中小企業に法の恩恵をIT企業・インターネットビジスネスの法律相談

06-4708-7988 メールでのお問い合わせ
  • HOME
  • 事務所紹介
  • 解決事例・実績
  • 顧問弁護士のメリット
  • お客様の声
  • 相談の流れ
  • 弁護士費用
  • アクセス

秘密保持契約書の解説・チェックするべき事項

30b453985347d2b851dc8344e335c1db_m.jpg

 秘密保持契約は、最近では企業が取引する上で、あいさつ代わりの如く当然のように締結されるようになってきているようです。

 また、不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるための観点(秘密管理性の要件充足性)、あるいは不正競争防止法では保護されない秘密情報を法的に保護するための方策として意識されてきているところもあります。

 

 もっとも、秘密保持契約が当たり前すぎるのか、IT企業の担当者によっては、秘密保持契約を締結すること自体が目的になってしまっていて、内容をよく確認できてないということもあり得るようです。この結果、何かが起こって弁護士に相談したところ、初めて開示された情報が全く保護対象になっていなかったことに気が付くということもあります。
 

秘密情報契約に関する条約

 

第1条(秘密情報)
本契約において、「秘密情報」とは、文書、口頭その他方法のいかんを問わず、甲が乙に対し開示した一切の情報をいう。但し、次のいずれかに該当するものについては、秘密情報から除外されるものとする。
①   本契約締結前既に乙が保有していたもの
②   本契約の締結後に乙の責によらずして公知となったもの
③   乙が正当な権限を有する第三者より秘密保持の義務なく入手したもの
④    甲の秘密情報を使用もしくは参照することなく乙が独自に開発したもの

 

 よく見かける秘密情報の定義に関する条項です。

 

 情報発信(開示)者側からすれば、方法を問わず一切の情報が秘密情報の対象となるので、問題無いと考えるかもしれません。しかしながら、要保護性の強い情報が特定できるのであれば、具体的に明記する方が絶対に良いと断言できます。

 

 なぜならば、「一切の情報」と規定したところで、情報受領者側は全ての情報を適切に管理することは負担であるとして、いつのまにか管理がおろそかになってしまいがちであるからです(情報漏洩の危険性)。

 また、いざ裁判となった場合、それほど価値のない情報まで保護の対象にしている以上、単なる形式論に過ぎない契約ではないのか(秘密に管理されているのか疑いが生じる)、価値ある情報とそれほど価値のない情報を同列に扱っている以上、情報の重要性や経済価値を裁判所が理解してくれないという弊害(情報の価値低下)も出ているからです。

 

 したがって、例えば、「秘密情報とは、甲が乙に開示する●●技術に関するマニュアルに記載された情報、●●技術を解説したDVD媒体物、及び文書…」とできる限り具体的に記述するのがベストです。

 

 

 次にチェックする点は、①から④で示される秘密情報の例外・除外に関する内容です。

 

yhr0001.png

 非常に一般的なものであるためほとんど意識しないこともあるのですが、顧客情報などの個人情報を開示する場合には注意が必要です。なぜならば、個人情報保護法上はこういった例外措置が認められていないにもかかわらず、一方で電話帳などで公表されている顧客情報もあるところ、後になって、③や④の例外に当たるという反論をされてしまうと、個人情報保護法上の対策ができていないという状況にもなりかねないからです。
 したがって、例外の例外とでも言えば良いでしょうか、例外に該当しつつも要保護性が高い情報が無いのか確認を行い、必要に応じて次のような条項を規定するべきです。

 

<追加を検討したい条項>

2 甲が、乙に対して開示した次の情報については、前項の除外規定を適用せず、常に「秘密情報」に該当するものとして取り扱うものとする。
・甲のデータベース上に格納されている顧客の氏名、住所、電話番号、年齢等に関する情報
・上記情報の印刷物
 

第2条(秘密保持)
1 乙は、秘密情報を善良なる管理者の注意義務をもって秘密として管理し、事前に書面による甲の承諾を得ることなく、秘密情報を第三者に開示又は漏洩してはならない。
2 乙は、秘密情報を自らもしくは第三者の利益のために、又は目的取引の履行以外の目的で使用してはならない。
3 乙は、法令規則等により、政府機関、証券取引所その他公的機関に対して秘密情報を開示することが要求される場合、当該開示を行うことができる。但し、その場合、乙は、できる限り事前に情報甲にその旨を通知し、かつ秘密情報の秘密が保持されるよう合理的な努力を行うものとする。

 

 これもよくある文言なのですが、意外と見落としがちなのが2項にある「目的取引」といった形で用いられる「目的」についてです。


 酷い契約書になると、どういった「目的」なのかが全く明記されていないものもあるのですが、例えば、製品化の可能性を探索するために情報開示を行うというのであれば、「製品化の可能性を探索することを目的(以下「目的取引」という)として…」といった形で目的を記載しておくべきです。

 逆に目的が不明確の場合、ありとあらゆる場面が目的に含まれるという主張を許すことにもなりかねず、2項による目的内利用という歯止めが一切きかなくなるので注意が必要です。
 

