<会社への予防注射~Vol.3> 不動産管理の見直し①

<会社への予防注射~Vol.3> 不動産管理の見直し①


 


 会社が不動産(土地建物)を保有している場合、法的にどの様なことに留意すべきでしょうか。


 


 

ポイント

 不動産の保有形態については、①土地建物を所有している、②土地を借りて、その上に建物を保有している、③建物を借りている、3パターンが考えられます
 今回は、①パターンで留意したい事項、すなわち、所有権が登記に反映されているか、登記簿記載情報の読み取り方、共有の場合の留意点を説明します。
 
 

解説

社長(以下「社」) :今回の地震復興に際し、土地建物の問題が避けて通れないと聞いたけど、どういうことかな。
 
弁護士(以下「弁」) :色々ありますが、特に津波の被害が大きかった地域では、そもそも何処に建物があったのか分からなくなってしまっている可能性が高いこと、あるいは海面に埋没している箇所もあり、建物を再建築させようにも手続きを進められない…という問題が発生するのではないかと思います。
 
社 :そうか…。ところで、当社も不動産を保有しているけど、不動産に関して何か気を付けるべき事項はあるの?
 
弁 :まずは不動産登記簿で、どの様に登記されているか、確認することがスタートですね。
 
社 :たしか、あったよな…(会社の棚をゴソゴソ)。これだな。え~と…うん!? 当社はこんな場所に不動産は持っていないぞ! どいうことだ!
 
弁 :落ち着いて下さい。登記簿拝借しますね。所在欄に記載のある場所ではないということですね。
 
社 :そうだよ! えらいこっちゃ!!!
 
弁 :社長…。登記簿上の「所在」と、一般的に用いられる「住居表示」は、よくズレていることをご存じですか?
 
社 :え、そうなの?
 
弁 :そうなんです。ズレが生じた理由については省略しますが、所在と住居表示とをリンクさせるものとして、通称ブルーマップと呼ばれる地図があります。これを見て、登記簿が正確に反映されているか確かめれば良いと思いますよ。
なお、ブルーマップは法務局に行けば閲覧可能です。
 
社 :分かった。ありがとう。確認するよ。
 
弁 :あと、ついで…と言っては何ですが、地番、家屋番号も同様に住居表示とは異なる場合がありますので、注意して下さいね。
 
社 :了解。それにしても2種類も特定する表記方法があるなんてややこしいなぁ。
 
弁 :あと社長、乙区欄に随分昔の抵当権設定登記があるんですが、現在もここから借り入れているんですか?
 
社 :どれどれ…。いいや、もう10年前には返済しているぞ。何だ、この銀行は!けしからん!
 
弁 :落ち着いて下さい…。抵当権の抹消申請を会社から行わないことには抹消されませんよ…。
 
社 :なぬ?自分でやるのか。
 
弁 :銀行なので、おそらく返済終了後に抹消申請に必要な書類を送付してきていたのではないかと思いますが…。
 
社 :そっか…。探してみるわ。
 
弁 :あと、土地は社長及びご子息の共有名義、建物は会社名義となっていますが…。
 
社 :あ~。この土地は先祖代々の土地だからね。個人所有にしているんだわ。
 
弁 :なるほど。ただ、理論上は、土地と建物が別所有である以上、借地権設定契約を締結しておかないことには、何かあったときにトラブルになってしまいかねません。この土地と建物が別名義の場合については、前述の「②のパターン」として次回ご説明しますね。
あと、共有の場合ですが、親子間なので現在は問題ないと思いますが、場合によっては持分が差し押さえられて、持分が別人名義になってしまうリスク、あるいは共有物分割の請求をされた場合、当該土地全体が他人に渡ってしまうリスクもありますので、注意が必要です。

 


 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

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