、ホームページをリースで組むのであれば、一呼吸おいて、契約の必要性を判断してもらえればと思います。
 
 
【Point③】ネット通販は特定商取引法上の「通信販売」に該当するので、一定の表示が義務づけられる。
 特定商取引法とは何?というそもそもの問題があるのですが、一言で申し上げれば、商売類型に応じて規制している法律です。典型的には訪問販売や電話勧誘販売に対する規制なのですが、この法律の中には通信販売という項目があり、ネット通販も通信販売に該当しますので特定商取引法の規制が及ぶことになります。
 で、この特定商取引法によれば、表示するべき事項が定められており、おおまかには13項目の掲載が必要となります。1つ1つの解説は時間の都合上できませんが、大手の通販会社のWEBページに行けば、ページの右下の方などに「特定商取引法上に基づく表示」というリンクが貼られていて、そこをクリックすれば、業者名や代金決済方法などが記載されていますので、ご参照頂ければと思います。1つ1つの解説については、一番安心なのは経済産業省のホームページに概略が出ていますのでご参照頂けましたらと思います。さらに、手前味噌となり恐縮ですが、私のホームページも解説記事が掲載されていますので、1つの参考として見て頂ければと思います。
 なお、特に注意して欲しい掲載項目は「商品代金以外に発生する費用をあますことなく記載すること」、「返品について特約があるのであればその点を記載すること」かと思います。
 
 
【Point④】ネット通販の場合、「確認画面」には色々な意味合いが出てくる。
 この「確認画面」ですが、ネット通販を利用された方なら分かると思うのですが、商品を注文し、送付先や決済方法を選択した後に、「この内容で注文しますがよろしいですか」という問いかけ画面のことです。別に、通販業者が親切でやっているのではなく、実は法律またはガイドラインでこの様な確認画面を用いるよう指定されているから、どの通販業者も注文後に確認画面を挿入し、キャンセルの機会を与えるシステムを構築しているのです。
 なお、このような確認画面を介さずに、いきなり「契約成立しました」となると、いわゆるワンクリック詐欺なんて呼ばれる可能性も有り、あまりイメージはよくありません。

 ちなみに、一口に確認画面と言っても、ネット通販の場合、この確認画面には色々な要素が含まれています。

 

1. 1つ目は経産省が「顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の制限」と題するガイドラインを出しているのですが、そのガイドラインへの遵守を意味すること。難しい名称のガイドラインですが、要は注文内容を再確認させることで、注文者の勘違いをなくすように「業者が注意しろ!」ということです。
 
 
2. 2つ目は電子契約法上のメリットを享受するため。正式な名称は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といいますが、略して電子契約法とここでは言います。さて、この法律では、いわゆるクリックミスでの発注の場合には、原則として発注を無かったことにすると規定されています。要は消費者保護を図るという趣旨です。しかし、何でもかんでもクリックミスだと言われてしまうと、通販業者としてはたまったものではありません。そこで、電子契約法では、例外として、注文内容を確認する画面上の措置を講じた場合には、注文無効の主張を許さないと規定しています。そこで、通販業者は、無効主張を許さないようにするため、確認画面を設けるようにしています。
 
 
 3. 3つ目は、平成20年12月の改正法により対応が必要となっている「返品特約」に関する対応です。この返品特約ですが、通販業者側には全く非が無い場合には、返品に応じませんと明記しておけば、返品に応じる必要は無いと特定商取引法が認めたものです。ただ、逆に明記してないor不十分な場合には、送料は顧客負担となりますが、8日間の間は無条件返品に応じなければなりません。この様な返品特約への対応として、返品を受け入れたくない、又は返品に際しては条件を課したいというのであれば、確認画面上に明記するよう経産省は要請しています。確認画面は、この要請に合致させる意味合いを持つことになります。なお、返品特約の明記については、確認画面だけではなく、発注の際の画面にも記載する必要がありますので、確認画面だけでは不十分であることはご注意ください。
 
