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【H23.1.20】創業期に注意したい訴訟問題について

 平成23年1月20日に藤井寺市商工会にて、「創業期にこれだけは知っておきたい訴訟リスクの基礎知識」と題する講演を行いました。
 その講演のダイジェスト版になります。
 聴講された方におかれましては復習用として、聴講されていない方におかれましては何かの参考になれば幸いです。
 なお、以下の記事につきましては、できる限り内容は正確になるよう努めましたが、当職の勉強不足により誤っている部分があるかもしれません。従いまして、個別の事案の解決に際しては、必ず当該記事のみから判断せず、専門家にご相談の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。
 


 

第1 創業期に訴訟に巻き込まれるパターン事例と対応

元勤務先より秘密保持義務違反、競業禁止(避止)義務違反で訴訟を受けた場合


 創業前に勤務していた会社で培ったノウハウを元に、退職後、同業種にて開業し営業を行っていた。開業してしばらくしてから、元勤務先より、営業差止めと損害賠償を求める訴状が裁判所より送付されてきた。

 

 
<キーワード>
・入社時or退職時の誓約書
・秘密情報/営業秘密
・競業禁止(避止)

 
<解説>
 元勤務先との関係が切れている以上、原則として元勤務先から何か言われる筋合いはないはずです。

 

 しかしながら、入社時又は退職時に誓約書などにサインをしたことはないでしょうか?

 そして、この書面の中に、「会社の機密情報は開示・漏洩しません」とか、「退職後2年間は競業会社に就職しません。競業会社の立ち上げを行いません」等々書いていなかったでしょうか?

 

 もし、この様な内容が書いてあり、サインしてしまった…というのであれば、本件のようなトラブルに巻き込まれるリスクが高くなります。

 従って、その様な書面にサインしないことが一番なのですが、色々な都合上、サインせざるを得ない場合も想定されます。

 

 さて、この様な訴訟を受けた場合、対処法としては次の2点となります。

 

① 相手方が主張している「秘密情報」は本当に秘密情報に該当するのか疑う。
 
② 相手方が主張している「競業避止義務」は有効といえるのか疑う。

 

 まず、①についてですが、例えば、会社で知り得た一切の情報は秘密情報であると規定されていた場合、裁判所は情報一切合切が秘密であるという考え方はしません。

 例えば、マル秘技術やお客様リストなど通常外部に漏れることのない情報であれば秘密情報に該当する場合もあり得ますが、WEB等で取引先企業一覧という形で掲載されている場合、取引先企業は誰でも閲覧可能な状態となっている以上は秘密とはいえないかと思います(よく取引先を奪取したことに対して、取引先情報が秘密情報であると主張してくる場合があるのですが、取引先情報をWEB上で公表しているのであれば、秘密情報に当たらないと考えられます)。

 

 一方、②については、職業選択の自由という憲法上の要請から、サインさえしていれば常に有効という判断を裁判所は行っていません。

 典型的には、期間の限定があるか、職種の限定があるか、地域の限定があるか、代償措置が取られているか等々の限定をかけてきます。例えば、永久に同業には就けないとなると、競業禁止に関する取り決め自体が無効と判断される可能性が高いでしょう。

 
 

元右腕の退職者から、未払い賃金(残業代)の請求訴訟を受けた場合 


 創業時より一緒にやってきた「右腕」が退社することになった。退社後、未払い賃金等の支払いを求める訴状が裁判所より送付されてきた。 
 

 

<キーワード>
・従業員兼務取締役、管理監督者
・固定(定額)残業代
・年俸制の誤解
・「過払い問題」の次に狙われている?


 
<解説> 
 創業時から苦楽を共にしてきた以上、社長はすごく信頼し任せっきりだった人物がいたのですが、退職した途端、牙をむくという事例は近時多発しています。

 いわゆる未払い残業代の問題です。ご存じかもしれませんが、日本の労働法は圧倒的に労働者有利の法形式になっています。

 従って、社長・会社の常識が裁判所では通用しないということが頻繁に生じます。

 

 例えば、社長の右腕と呼ばれていた方は役員として就任しているパターンがあります。

 最近でこそ役員は1名でOKとなっていますので少なくなってきていますが、昔は株式会社を設立するに際しては3名以上の取締役が必要とされていました。従って、数を満たすためにも名義を借りていたということは結構多いんですね。ところで、役員=取締役は役員報酬であり、従業員のような賃金・給料ではない以上、未払い残業代の問題など生じないのでは?と思う方もいると思います。

