健康食品等の飲食料品において、薬事法上問題となる広告・表示は何か?②

健康食品等の飲食料品において、薬事法上問題となる広告・表示は何か?②

(前回の続き)
 飲食料品(特に健康食品)を販売するに際して、必ずといって良いほど「薬事法」が問題となります。薬事法上問題となる、広告・表示について教えて下さい。
 
 

回答

 前回までに、薬事法の適用対象の問題、検討すべき広告・表現のうち、「商品名称」、「製造方法」、「医薬関係者その他からの推薦(販売業者自身の自薦を含む)」について検討を行いました。
 今回は、おそらくメインとなるであろう「効能効果・性能及び安全性の標榜」について検討します。
 
 
 

<4>効能効果・性能及び安全性関係

(1)効果効能の表現について【総論】

 承認医薬品については、当たり前ですが承認を受けた効果効能の範囲を逸脱した表現を用いてはならないとされています。また、承認を受けた効果効能の一部のみを特に強調し、あたかも特定疾病専門薬であるかの如く表現も禁止されています。
 
 承認医薬品に関する上記の規制からすれば、当然のことながら、健康食品等は医薬品では無い以上、疾病の治療や予防、身体の機能増進等の効果効能を表現することは厳禁となります。例えば次のような表現です。

① 疾病治療や予防を目的とするもの
・「糖尿病の方に」(特定の病名・疾病を対象としたものは禁止)

・「難病、慢性病の治療に」(特定の疾病でなくても、病気を対象とした者である以上禁止)
 
・「成人病予防のために」
 
・「便秘解消」
 
・「不眠を和らげる効果」

 

 なお、正常状態でありながら通常の生理現象として特に栄養素の需要が増大することが医学上確認されている場合であれば、例えば「育ち盛りのお子様への栄養補給に」、「ダイエット時の栄養補給に」等の表現を行うことは問題ないとされています。
 もっとも、正常状態であることが要件とされている以上、「発育不良時」「肉体疲労時」の栄養補給と表現することはNGです。

 

② 身体の組織機能増進等を目的とするもの
・「疲労回復」
 
・「食欲増進」
 
・「解毒機能を高める」
 
・「若返り、老化防止」

 なお、一般的な健康維持、美容に関する表現、例えば、「毎日の健康のために○○を食べましょう」、「美容のために○○を内側から補給しましょう」等であれば問題ないとされています。

 もっとも、特定部位を明示した栄養補給、健康維持、美容に関する表現はNGとされています。例えば、「目の健康のために○○を食べましょう」、「美肌ために○○を内側から補給しましょう」等の表現は避けるべきです。
 
 

(2)「薬」「医薬品」特有の表現について

 医薬品として承認されてない以上、薬という文字を使うことは許されません。例えば次のような表現はNGです。 
・生薬、妙薬、民間薬、薬効など

 また、食品では用いないような表現、裏を返せば薬でしか用いないような表現も禁止されています。例えば次のような表現です。
・服用方法、副作用、○○錠、臨床試験が実施されたなど

 結局、上記のような表現は、医学的に効果が認められる「薬」と混同してしまうような表現なので禁止されるということです。

 

(3)成分及びその分量(含有成分の標榜)

 医薬品成分が配合又は含有されるものは、形状や効果効能、用法用量の表現に関わらず「医薬品」とみなされます
 医薬品成分に該当するか否かは1つ1つ調べていくほか無いのですが、「医薬品成分が含有しているから効き目がある」という広告を打ちたい場合には要注意となります。

① 原材料自体に医薬品成分を含有する場合
 例えば、世間で出回っている医薬品成分として「タウリン」という言葉があります。このタウリンは高血圧・高血糖・高コレステロールの人に効果がある(つまり血圧・血糖値・コレステロールを下げる効果があるということ)と言われています。

 ところで、このタウリンという物質は、たこ・いわし等の魚介類にたくさん含まれていると言われています。つまり、原材料がたこ・いわし等の魚介類であれば、必然的にタウリンが含まれていることになります。そうすると、事実として上記原材料を用いて健康食品を作ったのであれば、タウリンが含まれている以上、「タウリン配合」と表示しても嘘はついていないので問題ないのでは?と思ってしまうのですが、残念ながら、その様な表現はダメということになります。

 事実の有無を問わず、医薬品ではないのに医薬品成分を表示することが禁止されるとはこの様なことを意味します。

② 原材料の一部(部位)に医薬品成分を含有する場合

 例えば、一時期よく出回った(今でもあります)ものとして「トチュウ(杜仲)茶」というものがあります。このトチュウとは植物なのですが、トチュウの根皮は医薬品成分とされています。

