売上金を回収するための回収方法③

売上金を回収するための回収方法③

 

 ※前回までは、「法的手続きを用いずに回収を行う方法」について解説しました。今回は、法的手続きを用いた回収方法である「訴訟」を解説します。

 

 

 

3 法的手続に則った回収方法

(1)法的手続きに則った回収方法といえば、「訴訟」となります。

 

 ところで、訴訟だ!裁判だ!と意気込んだものの、「何をどうやって書けば分からない」、「どうやって手続きを進めればよいか分からない」という不安が先走ってしまって、どうしても一歩を踏み出すことができないのではないでしょうか。

 

 そこで、普段、私が用いている訴状のひな型を見ながら、ポイントを解説していきたいと思います。

 


 

(2)事例

 

 売主(大阪在中)が商品を200万円で売渡したが、買主(東京在中)が支払ってくれないという事例を想定しながら検討します。

 まずは訴状の1頁目のサンプルです。

 

 

 

訴 状

 

 当事者の表示、請求の趣旨及び請求の原因は別紙のとおり。
 
 売買代金請求事件…【①】
 訴訟物の価額    金200万0000円…【②】
 貼用印紙額       金1万5000円…【③】
 予納郵券          金4800円…【④】
平成25年  月  日
 大阪地方裁判所 御中…【⑤】
 

                                       原告 ●●株式会社

                                             代表取締役○○ 印

 
証  拠  方  …【⑥】

 1 甲第1号証  発注書
 2 甲第2号証  納品書

 
 付  書 

 1 甲号証写し                         1通…【⑦】
 2 資格証明書                         2通…【⑧】

 


 

 それでは、この訴状を見ながら【①】~【⑨】についてポイントを解説していきます。

 

 【①】ですが、売買代金を支払ってもらえないというのであれば「売買代金請求事件」、貸したお金を返してもらえないというのであれば「貸金返還請求事件」としておけば問題ありません。お金を支払ってもらうけど、事件名がよく分からないというときは、事件名を一切書かないか、書くとしても「金員支払い請求事件」とでもしておけば、後は裁判所が勝手に事件名はつけておきます


 

 【②】は、支払ってもらいたい金額(元本)を記載すればOKです。利息は含める必要はありません。


 

 【③】は、貼用(チョウヨウ)印紙額といって、要は裁判所に納める手数料のことです。この印紙代は決まっており、「裁判所 印紙代」というキーワードで検索したりすれば必要な情報が得られます。

 また、http://www.courts.go.jp/vcms_lf/315004.pdf(裁判所のWEBサイト)にも記載があります。
 なお、印紙は大きな裁判所であれば裁判所内で販売しています。また、郵便局でも販売しています。次の【④】に記載する通り、切手を納付する必要がありますので、郵便局でまとめて購入する方が二度手間にならないかと思います。


 

 【④】は、実は各裁判所によってマチマチです。例えば、大阪地裁と大阪地裁堺支部であれば4800円ですが、大阪地裁岸和支部であれば5940円です。なお、東京は6000円だったりします。したがって、訴状を提出する裁判所に電話して問い合わせるのが確実です。また、問い合わせに際しては、必ず「郵便切手の種類・内訳」も確認して下さい。というのも、例えば大阪地裁(&大阪地裁堺支部)の場合、500円切手、200円切手、100円切手、80円切手、50円切手、20円切手、10円切手を各5枚ずつ、合計4800円の切手を納めるように指示されるからです。
 したがって、訴訟提起予定の裁判所に対し、①印紙代の合計は幾らか、②内訳はどうすればよいのか、この2点を聞くように注意して下さい。


 

 【⑤】は、訴訟提起先の裁判所の名前を書きます。ところで、どの裁判所に提起すればよいのかという問題を「管轄裁判所」の問題といったりします。お金の支払いに限って言えば、自分の会社が存在する場所(商業登記簿に登録されている住所)を管轄する裁判所ですので、基本的には一番近くの裁判所に提起することができます。したがって、本件のように相手方が東京であっても大阪で訴訟提起することは可能です。なお、自分の住所地を管轄する裁判所がどこかを調査したいのであれば、「裁判所 管轄」で検索をかける、あるいは次のURL先(裁判所のWEB)を見れば分かります。http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/

 ちなみに、140万円以内のお金の請求の場合、地方裁判所ではなく、簡易裁判所が提出先となりますので、ご留意下さい。


 

 【⑥】にある「証拠方法」とは、要はペーパー上の証拠のことです。例えば、売買契約の場合、売買契約書が存在するのであればそのコピー3部を裁判所に提出します。本件では、契約書はありませんが、発注書と納品書がありますので、それらのコピー3部を証拠提出しています(※証拠の原本は裁判当日に持参すればOKです。コピーを3部用意する理由は、1通は裁判所用、1通は相手方送付用、もう1通は自分保管用です)。


 

 【⑦】は、上記【⑥】の証拠のことです。ある意味決まり文句ですので、このまま書けばOKです。


 

 【⑧】は、資格証明書とは法人の場合に添付しなければならない書類です。訴訟を提起する自分自身が法人の場合は、自分が法人であることを証する資料として1通必要です。また、相手方が法人の場合は、やはり相手方が法人であることを称する資料として1通が必要です。資格証明書については、最寄りの法務局で「現在事項全部証明書」を入手し、この原本を裁判所に提出することになります。本件では、原告、被告の双方が法人であるため、資格証明書は2通となっています。

 

 

 

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。