再販売価格維持

再販売価格維持

 

質問

 当社が製造する商品Aについて、一部量販店が安売りを開始したため、他の小売店からクレームが発生しています。そこで、小売価格について当社が指定する旨契約書に明記しようと考えていますが、問題ないでしょうか。
 また、商品Aが著作物(ソフトウェアなど)の場合はどうでしょうか。

 

 

回答

 どちらの事例も独占禁止法2条9項4号が禁止する「再販売価格維持行為」に該当するおそれがあります。

 

 

 

解説

 まず、独占禁止法2条9項4号ですが、次のように定められています。

 

【独占禁止法2条9項4号】
自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。
イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。
ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。

 

 要は、メーカーが直接の販売先である卸売業者や小売業者に対して、その卸売業者や小売業者が顧客に対して販売する価格を拘束すること(イ)、メーカーが直接の販売先である卸売業者に対し、卸売業者の顧客(小売業者)がメーカーが定めた小売価格を守らせるように義務を課すこと(ロ)が、違法ということが定められています。

 

 ところで、よく勘違いされることがあるのですが、メーカーが「希望小売価格」を設定することは上記「再販売価格維持行為」に該当するとして違法になるでしょうか?

 

 答えは「否」です。

 

 これは、あくまでもメーカーが定めた参考価格に過ぎないからです。但し、参考価格であるということを超えて、参考価格にて販売するよう圧力をかけることは「再販売価格維持行為」に該当することになります。

 

 では、メーカーが定めた価格にて販売するよう圧力をかける(拘束する)とはどういった状態を指すのでしょうか?
 事例のQのような契約書に明記することは「拘束する」の代表例です。しかし、契約書に明記しなくても、口頭レベルで価格指示することも「拘束」ですし、メーカーが定めた価格にて販売しなかった場合に不利益処分を課すことを示唆することも「拘束」です。つまり、メーカーが定めた価格にて販売することを目的とした手段はすべて「拘束」になります。

 

 ちなみに、独占禁止法21条では、「この法律の規定は、著作権法 、特許法 、実用新案法 、意匠法 又は商標法 による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」とされています。そこで、問の後段のようにソフトウェアのような著作物であれば、再販価格維持行為が認められるのではと思われるかも知れません。しかし、公正取引委員会は、ここでいう著作物とは「書籍、雑誌、新聞、レコード盤、音楽用テープ・CD」に限定して運用するとしています。したがって、ソフトウェアは著作物に該当しませんので、やはり再販価格維持行為として違法となります。

 

 
<現場実務担当者が知っておきたいポイント。


 販売者側⇒価格指定を言われた場合、それとなく「再販価格維持」になるのでは?と聞いてみましょう。
 メーカー側⇒自社販売(ネット通販など)などの流通経路の見直しを図りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。