 
4. 4つ目は、電子メール広告への対応です。やはり特定商取引法とも関係しますし、他の法律の規制もありますので、総称で迷惑メール広告規制と呼ばれたりするのですが、広告メールを送信するのであれば、事前承諾が必要となっています。ところで、ネット通販業者としては、顧客が繰り返し注文を行ってもらった方が商売をしやすいので、過去に注文した顧客に対して、例えば新商品の案内等の広告メールを送信したいところです。そこで、注文時の確認画面に、今後、広告メールを送信することに関して承諾を得る形式にしておくことで、迷惑メール広告規制へ対応するという意味合いを持ちます。 

  

 以上の通り、確認画面には、法規制との関係上、色々な意味合いを持つことになりますので、確認画面のコンテンツについては、制作業者とこの4つの意味合いをクリアーするような画面構成となるよう、十分に協議しながら制作する必要があります。

 
 
【Point⑤】自動返信メールで成立は成立?(特に価格誤表示への対応)
 先ほど述べた確認画面を経て、顧客が注文する旨のクリックを押した場合、最近ではシステム上、自動オート返信メール機能を用いて、顧客に注文したことが分かるようにプログラムされていることが多いと思います。
 このサービス自体は何ら問題がないのですが、このサービスの故に、変なトラブルに巻き込まれる場合があります。例えば、ネット通販を行った際、価格の誤表記、具体的には桁を1個少なくして表記してしまったようです。当然、激安商品ですので注文が殺到するわけですが、通販業者としては、幾らミスとはいえ、売れば売るほど赤字が拡大するような商売を行う訳にはいきません。そこで、法律上、そもそも価格の誤表記だから注文は成立していないのではと法律上言えないか問題となる訳です。
 若干理屈っぽい話となって恐縮ですが、売買契約というものは、買いたいという意思表示と売りたいという意思表示が合致して成立します。
 これをネット通販に当てはめた場合、一般的には、顧客が買いたいという意思表示を行い、この意思表示を受けて売り主である業者が売りますという返答をして売買契約が成立となります。この返答の一手段として電子メールが使われるのですが、形式的に、電子メールで返信すれば常に売買成立となるかというとそういうわけではありません。たとえば数量限定の場合であれば、注文に対して、在庫確認しますと電子メールで返信した場合にまで契約が成立したとは言えないのはおわかり頂けるかと思います。
 さて、返信メールに「ご注文承りました」となっていた場合、この場合は売買契約が成立したと言えるでしょう。しかし、「注文内容は次の通りです。なお、ご注文の承諾の可否については、商品の発送に代えさせて頂きます」となっていた場合はどうでしょうか。理論上は、承諾したことになっていませんので、売買契約は成立していません。従って、この理論を用いれば、価格誤表示に基づいて発注があったとしても、売買契約は成立していない以上、その誤表示価格で売る必要は無いと言うことになります。
 つまり、何を言わんとしているのかと言いますと、ホームページ構築に際して、自動返信メール機能を付けると思うのですが、その返信内容について気を付けて欲しいと言うことです。
 
 
【Point⑥】モールへの出店、オークションへの出品 
 囲み部分には出ていないが、例えば楽天モールに出店する、ヤフーオークションに出品する等の商売を行う場合があると思います。時間の都合上細かいことには触れませんが、モールの出店やオークションの出品には様々な費用が発生すること、しかも商売の成否にかかわらず固定費で発生する場合が多いので、注意をして欲しいと思います。何故、この様な事に触れるかと言いますと、ネット通販の場合、初期経費がリアル店舗よりかからない、下手をすれば限り無くゼロに近付くため、出店へのハードルが低く、ネット=費用がかからないと勝手に思い込んでしまう場合がままあります。この様な意識のまま、モール等に出店すると考えてみなかった費用が発生し経費ばかりかかってしまって利益が残らないという実例が非常に多いからです。
 また、往々にして、楽天にしろヤフーにしろネット上の場所を貸しているだけであって、顧客とのやり取りは直接しろという態度ですので、何かトラブルが起こった場合、助けてくれません。特に債権回収等については自分でやる必要があり、楽天やヤフーがいくら信用力の高い会社であっても、その利用者である顧客が信用性が高いという関連性は全くありませんので、この点も注意が必要です。
 いずれにせよ、約款はよく読むことが大切です。
 