 しかしながら、上場している大企業であればともかく、中小企業の場合、従業員しての地位と役員としての地位が併存している従業員兼務取締役であるとして、未払い残業代が発生してしまうことがあります。

 役員であった者からの訴訟対策としては、大雑把には次のような点がポイントとなります。

 

 

① 当該人物に対して、税務上報酬扱いにしていたのか、労働保険は加入していないこと等、取締役として扱いを行っていたこと
 
② 勤務時間や勤務場所の拘束性がないこと(裁量に委ねられていたこと)

 

 これに当てはまるのであれば、純粋役員として未払い賃金の問題は生じないとして対処することとなります。

 

 次に、昔でいう番頭さん、今でいう部長等の重役クラスとして扱っていた以上、管理監督者に該当するので、未払い残業代は発生しないという反論が考えられます。なお、管理監督者の議論で間違えてはいけないのが、深夜残業(10時から5時)については割増賃金の対象ですので、これは支払わざるを得ません。

 さて、管理監督者の議論については、近時のマクドナルドの店長に関する判決で非常にホットな話題になりましたが、はっきり言ってハードルは高いと言わざるを得ません。

 この手の反論を行いたい場合のポイントは次の通りとなります。

 

① 管理職手当などそれなりの特別手当が支給されていること
 
② 出退勤について拘束されていないこと
 
③ 職務内容が統括的な立場にあること
 
④ 部下に対して一定の裁量権を有していること

 

 さらに、よくある言い分として、「うちは残業代込みの賃金だ」というものがあります。

 もっとも、法律上は、残業代込みの支給であれば、きちんと要件を満たさないことには残業代込みと認めてくれません。この手の反論を行いたい場合のポイントは次の通りとなります。

 

① 基本給とは別の手当項目を設けること 
 
② 当該手当が何時間分の時間外労働に対する賃金に当たるのか明示すること 
 
③ 就業規則、賃金規程、給料明細に明示すること

 

 年俸制について、最近では少なくなってきましたが、以前は残業代を支払わなくても良いと誤解されていたようです。

 しかしながら、年俸制であっても残業代は発生しますので、今一度確認をして頂ければと思います。

 なお、これについても、上記固定・定額残業代と同じく、適切に区分されていたかがポイントとなります。

 
 

不具合がある商品について、売買代金の支払いを求める訴訟を受けた場合

 

 仕入れ先より商品を受領したが、不具合があることを理由に返品と取替を要望したところ拒否された。このため代金を支払わずに放置していたところ、売買代金の支払いを求める訴状が裁判所より送付されてきた。

 

 
<キーワード>
・契約書の存否(検査・検収について)
・不具合の証明

 
<解説> 
 売買契約書が締結されている場合、不具合の有無について検査期間が設けられていないか確認する必要があります。

 例えば、商品の受領後3日以内に検査結果を通知し、通知しない場合には合格したものとみなすと規定されていた場合、形式論としてはこの期間を過ぎてしまうと、不具合があったとしても何も言えなくなってしまうということも想定されるからです。

 

 では、契約書がないor契約書はあるが検査期間の問題がクリアーできる場合、次に問題となるのが、「法律上、不具合が存在したと言えるか?」という点です。

 何を馬鹿なことを…と思われるかもしれませんが、例えば商品の性能に関するクレームの場合、買い主が期待していた性能評価と売り主が把握していた性能評価が異なっているがために紛争が勃発すると言うことは良くあり得ることです。あるいは中古品の商品売買の場合、一般的には「現状有姿」といって、通常使用には問題ないと思われるけど、中古品なので何があるか分からないので、あるがままの状態で受け入れて下さい…という事例を想定した場合、不具合と主張したところで、現状有姿で受け入れることが約束である以上、不具合があることも想定していたでしょ!と反論されてしまうことだってあり得るわけです。

 

 従って、この手の問題が生じた場合にはポイントとして

① 契約書の有無、契約書が存在するのであれば内容の確認(特に検収期間と瑕疵担保責任)
 
② 不具合の内容、外観や見た目などで直ちに発見しうるものだったか
 
③ 正規の商品とは何かを証明できる資料の入手 

等を検討する必要があります。

 
 

叱咤激励の発言に対して、解雇無効とパワハラに基づく損害賠償請求を受けた場合


 能力不適格と思われる従業員に対して、「このままでは会社にはいられない」と言ったところ、次の日から出社しなくなった。その後、解雇無効とパワハラに基づく損害賠償請求を求める訴状が裁判所より送付されてきた。
 

