売上金回収を行うための債権管理チェック事項②(クレジットカード、電子マネー)

売上金回収を行うための債権管理チェック事項②

 前回は、債権管理の中でも一定の時間が経過してしまうと債権それ自体が消滅してしまうという、恐ろしい効果を持つ「消滅時効」について解説しました。

 今回は、支払期限通りに支払ってくれない取引先に対して、どの様な対応を行って行くのか、債権管理という視点から解説を試みたいと思います。

 
 

3.履行遅滞の取引先への対応

(1)履行遅滞とは

 履行遅滞とは、支払期限が到来したにもかかわらず取引先が支払って来ない場合のことをいいます。なお、履行遅滞は取引先が倒産した場合など事業活動が止まってしまった場合にも当然発生しますが、ここでは、取引先の事業活動は継続していることを前提にします。
 
 さて、取引先が履行遅滞に陥った場合、当然のことながら「支払いはどうなっているのか」という連絡を取るかと思います。この連絡に対し、取引先は「言い訳」をするはずなのですが、債権管理という観点からはこの言い訳を漫然と聞くだけでは意味がありません。いつ支払ってもらえるのかという協議も当然必要ですが、


 

与信管理の情報として意識的に資金繰り悪化の主な原因の追及(過剰在庫、過大な設備投資、本業以外の投資、売上不振、業界の構造的不況、貸倒金の発生、経営者の能力など)
 
資金繰りの状況(一時的な資金ショートなのかなど)
 
他の債権者への接触状況(他の債権者への猶予要請の有無、猶予要請に対する他の債権者の承諾の有無、他の債権者へ申し入れていない場合、何故当社に行ったのか理由など)
 
 
の事情を聞き出すことがポイントとなります。

 

(2)履行遅滞が発生した場合

 履行遅滞が発生した場合、未払い額の多少にもよりますが、取引先からの直接的なヒアリング以外に収集するべき情報としては、次のようなものが考えられます。
 


 

・取引先の状況(商品在庫や販売状況、資金繰り、社長や重要役員の動向、従業員の雰囲気、販売商品の所在など)
 
・他の債権者の動向(取引金融機関、仕入れ先、販売先の対応など)
 
・第三者からの情報収集(自社他部門からの情報、同業他社の風評、信用調査会社の速報など)
 
・利害関係人(保証人、取引先の親会社・関連会社、大口債権者の有無など)
 
・自社債権の確認(契約書、注文書・注文請書、手形、出荷伝票、納品書、請求書など)
 
・担保の確認(担保権設定契約書、担保物件の所在・現況・価値など)
 
 
 もちろん全ての情報を収集することは難しいかと思います。
 このため、上記事項の組み合わせが重要となってきます。
 なお、当職の経験上、百聞は一見に如かずという通り、取引先を訪問することで目に入ってくる情報の方が格段に判断材料を得ることができるように思います。従って、面倒くさがらずに、地道に取引先に足を運ぶことも重要かと思います(取引先からすれば、いわば取立屋が来るわけですから、相当な心理的プレッシャーです。これだけでも回収可能性を上げることができます)。

 

(3)支払猶予・手形ジャンプへの対応

 取引先が支払猶予・手形ジャンプを行ってきた場合、応じるか否かは当方の裁量ですので相対的に有利な立場になります。
 したがって、この場合、上記で記載したような情報提供を要請し、開示を受けたことを条件に支払猶予・手形ジャンプに応じるか否かの検討を行うというスタンスを取るべきです。
 
 もっとも、相対的に有利になるからといって、過剰な要求を行ってしまうことで、取引先を潰してしまったり、意固地にさせてしまって感情的に支払いを拒絶するようになってしまえば債権回収という目的を達成することができません。あくまでも「支払い猶予に応じるか否かの判断材料を提供してもらう」点において、相対的に有利な立場に置かれるだけに過ぎないことを肝に銘じておくべきかと思います。

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。