 
【Point⑦】決済方法
 平成20年12月に割賦販売法が改正された関係上、金融業界の過剰反応とでもいうべきか、カード代理店として認めてもらえず、カード決済を利用できない場合が出てきているようです。
 従って、ネット通販を行う際、カード決済を行うのであれば、必ず事前に確認する必要がある。
 なお、顧客との間で分割弁済を認める場合、割賦販売法への対応が必要となってくると思われますので、その点にも注意が必要です。
 
 
 

第3章 認知度とイメージアップを図る!~広告・宣伝の法律

<マーケティングという名の下、次のようなことはしていませんか?> 

 

・インターネット上に、自分のイメージとピッタリ合う画像があったので、チラシやホームページに借用した。
・市販のCDの音をデータ化し、ホームページのバックミュージックに利用した。
・日本産の原材料は一部しか含まれていない商品なのに、「国産商品」として販売した。
・元々1000円で売るつもりの商品を「1500円 1000円」と表示して販売した。
・集客のために「来店者にはもれなく○○プレゼント」と広告した。
・電子メールを用いてメール広告を行った。


 最近マーケティングに関する情報が溢れているため、ある程度自分自身で勉強し、実践する方が多くなってきています(私もその一人ですが…)。
 ところで、最近「フリー」という言葉がキーワードになってきており、さらに拍車がかかってきているように思うのですが、情報、特にネット上の情報(=コンテンツ)については、無料であり自由に用いてよいというイメージがあるように感じています。
 しかし、このような認識は明らかに間違いであり、この認識のまま商売を行うことは後で手痛いしっぺ返しを喰らうので要注意です。
 
 
【Point①】インターネット上に溢れる「情報(=文章、キャラクター、画像・映像、動画など)」に関するルール(著作権や肖像権の問題)
 ネット上の情報は誰でも見られるため、フリーで使用できるという間違ったイメージがあるようです。
例えば、写真には写真家の著作権が、画像には画像制作者の著作権が発生しているため、無断使用は許されません(端的に著作権侵害となります)。
 ところで、偶に「著作権フリー」という表示を見かけることがありますが、これをそのまま真に受けて、無料&自由と捉えることは危険です。必ずといって良いほど利用規約があり、例えば、「私的利用はOKだが、商業使用はダメ」とか、「利用に際しては作成者の名前を表示する」等の条件が設定されていることが多いと思います。昔から「タダほど怖いものはない」と言ったりしますが、この場合も、どんな条件が付いているかしっかり確認することが肝要です。
 あと、自分で撮影したから問題ないとして、例えば、自らが撮影した有名人の写真を無断で拝借した場合、明文上の規定はありませんがパブリシティ権侵害として警告を受けることがあります。また一般人を対象としていても肖像権やプライバシー権の問題が発生し得ます。いずれにせよ人様を勝手に掲載することは避けた方が無難です。
 
 また、よく相談を受ける事例として音楽の使用に関するものがあります。枠囲みの事例もそうですが、市販のCDを購入し、それをお店で流していたところJASRACから警告やライセンス料の請求を受けたという事例などです。
 音楽著作権の問題は本当にややこしく、「え…なんで!?」というところもあるのですが、私的に使用することは許されても、商売道具として使用することは禁止されていることが多いと考えた方が無難という印象を持っています。
 
 
【Point②】広告法という法律は無くとも、景品表示法がある(優良誤認、有利誤認、二重価格、おとり広告、比較広告など)
 「優良誤認」とは、イメージしやすく申し上げるのであれば、商品・サービスの内容を他者より優れているとイメージ付けようとしたが、行き過ぎが生じた場合のことを言います。例えば、囲みの中に記載したような、特に飲食料品の場合なんかが代表例になると思いますが、原材料となる国産牛肉は一部しか使われていないのに、半分以上は外国産牛肉であるにも関わらず、国産品として表示することは、一般的に飲食料品であれば国産品の方が優れているとイメージされていることから、不当な表示とされてしまいます。
 