 
<ポイント>
・解雇or叱咤激励?
・教育指導とパワハラの限界線
・労働契約法16条「客観的合理的理由+社会通念上相当

 
<解説>
 時代の流れと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、最近は「熱い指導」が敬遠される傾向が強く出ています。

 本件の事例でも、そもそも上司の発言の意図が「会社を辞めてくれ」、つまりクビだ!というつもりだったのか、叱咤激励のつもりだったのか、はっきりしないところがあります。

従って、会社側としては、辞めさせるつもりではなかったというのであれば、

 

 ① 解雇の意思表示を行った訳ではない

 

 この点を明確に主張することがポイントとなります。

 

 なお、解雇していないとなると、当然のことながら、従業員は復職できることになります。

 しかし、小さな会社であれば、「訴訟までしてきた従業員と顔を合わせるのも嫌だ!」という心情的な問題もありますし、他の従業員の士気低下にもつながりかねないという悩ましい問題があります。

 従って、本当に復職させるべきか否かの本音を確認した上で、対応方針を決める必要がありますので、その点は注意が必要です。

 

 では、解雇の意思表示ではないという場合、言い方や指導教育方法に問題がなかったかという点が問題となります。

 これについては、世代格差・ジェネレーションギャップが存在しますし、いわゆる体育会系で育ってきたヒトとそうではないヒトとでは受け止め方が違いますので、一律に決めることは大変難しいのが実情です。

 そして、最近では、叱咤激励のつもりだったのが逆にパワハラであると反撃されてしまい、上司が萎縮してしまって会社内の秩序が保てなくなってしまうと言う大変悩ましい事態が出てきています。

 この様に限界線を設けることが大変難しいのですが、あえてポイントを上げるとすれば、

 

 ② 叱咤激励を行う背景事情を細かく検証すること(必要性)

 ③ 手段・方法として常識を越えていないこと(相当性)

 

を主張し、あくまでも問題となっている従業員の主観的なとらえ方に過ぎないとして対処していくしかないと思われます。

 

 一方、解雇の意思表示という場合、次に問題となるのが、いわゆる不当解雇に当たらないかという点です。

 おそらく経営者仲間でも必ず1回は話題になると思うのですが、日本の労働法は会社経営者にとって非常に厳しい、特に解雇についてはハードルが高すぎて、実際にはほとんど勝ち目が無いのが実情です。特に本件のような能力不足となると、あるべき能力とは何か、本人の業務遂行状況はどうだったのか等々、客観化しづらい問題があるため、裁判所がなかなか会社の実情を分かってくれない…という大変悩ましい問題が出てきます。

 

 それでもなお、闘って行く必要がありますので、

 

 ④ 同僚や同じ部署の担当者から導き出される、会社が求めている能力とは何かの基準確定

 ⑤ 問題となっている従業員の業務遂行状況、結果

 ⑥ 問題となっている従業員の具体的な問題行動

 

をとにかく上げていく細かな作業がポイントとなってきます。

 
 

ソフトウエアの違法コピーを理由として使用差止め・損害賠償の訴訟を受けた場合

 

 パソコン用のソフトウエアを1個購入し、複数のパソコンにインストールして使用していた。ある日、ソフトウエアの管理団体と名乗るところから通知書が送付されてきたが無視していたところ、著作権侵害に基づく使用差止めと損害賠償を求める訴状が裁判所より送付されてきた。

 

 
<キーワード> 
・ソフトウエアを正当に購入したのに違法コピー?
・著作権管理団体とは 
・損害額(通常のライセンス料の2倍、3倍は当たり前?)
 

 
<解説>
 私の世代なんかは当てはまってくるのかもしれませんが、みんなでお金を出し合って、好きなアーティストのCDを1枚購入し、それをカセットテープにダビングして聞き回していたことがあるかもしれません。

 この時の発想は、おそらくCDを購入した以上は購入者のもの、つまり所有権がある以上、CDをダビング、つまり複製しても全く問題ないはずであるというフローではないでしょうか。

 このフロー自体は必ずしも間違い、つまり著作権侵害となるかは微妙な問題となります(私的複製の問題として処理することになります)。

 

