景品表示法と広告・表示の関係(有利誤認)

景品表示法と広告・表示の関係(有利誤認)

第1 有利誤認とは

 正確な定義は景品表示法4条1項2号で確認して欲しいのですが、要は、商品・サービス価格に問題がある表示とイメージすれば分かりやすいかと思います。
(法文上は「その他の取引条件」とありますが、ほとんどは価格の見せ方・表示に関して問題となっているので、とりあえず価格の問題と考えればほぼ捕捉可能だと思います。)
 ところで、インターネットの普及に伴い、ネット通販の形が多種多様なものとなっていますが、平成23年5月24日に消費者庁が公表したレポートを読むと、問題の根本は同じなのですが、景品表示法違反として処分の対象となっていることが分かります。

第2 具体的な事例

 それでは、具体的な事例を見ながら検討してみたいと思います。

事例1

 X株式会社、ダイエット食品など24商品について、自社及び傘下のドロップシッパーのインターネット通販サイトにおいて、「特価1,980円(2070円[税込み])希望小売価格9,334円」等と記載することにより、通常よりも特別に安価で購入できるかのように表示していたが、実際には、これらの表示は事実に反するものであった。
 


 

◆ この件は元々「希望小売価格」というものが実在せず、架空の値段設定をつけることで安くなっていると消費者にイメージ付けようとしたことが有利誤認であるとされたものです。実際の値段設定が架空である以上、ある意味当然の処分ではあると思います。
 


事例2

 X株式会社は、平成22年11月25日及び同月26日に「A」と称するクーポン共同購入ウェブサイトに掲載された「○○」と称する加工食品(おせち料理)に係るウェブページにおいて、「50%OFF【10,500円】・・・・・」、「10,500円 通常価格(税込) 21,000円 割引率 50%OFF 割引額 10,500円」と広告表示していた。
 しかしながら、販売価格に併せて「通常価格」と称する21,000円という価格は架空のものであった。
 

◆ これは、平成23年年明け早々に大きな話題となった事例です。事例1と同じく、通常価格というものが元々存在しないのに比較対象するためだけに適当な数字をつけ、安くなっていると消費者にイメージ付けようとしたことが有利誤認であるとされた事例です。


 


事例3

 平成22年9月27日配布の新聞折り込みチラシに、化粧水(本体)については「当店通常価格2,380円(税込)の品 税込1,980円」と、表示していた。
 しかしながら、実際には、化粧水(本体)については、最近時の販売価格(8週間)のうち、短期間(22日間)において販売されていた価格2,380円を「当店通常価格」と表示していた。
 


 

◆ 事例1及び事例2と異なり、実際に販売していた価格が存在した事例です。
 ただ、本件の事例では、過去に販売していた価格を恣意的に取り上げ、当該価格を比較対象とした点で有利誤認であるとされています。なお、「8週間」という基準については、平成18年に公正取引委員会が公表した「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」というガイドラインに記載のある数字です(このガイドラインでは、8週間の過半数に当たる期間で販売されていた価格を、比較対象の価格とすることを原則的な判断材料とする等々の考慮要素が明記されています)。
 

 

 「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」


事例4

 X株式会社は、中古自動車を供給するに当たり、テレビコマーシャル、ラジオコマーシャル、駅貼りポスター及び自社ウェブサイトにおいて、「月々1,900円からクルマが買える」との音声及び「月々 ¥1,900~」との映像を放送し、供給する全ての中古自動車について、広告宣伝されているプランを利用すれば、月々1,900円の支払いのみで当該中古自動車が購入できる旨表示していた。
 しかしながら、実際には、当該プランにおいて月々の支払額を1,900円に設定した場合、別途、頭金及び年2回のボーナス時に月々の支払額に加算される金額を支払う必要があり、また、X株式会社が供給する全ての中古自動車について、当該プランを利用できるものではなかった。

◆ 実際の事例はもっと色々な事情が記載されているのですが、分かりやすくするため半分以上を省略しています。
 これは、今までの単なる値段設定の問題に止まらず、「取引条件」本件では支払方法についても、消費者に誤解を与えるものとして処分されています。すなわち、プラン対象外の条件があるのであれば、きちんと分かりやすく明記すること(本件で言えば全ての中古自動車が対象となっていないこと)、支払方法についてボーナス払い等の変動があるのであれば、その点も明確にすること(本件では、頭金とボーナス払いがあるため、常に月1900円の支払いで済むわけではないこと)がポイントであり、その点について十分な説明・表示を行っていないことが消費者に誤解を与えるものとして処分されています。

 

 

第3 最後に

 有利誤認については、上記の事例からも分かる通り、基本的には価格・値段の問題が大半を占めます。なお、上記事例には取り上げていませんが、消費者庁のレポートには、ペニーオークションの事例なども掲載されていますので、興味のある方は検討してみて下さい(ポイントは市場価格より遙かに安く手に入れられると宣伝していても、結局は入札額と手数料等を合算すれば必ずしも安価とは言えないので、その点を十分に説明していない以上、問題があるとされた事例)。
 なお、取引条件に関するガイドラインとしては、「不当な割賦販売価格等の表示に関する不当景品類及び不当表示防止法第4条第2号の運用基準」というものも存在しますので、割賦販売を行う場合には、あわせて検討してみて下さい。

「不当な割賦販売価格等の表示に関する不当景品類及び不当表示防止法第4条第2号の運用基準」


 

 

 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。