健康増進法と表示の関係について

健康増進法と表示の関係について

1.はじめに

 最近「トクホ」、「特定保健用食品」という名前が付された食品や、特定保健用食品の許可取消し騒ぎにまで発展した食用油のエコナ問題等で、健康増進法という法律が話題になることが多くなってきました。
 話題にはなっていますが、健康増進法自体は比較的新しい法律であるため、内容の説明も多くないと思われることから、今回は「健康増進法と表示」について解説したいと思います。
 

 

2.健康増進法と表示の関係

 健康増進法の目的は、端的には健康の増進と国民保健の向上を図ることです。

 同法と表示の関係については、

  ① 栄養表示に関する事項
  ② 特別用途表示に関する事項
  ③ 健康の保持増進に係る虚偽・誇大広告の禁止

の3つに分けて考えれば、比較的整理しやすいと思います。

 

(1)栄養表示に関する事項(31条)

 これは栄養表示(栄養成分又は熱量に関する表示)を行う場合には、厚労省が定めた栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に従った表示をするよう義務づけられています。例えば食品のパッケージ等に「熱量400kcal、蛋白質10g、脂質5g…」という表示を見たことがあるかと思いますが、この様な表記は上記基準に従って表示される必要があるということです。ちなみに、最近「ゼロ」を標榜する食品が多くなってきていると思いますが、この「ゼロ」表現についても、厳密には全くゼロという意味では無く、どの程度の誤差範囲であれば「ゼロ」と表示して良いかも規定があります

 ところで、栄養表示基準は、(若干語弊はありますが)いわゆるサプリメントに対しても適用があります。法律上は「栄養機能食品」と呼ぶのですが、ミネラル5種類、ビタミン12種類について表示基準が定められています。
なお、栄養表示基準が適用されるのは食品全般ですが、鶏卵以外の生鮮食品については適用対象外です。

 

(2)特別用途表示に関する事項(26条)

 これは、当該食品の利用ターゲット(=特別の用途)を絞る場合において、法律が定める事例の場合には、許可を得ない限り、表示が禁止されるというものです。なお、特別用途表示の許可を得た食品を「特別用途食品」と呼びます
 
 この特別用途食品の代表例は、乳児用や病者用等という利用対象者を絞った食品ですが、実は、トクホと呼ばれる特定保健用食品も「特定用途食品」の1ジャンルとなります。そして上記の通り、特定用途食品は許可制なので、例えばトクホのキャッチコピーで用いられている「お腹の調子を整える」「血圧/コレステロールが高めの方に」「血糖値が気になる方に」「ミネラル吸収を助ける」「中性脂肪を押さえる」「虫歯になりにくい」等の表現は、特定保健用食品として許可を受けない限りは表示できないことになります。
 
 ちなみに、特定保健用食品と上記(1)で述べた栄養機能食品については、健康増進法と共に食品衛生法でも規律されています。内容はほぼ重複しているのですが、食品衛生法施行規則では、特定保健用食品と栄養機能食品とをまとめて「保健機能食品」と位置づけています。

 

(3)虚偽・誇大広告の禁止(32条の2)

 健康状態の改善または健康状態の維持に効果があるとして表示する場合、虚偽はもちろん誤認させるような表示は禁止されるということです。

 例えば、「○○は視力を回復させる作用があると言われています」(治療・予防を目的とする表現)、「便通の改善」(特定の保険の用途に適する旨の表現)などを行うのであれば細心の注意を払う必要があります(詳しくは32条の2及び内閣府令20条を参照)。

 なお、この様な表現を行う際には健康増進法の問題だけではなく薬事法の規制(医薬品的な効果効能の標榜の禁止)についても留意する必要があります

 ちなみに、虚偽・誇大広告の禁止が特に問題となるのはダイエットに関する健康食品です。これについてはガイドラインがありますので要確認です(「痩身効果等を標ぼうするいわゆる健康食品の広告等について」昭和60年6月28日薬監第38号)。
 

 

3.その他注意点

 食品衛生法やJAS法についてはあまり問題が生じないかもしれませんが、健康増進法については製造業者・販売業者だけではなく、広告の媒体社も同法違反を問われる場合があり得ます
 個人の方はあまり関係がないと思われるかもしれませんが、自らのホームページやブログ等でアフィリエイト広告を掲載する場合、広告内容が健康増進法違反であれば、その広告を掲載した個人(=アフィリエイター)も同法違反として制裁を受けることになりますので、注意が必要です。

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。