 では、本件の場合でも同じじゃないの?と思われるのですが、残念ながら著作権法という法律は、プライベート(私的)に用いる場合以外は、この様な取扱いを認めていません。

 そして、おそらくはPCソフトの使用上の注意事項の中に、1台にしかインストール不可と記載してあるはずで、その使用細則に同意クリックをしないことにはソフトが起動しないようになっているはずです。

 従って、ソフトウエアを正規に購入したとしても、複数台にインストールことは著作権法違反として取り締まられる対象となります(要は所有権と著作権は別問題ということです)。

 

 次に、この著作権管理団体とは何者でしょうか?代表的な団体としては、音楽関係のJASRAC、ソフトウエアであればACCSBSAなどが有名です。

 理屈で考えていった場合、ソフト上の著作権を有するのは各ソフトウエアメーカーのはずであり、団体ではありません。従って、メーカーから著作権侵害を主張するのであればともかく、団体から言われるのは解せない、さらに損害賠償金を支払えと言われても本当に支払うべき相手なのか不安である…等々の問題があります。

 確かに、懸念されている事項は当たっている部分があり、しかもこの様な団体は往々にして高圧的な態度で来るため、心情的にも対処したくないというところも理解できなくもありません。

 しかしながら、実際に指摘されている違法コピーが存在するのであれば、あまり争うことは得策ではないのが実情ですので、冷静に考え、違法状態が存在するのであれば、修正していくのが筋ではないかと思います。

 

 もっとも、何らかの事情により訴訟提起されることもあり得ます。違法コピーをしていないというのであれば、

① シリアルナンバー等のライセンス付与の証拠を集めること 

 
② 従業員が会社の知らないところで勝手にインストールしていないか、コンピュータごとにインストール履歴を調査すること 

で、自らの「シロ」を立証していくことがポイントとなります。

 

 なお、余談ですが、何故管理団体にバレルかと言いますと、内部告発が非常に多いと言われています。

 実際、各種の団体のホームページを見ると、匿名での告発を募集しています。残念ながら、会社にとって不利益な情報は身内から漏れる時代であると考えた方が良いかと思います。


 
 

第2 被告として訴訟に巻き込まれた場合の初期対応について

 裁判所から郵便物が送付されてきました。
 開けて中を見ると、訴状と証拠、口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状が入っていたのですが、今後、どの様に対応すれば良いでしょうか?
 
 

第1 裁判所から送付されてきた資料の確認

 おそらく封筒の中には、次のような書類が入っていると思います。

 

・第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状
・訴状 
・証拠(右側に甲1号証から順番に番号が振られている書類)
・(場合によっては)証拠説明書
 
 まず、一番最初に見て欲しいのは、上記の資料の中でも、「第1回口頭弁論期日呼出状」です。
 そして、おそらくは下段の中に記載のある「期日」という欄に、いつ裁判が行われるか、これをまずは確認して下さい。 この第1回期日の1週間前までに答弁書を提出するよう指示が行われているはずですので(答弁書提出期限という欄があるはずです)、それを確認の上、逆算し準備を行うこととなります。
 
 

第2 誰に相談するべきか

 大まかに思いつく人物としては、

 

・弁護士(訴訟といえば弁護士というイメージが強いと思います)
・司法書士(訴訟代理権を持っていると聞いたけど、弁護士と何が違うのという声が多い?)
・税理士(資格保有者の中でも、一番身近にいる相談相手かと思います)かと思います。

 まず、簡易裁判所から訴状が送付されてきたというのであれば(呼出状の真ん中より上の右側に裁判所の名前が書いてあるはずですので、確認して下さい)、弁護士だけではなく、司法書士でも代理権がありますので、依頼することは可能です。 

 なお、簡易裁判所に限っていえば、会社の社長・代表者ではなく、事情を知っている担当者(一従業員)に代理権を付与することも場合によっては可能です。この場合、弁護士や司法書士と異なり、事前に裁判所に申請して許可をもらう必要がありますので、予め裁判所の担当者(呼出状に連絡先と担当者名が記載されています)に相談するようにして下さい。

 

 次に、税理士については、訴訟代理権を有していません。 

 しかしながら、税理士の場合、弁護士の知り合いがいることが多いようです。従って、税理士を通じて弁護士を紹介してもらったほうが、効率的に弁護士を探し出すことができるかもしれません。 

 
 

第3 時間が不足する場合のとりあえずの時間稼ぎ方法

 あまり、こんなことを言ってしまうと裁判所から目の敵にされてしまいそうなのですが、「最初が肝心」と言うことで、戦略を練るための時間稼ぎとして、次のような方法が考えられます。

