売上金回収のための担保取得チェック事項④(債権編)

売上金回収のための担保取得チェック事項④(債権編)

 

担保取得(物的担保)

(4)債権(売掛金など)

① 債権については、色々な担保設定の方法があり、場面場面で検討する必要があります。もっともポピュラーなのは「債権譲渡(予約を含む)」なのですが、他にも「代理受領」、「振込指定」といった当該債権の支払先を債権者にする方法で、事実上の担保とする方法などもあります。

 ここでは、債権譲渡について検討することにします。

 

 

 

② まず、担保対象としての評価の容易性ですが、現場実務の観点からいえば非常に困難と言わざるを得ません。というのも、債権ですので、結局は第三債務者の支払能力の有無によって判断する必要があるところ、よほどの大企業でない限り、支払能力の有無を検証することはできないからです。この意味で、債権の額面通りの担保評価をすることは自殺行為に等しいと言わざるを得ません。

 したがって、第三債務者の属性によって評価を変更させなければならないという点では、評価は容易とは言えないかと思います。

 

 次に、設定の容易性ですが、債権譲渡は担保設定者である債務者が、第三債務者(債務者が持っている債権の請求先)に対し、確定日付のある通知(典型的には配達証明つき内容証明郵便による通知)または承諾(第三債務者に異議なき承諾の書面を発行してもらい公証役場で確定日付を認証してもらう)によって債権譲渡は行われます。

したがって、「通知」という手段で行うのであれば、担保取得者である債権者と担保設定者である債務者との話し合いだけで簡単に設定できます。ただし、担保取得者である債権者が十分な調査をしなかった結果、実は担保対象となる債権は譲渡禁止特約がついていた場合(典型的には銀行預金)、担保の設定自体が第三債務者との間では効力を有しないこと可能性もあり得ますので、十分な注意が必要となります。

 

管理の容易性については、書類が整備しやすいという意味では管理は容易なのですが、担保としての債権価値を把握管理することは、つまるところ第三債務者の動向如何に委ねられるところがありますので、なかなか管理が容易ではないということになります。したがって、担保の実質的価値を把握することまで念頭におくのであれば、管理は困難と考えるべきではないかと思います。

 

最後に、換価処分の容易性ですが、債権譲渡を行っている以上、債権者自らが主導的に第三債務者に対して請求を行うことができるという点では換価処分は容易かと思われます。ただ、換価すなわち現金化するためには、第三債務者の支払能力の有無などが問題になってきますので、この点を含めて考えるのであれば、やや難があると言わざるを得ません。

 

 

 

③ 売掛金を念頭に検討しましたが、債権には色々なものがあり、例えば、不動産賃貸借にかかる敷金返還請求権、取引先への保証金返還請求権、保険金請求権なども債権に該当します。

 

 ただ、敷金や保証金返還請求権は通常は債権譲渡禁止特約がついていること、保険金請求権は保険事故が生じないことには現金化できないこと(但し、判決等の債務名義に基づく強制執行手続きの場合、強制的に保険契約を解約して、その返戻金を差押えて回収するという方法はありますが、担保設定の問題とは次元を異にしますので混同しないようにして下さい)等の難点があり、債権を担保化することは、事実上売掛金に限定されているのではないかというのが現場実務での実感となります。

 

 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。