売上金を回収するための回収方法⑥(不動産執行)

売上金を回収するための回収方法⑥(不動産執行)


※前回までは、法的手続きを用いた回収方法である「訴訟」について解説を行いました。今回からは、強制執行について解説します。

 

 

4.法的回収方法と強制執行

 

(1)強制執行と財産の特定

 訴訟を提起し勝訴判決をもらった場合、裁判上の和解調書を入手している場合、強制執行受諾文言の入った公正証書をもっている場合、法律上の強制執行手続きを行うことができます。
 ただ、法律上の強制執行手続きができるとはいえ注意するべき事項があります。それは、強制執行手続きをしたいのであれば、その対象となる財産を債権者(回収する側)が特定しなければならないということです。


 どういうことかといいますと、裁判所に対し、「勝訴判決を入手したので強制執行してちょうだい!」と言っても、裁判所が債務者(支払い義務を負っている者)の財産を勝手に探して回収してくれるわけではないということです。つまり、債権者が裁判所に対し、「債務者は〇〇を財産として持っているので、これに対して強制執行を行ってください!」と財産を特定して強制執行の申し立てを行わない限り、裁判所は動いてくれないのです。
 そして、この財産については大きな分類として「不動産」「動産」「債権」の3つに分類することができます。

 

(2)不動産執行

 不動産執行とは、読んで字のごとく、不動産に対して強制執行手続きを行うことです。日刊新聞を取っている方であれば、毎週決まった曜日に「○○地方裁判所 競売情報」という新聞広告が掲載されているのを見たことがあるかもしれませんが、まさしくこのことです。

 

 もし債務者が不動産を有しているのであれば、債務者が保有している不動産を競売し、競売金を配当してもらうことで債権回収を図ることができ、この一連の手続きを不動産競売と言います。
 ただ、私自身の経験上のこととなりますが、債権回収の手段として不動産競売手続きを使うことは実務上はあまりないと思います。

 

 というのも、債務者である取引先の資金繰りが苦しくなった場合、まず債務者がとる対応は銀行融資のはずです。そして、銀行は融資の際に担保として不動産に抵当権をつけます。つまり、銀行が先に不動産に対する抵当権を持っているため、不動産競売をかけたくても銀行の抵当権が優先してしまい、手続きを進めようがないという事態が生じてしまうのです。
 また、不動産競売を行うに際しては、執行官による現地調査や鑑定士による最低入札価格の算定など時間も費用もかかります。特に費用面では、最低でも50万円は裁判所に納める必要がありますので、なかなかハードルが高いことも事実です。

 

 したがって、不動産競売を行うのであれば、まずは債務者が有する不動産の登記簿を入手し(不動産登記簿は近くの法務局に行けばだれでも入手可能です)、「甲区」欄に税金滞納による差し押さえがついていないか、「乙区」欄に金融機関等の抵当権がついていないかのチェックが必須です。そして、何もついていないのであれば、裁判所にいくらくらいの費用がかかるのか確認をしてから手続きを進めるのがベターです(裁判所に納める費用は、各裁判所によって微妙に異なっています)。
 

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。