<会社取引と金融③>追加担保要求への対応、債権者変更に伴う返済条件変更への対応

<会社取引と金融③>追加担保要求への対応、債権者変更に伴う返済条件変更への対応


 


 会社所有の不動産を担保に銀行融資を受けていたところ、追加担保を要求されました。この要求には応じる必要があるのでしょうか。


 また、債権譲渡を受けたとして、別の債権者より返済条件の変更を求められています。これについても応じる必要があるのでしょうか。


 

 
 

ポイント

 返済計画に従って支払いを行っている限りは、基本的には追加担保の要求に応じる必要はありません
 また、債権譲渡に伴う債権者の変更であっても、返済計画通り支払っていたのであれば、原則返済条件の変更に応じる必要はありません
 
 

解説

社長(以下「社」):会社所有の不動産を担保に借入を受けていたけど、不動産市況が低下したから追加で担保を差し出せと言われてしまった。どうすればいいのだろう?
 
弁護士(以下「弁」):今までの返済状況はいかがでしょうか。
 
社:当初の返済計画通り支払っているし、問題は無いと思うよ。
 
弁:そうであれば、銀行融資の際に締結した契約違反の事実はないはずなので、追加担保に応じる必要は無いと考えて良いかと思います。
 
社:じゃあ、逆に返済が一部遅れていたりとかリスケジュールを組んでいたりした場合はどうなんだろうか。
 
弁:返済が遅れているのであれば、契約違反であり、おそらく銀行融資約定の中に追加担保に関する規定があるはずですので、応じざるを得ない状況とはなってしまいますね。もちろん、何を担保とするかは要交渉にはなりますが…。
一方、リスケの場合は、リスケ交渉の際に単なる返済条件の変更の止まるのか、返済条件の変更の伴い新たな取り決め事項があるのかによって結論が異なります
例えば、銀行側がリスケに際して、担保の再評価を行い、その結果如何によっては追加担保に応じる旨の規定が入っていたというのであれば、やはり応じざるを得ない状況になるかと思います。
 
社:なるほどねぇ。
 
弁:あと、変動金利で借入を行っている場合、市況の変化によって追加担保を行う旨の規定があることが多いと言われていますので、たとえ返済が滞ってなかったとしても、追加担保の問題は出てくるかもしれません
 
社:じゃ、債権者が変更した場合はどうかな?
 
弁:支払いが遅れてしまい、いわゆるサービサーや保証会社が出てきた場合には、契約違反の事実がある以上、期限の利益喪失条項が適用されてしまいますので、当初の返済条件を主張し続けることは法律上困難と言わざるを得ません。
 
社:返済をきちんと行っているのに、金融機関側の都合で債権譲渡がされる場合があるけど、この場合はどうなの?
 
弁:融資の際の契約に違反する事実が無いというのであれば、返済条件の変更に当然に応じる必要はありません。といいますのも、債権譲渡の場合、当初の債権者(=債権の譲渡人)と債務者(=借入側)との契約・約束事が、そのまま新たな債権者(=債権の譲受人)に引き継がれるのが大原則だからです。
 
社:「異議を留めません」と書いた紙を書いてくれと言われたこともあるけど、この場合は?
 
弁:その紙にサインすると、当初の債権者に対して主張し得たこと(抗弁自由)を主張できなくなる可能性があります。必ずしも当該紙をサインする必要は無いのが原則ですので、安易にサインし提出することは禁物です。
 
社:よく分かったよ。ありがとう。


 


 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。