 「有利誤認」とは、これまた誤解を恐れず申し上げれば、商品・サービスの値段が他者よりも勝っているとイメージ付けようとして、行き過ぎが生じた場合のことを言います。例えば、値段が安いと言うことは消費者に対する大きなアピールポイントになりますが、「●●店より安い店」と銘打っていたが、実は●●店舗で更に安い商品があった場合には、完全に誤りと言うことになりますので、不当表示として禁止されることになります。
 
 「二重価格とは」とは、囲み部分にも記載した通り、通常その価格で販売していないにもかかわらず、あえて打ち消し表示を行うことで、安く売っているというイメージを持たせる広告手法のことです。これが禁止されるのは、実際に販売していない価格を打ち消している点でフェアーではないとされるからです。
 
 「おとり広告」とは、例えば、本当は売るつもりがない、または数量限定のため来店者に売ることが出来ないにも関わらず、激安のおとり(つり)商品を広告に並び立てておき、顧客を呼び寄せ、他の商品を買わせる広告手法のことをいいます。
 
 「比較広告」とは、例えば、この製品に用いられている技術は当社オリジナルの特許技術ですと銘打ち、他者と比較して、いかにも優良な技術が組み込まれていると広告しておきながら、実は他社製品にも当該技術が組み込まれていた場合などが代表例です。
 
 
【Point③】景品類の提供に関する制限(景品表示法)
 先ほどの広告表示に関する法律は景品表示法だったが、ここでも景品表示法が問題となっています。
 この景品表示法については、調べてもよく分からないし関係のない情報が検索に引っかかるとしてご相談を受けることが多いのですが、「景品/表示/法」とぶった切り、景品に関する法律と広告表示に関する法律の2種類が含まれている法律であると割り切って(?)考えればイメージしやすいし、ネット等で情報を拾う場合に間違えないかもしれません。
 ところで、景品に関する規制としては、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」「オープン懸賞」の4パターンがあり、それぞれ規制内容が異なります。枠囲みのものは総付景品と呼ばれるものであり、取引価額が1000円未満であれば200円、1000円以上であれば取引価額の1/2と上限がありますので、注意が必要です。なお、詳しい解説は消費者庁のWEBに記載されています。
 
 
【Point④】迷惑メール防止に関する法律(特定商取引法、特定電子メール法)
 先ほど「確認画面」の中でも少し触れましたが、電子広告メールは広告手段であることから、ここで再度触れておきます。
 迷惑メール広告規制については、特定商取引法と特定電子メール法の2つがあり、内容的には大きな相違はありません。あえて違いを言えば、特定商取引法は経済産業省が所管、特定電子メール法は総務省が所管というお役所の縦割りといったところでしょうか…。まぁ、それはともかく、通販事業者の場合はどちらの法律でも規制されますので注意が必要です。
 結局のポイントは広告メールを送信するのであれば事前承諾が必要という点です。平成20年11月30日まではオプトアウト制度、つまり承諾無くても送信はOK、但し受信者より送らないでくれ!と言ってきた場合には送信してはダメという規制になっていました。
 しかし、平成20年12月1日以降は、オプトイン制度すなわち事前に承諾を得ないことには送信自体ダメと言うことに改正されているので、要注意です。少し古い書籍を読むと未だこの点の改正に対応していないので、間違えないようにしてください。
 
 
 

第4章-1 商品を仕入れて、売る!(仕入れ編)

<仕入れ業者からの売買契約書の中に、次のような文言はなかったですか?>

 

・引渡を受けてから24時間以内に検収を行うものとし、異議がなければ合格したものとみなします。
・商品の所有権は代金決済時に移転するものとします。
・商品の引渡後1ヶ月以内に瑕疵が発見された場合には、代替品の納入のみ対応します。上記期間経過後は一切の責任を負担しません。
・商品に起因して第三者と紛争が生じた場合、商品代金額を上限として損害賠償に応じます。
 


【Point①】納入・引渡条件と検収に無理が生じていないか
 商品を引き渡してもらい、数量不足がないか、キズや汚れがないか等の検査を行うことを「検収」といいます。そして一般的には検収の前後を通じて、仕入れ商品に対してクレームを言えるか否かの分水嶺となりますし、他方で代金支払義務の確定という効果をもたらします。