 

・移送申立 
・「追って主張する」の答弁
 

 

1.移送申立

 移送申立とは、訴訟が提起された裁判所以外の裁判所で裁判を行って欲しいことを希望する場合に行う手続のことを言います。

 例えば、自分は大阪にいるが、今回訴訟提起された裁判所は名古屋地方裁判所となっている場合、行けないことはないと思いますが、しかし時間も交通費もかかりますので、できれば地元大阪の裁判所で裁判を行いたいと考えたくなるのではないでしょうか。

 この様な場合、「答弁書」を提出する前に、移送申立書という書類を作成し、現在裁判が行われている裁判所、つまり本件では名古屋地方裁判所宛に提出するという手順を踏みます。

 ここでのポイントは、

 

・答弁書提出前に移送申立書を提出すること
(答弁書を先に出してしまうと、移送申立を行うことは出来ません)
 
・移送申立書には、何故移送して欲しいのか理由を記載すること
(これを書かないことには判断しようが無く、結果的に却下となります)
 
・移送申立手続を行うと、基本的には指定されていた第1回裁判期日が取り消されること
(移送申立を認めるか否かの判断を先に行うため、第1回期日は延期される)

ということになります。


 なお、誤解を与えないためにも、あえて申し上げておきますが、どうしても訴訟遅延を招くため、積極的にお奨めできる方策ではありません。が、弁護士を探すのに時間がかかるという場合には、移送申立が認められるか否かを問わず、第1回の裁判期日が結果的に1ヶ月程度遅れることになることから、一応検討しても良いかもしれません。

 あと、関西でいえば、例えば京都地方裁判所に訴訟提起された事件を大阪地方裁判所に移送するよう申し立てることも一応できますが、ご近所であるということで、移送申立は却下されるかもしれません。


 

2.「追って主張する」の答弁書

 答弁書ですが、訴状に記載されている事実について認めるか、認めないか、認めないのであればその理由は何か、その他反論するべき事項は無いか等々、できる限り詳細に記載するのが望ましいです。

 しかしながら、限られた時間内に作成することは現実的には難しい場合が多く、ましてや自分で訴訟対応しようとした場合、書き方が分からずどうすればよいか分からない・・・という事態も想定されます。

 そこで、第1回の裁判ではとりあえず、先方の請求内容だけは争っておきたいというのであれば、次のような内容の答弁書だけ予め提出し、第1回は欠席し時間を稼ぐという方法が考えられます。



第1 請求の趣旨に対する答弁

 1 原告の請求を棄却する。

 2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決(※並びに被告敗訴の場合は仮執行宣言の免脱)を求める。


 

第2 請求の原因に対する認否及び被告の主張

 追って準備書面にて認否反論を行う。


 ここで疑問として、裁判に欠席しても大丈夫なのか、裁判を引き延ばすと何か不利益を被るのではないかという心配があるかと思います。

 

 まず、欠席に関してですが、第1回に限って言えば、欠席しても何ら問題はありません。

 但し、先ほども述べた通り、事前に答弁書を出している限りにおいてという留保がつきます。答弁書も出さずに欠席すると、欠席判決=原告の請求を認める判決が出されることとなりますので、必ず答弁書は提出し、裁判所が受領したか否かの確認を行うようにして下さい。なお、2回目以降は出席が必要となりますので、受領したか否かの確認と共に第2回目の裁判期日について日程調整を行っておくことをお奨めします。

 

 次に、不利益がないかという点については、裁判官の印象が悪くなるのではという点については心配ご無用かと思います。

 変な言い方にはなってしまいますが、裁判所も第1回の裁判期日で全ての言いたいことを主張するのは難しいと分かっています。もっとも第2回目で言いたいことはできる限りまとめておくという準備をしておかないと、裁判官の印象は悪くなりうるので、何度も引き延ばして良いと言うことにはなりません。

 

 あと、明らかに不利益になる事項と言えば、遅延損害金が加算されていくということが考えられます。通常の裁判では、「お金を支払うまで遅延損害金を付けて支払え」という請求が起こされますので、裁判が長期化すればするほど遅延損害金も膨らんでいくという関係に立ちます。従って、引き延ばすことで遅延損害金が加算されるというデメリットがあるのは事実です。

