売上金回収のための担保取得チェック事項③(現金、預金、有価証券編)

売上金回収のための担保取得チェック事項③(現金、預金、有価証券編)

担保の対象として、これまで「不動産」、「営業動産」について解説してきました。

 今回は、「現金、預金、有価証券」について解説を試みたいと思います。

 

担保取得(物的担保)

(3)現金、預金、有価証券

① 現金については、保証金等の名目で預託する方法が担保取得の方法としてベターとなります。

 

 預金については実は意外と担保にすることが難しいのですが(銀行取引約款上、担保設定が禁止されていたり、銀行からの借入金と相殺されてしまうため)、定期預金であれば質権の設定による担保取得が考えられます(但し、銀行より質権設定承諾書を入手する必要があり)。

 

 有価証券については、市場取引されている株式や国債であれば、各保管先が定めている手続きに従って質権または譲渡担保権の設定を行うのがベターとなります。一方、市場取引されていない株式等の有価証券については、担保として取得することは避けた方が良いと思われます。


 

② まず、評価の容易性ですが、現金は額面通りで評価できるという意味で非常に評価が容易です。

 ただし、債務者の契約違反等で預託金から差し引きされることもあり得る話ですので、単純に額面通りと評価するわけにはいかないことに注意が必要です。

 一方、定期預金についても原則的には額面通りの評価をして良いという意味で評価は容易かと思われます。市場流通している有価証券については、当該市場の時価という意味で評価が簡単ですが、日々変動しますので、実際に担保としての評価額を見極めるのは難しいと思われます。

 

 次に、設定方法の容易性ですが、現金については契約書の作成と現金授受で対処できますので、比較的容易といえます。定期預金については、銀行が承諾しないことには設定ができません。また、銀行に承諾してもらったものの、定期預金の期間満了後に再度質権設定が必要となる場合もあります。その煩わしさを加味すれば、必ずしも容易とは言えないと思われます。市場流通している有価証券については、証券保管振替機構(ほふり)などが定めた手続きが必要ですが、手続さえ行えば通常は認めてくれますので、定期預金よりは設定しやすいと言えるかと思います。

 

 また、管理については、現金については債権者自らが預託し管理している以上、管理困難性は生じ得ません。定期預金や市場流通性のある有価証券についても、必要書類を債権者が保管することが通常ですので管理困難性は生じないといえます。

 

 最後に、換価処分の容易性についてですが、処分するための必要書類を債権者が有しており、特段の法的手続きが不要という点では、換価は容易といってよいかと思われます。

 

 

③ 前述の通り、市場流通性のない有価証券(典型的には非上場会社の株式)については、担保設定は回避するべきと思います。もっとも、有価証券それ自体を評価するのではなく、有価証券を取得することで得られるメリット(例えば当該株式を発行している会社を支配する)があるのであれば、もちろん担保として取得することは可能です。

 

 なお、前述ではあえて触れなかったのですが、市場流通性がある有価証券として抵当証券があります。が、これを担保とすることは非常に危険ですし(抵当証券それ自体が紙くずになるリスクが高いため)、そもそも担保評価が困難と言わざるを得ません。どうしても無いというのであれば、額面より相当低価値評価をして担保取得するに止めるべきではないかと思います。

 


 


※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。