飲食料品を取扱う事業者等が知っておきたい広告・表示に関する法律①【JAS法(農林物資の規制化及び品質表示の適正化に関する法律)】

飲食料品を取扱う事業者等が知っておきたい広告・表示に関する法律①

1.はじめに

 平成19年以降、産地偽装問題や消費期限の改ざん問題などが相次い報道されるに至り、飲食料品を取り扱う業界は、広告・表示について否が応でも対応しなければならない状態となっています。
 名前は聞いたことがあっても、内容までは…という方が多いのではないかと思われますので(おそらく私自身も全てを押さえ切れていないと正直思います)、細かなことはさておき、概観と勘どころを示すことが出来ればと思います。
 

 

2.景品表示法

 念のため触れておきますが、景品表示法は、BtoC取引を行うに際しては、業種を問わず必ず確認しなければならない法律(表示・広告の法律の総本山)です。
 景品表示法については、公正取引委員会等のWEBページなどで色々な情報が公開されていますので、詳細はそちらに譲ります(本WEBでも追って触れる予定です)。
 なお、キーワードとなるのは、「優良誤認表示(内容に関する不当表示)」及び「有利誤認表示(取引条件、主として価格に関する不当表示)」です。
 
 
 

3.JAS法(農林物資の規制化及び品質表示の適正化に関する法律)

 おそらく1度は耳にしたことがあるとは思いますが、あまり詳細は知られておらず、また、「食品」と言えば食品衛生法も存在しますので、今一つはっきりしない(取っつきにくい)イメージを持っているかと思います。
 
(1)まず、この法律の構成としては、大きくは、
 ① JAS(日本農林)規格の制定等に関する規定
 ② 飲食料品の品質基準の遵守
の2つに分かれます。

 ところで、①JAS規格に適合させるか否かは任意とされていますので、留意しなければならないのは、②品質基準の遵守となります。
 そして、JAS法19条の13第1項には次のように定められています。

・名称、原料又は材料、保存の方法、原産地その他表示すべき事項
・表示の方法その他前号に掲げる事項の表示に際して製造業者等が遵守すべき事項

 よくスーパーなどで飲食料品を購入した際に商品ラベルが貼られていると思いますが、JAS法に基づいて表示されていることとなります(厳密にはJAS法と食品衛生法の両方が根拠法です)。

 
(2)JAS法では、上記の通り非常に曖昧な定め方になっていることから、法律には規定しきれない詳細な事項については、JAS法を所管していた農林水産省(現在の所管は消費者庁)が「告示」という形で公表を行っています。
 総論的な位置づけに立つものとして、
・加工食品に関する「加工食品品質基準」
・生鮮食品に関する「生鮮食品品質基準」
・遺伝子組換え食品に関する「遺伝子組換え食品に関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条第1項及び生鮮食品品質表示基準第7条第1項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準」
となります。
 
 そして、上記基準を前提に、各論として個別の飲食料品ごとの品質表示基準も公表されています。詳細については、農林水産省のWEBで確認して頂きたいのですが、ポイントとしては、
A) 取り扱う飲食料品が「加工食品」「生産食品」のどちらに該当するのか確認し各々品質基準をチェックする 
B) 遺伝子組換え食品であれば、さらに遺伝子組換え食品の基準をチェックする 
C) これらの作業を行った上で、各飲食料品ごとの個別基準の該当性を確認し、該当があるのであれば、当該品質基準をチェックする
という流れになります。

参考:品質表示基準一覧(農林水産省)


 
(3)上記の「品質表示基準一覧(農林水産省)」では直接出てこないので、念のため付則したいのですが、「有機農産物」の表示については、実は勝手に用いることができません。
 これはどういうことかと言いますと、上記(1)でJAS規格に適合させるか否かは任意であると記載しましたが、一方で、JAS法19条の15第2項には次の様な規定があります。
 
『何人も、指定農林物資以外の農林物資について、当該指定農林物資に係る日本農林規格において定める名称の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。』
 
 そして、日本農林規格として通称「有機JAS規格」と呼ばれるものが定められており、「有機」「オーガニック」という表示についてはJAS規格とされています。
 従って、結論としてJAS規格に適合させなければ使用できないという関係になっているのです。この点は意外と盲点になっているようですので注意が必要かと思います。
参考:有機食品の検査認証制度(農林水産省)

 
(4)あと、「無農薬」「無化学肥料」等の表示については、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に準拠する必要がありますので、この点も注意が必要です。
参考:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(農林水産省)

 
(5)最後にJAS法違反として、世間で騒がせたものとしては次のようなものがありますので、イメージして頂けたらと思います。

・白い恋人の賞味期限の書き換え事件
・赤福餅の消費期限の書き換え事件
・船場吉兆の産地偽装等事件
・中国産ウナギが愛知県三河一色産と不正表示された産地偽装事件
 etc


 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。