 

第3条(役員・従業員に対する開示)
1 乙は、秘密情報を、目的取引の履行に携わりかつ当該秘密情報を知る必要のある自己の役員又は従業員に対してのみ、秘密であることが客観的に認識しうるよう必要な措置を施した上で、開示するものとする。
2 乙は、前項の役員又は従業員に対して、自己が本契約に基づき負担するのと同等の義務を遵守させることを要するものとする。
 
第4条(複製)
1 乙は、目的取引の履行に必要な範囲を超えて、秘密情報の全部又は一部を複製してはならない。
2 秘密情報の複製物(電子データ等を含む)は、本契約における秘密情報として取扱うものとする。

 

 この条項はもし明記されていないのであれば、明記した方がよいという意味での例示になります。

 開示する人的範囲をできる限り狭めること、情報が化体されている媒体物の数を制限することで漏洩リスクを回避する狙いがあります。

 

第5条(権利の不発生)
1 本契約又は目的取引に基づく甲の秘密情報の開示によって、乙に対して、いかなる意味においても、秘密情報の所有権の移転や秘密情報に係る著作権、特許権等の知的財産権の譲渡、実施許諾又は使用許諾等の効果が生じるものではない。
2 成果物に秘密情報が化体された場合であっても、当該秘密情報はなお甲に帰属するものとする。

 

Q.jpg

 秘密情報が開示されることにより、情報受領者側は当該秘密情報を用いて実験を行ったり、研究開発を行ったりするなどしますが、その過程で様々な成果・ノウハウが得られる場合があります。
 こういったものについて情報受領者側は、自分達の研究成果だから自分達で権利化して当たり前という発想を行う場合があるところ、これを許してしまうと、結果的には、合法的に秘密情報を奪い取られてしまうことにもなりかねません。

 

 そこで、幹となる秘密情報の権利関係を明確にしておくことで、報受領者側へ秘密情報が帰属することを回避する方策として、上記のような条項を入れておくべきことになります。

 

 

第6条(秘密情報の返還等)
1 乙は、本契約が終了したとき又は甲から請求があったときは、甲の指示に従い、秘密情報及び秘密情報が化体された成果物を直ちに甲に返還又は破棄するものとする。
2 前項に定める場合において、秘密情報が乙の図面等に含まれているときは、乙は、当該秘密情報を消去するとともに、消去した旨(乙の図面等に秘密情報が含まれていないときは、その旨)、甲に報告するものとする。

 

 これについてもよく見かける条項かと思いますが、発信した情報に対する監督を徹底させるのであれば、1項にある「返還又は破棄」という部分について「返還」を原則化し、返還できない情報については情報開示者の指示に従って「破棄」させる、そして全てを破棄したことを宣言する誓約書を提出させることまで、検討するべきでしょう。
 

 

第7条(損害賠償等)
1 乙が本契約に違反した場合、乙は甲に対し、甲が被った損害を賠償するものとする。
2 秘密情報が乙以外の第三者に漏洩等した場合、乙は、甲と協議の上、有形の秘密情報の回収等の適切な処置を講ずるとともに、秘密情報の漏洩を最小限にとどめるよう善後措置に最善を尽くすものとする。

 

 2項については問題ありません。
 1項については民事上の原則論を記載したものであり、ある意味法的には問題は無いのですが、実効性を欠く文言になってしまいます。
 なぜならば、損害を被った場合は損害賠償を請求する者が、その具体的な損害内容と損害額を立証する必要があるところ、開示した情報の経済的価値を客観的に算定することが困難である以上、実際には損害賠償請求が認められない可能性が生じてしまうからです。
 可能であれば、1項については、具体的な金額を明記した違約金規定(例:乙が本契約に違反した場合、乙は甲に対し、違約金として金500万円を支払うものとする。)を設けるべきでしょう。
 

 

第8条(有効期間)
本契約の有効期間は1年間とする。

 

 この有効期間については、どういう訳か1年間となっていることが多いのですが、そもそも論として、情報発信(開示)者側からすれば、情報を取引中はもちろん、取引終了後も情報受領者側に利用されては困る立場のはずです。そうであれば、秘密保持契約に規定された内容を半永久的に義務づける方向で検討するべきであって、果たして契約の有効期間が必要なのかという観点から検討が必要になると考えられます。

 

 もっとも、契約の有効期間を規定しないとなると、法律上は「期間の定めの無い」契約となり、いつでも解約可能という理屈が成り立ち得ます。
 こうした理屈を回避するためには、①契約が終了した場合も一定期間は契約の効力は維持される旨の残存条項(例:終了事由の如何を問わず、本契約第5条については本契約終了後もなお効力を有するものとする。)を入れておく、②本契約終了後も2年間は効力を有するものとすると一律に明記しておく、等の対応を行うべきでしょう。

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい

 

ImgTop6.jpg

 

ImgTop7.jpg

事務所紹介

弁護士紹介

弁護士費用

アクセス

お問い合わせ

>>TOPへ戻る