 このため、検収の完了というのは法律上は大きな意味を持つため、仕入れる側としては時間的に余裕が欲しい、売る側としては早く検収完了させたいという利害が対立する場面であるのが実情です。このため駆け引きとなってしまうのですが、枠囲みのように24時間となると余裕があるとは言い難いので、例えば「せめて3日下さい」とかの交渉が必要になるかと思います。
 
 
【Point②】所有権の移転時期と他人物売買?
 枠囲みのような内容の場合、例えば、仕入れて直ぐに顧客に販売した、しかし仕入れ業者側との代金決済が未了の場合、形式上は、仕入れ業者に所有権があるものを顧客に販売したことになります。この様に他人の物を販売したことを他人物売買というのですが、法律上は有効です。ただ、代金決済ができなかった場合、当然、仕入れ業者としては引き上げにかかりますので、法律上通用するかどうかはともかく、場合によっては顧客の元に引き上げに行くかもしれません。こうなると顧客とのトラブルは必須ですし、何より信用がた落ちで商売を続けること自体が危うくなってしまうでしょう。
 多くの事例ですが、先ほどの検収完了と同時に所有権は移転するとすることが多いので、その様な修正が図れないか交渉してみるべきではないかと思います。
 ちなみに、所有権の移転時期を遅らせるのは、売り主側からすれば債権回収のための担保を取るための意味合いを持ちます。
 
 
【Point③】不具合が生じた場合に何処まで責任を取ってもらえるのか。
 先ほどの検収作業というのは、数量不足とか外観上キズがないか等、例えるなら「パッと見」で不具合があるかの調査のことを指します。
 ただ、いちいち全ての商品を箱から開けて動くのか等調査はできませんので、実際には検収完了後に不具合が分かるという場合も十分想定されます。この様な検収完了後に発見された、パッと見では分からなかった不具合のことを法律上は「隠れたる瑕疵」と言うのですが、この「隠れたる瑕疵について責任取って!」という法律上の権利のことを瑕疵担保責任と言います。
 商法上は瑕疵担保責任は引渡後6ヶ月と規定されているのですが、当事者の力関係により長くなったり短くなったりします。起業したての場合、どうしても弱い立場になってしまうので、短くなってしまうことが多いのですが、仕入れてから顧客に販売するまでのサイクルというのはある程度分かるはずですので、そのサイクルに応じて瑕疵担保責任の期間を設ける交渉を行うのも一案ではないかと思います。
 なお、もし瑕疵担保責任の期間を経過後に、顧客より不具合のクレームを受けた場合、ケースにもよりますが、顧客への対応は自分で行う必要がある、しかし仕入れ業者には文句が言えないと言うことで、結局は自腹を切らなければならないというケースも想定されますので、注意が必要です。
 また、損害賠償額の上限がある場合も、上限額を超える部分については自腹を切ることになりますので、やはり要注意です。
 
 
【Point④】輸入商品の場合
 外国から商品を輸入する場合、国内取引と大きく事情が異なりますので注意が必要です。時間の都合上、全てを説明することは無理ですが、せめて今から述べるような点には注意をして欲しいと思います。なお、JETRO(日本貿易振興機構)のWEBが非常に参考になると思います。
・略して外為法と呼ばれる外国為替及び外国貿易法で輸入が禁止されている物品に該当しないか。
・関税の問題はクリアーできるか。
・顧客への販売価格の決定に際して、輸送費を考慮できているか(INVOICE上のEXWORK、FOB、CPT、CIF等の表記の意味)
・輸送中の事故等により商品がダメになった場合、商品代金支払義務を負うことになっていないか(危険負担の問題)
・製造物責任法、いわゆるPL法への意識があるか(=輸入業者は製造業者とみなされる)。PL保険への加入を要検討。
 
 
【Point⑤】並行輸入の問題(商標権)
 例えば、ブランド品等が代表例ですが、中国や韓国の方が物価が安いため、中国・韓国国内で商品を購入し、それを日本に輸入した方が安く販売できるという現象が起こっています。
 そこに目を付け、中国・韓国国内で合法的に売られている以上、日本で売っても問題ないと判断して、国内代理店より安く販売して一儲けしよう…という商売がひらめくのですが、これは非常に危険な発想であり、ほとんどの事例では商標法違反になってしまい、場合によって逮捕されてしまうリスクまであります。
 何故、この様な問題が生じるか理論的な説明を行うと時間が足りませんので、省略しますが、要は日本国内で商標登録を受けている権利者がいる以上、権利者が承諾しないことには商標法違反が成立してしまうと言うことです。
 