 ただ、訴訟の根本である、先方の言っていることが正しいか否かの問題と、遅延損害金が加算されるか否かの問題は別問題です(先方の言っていることが間違っているのであれば、そもそも遅延損害金は加算されません)。慌てふためいて自分の首を絞めるような答弁を行うくらいなら、1回分くらいの遅延損害金(約1ヶ月分)は覚悟の上で、熟考した主張を行う方がベターではないかと思います


 
第4 答弁書作成に関しての参考
 最高裁判所のWEBに答弁書作成のポイントが掲載されていますので、ご参考までにリンクしておきます。
 なお、書式自体は簡易裁判所が使用しているものですので、この点はご留意ください。
 

 
 

原告として民事訴訟を利用したい(訴訟提起したい)場合


 相手の理不尽さが許せないため、出るところに出る、つまり訴訟を提起したいと考えています。

 ところで、訴訟を利用したい場合、どの様な手続きを踏めばよいでしょうか。

 

第1 訴訟の対象となる請求か

 よく、「カネの問題じゃないんだ。相手に謝らせたいんだ」、「誠意を示してもらいたいんだ」ということをご要望される方がいらっしゃいます。

 お話を聞けば聞くほどお気持ちはよく分かるのですが、残念ながら、裁判というか法律上は謝罪請求が原則認められていません。例外は名誉毀損といった一部に限定されてしまいますので、裁判で全てを実現できるわけではないと言うことをよくよくご理解頂ければと思います。

 大雑把な言い方になってしまいますが、金銭請求(損害賠償請求、貸付金の返還請求など)であれば、訴訟の対象になると考えて良いと思います。

 

第2 いくらくらいの費用が必要となるのか

 「裁判は高いんでしょ?」とよく言われますが、確かに決して安いものではないのは事実です。

 ただ、裁判に必要となる費用が情報開示されていないことから、いくらかかるか分からないという不安感が「裁判って高いよね」という話につながっているのではないかと思われます。

 

 大まかに裁判に要する費用ですが、

① 印紙代
② 郵券代
③ 弁護士費用

の3つに分類されます。

 印紙代は、裁判所に納付する手続き費用と考えて下さい。

 これについては請求額が多くなればなるほど高くなるように設定されています。

 なお、印紙代の計算方法については、最高裁判所のWEBにある「手数料額早見表」をご参照ください。

 

② 郵券代は、訴状を相手に郵送したりする場合の郵便切手代と考えてください。
 大阪の裁判所で裁判を提起する場合、被告1人当たり4800円となっています。
 
③ 弁護士費用は、まさしく弁護士に依頼した場合の費用です。

 当然のことながら弁護士に依頼せずに自分で裁判を行う場合には発生しない費用です。これについては各弁護士によって値段設定がまちまちであり基準が存在しない状態です。
 私個人としては、遠慮無く合見積もりを取って検討するのがベターではないかと思います。



第3 どこの裁判所に訴えればよいのか

 裁判を起こすとして、何処の裁判所に起こせばいいのかが問題となります。

 例えば地域の問題として、自分のいる大阪なのか、相手がいる地域の裁判所なのか等検討する必要があります。 また、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所と色々な裁判所があるうちで何処にいけばよいのかという問題もあります。

 

 まず、地域の問題については基本的には相手方の住所地を管轄する裁判所で訴訟提起をおこなうことになります。しかしながら、多くの例外が認められており、特に金銭関係については、義務履行地という、結論から言えば、自分の住所地を管轄する裁判所で訴訟提起が出来るという例外が設けられていますので、なるべく自分の近所で裁判が出来ないか検討を行うことになるかと思います。

 訴えたいと思う裁判所に管轄があるか否かについては、最高裁判所のWEBにある「裁判所の管轄区域」をご参照下さい。

 

 次に、裁判所の種類ですが、金銭関係であれば、140万円以内であれば簡易裁判所、140万円を超える場合であれば地方裁判所となります。



第4 訴状の作成方法

 全ての事案類型が掲載されているわけではありませんが、最高裁判所のWEBに「民事訴訟・少額訴訟で使う書式」という記事が掲載されていますので、ご参照ください。

 なお、書式例は簡易裁判所で用いる書式になっている点はご留意ください。




この記事は平成23年1月20日に開催されたセミナーの講義録を元に作成したものです。できる限り内容は正確になるよう努めましたが、当職の勉強不足により誤っている部分があるかもしれません。従いまして、個別の事案の解決に際しては、必ず当該記事のみから判断せず、専門家にご相談の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。

 

 

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