 従って、原材料として「トチュウ」とだけ記載してしまうと、トチュウの根皮も含まれると解釈されてしまい、薬事法違反と判断されてしまいます。もっとも、きちんと部位を表示する、例えば「トチュウ葉を使用」と表示すれば、葉は医薬品成分ではありませんので、薬事法違反にはなりません。

 非常に細かいことなのですが、要は医薬品成分の部位を外して表示する分には構わないということですので、よく確認する必要があります。

③ 着色等の別目的で医薬品成分を使用する場合

 上記①②はダメという例でしたが、この③については、この様な別目的であればOKということです。

 例えば、パパイヤからとれる酵素として「パパイン」というものがあるのですが、これは医薬品成分とされています。そしてパパインは肥満に効果があると言われているのですが、一方でお肉を柔らかくするという効果を持ち合わせています。
 そこで、肉軟化剤としてパパインを使用しているのであれば、その点を表示することは薬事法には違反しないとされています。しかし、目的を明記せず、単に「パパインを添加することで消化吸収を…」と記載してしまうと薬事法違反となってしまいます。

④ 生薬名の使用

 生薬名を使用した場合、一般の人は食品と言うよりは医薬品的なイメージを持つから禁止されるということです。

 例えば、私なんかも飲んでいる「どくだみ茶」ですが、生薬名は十薬(ジュウヤク)です。どくだみ含有と記載するのはOKですが、十薬含有と表示することは薬事法に違反するということになります。

⑤ 非医薬品成分や栄養素を使用する場合

 含有成分や栄養素の説明において、具体的な作用を標榜せずに、単に健康維持に重要である旨を示す場合、あるいは生体を構成する栄養素の構成成分であることを示すに止まる場合には、直ちに薬事法違反になるわけではありません。
 例えば、「EPA(エイコサペンタエン酸)は健康維持のために大切なものです」とか「○○は不足しがちなカルシウムを1粒当たり○グラム含有しています」等の表現であれば、薬事法違反を問われることはないと考えられます。

 

(4)用法用量について

 用法用量というと、一定の効果効能が期待される医薬品であると誤解を生むことから、原則として用法用量の記載は禁止されています。但し、栄養機能食品については過剰摂取による健康被害を防止するため時期、間隔、量等の摂取方法の記載について認められる場合があります

① 服用時期、服用間隔、服用量等の表記について
 例えば、「朝昼晩の食後に1袋」、「使用量は小さじ2杯」、「夜寝る前に」等の表現は薬事法違反となります。
 もっとも、例えば「食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがありますので、1日5粒程度を上限として下さい」という過食等による健康被害を防止する目的が明らかな場合には薬事法違反とはなりません(なお、食品であることを分かりやすく明記することで服用量を定める場合、例外的に薬事法に違反しないとされる場合があります。が、要件が厳しく、ケースバイケースの判断が必要となりますので、ここでは省略します)。

② 症状に応じた用法用量の表記について

 例えば、「便秘の方は1日3粒」、「体調に合わせて適宜飲む量を変えて下さい」等の表現は薬事法違反となります。

③ 医薬品特有な服用方法に関する表記について

 前述の「(2)「薬」「医薬品特有」の表現について」と重複しますが、例えば、「用法用量」、「服用量」「飲み込まず舌でとかして」等の表現は薬事法違反となります。

 なお、食品としての摂取方法・調理方法を示す表現であれば薬事法に違反しません。例えば、「ミルクやジュース等に溶かして飲むこともできます」、「コップ1杯の水に1袋を溶かして下さい」、「スープ、味噌汁に混ぜて下さい」等の表現は問題ないと考えられます。もっとも、限界線は曖昧ですので、ケースバイケースで判断する必要があります。

 

(5)安全性等に関する表記について(好転反応に関する表現)

 例えば、「一時的に下痢の症状が出ますが、これは初期症状であり、体内浄化のためにはこのまま摂取し続けて下さい」等の、不快症状が出ても、それは効果の証であるかの如く表現することは薬事法上禁止されています。

 

(6)発現程度(速効性、持続性等に関する表現)

 例えば、「1ヶ月以上飲み続けないことには効果は期待できません」、「大学病院でもその有用性が認められています」等の、具体的な傷病名は表現しないものの、効果、効用、効き目、効能効果を標榜することで、医薬品的な効能効果があるかの如く暗示する表現は薬事法違反となります。

 
 

3.まとめ

 2回に分けて記載しましたが、ボリュームがありなかなか理解しづらい部分があるかと思います。ただ、私自身が勝手に思うポイントとしては、


 

・真実であるか否かは理由とならないこと
 
・医薬品であるかの如くイメージされる表現(特に効能効果)は控えるべきであること

の2点に尽きるのではないかと考えています。
 この2点を踏み外さなければ、薬事法上の表示の問題について、そう大きく間違った方向に行かないと思います。

 

 


 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。