 
 

第4章-2 商品を仕入れて、売る!(販売編)

<あまりに都合の良い販売条件を掲げていませんか?>
 
 先ほどまでは、仕入れ=買い主という立場での検討だったのですが、逆に売り主という立場になった場合、やはり一番いいのは商品を売った後は一切関知しません、オークションでよく出てくる「ノークレーム、ノーリターン」という状態が良いわけです。
 もっとも、対消費者を相手にする取引であれば、消費者保護の名の下、全てが売り主にとって都合のよい条件で取引するという訳にはいかないのが実情です。


・商品発送後は一切の責任を負いません。
・支払い日までに代金をお支払い頂けない場合、代金のほか月10%の違約金を頂戴します。
・理由の如何を問わず一切の返品には応じません。

 

【Point①】消費者を相手に商売するのであれば、消費者契約法が必ず問題となる。
 消費者保護と言われて久しいですが、法律上は消費者契約法という法律で消費者は守られています。この法律を意識せずに、一方的に契約書や約款、利用規約を作って、一応は同意してもらったとしても、後でひっくり返される、つまり無効と言われてしまうことになります。
 大まかなポイントとしては3つです。 

 


留意すべき条項


具体例


消費者契約法による修正


事業者の損害賠償の責任を免除する条項


①事業者の債務不履行責任・不法行為責任を全部又は一部免除する条項(法8条1項1号~4号)

②事業者の瑕疵担保責任を全部免除する条項(法8条1項5号)


①無効(但し、軽過失免責の場合は有効)

②無効(但し、損害賠償責任は負担しないが、瑕疵のない物に代える・修補を行うと規定するのであれば有効。法8条2項)


消費者が支払う損害賠償の額を予定する規定(法9条)


①損害賠償額の予定・違約金が、解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合

②遅延利息につき年14.6%を越える場合


①超える部分につき無効

②超える部分につき無効


消費者の利益を一方的に害する規定


『民法、商法等の法律中の任意規定(公の秩序に関しない規定)の適用による場合に比べて、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する条項』

 +

『信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』


無効(法10条)

 

【Point②】返品特約(クーリングオフ? 通販事業者の責任の有無に関わらず記載無ければ8日間無条件返還)
 最近、消費者も色々な情報を持つようになり、クーリングオフを主張する人も多くなってきました。
 確かに、特定商取引法にはクーリングオフに関する規定があるのですが、通信販売に関しては適用除外となっています。従って、通信販売に関しては、クーリングオフに関する規定は適用がありません。
 ただ、クーリングオフに関する規定はないものの、特定商取引法では、①事業の責任ではない返品を受け付けたくないというのであれば、その旨明記しなければならない、②記載がないor不十分な場合は8日間の無条件返還を受け付けなければならない(たとえ事業者に責任がないとしても)とされています。このため先ほど説明した通り、きちんと対応する必要があります。
 枠囲みの文案を修正するとすれば、例えば「当社に責任がある場合を除き、返品には応じません」という表現になるのではないでしょうか。
 
 
 

第5章 トラブル発生!

 一昔前であれば、トラブル・クレームと言えば病理現象のような捉え方がされていましたが、今の時代は必然現象、つまりいつ発生してもおかしくないという状況になっています。
 トラブル事例はたくさんありますので全てを説明できませんが、例えば、ここに書いたようなトラブルなんかは、よく相談を受けた事例です。
 
<こんなクレーム受けるかも…>

 

 ・商品に不具合があるから今すぐ取り替えろ!
 ・イメージしていた物と異なるから返金して!
 ・自分は注文していない!
 ・未成年者の親から返品と代金返還を要求された!
 

