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売上金を回収するための回収方法⑦(動産執行)

 

※前回より法的手続きによる「強制執行」の解説を行い、そのうちの1つである不動産執行について触れました。今回は、動産執行について解説します。


 

4.法的回収方法と強制執行

 

(3)動産執行

 「動産」という言葉になじみがないかもしれませんが、世の中にある有体物のうち、不動産以外のものと考えてください。決して自動車とか電車とか「動くもの」を意味しません。机や椅子といった物や法律上は動物(ペット)も「動産」となります。

 

 さて、動産執行は、動産が存在する場所(債務者の住所地など)を管轄する地方裁判所宛、具体的には執行官室と呼ばれる場所に行って申立手続きを行うことになります。申立書は執行官室においてあることが多いように思います。
 なお、申立書には「執行に立会うか」という欄があります。この欄に「有」と記載した場合、執行現場に立ち会うことができますので、必要に応じて選択すればよいかと思います(立会いの有無は戦略的に決めるべきという点は後で述べます)。


 各裁判所によって取り扱いが異なるのですが、大阪の場合、動産執行の申立書を提出後、だいたい1週間以内に執行官から「×月×日に執行する」と連絡が入ります。ただし、具体的な時間までは教えてくれません、といいますか、具体的な時間は当日になってから決めるという取り扱いになっています。色々と理由があるのですが、前述の執行現場への「立会い」を希望した場合、執行日は終日予定を開けておく必要がありますので要注意です。

 

 いよいよ執行日となり時間も確定した場合、執行官とともに現場に向かうことになります(たいていは現地待ち合わせ)。執行現場となる建物が施錠されている場合、執行官は鍵屋さんに指示して開錠させて(なお、鍵屋さんを同行させる場合の費用は債権者負担です)、建物内に入って、内部の動産のうち執行できそうなもの(金目のもの)を探し、見つかれば札を貼っていきます。そして、後日入札手続きを行い換金した上で、当該換金額を債権者はもらい回収に充てることになります。
 このように書くと、動産執行はなかなか使い勝手によい手続きではないかと思われるかもしれませんが、実務的には役に立たないという意見が大半です。というのも、執行対象となる動産の範囲が著しく限定されているからです。例えば、住居であれば、生活必需品が大半であるところ、生活必需品は執行してはならない旨法律上明記とされていますので、はっきり言って執行対象となる財産がありません(つまり執行不能となります)。また、会社の事務所や工場であっても、金目のものはほとんどなく、金目のものと思ったらリース機器だった(つまり債務者の所有物ではなかった)ということはよくあります。



 したがって、動産執行それ自体が回収できることはレアと言わざるを得ません。



 ただ、動産執行それ自体では回収することが難しいものの、動産執行手続きを行うことで債務者にプレッシャーをかけ、これにより一部回収できる場合があります。これが、先ほど執行現場への「立会い」について戦略的に決めるべきという部分とリンクするのですが、執行現場への立会いの際、債務者は執行官と一緒に建物内に入り込むことが事実上できてしまいます。建物内に誰かいれば当然びっくりしますし(しかも執行手続きのため追い出すこともできない)、誰もいなかった場合、置手紙を残すなどしておけば、後で戻ってきた債務者からすれば「勝手に建物内に入られた」としてびっくり仰天するでしょう。そして、びっくりした債務者は思わず債権者に連絡を入れるかもしれません。この心理状態を上手く利用して、交渉次第では一部回収ができてしまうこともあるのです。あるいは、(少し経験と勘が必要ですが)執行官が財産を探す際に情報収集して、取引先と思わしき銀行口座などが見つかったりしますので、それをメモしておけば、後日、債権執行する際の手がかりになる場合もあります。

 

 要は、執行官は対象可能な財産を探すだけですが、債権者が執行現場に立ち会うことで、債務者への心理的プレッシャーをかけることができる、他の財産について情報収集ができることがあり得るのです。まったくの無一文であればともかく、少しは財産があるはずと思うのですが、戦略的に執行に立ち会うことも検討するべきでしょう。

 

 

 

 

 ※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

 

 

 

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