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第4 メンタルヘルスに対する体制作り
1 法令等
2 何から優先するべきか?
(2)精神科医の確保
3 どうやって気づくべきか?
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1.について
まず、メンタルヘルス対策については、法律で真正面から規定されている訳ではなく、厚生労働省からの通達や報道発表等で注意喚起が行われているのが現状です。
このため、レジュメに記載したような色々な通達や報道発表が行われており、情報収集が大変なところがあります。
効率よく最新の情報収集するためには、このレジュメでは記載していませんが、例えば、厚生労働省のおまとめサイトである「職場におけるメンタルヘルス対策等」のWEBは通達関係がまとめてあるので、比較的便利ではないかと思います。
2.について
まずもって重要なのは、会社として対応するための根拠が無いことには、如何ともしがたい状況となります。例えば、メンタルヘルス不調者が出た場合に休職命令を出したくても根拠がないため出せないという場合に陥ってしまうこともあります。
おそらくは就業規則を制定している会社においては、「休職制度」それ自体は存在していると思います。
ここでは、さらに使い勝手を良くするために、当職なりに思う、見直しておきたいポイントを8つあげてみました。
@については、例えば新入社員が入社して1ヵ月程度で休んでしまう状況となった場合にまで、休職制度を適用するべきかという問題です。昔であれば五月病といって放っておけばそのうち出社してくるという感覚で良かったのですが、どうも今はその感覚ではマズイのではないかというのが当職の感覚です。
試用期間中の従業員も正社員と同様の休職制度を認めるべきか、例えば休職期間をもっと短期にするべきではないか等検討しても良いのではと思います。また、同様の観点から、正社員=期間の定めのない従業員と非正規雇用者とでも別々の休職規定を設けるべきではないかと思われます。
そこで、次のような規定を設けるべきではないか要検討かと思います。
「試用期間中の者、期間を定めて雇用される者には適用が無い」
Aについては、採用時や年1回の定期健康診断以外においても会社の裁量により受診命令を出すことができる旨明記するという趣旨です。
もちろん会社は安全配慮義務を負っていますので、規定が無くても業務命令として受診命令を出せる場合もあろうかと思いますが、やはり規程上の根拠を明確にした方が従業員を説得しやすいのではないかと思われます。なお、法定外検診となりますので、労働安全衛生法66条5項但書を根拠に会社の指定医とすることも検討して良いかと思います。
ところで、裁判例をあげていますが、これは直接争点となったわけではないのですが、「精神科医の受診を命じることはプライバシー侵害の可能性が高い」と触れています。
したがって、規定を設け、いざ受診命令を行うにしても、周囲に分からない様な配慮をしながらの受診命令が必要となるのではないかと思われます。
「会社は従業員に対し、定時又は随時に会社指定医による健康診断を行う」
Bについては、受診命令を拒否する等して休職制度を適用することに躊躇がある場合、とりあえず本人への配慮及び周囲の従業員の業務への支障等を勘案して、業務命令として出勤停止措置を行うための根拠規定です。
なお、業務命令としての出勤停止ですので、賃金支払義務は生じるものと考えられます。
「会社の命じる健康診断を受けない場合、会社は次の措置を取ることができる。
・就業を一定期間禁止又は制限する
・配置転換を行う
・その他必要な措置」
Cについては、休職命令を出すに際し、就業規則上「業務外の傷病により欠勤が引き続き○ヵ月に達し」という継続的な欠勤を要件としていることが一般的なようです。
しかしながら、メンタルヘル不調者の特徴として、出勤と欠勤を断続的に繰り返すことが多いのが実情であり、断続的な出勤・欠勤を繰り返された場合はいつまで経っても休職命令を発令できないという事態となっています。
従って、継続的な欠勤ではなく、例えば「直近3ヵ月で○日欠勤した場合」とするのが一案ではないかと思います。また、欠勤扱いを免れる為に、出社して直ぐに帰社するということも想定されますので、出勤の定義(例えば6時間以上勤務したこと)を定めることも一案ではないかと思われます。
ところで、昔からの会社に多いようですが、私傷病休職の場合に賃金を支給する旨の規定を設けている会社もあるようです。しかしながら、今後は悪用される恐れも多いことから、ノーワークノーペイの原則に基づき、無給とするのが筋論ではないかと思います。
「会社の従業員が次の各号の一に該当する場合、休職を命じることができる。
・直近○ヶ月で○日以上欠勤した場合
前項1号の適用においては、○時間以上の就業をもって出勤扱いとする。」
Dについては、詐病対策として、休職期間中に定期的に診断書を提出させる等の条項を盛り込む趣旨です。
なお、あまりよくない事例であることは百も承知なのですが、3月11日に発生しました東日本大震災後において、外国人を中心に一斉にうつ病の診断書が提出されて私傷病の休職申請を受けたという事例を経験しました。たしかに、放射能漏れ等の被害が想定される中で、「仕事どころではない」という気持ちも分からなくもありませんが、真面目に勤務している従業員との関係上、詐病を許すわけにはいきませんので、やはりこうした条項を入れておく必要性があるのではないかと感じています。