 

【Point①】クレーム処理についてマニュアル化が図られているか
 全てをマニュアル化するのも問題はありますが、かといって場当たり的対応もまた問題があります。特に初動の段階で偶々電話を取った応対者によって対応が異なる場合、後々進めにくくなる場合がありますので、いつ誰が応対しなければならないか分からない以上、初動段階ではマニュアル化を図った方が良いと思います。
 なお、マニュアルに関する内容については他に譲るとして、心構え的なことだけ申し上げるのであれば、とにかく初動段階では、①「話を聞いてあげる」というスタンスで臨むこと、②初動なのでどちらに責任があるか無いかを決めるのではなく、いったん持ち帰って検討すること、③検討結果については、いついつまでに返答すると約束すること、がポイントになると思います。
 あと、打ち切りのタイミングですが、話を聞いていて、同じ話の繰り返しになってきたときというのが一つの目安となります。
 
 
【Point②】返品に応じなければならない場合と損害賠償の法律
 通信販売との関係で考えた場合、法律の原則論としては次の通りとなります。
 

 


事業者に責任あり


事業者に責任無し


返品特約あり


○(=返品に応じる)


×


返品特約無し





(8日間)

 

 従って、枠囲みの事例で言えば、1つ目については本当に不具合があるのであれば、返品特約の有無を問わず、販売業者は返品に応じ無ければならないこととなります。
 一方、2つ目の事例については、単に「主観的に気に入らない」という問題に過ぎず、客観的には問題ない商品であるのであれば、返品特約が適用され、返品に応じる必要がない場合もあり得ます。
 
 ところで、損害賠償について、最近、何かと「慰謝料」と口走る人が多くなってきたように感じます。ただ、法律論としては、怪我をさせたとか人身事故となった場合には慰謝料の問題が生じますが、商品に不具合があったと言うだけでは慰謝料は発生しないのが大原則です(いわゆる物損には慰謝料が発生しないのが原則です)。
 従って、商品を取り替えるか、商品代金の返還にさえ応じれば法律上の責任は果たしたことになります。
 また、この商品を転売して一儲けしようとしていたのに、不具合があり儲けることができなかったので、その分を補償しろと要求してくる場合もありますが、原則応じる必要は無いのが大原則です(転売することを知っていたら別問題とはなりますが…)。
 
 
【Point③】なりすまし
 リアル店舗ではあまり問題とならず、ネット通販に特有の問題と言って良いかもしれません。
 確かに、本人が買いたいと言っていない以上、売買契約は無効となってしまうのが大原則です。が、民法には表見代理という規定があり、要は、本人が買いたいと言ってきたと信じて疑わない事情があり、その様な事情の作出に本人に責任があるのであれば、例外的に無効とは言えないとされています。
 これがネット通販の場合にどの様に当てはまるかですが、例えば、各利用者にIDとパスワードを発行し、これらの管理を利用者本人に課す、この様な状態下で、利用者の管理不十分によりID・パスワードが漏洩し、当該IDとパスワードを第三者が用いて取引した場合には、表見代理が適用されるよう予防策を打つというのが、最近の多く見られるパターンといえます。この様な事から、利用規約にはID・パスワードの管理や漏洩した場合の責任に関する規定は必須ではないかと思います。
 
 
【Point④】未成年者と取消権
 これも民法の原則論からすれば、未成年者による取引については親権者が取り消すことが可能となっており、事業者にとっては非常に厳しいものとなっています。
 ただ、一方で民法には例外規定として、未成年者が年齢を騙して取引した場合には取消はできないと規定しています。
 従って、事業者としては、年齢確認を行ったにも関わらず、本人が嘘の情報を提示したという状況を作り出すことで、民法の例外規定に該当すると言えるように持っていく必要があります。
 なお、リアル店舗の場合であれば、ある程度外観等で分かるかもしれませんが、ある程度の高額商品の取引であれば、年齢確認を行った方が無難でしょう。また、ネット通販であれば、最低限、年齢認証の確認画面を設けることは必須ではないかと思います。
 
 

 
<ご注意>
この記事は平成22年7月22日に開催されたセミナーの講義録を元に作成したものです。できる限り内容は正確になるよう努めましたが、当職の勉強不足により誤っている部分があるかもしれません。従いまして、個別の事案の解決に際しては、必ず当該記事のみから判断せず、専門家にご相談の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。

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