売上金回収のための担保取得チェック事項②(営業動産編)

売上金回収のための担保取得チェック事項②(営業動産編)

 前回は、担保の王道である「不動産」を担保取得する場合のチェック事項について解説しました。
 今回は、正直使いづらいところがありますが「営業動産」を担保取得する場合のチェック事項について解説を行いました。

 

 担保取得(物的担保)

(2)営業動産(原材料、製品、機械設備、什器備品など)
 

① 不動産を担保として取得することが難しい場合、次に目が行くのは、営業動産(原材料、製品、機械設備、什器備品など)になるかと思われます。


 営業動産に関しては、原則として登記制度を利用した担保取得ができませんし、さりとて営業動産を債権者自身が保管する形式(典型的には質権)での担保取得は、債務者の営業活動を困難とするという意味で現実的ではありません。


 このため、消去法的な考え方にはなってしまうのですが、法律上の規定が無い「譲渡担保」または「所有権留保」という担保権を用いることがベターという判断になります。

② まず、担保対象としての評価のしやすさですが、市場流通している動産であれば当該市場価格を参照しながら評価することができます。

 しかしながら、例えば、工場用機械設備となると参考市場価格が存在していない場合も多く、また流通性がないことから帳簿価格も参考にならないことも多いのが実情です。この様な場合、実際にはスクラップ価格程度しか評価できないかもしれません。

 したがって、評価については容易とは言いがたいと考えられます。


 次に、設定の容易性ですが、法定の手続きが存在しないという意味で容易ですが、手続きが存在しないが故に法的に保護するための対抗策の設定に困難が伴うという側面もあり、決して容易とは言えないのが実情です。特に実務上では、どの動産が担保の対象となっているのか、その「特定方法」と「対外的な公示手段(明認方法)」に神経を使う必要があります。この意味で、契約書の作成は簡単ですが、現場での事前準備作業に手間がかかります。

 したがって、設定についても容易とは言えないかと思います。


 また、担保の対象となった動産の管理についても、担保設定者(債務者)の占有管理下にありますので、現状を常に把握できるわけではありません。したがって、管理については相当困難と言わざるを得ません。

 さらに、換価についても、登記制度が存在しない以上、担保の対象となった動産を現実に債権者の占有管理下に移さないことには換価処分ができません(債務者の占有管理下にある動産を買い取ってくれる第三者はそうそう現れません)。したがって、換価処分についても容易とは言えないのが実情です。


 

③ 以上の通り、営業動産を担保とすることについては積極的な評価を行えません。が、営業動産が常に一定の場所で保管されているというのであれば、法的手続き外での交渉材料として意外と用いることができるかもしれません。


 営業動産が一定の場所で保管されている典型例は店舗で用いている什器備品です。これは営業動産が動かない分、引き上げ作業が容易であること、店舗用什器備品を持って行かれると担保設定者(債務者)は廃業せざるを得ませんので、その際に店舗(立地)それ自体を取得できるという点で同業者の買い手もつきやすいという場合もありうるからです。

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。