「休職期間中の者は、会社から指示があった場合、医師の診断書を提出しなければならない」
Eについては、復職の判断については会社がイニシアチブを持っていること、つまり会社が復職の可否についての判断権があることを明示するという趣旨となります。
そして、会社が判断する材料を得るためにも、会社指定医の受診義務や主治医のヒアリングを行うことの告知(予めの承諾については法的には疑義有り)についても定めておくのが無難かと思います。
「休職の事由が私傷病による場合、従業員が提出する会社指定医の診断書をもとに会社が判断する」
Fについては、そもそも規定を設けるべきか否か議論があるかと思うのですが、厚生労働省はリハビリ出社・出勤について、義務ではないものの制度設計を呼びかけていますので、ある程度は対応した方が良いのではないかと思われます。ちなみに、概要については、厚生労働省が平成21年に「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」改訂版を公表していますので、そちらをご参照ください。
ちなみに、詳細なリハビリ出社・出勤に関する規定を設ける余裕がない場合であっても、「業務上の都合等により、休職前の職務とは異なる職務に配置することがある」と定めておき、柔軟性を持たせることも一案かもしれません。
なお、( )で賃金規程も要検討と書きましたが、これは、リハビリ出勤の場合軽作業を行わせることが多いところ、軽作業であるにもかかわらず、休職前の賃金満額を支払うのでは、どうも釣り合いが取れない可能性が出てくるからです。従って、リハビリ出勤の場合については、最低賃金に反しない範囲で別途定めることができる旨の規定を設けるべきではないかと思われます。
「・私傷病休職期間中、従業員からの申し出により一定条件下において、復帰準備のための出社又は勤務を認めることがある。
・前項の出社・勤務における諸条件については、会社と従業員が協議の上、会社が決定する。」
Gについては、メンタルヘルス不調者の傾向として、再発する蓋然性が高いことから、再び断続的な出勤・欠勤になりやすいことへの対応策として見直した方が良いという趣旨です。
最近では対処している就業規則も見られるようになりましたが、具体的には「復職後6ヵ月以内に、同一又は類似の傷病により欠勤した場合には、その欠勤開始日より再休職とみなし、前回の休職期間と通算する」等の規定になります。
「私傷病休職で復帰後1年以内に同一若しくは類似の傷病により欠勤した場合には、その欠勤開始日より再休職とみなし、前回の休職期間と通算するものとする」
次に、(2)についてですが、そもそも産業医がいない会社も多いかと思います。
が、産業医がいるからといって安心できるという訳ではありません。といいますのも、産業医は内科医や外科医であることが多いのですが、必ずしも精神医学に強いとは限らず、会社としても判断を仰ぎたくても対応不可という場合があり得るからです。
この様な場で情報交換する、ネットで探す、医師紹介会社にあっせんしてもらう等々手段はあるかと思いますが、平常時に見つけておく方が良いことは言うまでもありません。
ちなみに、平成23年10月25日に報道されていましたが、大阪地裁において、医師がメンタルヘルスの不調を訴えている患者に対し、「病気やない。甘えるな」「薬を飲まずに頑張れ」等と発言し、その結果、病状が悪化し復帰が遅れたことについて医師に60万円の慰謝料等の損害賠償を命じる判決が出ているようです。
この様に、医師と言えども、やはり専門外のことについてはなかなか適切な指導ができないのが実情なのかもしれません。
3.について
私もそうですが、企業のご担当者様におかれましても、精神科医でもありませんし、精神医学に明るいわけではないかと思います。
ただ、例えば「うつ状態」の場合であれば、早朝覚醒(不眠傾向であること)、日内変動(朝が弱く遅刻が目立つこと)、意欲低下、集中力低下、興味・関心の喪失、自責感、自殺念慮などの症状が出ますので、これらを徴表を見逃さないという意識が必要かと思います。また、「人格障害」の場合、極端な対人関係、衝動的言動、猜疑的言動、自暴自棄の傾向などが見られるようです。
こういった症状が1つでも見受けられる場合には、担当者としては、まずは一声かけて上げるのが必要かもしれません。
あと、一般的によく言われるものとしては、身体的な変化(急に痩せた・太った、顔色が悪くなった等)、言動面の変化(無口になった、自己否定を繰り返すようになった、服装に清潔感が無くなった、喜怒哀楽が無くなった)というのもありますので、ご参考にしてください。
>>>次は、「第5 メンタルヘルス不調者への対応」です。
※上記記載事項は一部当職の個人的見解が含まれており、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。
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メンタルヘルス不調者の対応、パワーハラスメントなど
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