売上金回収のための担保取得チェック事項⑤(人的担保編)

売上金回収のための担保取得チェック事項⑤(人的担保編)

担保取得(人的担保)

(5)保証人の取得

人的担保と言えば、「保証(連帯保証)」となります。例えば、法人が負担している債務について、法人(会社)代表者が連帯保証するということは、よくある話かと思います。

 なお、本稿を作成している平成25年4月時点において民法改正に関する動きがあり、「保証」制度について大幅な変更が加えられる予定です。


 したがって、民法改正の動向によっては、以下に記載する内容は通用しなくなる(修正を余儀なくされる)可能性があることを、予めご留意頂ければと思います。

 

 

② BtoB取引において保証と言えば、上記でも記載した通り、社長個人に連帯保証人になってもらうパターンが多いかと思います。


 これはこれで問題無いのですが、現行民法では、保証人の意思確認を適切に行うことを目的として、「書面による保証契約」しか認められていません(口頭での保証契約は不可です)。この「書面」が要件となっていることは特に強調しておきたいのですが、実は書面が必須条件となったのは平成16年からです。


 従って、少し古い本や情報に接した場合、書面が必須条件にはなっていないような記載になっていますので、十分に注意して下さい。

 


 

③「保証人の意思確認」を十分に行ったことを更に強化(証拠固め)するべく、

保証人の自筆による署名

保証人による押印(可能な限り実印+印鑑証明書)

保証人の本人確認(免許証など)を、


債権者の面前で行ってもらうようにするべきです。


 何故ここまで要求するかですが、いざ保証人に対して保証債務の履行請求を行った場合、「私は保証人になった覚えはない!」と反論されてしまうパターンが意外と多いからです。このような反論が出てくる事例は、往々にして債権者は保証人本人とは面識がないまま、保証する旨の書面だけ徴収しています。このため、保証人より、保証人自らがサインor押印したものではない(=偽造されたものである)、印鑑を勝手に持ち出されたものであって私は知らない…という反論を受けてしまうリスクが残ってしまうのです。


 特に、親兄弟や友人などの事業活動には直接タッチしていない方に保証人になってもらう場合には、上記で記載したような事項をしっかり行うことで、リスクヘッジを図ってもらえればと思います。

 

 


④ なお、相手方も保証人になることは認めてくれているという場合、債権者としては、「だったら、できる限り広く責任を保証人に負わせた方が、いざという時に役立つ」と思われるかもしれません。


 たしかに、保証人の責任範囲を広くしたいという考えは間違っているわけではありません。

 ただ、いわゆる包括根保証と呼ばれる、保証期限や保証極度額(上限額)が定めっていない保証契約は、あまりお勧めできません(ちなみに、貸金関係であれば包括根保証契約は無効とされています)。

 あまりにも保証人の責任範囲が不明確(場合によっては予想外の債務を抱え込んでしまう)であることがその理由であり、最近の裁判所の傾向からして、一定限度に責任の範囲が限定されてしまうことがあり得ます。そして、この一定限度は債権者にとって予測困難なところがあります(いわゆる出たとこ勝負)。


 したがって、あまり欲張ることなく、保証人の責任範囲については上限額を定める限定根保証にする、保証の対象となる主債務の種類を絞り込む(根保証にしない)などの対策を取った方が無難なように思われます。

 


 


※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。