販売方法の制限(インターネット通販)

販売方法の制限(インターネット通販)

 

質問

当社は小売店です。販路拡大のためインターネット通販を開始したのですが、仕入先より、「インターネット通販を行うのであれば、今後は商品を販売しない」と言われました。このような販売方法規制は法的に許されるのでしょうか。

 

 

回答

取引先(本件でいえば小売店)の販売方法を規制する場合、拘束条件付取引(独占禁止法2条9項6号ニ)に該当し、違法となる可能性があります。

 

 

解説

前回のテーマである「販売地域制限(テリトリー制)」でも触れましたが、再度、独占禁止法2条9項6号ニを確認しておきます。
 
【独占禁止法2条9項6号ニ】
前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの
(イ~ハ省略)
ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。
 

 

独占禁止法は抽象的に規定されているため、何がOKで何がダメか明確になりません。そこで、公正取引委員会が「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」というものを公表し、具体例を挙げています。そこには、

 

・メーカーが小売業者に対して、販売方法(販売価格、販売地域及び販売先に関するものは除く)を制限することは、商品の安全性の確保、品質の保持、商標の信用の維持等、当該商品の適切な販売のための合理的な理由が認められ、かつ、他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課せられている場合には、それ自体は独占禁止法上問題となるものではない。

 

 ポイントとしては、①販売方法の制限について合理的な理由があるか(合理性)、②他の小売業者に対しても制限を課しているか(平等性)という要件の充足になります。
 本件では、インターネット通販という販売方法について禁止要請が行われた事例ですが、上記①②の要件を充足するかが問題となります。

 

 例えば、薬品や化粧品といった保健衛生上の危害を防止するためには対面販売を通じたカウンセリングの必要があり、インターネット通販ではカウンセリングが難しいというのであれば、上記①の要件を充足するといえるかもしれません。一方、単にインターネット通販を行うと値崩れが発生する、インターネット通販を行うことで商圏が重複し、過当競争を招くといった理由に過ぎないのであれば、上記①の要件は充足しないと考えた方がよいかと思います。一方、上記②については、事実上インターネット通販を行っている小売業者が存在するにもかかわらず、そちらには何ら指導することなく、インターネット通販の禁止を要請するのでは要件充足は難しいと考えた方がよいでしょう。


 なお、インターネット通販を禁止したいメーカー及び仕入れ先側の本音としては、「安売りされたら困る」という部分が大きいと言われています。


 このため、上記までで開設したような独占禁止法上の拘束条件付取引が問題となることはもちろん、再販売価格の拘束(独占禁止法2条9項4号)も同時に問題となることが多いようです。再販売価格の拘束を理由とした独占禁止法違反と認定されてしまうと、課徴金と呼ばれる一種の制裁金の支払いが命じられますので、その悪影響は多大なもの忍ってしまうことに要注意です。
 

 

 

<現場担当者が知っておきたいポイント>
販売者側⇒インターネット通販禁止を言われた場合、なぜ禁止するのか具体的な理由を聞くと共に、独占禁止法上の拘束条件付取引との問題が生じるのではと聞いてみましょう。
メーカー側⇒インターネット通販を禁止する合理的な理由を説明できるように準備すると共に、全ての取引先に禁止を要請していることを説明できるようにしましょう。

 

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。