景品表示法と表示・広告の関係(おとり広告)

景品表示法と表示・広告の関係(おとり広告)

第1 内閣総理大臣が定める不当表示

 景品表示法が定める「不当表示」として、前々回は優良誤認(景表法4条1項1号)を、前回は有利誤認(景表法4条1項2号)について検討しました。

 残るは景品表示法4条1項3号が定める「内閣総理大臣」が「指定」するものが不当表示として規定されているのですが、現時点では、次の6つになります。

 
・無果汁の清涼飲料水等についての表示
・商品の原産国に関する不当な表示
・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
・不動産のおとり広告に関する表示
・おとり広告に関する表示
・有料老人ホームに関する不当な表示

 

 この指定については、かなり業種を絞り込んでいることから、本記事では、一般的に問題になるであろう「おとり広告」に限って解説を行いたいと思います。
 
 
 

第2 おとり広告とは

 おとり広告については、何となくイメージができるかと思いますが、ガイドラインである『「おとり広告に関する表示」等の運用基準』によれば、

◆ 広告、ビラ等における取引の申出に係る商品又は役務が実際には申出どおり購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認するおそれがある表示
 
としています。

 

 
 正確には、前述の内閣総理大臣指定の「おとり広告に関する表示」では、次のような4類型が規定されています。

 

① 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示
 
② 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
 
③ 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
 
④ 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務についての表示
 
 
 
 4類型の細かな解釈については、『「おとり広告に関する表示」等の運用基準』に記述がありますので、そちらを参照して欲しいのですが、簡単なポイントだけまとめたいと思います。

 

(1)①について

 「取引を行うための準備がなされていない場合」とは、取引を行うための準備が一応できていても、引渡に時間がかかる場合や、一部の商品だけが準備できているに過ぎない場合であっても、これに該当します。

 

(2)②について

 「著しく限定されている」とは、予定購買数量の半数に満たない場合をいいます。
 「明瞭に記載されている」とするためには、単に販売数量が限定されている旨の記載だけでは足りず、商品名等の特定と実際の販売数量の記載が必要となります。

 

(3)③について

 「明瞭に記載されている」とするためには、実際の販売日、販売時間等の販売期間、販売の相手方・顧客1人当たりの販売数量の記載が必要となります。

 

(4)④について

 「合理的理由」とは、例えば未成年者に対して酒類を販売しないことを指し(法令上禁止されているので合理性有り)、他の商品の方が高利益である等の販売者側の都合は合理的理由となりません。
 
 

 

第3 まとめ

 リアル店舗にせよネット通販にせよ、集客しないことにはモノ・サービスを売ることはできません。
 このため、目玉商品を掲載した顧客誘引広告は古今東西行われており、この広告手法自体は全面的に禁止されていません。
 あくまでも商品・サービスを売る気が無いにもかかわらず、これを利用して他の商品を売りつけるやり方が禁止されているに過ぎません。

 要は、消費者にとって「だまし討ち」とならない広告手法を心がければ問題は生じないと思われます。

 

 

 


※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。